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陰陽座が楽曲提供した『越乃寒梅』ブランド・ムービー

去る10月22日に公開された、日本酒の中でも最も有名なブランドのひとつ、『越乃寒梅』のブランド・ムービーに、陰陽座初のデジタル・オンリーでリリースされたニュー・シングル、「一輪一滴」が使用されています。

こういうのをWebニュースでは「越乃寒梅と陰陽座がコラボ!」などというのでしょうけど、これは単純に『越乃寒梅』の製造元である石本酒造が陰陽座に楽曲使用料を払っていると思われるので、お互いの自発的な意志で無償の協力をしているわけではないという意味で個人的には安易に「コラボレーション」という言葉は使いたくありません。

もちろん陰陽座の中心人物である瞬火は「『越乃寒梅』と陰陽座には確かな共通点がある」と、自身が日本酒好きであることを含め、何の故もない、単なる広告仕事ではないという旨の発言をしていますが、これはプレスリリース向けの建前と見るべきでしょう。

この座組みが成立したのは、少なくとも瞬火が日本酒好きだから、というよりは、石本酒造の現社長である石本龍則氏がメタル好きだから、という事実が大きいでしょう。

石本龍則社長のFacebookを見ると、数多くのメタル・アーティストがフェイバリットとして挙げられており、しかも女性Voのものが多いあたり、陰陽座が好きというのもガチなのでしょう。

PINK SAPPHIREなんてバンドも挙がっている辺り、その感性のルーツというか世代が窺えますが(笑)。

しかしこの社長、アニメが好きということでバンダイナムコエンターテインメントが立ち上げたプロジェクト「神酒ノ尊-ミキノミコト-」に参加したり、アメ車が好きで、アメリカ最大のカーレースNASCAR K&N PRO SERIESのレースのメインスポンサーになったりと、かなりの趣味人。

趣味のために会社のお金を使ってくれるオーナー社長なんて私のような広告代理店の営業にとっては理想の社長なわけなのですが(笑)、何より可笑しいのはこの社長、酒造メーカーの社長なのにお酒が苦手で飲めない、という話(笑)。

オーナー会社の跡継ぎ社長って、最高ですね。いや、イヤミではなく無邪気にそう思います(笑)。

だって世界観が合ってるからってなかなかメタル・バンド、それも妖怪を名乗っているようなバンドの楽曲をブランド・ムービーに起用してくれる懐が深い、というかマーケティングをデータに基づいて行なわない企業なんて今時そうそうないですよ(笑)。

はっきり言ってしまうと、世の中的には陰陽座よりも『越乃寒梅』の方が圧倒的に知名度があって、この「コラボ」のニュースも普段陰陽座のニュースを扱わないようなメディアも取り上げているので、これはむしろ陰陽座にとって旨味のある話でしょうね。いち陰陽座ファンとして石本社長に御礼を申し上げたいです(笑)。

しかし、かつてDRAGONFORCEが日本酒『龍力』とコラボしていましたが(これは大したお金が発生していないと思われます)、日本酒とメタルって意外と相性がいいんでしょうか(笑)。


商品のブランド・ムービーなので、バンドは登場しません。バンドの美サイドをフィーチュアしたバラードですね。


越乃寒梅×陰陽座〈一輪一滴〉スペシャルサイト

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NORTHTALE "Everyone's A Star"のMV

良質なアルバムを発表し、Evoken Festにおける素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた個人的には今年のブライテスト・ホープ認定確実なスウェーデンのメロディック・パワー・メタル・バンド、NORTHTALEのデビュー・アルバム"WELCOME TO PARADISE"から"Everyone's A Star"のMVが公開されています。

ちなみに"Everyone's A Star"と言ってもTNTのカヴァーではありません(笑)。

メロディック・パワー・メタルのファンの方であればお聴きになれば、この曲のネタ元がEDGUYであることはすぐに察しがつくことでしょう(笑)。

前述のEvoken Fest 2019における来日時に撮影した映像のようで、東京の風景がこれでもかとフィーチュアされています。

とても日本人好みなバンドだと思いますし、これをきっかけにうまく相思相愛の関係が築けるといいですね。



DRAGONFORCE "EXTREME POWER METAL" アルバム・レビュー

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前作"REACHING INTO INFINITY"発表後、近年バンドへの貢献と露出が減少し、「育休中」と伝えられていたヴァジーム・プルジャーノフ(Key)が脱退。

