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NORTHTALE “WELCOME TO PARADISE” アルバム・レビュー

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TWILIGHT FORCEを脱退したクリレオンことクリスチャン・エリクソン(Vo)が、元CELLADORで、CIRCLE II CIRCLEのメンバーでもあるアメリカ人ギタリスト、ビル・ハドソンと結成したバンドのデビュー・アルバム。

ベースは全く聞いたことのない人だが、ドラムは元YNGWIE MALMSTEENというのが日本人には最も通りがいいであろうパトリック・ヨハンソン、キーボードはTHE FRACTURED DIMENSIONのメンバーで、日本のマニアにはETERNITY’S ENDのキーボーディストといえば多少ピンと来る人もいるであろうジミー・ピッツ。

メンバーの国籍を見るとスウェーデンとアメリカの混成バンドだが、音楽的には完全にSTRATOVARIUS以降の北欧型メロディック・パワー・メタル。

というか有り体に言ってしまうと完全にSTRATOVARIUSのフォロワーで、スピード・チューンとキャッチーな曲を主軸に、アルバムにおけるアクセントとしてちょっとヘヴィな曲とバラードはプレイする、というスタイルは完全にSTRATOVARIUS。

メタルの持つダーティーな面やアンダーグラウンドな部分を完全にそぎ落としたクリーンなサウンドは、人によっては「こんなんスタイルはメタルでもスピリットがメタルじゃねえ」と感じる類のものかもしれないが、個人的にはこういう音こそ私が好きな要素だけを抽出した、ストライクゾーンど真ん中の音。

哀愁を帯びた流麗な歌メロに北欧を感じつつ、あまりクサくなり過ぎないのはやはりギターとキーボードというメロディ楽器担当がアメリカ人であるせいだろうか。

それは欧州メタル・マニアにとってはちょっと物足りなさにもつながりつつ、マニア以外の層に支持を広げる上では有利に働くことだろう。

何よりライブを観て、ヴォーカルとギターに華があるというのがこの手のバンドとしては非常に稀有で、ロック・スターなヴォーカルとギター・ヒーローなギタリストの組み合わせこそがメタルの、いやロックの王道と感じる向き(日本人にはかなり多い価値観だと思う)にとって、理想的なバンドである。

楽曲もどれもちゃんとフックがあって良くできているが、「これぞ!」というキラー・チューンに欠けるのもまた事実で、その辺は次作以降の課題だろうか。

あとまあ、この手のメロディック・パワー・メタルにおいて変に個性を出すことはあまりファンに歓迎されない傾向があるとはいえ、ある程度以上ビッグになっているバンドには、とりあえずマニアにはわかる程度に個性があるものだが、このバンドにはまだそれがない。

そういう意味ではまだAクラスとは言い切れないのだが、ポテンシャルは間違いなくピカイチで、新世代のSTRATOVARIUSはこのバンドと断言してしまっていいだろう。【85点】







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TWILIGHT FORCE “DAWN OF THE DRAGONSTAR” アルバム・レビュー

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世界遺産にも登録されている大銅山で知られる、SABATONを生んだスウェーデン中部の都市、ファールン出身のシンフォニック・パワー・メタル・バンドの3rdアルバム。

その勇壮で上質なシンフォニック・パワー・メタル・サウンドによって、デビュー作の時点で本国のチャートにもランクインし、ここ日本でもマニアの高い支持を得て、”Evoken Fest 2017”における来日時には熱狂的な歓迎を受けた。

しかし、前作”HEROES OF MIGHTY MAGIC”(2016)発表後、Voのクリレオンことクリスチャン・エリクソンが音楽的方向性の違いにより脱退、TRICK OR TREATやLUCA TURILLI'S RHAPSODYの活動で知られるアレッサンドロ・コンティがアリオンという芸名で加入した。

音楽性についてはこれまでと何ら変わっておらず、シンフォニック・メタルに興味がないメタル・ファンが聴いたら「ああ、RHAPSODY OF FIREのフォロワーね」の一言で片づけられそうなほど、RHAPSODY OF FIREに酷似したサウンドだが、自ら標榜する「アドベンチャー・メタル」というワードが表現する通り、より動的な印象が強く、本家RHAPSODY OF FIREも時に陥りがちだった「シンフォニックなだけでメタルとしてはちょっと退屈なパート」が存在しないことが彼らの強み。

