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Evoken Fest 2019 Extra Show at 吉祥寺 club SEATA 2019.9.1

前日に続き、Evoken Fest 2019の"Extra Show"と位置付けられたライブに行ってきました。

"Extra Show"というのはヘッドライナーであるALESTORMが不在であるために番外編的な扱いになっているようで、この日のトリはEvoken Fest皆勤賞となるイタリアのDERDIANだ。

吉祥寺に来るのは、かつてBLOOD STAIN CHILDを観に吉祥寺CRESCENDに来て以来なので、ほぼ10年ぶりだ。その前に来たのもさらに10年前なので、私にとって吉祥寺は期せずして「10年に1回来る街」になっている。いや、家庭を持って住むにはほぼ最高の街だと思うんですけどね。

当然、今回の会場であるclub SEATAも初めての会場だが、吉祥寺のメインストリート的な通り沿いなので迷うこともない。駅から会場に向かう途中、POWERWOLFなどという、だいぶ濃いバンドのTシャツを着た人とすれ違い、この人はもしや今日の会場も渋谷と勘違いしているのではなかろうか…と勝手に心配してしまいました(笑)。

会場に着くと、同じフロアに吉祥寺を代表する居酒屋(焼鳥屋?)の名店、「いせや」の支店が同じフロアにある。

残念ながら本日はおひとり様での参加ながら、もし友人と一緒に着ていたなら、ライブ後はここに吸い込まれること確実である(笑)。

地下の会場ということもあってか、昨日の渋谷ストリームホールとは違って天井が低い。そしてステージの前の梁(モニターが設置されている)が超ジャマで、ただでさえ狭いステージがさらに狭く見えるという意味であまり好ましくない会場だ。

Allegiance Reign

2017年にデビューした日本の「戦国バトル・メタル・バンド」。

甲冑(プラスチックのオモチャではなく本物らしい)に身を包んだ、その独特の和風な出で立ちは個性的ながら、この手の「独自の世界観」系のバンドは、「信者」以外にとってはサムくて観ていられないこともあるのでちょっと危惧していたが、杞憂だった。

RHAPSODY OF FIREとTURISASを足して2で割ったような勇壮なシンフォニック・メタルはなかなかのクオリティだし、YAMA-B(元GALNERYUS)そっくりの歌声を持つVoのMCは、デーモン閣下を思わせるユーモアのセンスがあり、バンドの世界観をすんなりオーディエンスに受け容れさせていた。

下手(しもて)のギターのMCも、時代劇っぽくて面白く(別に面白いことを言っているわけではないのだが、その時代がかった言い回しがなんとも味があって面白い)、その世界観とは全く無縁の(和風の要素皆無、シンフォニック・メタル風味全開)サウンドはかなりのインパクトでした。エイエイオー。


EPIDEMIA

クラウドファンディングで多額のお布施をした方の要望によってEVPが招聘し、来日が実現したロシアのバンド。

ロシアの情報というのはなかなか入ってこないので事実なのかわからないが、本国ロシアでは千人単位のオーディエンスがを前にアリーナ・クラスの会場でライブを行なう人気バンドらしく、本日このせいぜい600人くらいしか入らない会場がスカスカ、つまり恐らく300人くらいしかいない会場でプレイしてもらうのはなんだか申し訳ない気持ちになってしまう。

メタル・バンドとしての基本スタイルは、地理的に近いドイツや北欧のバンドに影響を受けたメロディック・パワー・メタル・スタイルのようだが、ドイツや北欧のその手のバンドがあまりやらないような、ちょっとダンサブルなパーティー・ソングや、「日本を舞台にしたMVを作った」と紹介された曲はポップ・ロック然としていたし、バラードは70年代のSCORPIONSみたいで、良く言えば型にはまっていない、悪く言えば方向性の定まっていない楽曲をプレイしている。