ヴァジームに代わってソングライティング面での貢献を高めていたフレデリク・ルクレール(B)がKREATOR加入のために脱退することが報じられるのとほぼ同時にリリースされることになった通算8作目のフル・アルバム。

ここ2作ほど、フレデリク・ルクレールの影響によるものと思われるエクストリーム・メタルのエッセンスを取り入れたヘヴィな要素が音楽性に表れており、好意的に解釈すればバンドのサウンドの幅が広がったし、ネガティブに解釈すれば「らしさ」が減少していた。

しかし本作ではエクストリーム・メタル由来のエッセンスは減少し、特に歌メロの面でよりメロディックな要素が増して、原点回帰の様相を呈している。

さらに今回は、どうも意図的に80年代風のサウンドを志向した節があり、80年代的な要素が強く押し出された#4 "Heart Demolition"、#7 "Strangers"といった楽曲は、その時代の音楽にポジティブなノスタルジーを覚える私のような人間には極めて印象的である(不思議なことに本作で最もキャッチーなこの2曲はどちらも「エクストリーム派」であるはずのフレデリク・ルクレールの作だ)。

フォーキッシュというかケルティックな要素を取り入れた#9 "Remembrance Day"は、彼らとしては新味だが、メロディック・パワー・メタル系のバンドとしては割とよくあるアプローチで、そこまで目新しさはない(個人的にはHEAVENS GATEの"He's The Man"を思い出しました)。

#10 "My Heart Will Go On"は、映画『タイタニック』の主題歌として大ヒットしたセリーヌ・ディオンの楽曲のパワー・メタル・カヴァーで、ボーナス・トラック扱いではないが、ボーナス・トラック的な感触。

全体的には初期からのDRAGONFORCEファンが求めるものを提供している作風であると思われるのだが、今回なぜかマーク・ハドソンのヴォーカルが(元々その傾向はあったが)やけにか細く響き、結果としてサウンド全体がパワー不足に感じられてしまう。

アルバム・タイトルが彼らの音楽性のパブリック・イメージそのまま、DRAGONFORCEというバンドの音楽性をそのまま表現するものになっている割に、「エクストリーム」な要素が弱く感じられるという意味で、アルバム・タイトルから想像されるサウンドとミスマッチが起きているように思えてしまった。【85点】







BABYMETAL "METAL GALAXY" アルバム・レビュー

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前作"METAL RESISTANCE"がビルボード39位と、日本人アーティストとしては坂本九以来となるTOP40ヒットを記録、日本で最も国際的に知名度の高いメタル/ポップ・ミュージック・アクトとなったBABYMETALの、約3年半ぶりとなるサード・アルバム。

前作発表後、YUI-METALが脱退。10人単位でいるようなアイドル・グループであればいざ知らず、3人しかいない、個々のメンバーが不可欠と思えるようなグループで脱退劇が生じるとは、妙な所でメタル・バンド的ではある(笑)。

BABYMETALが人気を得た理由として最も大きなものは、BABYな幼い女の子がメタルをやっている、という意外性によるものなので、そういう意味では「出オチ」とも言える存在なのだが、曲の良さ、パフォーマンスの良さによって、デビュー当初誰も想像していなかったであろう長期に渡って高い人気を維持している。

私のように彼女らの「Kawaii」の部分に重きを置かないファンにとってBABYMETALの魅力というのは、「メタルとして単純に曲が良い」ということ、そして「メタルに新しい要素・変わった要素を取り入れていて革新的である/面白い」という2点にある。

この2点によって「メタルというジャンルとは関係なく、音楽として魅力的」という領域にまで到達したことがBABYMETALをここまで巨大化(彼女たちにはあまり相応しくない形容だが)させたといえるだろう。

本作でも、「メタルとして単純に曲が良い」、「メタルに新しい要素・変わった要素を取り入れていて革新的である/面白い」という2点は確実にクリアしており、ファンであれば間違いなく楽しめる作品である。

BABYMETALの多様性をもって「カオス(混沌)」と表現する論調をしばしば見かけるが、少なくとも"METAL RESISTANCE"以降の彼女らの音楽(のみならずパフォーマンスやショウの在り方、マーケティングまで)というのは非常に計算され、構築されたものである。

それが無秩序なカオスに見えるとしたら、それは未だに「BABYがMETALをやっている」という違和感、あるいは彼女たちのブレイクを読んだ"ギミチョコ!"に代表される遊び心の強い楽曲のインパクトに幻惑されてしまっている人だろう。