明るいメロディやフォーキッシュなスパイスも巧みに活用したダイナミックな場面転換によるドラマ性も豊かで、裏打ちのツーバス疾走パートも多く、一般的なメタル・ファンにとっての親しみやすさという点では、今や本家以上とさえいえる。

新ヴォーカルのアレッサンドロ・コンティは、当然ながら音楽性には完全にフィットしており、前任者よりも広い音域と高い歌唱技術によってバンドの音楽的完成度を高めることに貢献している。

もっとも、歌唱の個性やヒューマンな味わい、そしてフロントマンとしての華という点では前任のクリレオンに軍配が上がるため、このメンバー・チェンジを手放しで喜ばないファンも多いのではないかと思われるが、スタジオ作品としてのクオリティは確実に上がっている。

よりテクニカルなヴォーカリストを得て、今後作曲が変に「高度化」してわかりやすさが減じてしまうことが懸念材料といえば懸念材料か(笑)。

いずれにせよシンフォニック・パワー・メタル・ファンであれば必聴の傑作。もはや新世代のRHAPSODY OF FIREはこのバンドと断言してしまっていいだろう。【87点】



MOTLEY CRUE "Live Wire"のMV

なぜ今MOTLEY CRUEのこの曲なのか。

単にここ最近、どういうアルゴリズムによるものか全く見当がつきませんが、YouTubeの「あなたへのおすすめ」や「次の動画」にやたらとこのMVが出てくるから、ですね。

何を隠そう、私が人生で一番最初に観た洋楽HR/HMのMVというのがこのMVで、私の考える「メタルのMVかくあるべし」という価値観にも大きく影響を与えている(であろう)MVなので、いい機会だと思いこのエントリーで取り上げてみました。



いや~、多少時代は感じますが、今観ても普遍的なカッコよさがありますね。

特にヴィンス・ニール(Vo)のこのアクション、これは世の凡百のフロントマンは研究の余地がありますよ。

キメポーズみたいなもののカッコよさはもちろん、1:28あたりの、アドリブ(というか無意識の動き)と思われる反対側の手で自分の頬を掻く、みたいな何気ない仕草までセクシーなカッコよさが満載です。

この曲、めっちゃカッコいいのにギターソロらしいソロもなく、シンプルな感じなので、当時(25年くらい前ですね…)ギター初心者だった私はコピーできたぜ、と一人悦に入っていたのですが、キメが多いので、同じく初心者のベース、ドラムと合わせてみたら見事にバラバラになりました(笑)。

METAL WEEKEND 2019 at Zepp DiverCity Tokyo 2019.9.15.

2018年9月21日~24日の4日間に渡ってZEPP DIVERCITY TOKYO開催されたワードレコーズ主催による"METAL WEEKEND"が、今年は『BURRN!』35周年記念イベントという形で、今年も9/14(土)、9/15(日)の2日間に渡ってZEPP DIVERCITY TOKYOで行なわれ、初日はLOUDNESS、二日目はHAMMERFALLがヘッドライナーということで、私は2日目に足を運びました。

そして東京テレポート駅に着いてみると、なんだか様子がおかしい。メタルTシャツを着た人間もちらほら目につくものの、むしろメタルとは全く縁のなさそうなウェイな若者たちで駅のホームが埋め尽くされている。

若者が来ていたTシャツを見て気付いたが、今日はULTRA JAPAN 2019の日でもあったのだ。恥ずかしながら(?)一度行ったこともあるのですが、そういえばあのイベントもこの時期のお台場だった。

駅からしばらくウェイの群れに紛れて進み、ダイバーシティ東京 プラザの前でウェイと分岐…のつもりだったが、ダイバーシティ東京 プラザの内部も、ULTRA JAPANを途中抜けしているウェイに占拠されており、肩身の狭い思いで(?)、駅からの動線的に一番奥にあるZepp DiverCity Tokyoへ。

手前のフードコートで軽く腹ごしらえでもしようかと思っていたが、フードコートはウェイに完全制圧されており、とても無理。

素直にそのまま会場入りすると、直前に発表されたオープニング・アクトのNEMOPHILAなるガールズ・メタル・バンドがプレイしている。ちょうど最後の曲が始まるタイミングで、1曲しか聴いていないので感想を述べる資格もないのですが、元気でよろしい、という感じでした。

METAL SOULS

若井望(G)と、ロニー・ロメロ(Vo)のペアということでDESTINIAなのかと思いきや"METAL SOULS"だそうで。要はメタル・クラシックのカヴァーをやるプロジェクトのようです。