ライブの進め方というか、オーディエンスの乗せ方も、普通のバンドであればバラードでやるような、両手を挙げて左右に揺らすような動きをテンポの速いパートで求めたり、ちょっと西側諸国のバンドとは違っている感じで、これを「ロシアならではのオリジナリティ」と評価するか、「ロックのライブのお作法をわかってない、田舎臭いパフォーマンス」と感じるかはその人次第か。

ただ、垢抜けないながらも楽曲(特にメロディ)には耳を引くものがあったし、超テクというわけではないが、キャリアの長いバンド(結成は1993年)だけあって演奏も安定しており、何よりエルフみたいな容貌のヴォーカリストの伸びやかなシルキー・ヴォイスが素晴らしく、彼らのパフォーマンスに悪印象を抱いた人はいなかったのではないか。

実際会場はかなり盛り上がっており、前方にはロシア語の歌を合唱するようなコアなファンも集まっており、オーディエンスの人数はともかくリアクション自体はバンドを満足させる熱量があったように思う。

個人的にも本日の目当てはこのバンドで、その期待に応えるステージだったことは間違いない。

まあ、それは「ロシア料理もたまに食べると美味しいよね」みたいな感覚で、西側諸国の一線級のバンドと同じレベルのパフォーマンスだったかと問われるとそんなことはなかったのですが、また何年後かに来日してくれたらまた観たいし、できればフルセットのショウを観たいと思わせる魅力は確実にあったと言っておきます。


MANTICORA

昨日、飯タイムにしてしまったために見逃してしまったバンド。いや、今日観れることがわかっていたからこそ飯タイムにしたというのが本当の所ですが、それでも飯タイムにしてしまったのはそれなりの期待値でしかなかったというのもまた事実。

このバンドも2000年代初頭のパワー・メタル・ブームの際には日本盤が出ていて、「デンマークのBLIND GUARDIAN」的な評判でマニアには注目されていたので、当時は私も聴いていました。

ただ、そのサウンドは確かにBLIND GUARDIAN風ではあったものの、ブラガの持つドラマ性や叙情性ではなく、アグレッシブな面やプログレッシブな面が強調されたサウンドで、個人的な琴線にはあまり触れなかったというのが期待値が低かった理由。

しかし、そんな低い期待値を全面的に謝罪したくなるステージだった。ドラムのツーバスがオート連打モードでも付いているのではないかという強烈さで、その強靭なビートに支えらえたスラッシュ・メタルさえ彷彿させるほどのアグレッシブなパフォーマンスは猛烈なヘドバン欲を刺激し、こんなに激しくアタマを振ったのはいつ以来だろう…という勢いでヘッドバンギングしていた。

翌日の首の筋肉痛は間違いなくこのバンドのせいです(笑)。

ブロンドの長髪と、シアトリカルで個性的なアクションが印象的なヴォーカリスト以外のメンバーは「普段はIT企業で働いてます」といった感じの爽やかな短髪の欧米人だが、大して売れているとも思えないこのバンドの活動を続けているのも納得のパフォーマンスだった。

スタジオ盤ではイマイチでも、ライブだと素晴らしいと感じられるバンドの典型例ですね。予想外の満足度でした。

Voの人が途中、1曲だけネズミ男みたいな恰好になったのは意味不明でしたが(歌詞が理解できてれば意味がわかったのかもしれません)。


NORTHTALE

昨日観ているので、外に出て食事しててもいいのだが、この会場は再入場時にまたドリンク代を取られるのと、何より昨日のパフォーマンスが素晴らしかったので再びじっくり鑑賞。

昨日と内容は同じなので詳細は語りませんが、昨日同様にデビューしたてとは思えない(メンバー各々はそれなりのキャリアがあるので当たり前と言えば当たり前ですが)完成度の高いステージだったのですが、より広い会場だった前日の方がよりパフォーマンスが映えていたと感じたあたりは、バンドのスケール感を逆説的に証明するものだったと思います。

パワー・メタルの次世代を担う大器に育ってほしいし、日本で正当な評価を得てもらいたい所です。


BLOODBOUND

BGMでPRETTY MAIDSの"Raise Your Flag"とRUNNING WILDの"Riding The Storm"という、メタルを聴き始めの時期に聴いていた名曲が立て続けに流れ、BGMの選曲が昨日と全く同一であることに気付く。