本作は、従来のファンの満足と新しいファンの獲得を両立させることを狙って、どういうタイプの曲を作り、どういう新しい要素を入れ、どういうアルバムにするか、非常に考えられたアルバムである(日本盤だけ2枚組仕様というリリース形態含め、時に考えすぎなのではないかと思うほどに)。

ゲストのチョイスも絶妙に戦略的で、J-POPファンなら誰でも知っている松本孝弘(B'z)、日本のメタル・ファンに人気の高いARCH ENEMYのアリッサ・ホワイト=グラズ(Vo)、欧州のメタル・ファンには知名度抜群のヨアキム・ブローデン(SABATON)といった「客寄せパンダ」的な色を持つゲストにとどまらず、欧米だけでなくアジアにも目を向けていることをアピールするタイ人ラッパー、F.HEROや、DISC 1-#6 "Brand New Day"にはPOLYPHIAのメンバーという、ギター・オタクしか知らないような(失礼)、「こんなマイナーな所も押さえてるんだぜ」というスタッフのドヤ顔が浮かんできそうなゲストも参加している。

そのヨアキム・ブローデンが参加しているDISC 1-#5 "Oh! MAJINAI"はフォーク・メタルだし、アルバムのラストを締めるDISC 2-#8 "Arkadia"はメロディック・パワー・メタルと、(私のような)保守的なメタル・ファンにアピールする楽曲も収録しているが、過去作も含め、例えばIRON MAIDEN、MOTLEY CRUE、METALLICAといった80年代のメタル黄金時代のバンドのスタイルをトレースすることは決してせず、あくまで90年代以降のメタルのフォーミュラに則ったスタイルしか採用しないのは、意図的にそうしているのだろう。

メタルを標榜しつつ、ここまでインターナショナルでコンテンポラリーなポップ・ミュージックをクリエイトしたことについては素直に頭が下がるし、そのクオリティも文句をつけられるようなものでは決してない。

ただ、本作にはデビュー・アルバムにあった無邪気でおもちゃ箱のような楽しさは既になく、前作発表時のような「時代を変える」高揚感も既にない。

そしてオープニング曲のタイトル通り"FUTURE METAL"を目指す心意気は感じるものの、BABYMETALという存在はあまりに唯一無二で再現性に乏しいために、現実的にはメタルというジャンルそのものの変革者にはなり得ない。

その唯一無二性をもって信者相手の閉じられた世界に生きていくのか、本作の持つインターナショナルなポピュラリティが評価され、さらに上のステージに行くのか、あるいはここが限界点なのか。

まあ、いかに新境地を開こうと、私がBABYMETALを気に入った最大の理由であるSU-METALの凛として清冽な歌声はさらに説得力を増し、その彼女の天賦の歌声を活かすメロディが随所にフィーチュアされている時点で、私としては本作を聴く理由は充分にある。

本来、音楽なんてものは世間的な評価やセールスとは関係なく、自分の琴線にどれだけ響いたかが全てのはずなのですが、『ヘドバン!』よりさらに前、2011年から彼女らに注目してきたこのブログとしては、本作が(評論家ではなく大衆に)どう評価されることになるのか、も気になってしまうというのが本音。これってもしかして親心?(笑)









NIGHT RANGER来日公演 at 昭和女子大学 人見記念講堂 2019.10.7

このサイト/ブログでは、意図的(サイト/ブログの個性を明確にするため)にハード・ロックよりメタル、アメリカンなものよりヨーロピアンなものをフィーチュアしてきたので、これまであまり触れてきませんでしたが、私はNIGHT RANGERが好きです。

と言っても、ほぼ1st"DAWN PATROL"と2nd"MIDNIGHT MADNESS"に好きな曲の大半が集中していて、近年のアルバムはほとんど聴いていないのでライブには足を運びかねていました(単にスケジュールが合わなかったというのも大きいですが)。

しかし今回の来日公演はその1st"DAWN PATROL"と2nd"MIDNIGHT MADNESS"を再現するツアーということで、私のような人間にはピッタリ。同じく80年代のNIGHT RANGERを愛する友人の誘いもあり、足を運ぶことにしました。

会場は昭和女子大学人見記念講堂という、5年くらい前にEXTREMEの来日公演が行なわれたとはいえ、HR/HMファンには(というか男性には?)あまり馴染みのない会場で、渋谷から東急田園都市線で世田谷方面に2駅の三軒茶屋にある。