1曲目、さて何が来るかと身構えていたら、聴いたことのないギター・リフ。DESTINIAの曲でもないし、なんだろうと思っていたら、ヴォーカルが入ってきたらすぐに分かったQUEENの"We Will Rock You"。

ご存知の通り本来はソロ以外ギターの入っていない曲ですが、大幅にアレンジを変えて、ギター中心にドライブするアップ・テンポのロック・チューンに仕上げている。

オリジナルの魅力を活かすアレンジとは言い難いが、昨今のQUEEN人気にあやかって会場を温めようということなのでしょう。

その後、"The Final Countdown"(EUROPE)、"Fool For Your Loving"(WHITESNAKE)、"Looking For Love"(M.S.G)と、80年代HR/HMファンなら鉄板の名曲を立て続けにプレイ。どれも良い出来でしたが、ロニー・ロメロの声質に一番合っていたのはM.S.Gですかね。

その後、スペシャルゲストとしてヴァイオリニストのAyasaが登場、KANSASでもプレイするのかと思いきやGARY MOOREの"Over The Hills And Far Away"のあのイントロのドラム・ビートが鳴り響いて「そう来たか!」と納得。

ゲイリーの少しくぐもったヴォーカルは、熱唱型のロニー・ロメロにはちょっと歌いづらそうでしたが、今日イチで印象的なパフォーマンスでした。

その後、Ayasa嬢のヴァイオリンをフィーチュアしたまま、DESTINIAの"Judgement Day"と"Metal Souls"をプレイ。往年の名曲でこの会場にいるリアルタイム組のハートをつかんで、そのままDESTINIAの購買につなげる作戦ですねわかります(笑)。

MCは基本ロニー・ロメロがメインで喋ったのですが、メンバー紹介はロニーが「日本語をあまり知らないから」と若井望に振ったのに、なぜか若井望はほぼ英語でメンバー紹介をするという怪奇現象(苦笑)。客席はほぼ日本人だったのですが。

ベースとドラムはロニー・ロメロが現在居住しているスペインのミュージシャンだったのですが、耳慣れないスペイン語の名前を、中途半端に流暢なジャパニーズイングリッシュでコールされたので全く名前が聞き取れませんでした(苦笑)。

まあ、MCなんぞどうでもいいんですが、楽曲もパフォーマンスもいいのに、若井望のギターが「泣かない」んですよねえ…。まあ作曲もデザインも英語も空手もできて、ギターのテクニックも充分でルックスも華があるのですから、そこまで求めるのは酷というものかもしれませんが。


BEAST IN BLACK

5月にSUOMI FEAST 2019で観たばかり。9月にも来ると知っていたら5月はパスしたのに…などと思っていたのですが、いやいや、これはこの日演奏された9曲なんかじゃとても満足できないでしょ。

とにかく曲良し、演奏良し、パフォーマンス良しの三拍子揃ったステージで、終始盛り上がりっぱなし。

ライブにおける曲・演奏・パフォーマンスというのは、どれかひとつ飛び抜けたものがあるバンドは他の2つは「そこそこ」でもライブとしては楽しめるのですが、このバンドはどれも素晴らしいのだから楽しめないはずがない。

私くらい無駄にライブ鑑賞の数を重ねると、変に目や耳が肥えてしまって、学生時代に観たライブのように単純に感動できないこともあるし、下手するとちょっと冷めた目で観ていることもあったりするのですが、お金を払ったのに楽しまないのは損だし、アーティストや心から楽しんでいるファンの人たちに申し訳ないからとりあえず盛り上がろう! みたいな気分の時もあるというのが正直な所です。

しかしやはりこれだけ非の打ち所がないライブを観ると、感性の衰えた(スレた?)アラフォーでもやっぱり理屈なしにアガるのです。

いや~、これは20曲近くプレイしてくれたSuomi Feastに行ってなかったら「なんで俺は行かなかったんだ…俺のバカバカ!」と自分を責めることになっていたに違いありません。

まったくこの夜の内容のレポートにはなっていませんが、たまにはこういうのもいいでしょう。なんなら「超良かった」のワンセンテンスでも充分だったと思うくらいです(笑)。

ただ、あえて今夜ならではのエピソードをひとつ挙げるなら、彼らがプレイするちょっと前にMETAL SOULSがプレイするEUROPEの"The Final Countdown"を聴いてたがゆえに、本日2曲目にプレイされた"Eternal Fire"の元ネタがこの会場にいる全ての人に気付かれてしまったということですね(笑)。


