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TYGERS OF PAN TANG “RITUAL” (2019) アルバム・レビュー

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2019年はNWOBHM40周年ということもあってか、ANGEL WITCHやDIAMOND HEADもニュー・アルバムをリリースし、プチNWOBHMリバイバルな年だったが、私がそういうNWOBHM出身バンドの新作で最も気に入ったものがこれ(他の2つも良かったです)。

後追い世代である私にとってTYGERS OF PAN TANGというバンドは「昔ジョン・サイクス(G)が在籍していた、変わった名前のバンド」以上でも以下でもなく、当時のアルバムを聴いても、NWOBHMならではのメタル・サウンドで、それなりにカッコいいとは思いつつ、それほど特筆すべき特徴を感じなかった。

そんな私が本作を聴くきっかけになったのはたまたまYouTubeで自動再生された本作収録の”White Lines”のMVで、その曲が意外とカッコよかったことで興味を持ち、アルバムを聴いてみることにした。

そしたらこれが大正解で、意外なほどロートル感や時代遅れ感のない、「NWOBHMの歴史の重み」云々を抜きにしても楽しめるメロディックなヘヴィ・メタル・サウンドが展開されており、アルバム全編に渡って楽しめた。

たしかにIRON MAIDENやDEF LEPPARDなどのメジャーになったバンドほどのオーラや個性は薄いものの、2004年から加入しているイタリア人シンガー、ジャコポ・メイレの歌う哀愁がかったメロディを中心に据えた、シンプルだがヘヴィ・メタルの基本に忠実なサウンドには、単なるノスタルジーを超えた普遍的魅力がある。

Amazon Musicでちょっと聴いてみた感じ前作もかなり良さげな感じで、やっぱり世の中にリリースされているいいアルバムを全てアンテナに引っ掛けるのは難しいとあらためて感じた今日この頃。【83点】






KNOTFEST JAPAN 2020とDOWNLOAD JAPAN 2020のラインナップ

今年の3月は20日(金・祝)・21日(土)がKNOTFEST JAPAN 2020、29日(日)がDOWNLOAD JAPAN 2020と、メタル系フェスが立て続けに行なわれる月になっています。

本日1月20日に発表された追加アーティストでKNOTFESTは最終ラインナップとのことで、DOWNLOAD JAPANも明確に最終とは謳っていませんが、ポスターから「and more」的な表記が消えているので、オープニング・アクトなどの追加はあれど、基本的には現時点で発表されているものが最終ラインナップなのでしょう。

KNOTFESTのラインナップはこのフライヤー画像の通り。

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2日目はSLIPKNOTにKORNにMARILYN MANSONと、かつてLOUD PARKで曲がりなりにも(?)ヘッドライナーを務めたバンドが3バンドが揃い踏みする豪華パッケージで、既にソールドアウトしています。

マンウィズ、ホルモンといったフェス常連組からBABYMETALまで揃え、ぶっちゃけ「楽しいフェス」になりそうなのはこっちですかね。

やっぱり幕張で2日間あるのがいいですね。ラウパが一番楽しかったのも幕張で2日やった時だったと思ってます。近場にホテルとって泊まりでいくのがワクワク最高潮なんですよ。

このブログをお読みの方というのは『BURRN!』を読んでいる、あるいは読んでいたような方かと思いますが、そういう方にとって馴染みがあるのはANTHRAX、あとは世代によって浜田麻里かTRIVIUMか、というくらいかと思いますが(強いて言うならTHE 冠も?)、スタイルとしてのメタルにこだわらない柔軟な方であれば楽しめるのではないかと思います。

てか、浜田麻里姐さんもここに出るとは、なかなか攻めてますね。

そしてDownload Festivalの方はこちらのフライヤー画像が最新。

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こちらは再結成MY CHEMICAL ROMANCEが集客の目玉なわけですが、マイケミをメタル認定する人というのは極めて限られていると思われ、彼らがヘッドライナー、そして2番目に書かれているのがパンク・バンドであるTHE OFFSPRINGであるという時点で「メタル・フェスではない」と判断する人が大多数でしょう。

とはいえ、今はWACKEN OPEN AIRでさえパンク・バンドが出演しているわけで、もはやラウドなサウンドを出しているバンドというのは住み分けて商売するほどの余裕はなく、共存していくのが時代の流れでしょう。

トリこそエモ/スクリーモなマイケミとはいえ、IN FLAMES、AT THE GATES、AMON AMARTHという北欧のメタル・バンドたちの存在がKNOTFESTよりも「メタル・フェス」然とした空気を醸し出しています。