BLOODBOUNDはスウェーデンのパワー・メタル・バンド。デビュー以来、アルバムが出るたびに買っている、つまりそれだけの魅力があるバンドなので当然お目当てのひとつ。本日はEPIDEMIAとBLOODBOUND、このどちらが欠けてもこの会場に足を運ばなかったでしょうね。

できれば初代のヴォーカリストであるアーバン・ブリードで観たかったが、現Voのパトリックも良いシンガーなので不満というわけではない。ただ、そのパトリックがスキンヘッドに、受験生がするような日の丸ハチマキを巻いて登場したのはちょっと失笑。

BLOODBOUNDのライブ・パフォーマンスというのは、スタジオ盤の印象に極めて忠実である。すなわち、楽しめるが、失礼ながらA級の風格は感じない。そういう意味で、NORTHTALEにはA級のポテンシャルがあるということを逆説的に感じさせられました(笑)。

しかし、このブログを読む程度にマニアな方であればB級にはB級の魅力があることはご承知の通りで、そういうA級ならざるランクのバンドを観られることがEvoken Fest…というかEVPが興行するライブの醍醐味。そういう意味でEVPの事業停止は惜しまれます。

セットリストは現Voのパトリック加入後の楽曲が中心で、近年押し出されるようになった「メタル」や「ドラゴン」など、わかりやすいアイコンを掲げてオーディエンスを煽る彼らのパフォーマンスはメタラーであれば嫌いになれない類のもの。

ショウの途中で出てきた、彼らのアルバムのアートワークにおけるマスコット・キャラクター(?)、ノスフェラトゥ君は、ステージが狭いせいか「何しに出てきたん?」という程度の存在感でした(笑)。

ラストは彼らのテーマ曲というべき名曲"Nosferatu"でしたが、チューニングが下がっていたのでちょっと違和感を覚えてしまったことは内緒です。


そしてこの後は本日のトリ、DERDIANの登場となるわけですが、翌日は月曜日ですし、昨年も観ているので、失礼ながらパスさせていただきました。

吉祥寺駅までの帰りがけ、大学時代に時々行っていた野方ホープの支店があったので、そちらでラーメン食べて帰宅。

本日はキャパに対して5割からせいぜい6割程度の入りだったので、バンドとバンドの間の転換時間は地べたに座れた分、昨年よりラクでしたが、まあこの客入りではビジネスとしては続けられないよなあ…という感じでした。

オールスタンディングの会場で、このバンド数でやるなら、体力のある若者向けのバンド中心でないと厳しいでしょう。然るに本日集まっていたオーディエンスは、ALESTORM効果があった昨日より高く、30代から40代の仕事で疲れている世代が中心。

体力の衰えたこの世代を相手にするには指定席型の会場が好ましいですが、そもそもそういう世代の人は仕事や育児などで忙しいので、椅子のある会場を埋めるほどの動員はなかなか見込みづらい。

そういう意味で、現代の日本でマニアックなパワー・メタルのフェスティバルというのはビジネス的にはなかなかの無理ゲーで、採算度外視…とまでは言わないにせよ、「儲かるかどうかより、呼びたいかどうかだ」の姿勢で招聘をしてくれたEVPが実現してくれたこの数年間の奇跡に感謝するしかありません。

evokenfest2019.jpg

Evoken Fest 2019 at 渋谷ストリームホール 2019.8.31

前エントリーを受け)そんなわけで行ってきました、Evoken Fest 2019二日目。

会場は渋谷ストリームホールという、東急電鉄による渋谷駅南側再開発によって昨年9月に開業した、オフィス・商業・ホテルの複合施設、渋谷ストリームの中にあるライブハウス。

渋谷駅直結とあるものの、初めて行く施設なので、どこから直結しているのかよくわからず(16b出口、と言われてすぐに「ああ、あそこね」という人は通勤などで毎日使っている人くらいではないでしょうか…)、ちょっと右往左往して到着。

