GALNERYUS “INTO THE PURGATORY” アルバム・レビュー

FUMIYA(Dr)加入後2作目となる通算12作目のオリジナル・フル・アルバム。
前々作、前作とストーリーを持ったコンセプト・アルバムを発表しており、今回もその続編を描くことも考えていたそうだが、今回は個々の独立した楽曲を集めた通常のアルバム形態になっている。
とはいえ、イントロとなる1曲目、アウトロとなる10曲目のインストの存在が、否応なしにアルバム全体を通して聴かせる構成を印象付けている。
先行公開されていた#6 “The Followers”が彼らとしては異色の、7弦ギターによるヘヴィ・リフと、オペラティックとうか芝居がかった歌い回しとキング・ダイアモンドでも意識しているのかという唐突なハイトーンがフィーチュアされたダークな感触の楽曲で、ちょっと不安を覚えていた。
しかし、蓋を開けてみると、というか再生ボタンを押してみるとその不安は雲散霧消。力強いオープニングの#1 “Purgatory Flame”からザ・ガルネリ節のメロディック・スピード・メタル・チューン#2 “My Hope Is Gone”、そして#3 “Fighting Of Eternity”の流れで順調にノックアウトされる(笑)。
3連の#4 “Glory”、ちょっと70年代ハード・ロック風のリフが印象的な#5 “Never Again”、そして前述の#6 “The Followers”と、中盤は変化球多めでアルバムに起伏を設けつつ、彼らならではの泣きのバラード#8 “Remain Behind”、9分に及ぶフィンランドのバンドからの影響が強く出ている大作#9 “The End Of The Line”で絶頂へと導く。
今回も楽曲のクオリティ、バラエティ共に申し分なく、テクニカルな部分の聴きどころも満載で(特に#3 “Fighting Of Eternity”のKeyソロと#9 “The End Of The Line”のユニゾンは鳥肌もの)、毎回「最高のメタル」を目指そうという姿勢が明確に感じられる彼らの、特にSyu(G)の志の高さには素直に頭が下がる。
“PURGATORY”(煉獄)なんていう、メタル・バンドのアルバム名や歌詞でしか見かけないワード(笑)を使ったアルバム・タイトルや、デス・メタル・バンドが採用してもおかしくないアートワークもいつになくメタメタしく、令和最初のアルバムにおいて自分たちがメタル・バンドであることを堂々と偽ることなく宣言しているかのようで頼もしい。
このレベルに達しないと「次代のジャパニーズ・メタル・シーンを担うポストGALNERYUS」になれないのだとしたら、日本の若いメタル・バンドはあまりにも高いハードルを設定されてしまっている。【87点】
※BARKSのインタビュー
※激ロックのインタビュー
※RealSoundのインタビュー
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