MYRATH

「アフリカ大陸のメタル・バンド」という言葉から想像されるクオリティを完全に凌駕する、チュニジアのプログレッシヴ・メタル・バンド。ライブを観るのはLOUD PARK 16以来だ。

ステージはよくあるバンドのロゴとか新作のアートワークの垂れ幕がぶら下がっている工夫のないしつらえではなく、ステージ後ろにイスラムっぽい建物が描かれた垂れ幕がかかっており、そのセンターで切れ込みが入っていて、そこから人(主にダンサー)が出入りすることができるようになっているという、ある種演劇のステージのようなもの。

そして彼らの音楽を聴き、MVを観たことがある人であればご存知の通り、彼らの音楽は(プログレッシヴ・メタルなのに)コンパクトにもかかわらず、非常に物語性豊かなもので、スタジオ盤の印象を全く損なうことのない精度の高い演奏がオーディエンスをたちまちアラビアン・ナイトの世界にいざなう。

まあ、この世界観に入り込めない人にとっては「全曲"Gate Of Babylon"にしか聴こえない」という感じなのかもしれませんが…。

要所要所に登場するセクシーなベリーダンサー(1人しかいないのが残念。これが6人、せめて4人いればさらに凄いインパクトだったと思うのですが、まあ予算もあることですし仕方ないでしょう)のダンスも、今回は衣装のバリエーションも豊かに彼らの音楽世界に色を添え、オーディエンスの視線をステージに釘付けにする。

「全曲"Gate Of Babylon"にしか聴こえない」人も、きっと彼女のダンスは楽しんだに違いありません(笑)。

入場時に、最新作"SHEHILI"の日本盤ボーナス・トラックだった"Monster In My Closet"の日本語バージョンの歌詞と「一緒に歌ってください!」というメッセージが印刷された紙が渡されたのだが、なかなか素人が簡単に歌えるような楽曲でもなく、合唱は小さめ(苦笑)。とはいえこのライブにかける意気込みが伝わってきて、ザヘル(Vo)がやや怪しいながらもわざわざ日本語で歌い上げてくれたことは胸が熱くなりました。

個人的な感覚では"Believer"をラストに持ってきたほうがよかったんじゃないかという気がしましたが。まあ、その辺はバンドのこだわりなのでしょう。

BEAST IN BLACKのように無邪気に盛り上がる、というタイプのライブではありませんでしたが、これはこれで非常に楽しめる、印象深いステージでした。

日本でも、国際的にも、BEAST IN BLACKの方が人気が高いと思われるのにMYRATHの方が出番が後なのは、BEAST IN BLACKを後にすると、「BEAST IN BLACKから来る」オーディエンスが多発する可能性があったからではないかと思っているのですが、さてどうでしょう。


HAMMERFALL

先月最新アルバム"DOMINION"をリリースしたばかりのHAMMERFALL。彼らを観るのもLOUD PARK 15以来ということで、失われたもの(LOUD PARK)の大きさをあらためて噛み締める。

それまでワードレコーズの新譜リーダートラック紹介の様相を呈していた場内BGMが、HAMMERFALLの前だけメロハー/AOR大会になったのは何故でしょう。

HAMMERFALLのショウは、最新作のオープニング・ナンバーである"Never Forgive, Never Forget"でスタート。最新作のオープニング曲でライブを始めるというのは非常にオーソドックスな選択だ。

「決して許さない、決して忘れない」という曲名はなんだか後ろ向きな印象だが、イングヴェイにも「お前は憶えてないだろうが、俺は決して忘れない」なんて曲があるし、スウェーデン人は意外と根に持つタイプなのかもしれない(笑)。

この曲はとりあえず速いのでカッコいいのだが、サビに爆発力がないので、きっと次のアルバムのツアーではセットリストから外れるでしょう(笑)。

彼らもなんだかんだ20年選手だけあってプレイすべき曲はいっぱいあるので、本日も新作からの曲が特に多いというわけではなく、キャリア全体からのグレイテスト・ヒッツ的なショウになっており、その辺はファンの求めるものを提供しているということなのだろう。

こうして代表曲を聴くと、あまりそういう面がフォーカスされることはない気がするが、彼らの楽曲のメロディの良さ、そしてフックラインの巧みさは際立っており、それが受けている国とそうでない国は割と明確に分かれているものの、受けている国における人気の高さがよく理解できる。