大規模再開発なので、入っている飲食店もなかなかいい感じだし、開業してまだ1年も経っていないのでキレイ。

フロアに入ると、700人収容ってこんなものか、という程度の広さながら、天井が高い上に、邪魔な柱や梁もなく、かなり見やすい感じ。

ILLUSION FORCE

昨年活動を開始し、今年の5月にデビュー・アルバムをリリースした日本のメロディック・パワー・メタル・バンド。

日本の、と言ってもヴォーカリストは韓国人、ベーシストはアメリカ人と、多国籍な編成のようだ。

私も含め、最初はフロアも(前方で盛り上がっているコアなファンと思われる人を除き)「様子見」という感じでしたが、90年代のSTRATOVARIUSあたりを思わせる明朗なメロディック・パワー・メタル・サウンドは初見の人間にもわかりやすい魅力があり、破綻のないパフォーマンスもあって次第にフロアから上がる腕も増え、盛り上がってくる。

ヴォーカリストがフロアに向けてハイトーンのスクリームをアピールすると、フロアからも結構凄いハイトーン・スクリーム(約1名)が返ってきてビックリ、そしてVoさんが負けじと超ロングノートのハイトーンをキメる、などのやりとりも生まれつつ、コマのようにくるくるよく回る上手のイケメンなギター、子熊のようなルックスながら、アンジェロ・ラッシュめいた手つきでテクニカルなプレイをキメるベーシスト(後で調べた所、バークリー音楽院を卒業しているとか)など、日本のこの手のバンドにしては珍しく「ただ演奏しているだけ」にならないステージングを見せてくれる所はポイント高い。

そして何より、ステージが始まってほどなく一度機材トラブル?で袖にフェイドアウトしていった下手側のギタリストによる「俺らも昨年まではそっち(フロア)側にいたんです」「ロッピーでチケット買って、うわーTWILIGHT FORCEが見れる~!とか言ってたんです(笑)」「だからこうしてこのステージに立てて本当に嬉しいです」といった微笑ましい発言によってオーディエンスの共感を獲得、「このフェスを成功させるために、バトンをつないでいきたいと思います」みたいな好感度の高い物言いは社会人レベルが高い感じでした(笑)。

今のところ音楽そのものにあまり個性は感じられないのですが(パワー・メタルにそんなものはいらない、という説もありますが)、日本のバンドとしては楽曲もパフォーマンスもかなり完成度高くまとまっていて、この日のパフォーマンスで新たなファンを獲得できたのではないかと思います。


VICTORIUS

続いてはドイツのメロディック・パワー・メタル・バンド、VICTORIUS。ILLUSION FORCEの時点ではハコの半分くらいだったオーディエンスが7割くらいまで埋まってきた。

2017年の4th "HEART OF THE PHOENIX"までは割と普通の欧州型メロディック・パワー・メタルという感じだったが、昨年リリースされたEP "DINOSAUR WARFARE"で、音楽性はそのままに急にイメージを変え、「恐竜メタル」なる打ち出しでちょっとDRAGONFORCE的なネタっぽいセンスを漂わせるバンドに変貌した。

何よりビックリしたのは、私の記憶だと黒髪ロングヘアだったはずのヴォーカリストが金髪のショートヘアになっており、まるでアイドル・バンドのメンバーかのような爽やかイケメンルックスになっていたこと。

とはいえもちろん音楽が急にアイドル・バンドになるはずもなく(笑)、サウンドは疾走感の強いメロディック・スピード・メタル然とした勢いのあるもので、フロアは大盛り上がり。

そのヴォーカリストと、頭の片側をイマっぽく刈り上げた上手のギタリストがステージを動き回ってメタル・バンドらしからぬ華やかで明るい雰囲気を醸し出しつつ、下手のギタリストはいかにもメタル・ミュージシャン然としていて、メンバー同士ちゃんと仲良くできているのかしら…などと余計な心配をしてしまいました(笑)。