開場18時30分、開演19時だったわけですが、私が銀座某所での打ち合わせが終わったのが18時35分。電車で行くと、開演には確実に間に合わない。しかし公演の趣旨から考えてオープニング1曲目はほぼ間違いなく私がこのバンドの楽曲で1番好きな"Don't Tell Me You Love Me"と想定される。遅刻は極力避けたい。

NAVITIMEで自動車ルートを検索すると、車なら首都高を使えば17分で着く、とある。これに賭けるしかない。

早速タクシーを捕まえ、首都高の銀座入口から高速道路に乗る…が、いきなりの渋滞。浜崎橋JCTで事故という表示は出ていたのでこれは想定内だが、その浜崎橋を過ぎてスムーズに流れだした、と思ったのも束の間、その後も断続的に渋滞が続き、渋滞情報のサイトをスマホでチェックすると、この先もずっと渋滞しているようだ。雨だしな…。

やむなく途中で高速を降りるも、ほぼ全ての信号で赤信号に引っかかるという不運なリズム。結局現地に到着したのは開演から15分ほど経ったタイミングでした。

大学時代にインカレのサークルで何人か友達はいたものの、当然ながら昭和女子大に入ったことはない。そもそもアラフォーの男性サラリーマンが勝手に入ろうとしたら逮捕されるんじゃないかと思い(そんなバカな)、門の脇に立っている警備員に「怪しい者ではありません。人見記念講堂はどこですか?」と訊こうとする間もなく、警備員の方から「ナイト・レンジャーですか?」と話しかけてきて、道案内をしてくれる。

講堂内に入ると、いかにも大学職員といった感じの、きちんとした身なりの人たちが丁寧に席の場所を説明してくれる。てか、そこまで丁寧に説明してくれなくても席番号見ればなんとなくわかるから早く通してくれ、という気分でした(苦笑)。

そして19時20分くらいに自分の席に着くと"At Night She Sleeps"がプレイされている。当然だが"Don't Tell Me You Love Me"も"Sing Me Away"も聴き逃してしまった…いや、楽曲の尺を考えると"Call My Name"まで終わっていてもおかしくないので、まだマシだったと考えよう。

2階席だったので、先に着いていた私の友人を含め、周りの人たちの多くは座って観ている。私が立つと後ろの人が見えづらくなると思われるので、とりあえず私も座って観る。とりあえず"Call My Name"は立ち上がって盛り上がるような曲でもないですし。

遅刻でちょっとブルーな気分でしたが、"Eddie's Comin' Out Tonight"のスリリングなツイン・リードにたちまち気分はアガっていく。この曲が『MCA』と契約するきっかけになったそうだが、こういう曲が大手メジャーに評価されるいい時代だったんですね。

上手(かみて)にドラム、下手(しもて)にキーボードがあり、センター後方には大きな「お立ち台」があるという変則的なステージ構成だが、これは結成当初からこうなっているようなので、弦楽器隊3人が縦横無尽に動き回るステージングをする上でこういうステージが良い、ということになっているのだろう。

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結成当時の思い出話など、恐らく毎回喋ってるんじゃないかというトークも、日本人の英語リスニング能力を考えてかなりゆっくり話してくれていたし、そのステージはまさに百戦錬磨といった熟練を感じさせる。

バンド名を冠した"Night Ranger"がプレイされた際には、途中のテンポアップして盛り上がる場面でドラム・ソロに突入。ケリー・ケイギー(Dr, Vo)が「ドラム・ソロ・タイムかって? いや、グルーヴ・タイムだぜ」と言うと、他のメンバーも全員ドラムキットの周りに集まって思い思いにドラムスティックでドラムやシンバルを叩き始める。こんな光景は他のバンドでは見たことがない。

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"DAWN PATROL"最後の曲である"Night Ranger"が終わると「まだ帰るなよ! まだまだ音楽はあるからな! 5分だけ休ませてくれ!」と言って一旦袖に引っ込む。

そりゃあ"MIDNIGHT MADNESS"も再現するってあらかじめ知らされているわけだから帰らないよね…などと思っていたら、ブラッド・ギルス(G)つながりなのかOZZY OSBOURNEの"No More Tears"がBGMで流れる中、ステージ上にアコースティック・セットが組まれていく。あれ? "Rock In America"じゃないの?

明らかに5分以上経って現れた彼らがプレイを始めたのは4thアルバム"BIG LIFE"からの"Color Of Your Smile"のアコースティック・バージョン。おや、今日は一昨日に行なわれた追加公演とはセットリストが違う?