BATTLE BEASTの時も思ったのだが、やっぱり弦楽器隊が曲のキメに合わせてシンクロしたアクションをするのは気持ちいいですね。私が学生時代(1996年、オルタナ/メロコア全盛期でした)、バンドサークルの先輩には「ダサ過ぎる」と言われましたが、これをダサいと感じる人とは一緒にライブを観られませんね。やっぱりメタルはこうでなきゃ。

そして今夜特筆すべきは、ヨアキム・カンス(Vo)のフロントマンぶり。オーディエンスの煽り方、イジり方は完全にトップ・バンドのそれで、STRATOVARIUSのティモ・コティペルトなどにも通じるが、地位が人を作るというか、正直歌唱者としての生来のポテンシャルという意味では今夜のラインナップで一番下だと思われるヨアキム・カンスだが、フロントマンとしてはピカイチでした。

いや、歌声自体もかなりコンディションが良かった感じで、インタビューで言っていた「俺は今でも成長している」という発言が、単なるインタビューにありがちな常套句ではなく、事実であることを証明していたと思う。

ステージ全体として、オーソドックス過ぎるほどにオーソドックスなピュア・メタル・ショウなのだが、北欧と中欧限定とはいえ、これでチャートの上位に食い込み、数千人・数万人のオーディエンスが集まる国があるというのはある意味感動的。

「新しさ」は1ミリもないが、安心して観られるし、とても楽しい。それで何か問題があるのだろうか?


帰り道もULTRA帰りのウェイたちと一緒になったわけですが、私のような90年代以降にメタルを好きになった人間はともかく、今夜この会場にもたくさんいたと思われる、メタルというジャンルが誕生し、全盛を迎えた80年代リアルタイムのメタル・ファンは当時なりのウェイだったのではないかと思われ、どうしてメタルは今でもこれだけ素晴らしいアーティストがいるのに、ウェイな若者を取り込むことができなかったんだろうなあ…などと思ってしまう1日でした。

そしてさらに思ったのは、現状の高齢化した日本のメタル・マーケットに対しては、LOUD PARKのような規模のフェスティバルより、会場的にも時間的にもこれくらいのイベントの方がちょうどいいのかもしれない、ということでした(三連休の最終日にはやらない、というスケジューリング含めて)。

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HAMMERFALL "DOMINION" アルバム・レビュー

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スウェーデンを代表するヘヴィ・メタル・バンド、HAMMERFALLの、"Napalm Records"移籍後第2弾となる、通算11作目のフル・アルバム。

彼らのディスコグラフィーで一番冴えない仕上がりだった(と、個人的には思っている)"INFECTED"(2011)を手掛けたアメリカ人プロデューサー/ミュージシャンのジェイムズ・マイケル(SIXX:AM)を再び共同プロデュースに起用したと聞いて、一抹の不安を感じていたが、結果論で言えば全くの杞憂、彼ららしさに満ちたピュア・メタル・アルバムに仕上がっている。

先行シングルとして公開された"(We Make) Sweden Rock"は、タイトルだけ見るといささか不遜な響きながら、歌詞を読むと、80年代初頭からのスウェーデンのHR/HMアーティストのバンド名や楽曲タイトルがそこかしこに織り込まれており、言うなれば自分たちを含むヘヴィ・メタル・バンドこそがスウェーデンのロック・シーンを作ってきたんだ、という気概を示す、アンセム的な楽曲。

こういうキャッチーな曲を狙って作れる所がこのバンドが成功を収めた要因だと考えており、それ以外の曲も、ACCEPT風だったりYNGWIE風だったりとネタ元は割と明白ながら、楽曲全体で見るとパクリにはなっていないソングライティングはここ数年でさらに磨きがかかっているように思われる。

速い曲からヘヴィな感触の曲、キャッチーな曲にバラードと、メタル・バンドに求められる範囲の中でバラエティを作り、どのタイプの楽曲にもちゃんとフックを設けてアルバム全体を飽きさせずに聴かせる手腕はもはや職人芸であり、ヨアキム・カンスの声質を生かした哀愁風味のメロディはクサくなり過ぎずにキャッチーに響く。

前作は母国スウェーデンで6位と、彼らにしてはやや不調なチャート成績だったが(彼らの歴史の中で出来は良い部類だったと思うが)、本作は2位を獲得、ドイツでも4位と、過去最高レベルの成功を収め、スウェーデンのメタル・キングとしての地位が盤石なものであることを示す充実のアルバム。【85点】