スタジオ盤で聴くとちょっと軽い(音質の話ではない)印象もあるのだが、そのドイツのバンドには珍しいカラッとしたフィーリングで繰り広げられるパワー・メタル・サウンドは、そのメタルバンド然としていないルックスとあいまって、この手のバンドには珍しい密室感を感じさせずに盛り上がることができ、これはこれでひとつの新しいパワー・メタルの在り方を示唆するバンドだな、と思いました。

爽やかなルックスのパワー・メタル・バンドが増えれば、若い女の子のパワー・メタル・ファンも増えるかもしれませんし(?)、この路線で頑張ってほしいです。


MANTICORA

昨年、約8年ぶりのニュー・アルバムをリリースしたデンマークのパワー・メタル・バンド。

ただ、私はVICTORIUSの終演後、ステージのあるフロアを出て、ひとつ下のドリンクカウンターと物販スペースのあるフロアにポツンと出店している、EVP主催イベント初の「フェス飯」であるケバブ屋(LOUD PARKに出店していた業者ではない)でケバブサンドを購入し、食事タイムにしていました。

本当はステージ転換の間にサクッと食べて、彼らの開演までには戻るつもりだったのですが、ドリンクカウンターのビールサーバーが調子が悪かったようで(まだ新しい会場のはずなのに…)、ドリンクカウンターが大渋滞。これに並んでいたらMANTICORAの開演に間に合わないことは確実(ちなみにケバブ屋も大渋滞でした)。

ケバブのような塩っ気の強いものをビールなしで食べるのは不可能なので(?)、どうせ翌日も観ることだし、とMANTICORAを最初から観ることは諦めた。

ビールサーバーの不調はかなり長く続き、私の前に並んでいる人の数人は諦めてハイボールなど他のアルコールを注文していましたが、私は別にアルコールが飲みたいわけではなくビールが飲みたいので、スタッフが感じているプレッシャーをあえて無視しつつ粘り続け、20分近くかけてようやく1杯のビールを手に入れる。

ビールを飲みつつケバブを頬張っている間、上の階からMANTICORAのプレイが漏れ聞こえていたが、この聴こえ方だと轟音と調子っぱずれ(に聞こえる)な叫び声が響いてくるだけで、魅力的な音楽には聞こえないというのが正直な所(苦笑)。

食べ終えた後、よくTwitterやYouTubeで見かけるキングレコードのメタル担当者の人が誰かを関係者控室に招き入れるのを横目にしつつ、ステージのフロアに戻る。

戻ると既にラストの曲である"Through the Eyes of the Killer - Revival of the Muse That is Violence"。フロントマンであるラース・F・ラーセンがなにやらシアトリカルな怪しいアクションを繰り広げており、本日時点ではとりあえずそれだけが印象に残りました。


NORTHTALE

元TWILIGHT FORCEのクリスチャン・エリクソン(Vo)と、元CELLADORのビル・ハドソン(G)を中心に結成されたメロディック・パワー・メタルの新星。

つい先日リリースされたばかりのデビュー・アルバムがかなり良かったので期待していたが、その期待に応えるステージだった。

豊かなブロンドの長髪に赤い革ジャンを着たクリスチャンにはこの手のバンドのフロントマンには珍しい華があったし、楽曲のギター・ソロ・パートになるとかならずステージのセンターに出てきて表情豊かに弾きまくるビル・ハドソンも、濃いめのマスクにマッチョな肉体がヌーノ・ベッテンコートを彷彿させ、昨今珍しい「ギター・ヒーロー」の趣があった。

速い曲からキャッチーな曲まで、変にヘヴィな要素もプログレッシヴな要素もロックンロールな要素もない、ピュアなメロディック・パワー・メタル・サウンドは、歌メロに漂う北欧ならではの哀愁含め90年代のSTRATOVARIUSを彷彿させ、個人的にはドストライクな音。

今のところ個性と呼べるものは見当たらないが、クサすぎないし、クリスチャンとビル以外のメンバーもルックス悪くなく、実際のライブ・パフォーマンス含めてバンドとして見栄えがする貴重な存在なので、ぜひ長続きさせてブレイクしてほしい。