アコースティック・セットは続き、再結成アルバム(私がHR/HMを聴き始めてからリアルタイムでリリースされた最初の作品である)"NEVERLAND"からの"Forever All Over Again"、そしてジャック・ブレイズ(B, Vo)が在籍していたDAMN YANKEESの大ヒット曲"High Enough"、5th"MAN IN MOTION"からの"Reason to Be"という4曲がプレイされる。

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正直、ブラッド・ギルスという、エレクトリック・ギターならではの技術であるアーミングの達人を擁する彼らが4曲もアコースティックをプレイする意味は薄いように思ったが、ビルボードライブみたいな会場にはハマりそうな気はする(少なくとも、先日ビルボードライブで観たURIAH HEEPよりも!/笑)。

そしてアコースティック・セットが撤収され、いよいよ始まる"MIDNIGHT MADNESS"完全再現。名曲中の名曲、"Rock In America"が始まると、座っている人が多かった2階席も2/3以上の人たちが立ち上がる。あからさまな今夜のハイライト。

この曲のAメロのキーボードは初めて聞いた時衝撃でしたね。こんなに歌メロのバックでキーボードが目立っていいんだ、と(笑)。

このバンドは2人いるギタリストのどちらもギター・ヒーロー扱いで、ベースとドラムはヴォーカルも兼任しているので、皆存在感が強いわけだが、キーボードのフィーチュア度の高さもHR/HMとしてはかなりのもので、「目立たないメンバー」がいないというのがバントとして魅力的(いや、現在のキーボーディストは知名度などの点でやや地味な人ですが…)。ステージを見る限りメンバー同士の仲も良さそうで、気持ちよくステージを観ていられる。

カジュアルな服装のメンバーたちの中、一人LAのグラム・ロッカーみたいな風体のケリ・ケリー(G)も「あの」8フィンガーのタッピング・ソロを見事に弾きこなして大きな歓声を浴びる。

全米5位の大ヒット・バラード"Sister Christian"ではオーディエンスに歌声を要求、ちゃんと歌詞を憶えている観客が多く、見事な歌声が場内に響き渡る。これが長年のファンを抱えたバンドの単独公演における妙味ですね。フェスだとなかなかこうはいきません(笑)。

スタジオ盤ではちょっと退屈な曲だと思っていた"Touch Of Madness"もライブ映えは抜群で、"When You Close Your Eyes"みたいなメロディアスな楽曲はもちろん素晴らしい。ホント、このバンドには日本人好みの歌謡センスがあって、その辺が2019年になっても東京で2,000人規模の会場を2会場ソールド・アウトさせられる根強い人気の源泉なのではないか。

"MIDNIGHT MADNESS"完全再現が終わると、(今夜は既にセットチェンジで袖に引っ込んでいるからか)アンコールという形は取らずに、オマケ的に3rdアルバム"7 WISHES"からの"Four In The Morning"、そしてタイトル的には公演ラストに相応しい"Goodbye"がプレイされて今夜のショウは終了。

しんみりしてしまうからか、バラードで終わるライブって実はあんまりないんですよね。でも"Goodbye"は最後エレクトリック・ギターがパワフルに盛り上げるのでギリギリ「アリ」なんですかね。"Goodbye"ではなく"See You Again"であってほしいですが。

25曲、2時間半に渡る大満足のコンサートでした。メンバーの演奏やショウ運びも非常にプロフェッショナルで、これなら新しいヒット曲やヒット・アルバムが出なくてもお客さんは集まり続けるだろうな、と感じました。

実際、オーディエンスは普通の私服やスーツ姿の人が多く(もちろん80年代のツアーTシャツを着ているような歴戦のファンと思われる方もいっぱいいましたが)、このバンドがいわゆるコアなHR/HMファンというより、ライトなHR/HMファンの人気が高かったという話も納得でした。

彼らはやっぱり曲もパフォーマンスも大衆性やわかりやすさに満ちていて、それは今のHR/HMが失ってしまったものなんじゃないかと思います。もちろん、今NIGHT RANGERの音楽性を再現してもそれは「大衆的」とは言えないのですが。

しかし、ジャック、ケリー、ブラッドというオリジナル・メンバーが還暦オーバーなのは想像がついていましたが、このパワフルなドラムをプレイして、しかも多くの曲でヴォーカルもやっているケリー・ケイギーが67歳って…。そりゃ60歳じゃ年金もらえませんよね(苦笑)。まだまだ働けそうですもん(笑)。

※聴けなかったこの曲のオフィシャル・ライブ映像を新旧で。