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BABYMETAL "METAL GALAXY" アルバム・レビュー

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前作"METAL RESISTANCE"がビルボード39位と、日本人アーティストとしては坂本九以来となるTOP40ヒットを記録、日本で最も国際的に知名度の高いメタル/ポップ・ミュージック・アクトとなったBABYMETALの、約3年半ぶりとなるサード・アルバム。

前作発表後、YUI-METALが脱退。10人単位でいるようなアイドル・グループであればいざ知らず、3人しかいない、個々のメンバーが不可欠と思えるようなグループで脱退劇が生じるとは、妙な所でメタル・バンド的ではある(笑)。

BABYMETALが人気を得た理由として最も大きなものは、BABYな幼い女の子がメタルをやっている、という意外性によるものなので、そういう意味では「出オチ」とも言える存在なのだが、曲の良さ、パフォーマンスの良さによって、デビュー当初誰も想像していなかったであろう長期に渡って高い人気を維持している。

私のように彼女らの「Kawaii」の部分に重きを置かないファンにとってBABYMETALの魅力というのは、「メタルとして単純に曲が良い」ということ、そして「メタルに新しい要素・変わった要素を取り入れていて革新的である/面白い」という2点にある。

この2点によって「メタルというジャンルとは関係なく、音楽として魅力的」という領域にまで到達したことがBABYMETALをここまで巨大化(彼女たちにはあまり相応しくない形容だが)させたといえるだろう。

本作でも、「メタルとして単純に曲が良い」、「メタルに新しい要素・変わった要素を取り入れていて革新的である/面白い」という2点は確実にクリアしており、ファンであれば間違いなく楽しめる作品である。

BABYMETALの多様性をもって「カオス(混沌)」と表現する論調をしばしば見かけるが、少なくとも"METAL RESISTANCE"以降の彼女らの音楽(のみならずパフォーマンスやショウの在り方、マーケティングまで)というのは非常に計算され、構築されたものである。

それが無秩序なカオスに見えるとしたら、それは未だに「BABYがMETALをやっている」という違和感、あるいは彼女たちのブレイクのきっかけとなった"ギミチョコ!"に代表される遊び心の強い楽曲のインパクトに幻惑されてしまっている人だろう。

本作は、従来のファンの満足と新しいファンの獲得を両立させることを狙って、どういうタイプの曲を作り、どういう新しい要素を入れ、どういうアルバムにするか、非常に考えられたアルバムである(日本盤だけ2枚組仕様というリリース形態含め、時に考えすぎなのではないかと思うほどに)。

ゲストのチョイスも絶妙に戦略的で、J-POPファンなら誰でも知っている松本孝弘(B'z)、日本のメタル・ファンに人気の高いARCH ENEMYのアリッサ・ホワイト=グラズ(Vo)、欧州のメタル・ファンには知名度抜群のヨアキム・ブローデン(SABATON)といった「客寄せパンダ」的な色を持つゲストにとどまらず、欧米だけでなくアジアにも目を向けていることをアピールするタイ人ラッパー、F.HEROや、DISC 1-#6 "Brand New Day"にはPOLYPHIAのメンバーという、ギター・オタクしか知らないような(失礼)、「こんなマイナーな所も押さえてるんだぜ」というスタッフのドヤ顔が浮かんできそうなゲストも参加している。

そのヨアキム・ブローデンが参加しているDISC 1-#5 "Oh! MAJINAI"はフォーク・メタルだし、アルバムのラストを締めるDISC 2-#8 "Arkadia"はメロディック・パワー・メタルと、(私のような)保守的なメタル・ファンにアピールする楽曲も収録しているが、過去作も含め、例えばIRON MAIDEN、MOTLEY CRUE、METALLICAといった80年代のメタル黄金時代のバンドのスタイルをトレースすることはせず、あくまで90年代以降のメタルのフォーミュラに則ったスタイルしか採用しないのは、意図的にそうしているのだろう。

メタルを標榜しつつ、ここまでインターナショナルでコンテンポラリーなポップ・ミュージックをクリエイトしたことについては素直に頭が下がるし、そのクオリティも文句をつけられるようなものでは決してない。

ただ、本作にはデビュー・アルバムにあった無邪気でおもちゃ箱のような楽しさは既になく、前作発表時のような「時代を変える」高揚感も既にない。

そしてオープニング曲のタイトル通り"FUTURE METAL"を目指す心意気は感じるものの、BABYMETALという存在はあまりに唯一無二で再現性に乏しいために、現実的にはメタルというジャンルそのものの変革者にはなり得ない。

その唯一無二性をもって信者相手の閉じられた世界に生きていくのか、本作の持つインターナショナルなポピュラリティが評価され、さらに上のステージに行くのか、あるいはここが限界点なのか。

まあ、いかに新境地を開こうと、私がBABYMETALを気に入った最大の理由であるSU-METALの凛として清冽な歌声はさらに説得力を増し、その彼女の天賦の歌声を活かすメロディが随所にフィーチュアされている時点で、私としては本作を聴く理由は充分にある。

本来、音楽なんてものは世間的な評価やセールスとは関係なく、自分の琴線にどれだけ響いたかが全てのはずなのですが、『ヘドバン!』よりさらに前、2011年から彼女らに注目してきたこのブログとしては、本作が(評論家ではなく大衆に)どう評価されることになるのか、も気になってしまうというのが本音。これってもしかして親心?(笑)









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