まだ1枚しかアルバムを出しておらず、持ち曲が少ないからか、それとも「プレイヤー推し」をしたいのか、50分ほどの短いステージにもかかわらずギター・ソロ・タイムとドラム・ソロ・タイム(ドラムはイングヴェイのバックやW.A.S.P.のツアー・メンバーなどの活動で知られるパトリック・ヨハンソン)があったのも、結果的には他のバンドのライブとの差別化になっていた。

個人的には本日のベストと言ってもいいパフォーマンスで、まだアルバムが出て間もないにもかかわらず合唱も起き、フロアは大いに盛り上がっていたが、ステージ後ろにぶら下がっていた垂れ幕バナーは小さすぎて殆ど用をなしていなかったのはご愛嬌(笑)。


GRAVE DIGGER

HELLOWEENやRUNNING WILDと並ぶ、ドイツのメタル第一世代と呼ぶべきベテラン・バンド。RAGEのオープニング・アクトとして来日して以来、23年ぶりの来日公演である。

本国ドイツではメタル・ヘッズたちの確固たる評価を得て、安定した人気を誇るバンドだが、正直日本人受けするサウンドとは言い難いこともあってか、かなり長いインターバルが空いてしまったため、ファンにとっては待望の来日。

私は彼らのファンというほどの熱量はないものの、「ジャーマン・メタル」をメタラーとしてのルーツと考えている身として、一度は観ておきたいと思っていたので、こういう機会で観られるのはありがたい。

ショウは最新作の曲ではなく、その前作に当たる、本国ドイツで彼らの歴史上最高のチャート成績(15位)を収めたアルバム"HEALED BY METAL"(2017)のタイトル・トラックでスタート。

その後、ちょっとJUDAS PRIESTの"Turbo Lover"を思わせる"Tattooed Rider"、ヘヴィな"The Clans Will Rise Again"と続き、「やはりもう歳だから速い曲はやらないのか…」と思いかけた所で登場する"Lawbreaker"。

現代パワー・メタル的な感覚では速い部類に入らないテンポかもしれないが、最近の彼らの楽曲では勢いのある方の楽曲であり、サビがシンプルでコーラスしやすいこともあってフロアは大いに盛り上がる。

続いたのが"TUNES OF WAR"(1996)収録の"The Bruce (The Lion King)"というかなり渋めな選曲なのは、現在、映画『ライオン・キング』がヒットしているからでしょうか?(たぶん違う)

クリス・ボルテンダール(Vo)はビシビシとオーディエンスを煽り、その盛り上がりを確かめては「よくやった」とばかりに優しく微笑む様子に「昔は怖かったけど、今は丸くなって優しくなった先生」みたいな感じを受けました(笑)。

現体制になってからの代表曲、"Highland Farewell"を経てラスト3曲は、彼らのメロディック・パワー・メタルとしての代表曲"Excalibur"、BLIND GUARDIANからの影響が顕著なRebellion (The Clans Are Marching)、そして彼らのデビュー以来のテーマ曲と言うべき"Heavy Metal Breakdown"という鉄板の定番曲で締め。

私は上手(かみて)後方で観ていたのですが、私のすぐ近くにやたらと熱く楽しそうに盛り上がっている一団がいて、この人たちのためだけでも、彼らが今回来日した意味はあったな、と思いました。


ALESTORM

これまで転換の時間に流れているBGMは専らパワー・メタル系の音楽ばかりだったのだが、GRAVE DIGGERが終わるとLED ZEPPELINをはじめとするクラシック・ロックばかりが流れ始めるようになる。

そしてQUEENの楽曲が立て続けに流れ始めると、場内のオーディエンスが合唱を始め、昨今のQUEEN人気の高まりを感じさせられました。

そんな中、メタル・バンドのものとも思えないファニーな垂れ幕の前に、巨大なアヒル(黄色いけど、たぶんヒヨコではなくアヒル)のビニール人形が運ばれ、普通であればドラムセットが置かれる位置に鎮座する。

噂によると前日はこのアヒルをステージ上で膨らませるのに時間がかかって開演が遅れたということなので、膨らんだ状態で運ばれてきたのは前日の反省を生かしたということなのだろう。かわいらしいが、やはりとてもメタル・バンドのステージには見えない。

そしてフロアのBGMがフェードアウトし、照明が落ちると大きな歓声と共に一気に前方への圧縮が起こり、後方に立っていた私の前に大きなスペースが広がる。

そして1曲目、"Keelhauled"が始まるなり、そのスペースにて押し合い圧し合いのモッシュが始まる。

私はALESTORMを、いわゆるメロディック・メタル文脈のバンドだと思っていたので、目の前で始まったエクストリーム・メタル/ヘヴィ・ロック系ノリに面食らう。

たしかに本日のオーディエンスを観て、あれ?意外と若い人が多いな、しかも結構可愛い女の子もいるな?、パワー・メタルのライブっぽくない(涙)ぞ? とは思っていたのだが、なるほど、ALESTORMはこういう層をつかんでいたんですね。

そういう意味では、「このバンドは暴れられるぞ」と気付いた、ここで暴れている人たちに比べて自分のセンスはだいぶ鈍いな、と反省させられましたね。

時折、暴れてる人たちが私の方にぶつかってくるので、それを避けたり押し返したりせねばならず、あまり音楽やパフォーマンスに集中できなかったのですが、メタル・バンドらしからぬカラフルでカジュアルな衣装はセンスがいいし、スタジオ盤で聴くと、個人的な趣味からはちょっと外れる、シリアスさに欠ける響きの曲も、ライブではフックの効いたキャッチーな曲として盛り上がりを誘っていたので、素直にこれはライブ・バンドとして素晴らしいな、と思いました。

途中、サメの被り物をしたゲスト・シンガーが出てきたり(誰?)、鎮座している巨大なアヒル隊長のようなバルーン以外にもエンターテインメントな趣向が凝らされていて楽しめましたが、何と言っても圧巻だったのは"Nancy the Tavern Wench"におけるヴァイキング・モッシュあるいはローイング・モッシュと呼ばれる、舟漕ぎのようなモッシュ(?)。

会場の前方3列ほどと、私を含む最後方列を除く大半のオーディエンスが床に座り、舟漕ぎのようなアクションをしている様は、これまで100本単位でライブを観ている私も初めて目にする異様な光景で(ネットを通じてその存在は知っていたが)、ついついスマホで動画撮影してしまいました(そしてその動画をTwitterで上げた所、私のアカウント史上最高のリツイートといいねを獲得しました)。


これができたという意味では、本日すし詰め状態のソールドアウトでなくてラッキーだったのかもしれません。興行主以外にとっては。

スコットランドの民族衣装であるキルトスカート姿にキャップを被り、ショルダーキーボードを弾きながら歌う、フロントマンのクリストファー・ボウズのMCは、英語ネイティブならではの流暢さのせいか、アーティストとオーディエンスのコミュニケーションが適切に疎通できていたかというとそんなことはなかったのですが(そのため、「左右に分かれた後、ゆっくり歩み寄って握手しよう」というクリストファーのチャーミングな指示にも関わらず、左右に分かれろ、というジェスチャーだけしか理解しなかった輩のせいで単なるWODになってしまった)、とりあえずフロアは終始盛り上がり、今日イチかと思われたNORTHTALEや、貫禄勝ちかと思われたGRAVE DIGGERの印象をかき消すほどの強烈なインパクトのライブを見せてくれました。


この日、特別何かトラブっていた印象はないのですが、終演は予定の22時から大幅に遅れて22時40分にずれ込み、私は翌日のEXTRA-SHOWも観に行く予定だったのでそそくさと帰りました…と言いたい所ですが、ALESTORMのライブでさんざん「酒を飲め」という歌を聴かされてしまったので、ついついラーメン屋に立ち寄ってビールを頼んでしまいました(笑)。

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