EVANESCENCEやMINISTRYといったバンドも、比較的メタル・ファンには親和性が高いと思われますし、BARONESSなんかは意識の高い新世代メタル・ファンにとっては必見でしょう。

ただ、この手のフェスは体力をゴリゴリ削られるので、翌日が休みではないというのが今回のDOWNLOADの苦しい所ですね。

KNOTFESTはその点3連休の前2日を使うという絶妙なスケジューリングが、通し券完売、DAY2チケットがソールド・アウトという好調さにつながっているのでしょう。

どちらのフェスも80年代以前にデビューしたバンドというのは極めて少数で、そういう意味でLOUD PARKはやっぱり中核となるアーティストのオーディエンスが高齢化し過ぎて長時間のフェスに耐えられなくなったことが集客の限界だったのではないかという気がします。


どちらのフェスも私のストライクゾーンなバンドは少ないのですが、経験上フェスというのは行けばそれなりに楽しめるものですし、自分の感性を柔らかくするためにも参加はやぶさかではなかったのですが、今年の2月3月は土日に予定が入ることが多くなりそうで、ちょっと行けそうにないのが残念な所です。

KNOTFEST JAPAN 2020 公式サイト

DOWNLOAD JAPAN 2020公式サイト

TOKYO FM 『山下達郎のサンデー・ソングブック』でIMPELLITTERIが流れる

TOKYO FM(というかJFNの全国ネットですが)の14時台といえば、もう四半世紀以上続く長寿番組、『山下達郎のサンデー・ソングブック』の時間帯。

山下達郎といえば、クリスマスに流れるアレでほぼ全国民が認知しているであろう、古き良きアメリカのサウンドを現代に継承する大御所ミュージシャンズ・ミュージシャン。

最近は世界的なシティ・ポップ・ブームで再注目されていたりする山下達郎さんですが、そんな彼が日曜の昼下がりにやっているメジャー・ラジオ番組の1月19日の放送でIMPELLITTERIの"Rat Race"をオンエアしたということで、Twitterでちょっと話題になっていました。

なぜ山下達郎さんがIMPELLITTERI? と思ってradikoのタイムフリー放送で聴いてみたところ、今年の干支であるネズミ年に合わせた選曲のひとつとしてセレクトされていました。

そのネズミ(年)にちなんだ選曲というのは以下のようなものでした。

・ジミー・スミス "Micky Mouse"(1967) ジャズですね。

・ザ・ドリフターズ "Rat Race"(1964) R&Bですね。日本のコントグループではありません。

・インペリテリ "Rat Race"(1996) メタルですね。

・キャプテン&テニール "Muskrat Love"(1976) ソフト・ロック、ですかね。

・ジュリー・ロンドン "Mickey Mouse March"(1967) あえて言うならジャズ・ヴォーカル?

・サンハウス「どぶねずみ」(1976) 日本のブルース・ロックですね。

・ニック・ロウ "Shake That Rat" (1978) パブ・ロックですかね? パワー・ポップ?

・マイケル・ジャクソン "Ben"(1972) R&Bでしょうか。

なんでも、2017年の酉年の際には同じような企画でIMPELLITTERIの"17th Century Chiken Pickin'"をオンエアしていたそうで、"Rat Race"もその曲と同じくアルバム"SCREAMING SYMPHONY"からの曲。

山下達郎さんは「このアルバム、好きなんですよ。良いアルバムです」と言っていたので、少なくとも単なるジョーク(だけ)でオンエアしたというわけではなさそうです(笑)。

曲紹介の際には「日本盤の解説はもちろん伊藤政則さん」、と言っていました。果たして山下達郎さんの、『サンデー・ソングブック』のリスナーの何割が伊藤政則氏を知っているのでしょう?(笑)。

山下達郎さんが実はハード・ロックも好き、というのは昔何かのインタビューで読んだことがあり、「声質やルックスに合わないから自分ではやらなかった」というような主旨のことを言っていましたが、まさかIMPELLITTERIなどというB級どころまでチェックしていたとは。

まあ、B級とはいえ一度は速弾き世界一でギネスにも載った人ですし、"SCREAMING SYMPHONY"あたりの頃は日本で結構な枚数のアルバムが売れていたはずなので、音楽マニアである山下達郎さんが知るきっかけもあったといえばあったのかもしれません。

先ほどジョークだけで選んだわけではなさそうだ、と言いつつ、山下達郎さん的にはやはり(この番組およびそのリスナーには)異色であるという認識だったようで、「インペリテリ」という名前を出す度に吹き出してしまっていました。

個人的には、こうやって異ジャンルの楽曲に混じってメタルがオンエアされるのが普通、という世の中になってもらいたいし、そうでないとメタルはジャンルの継続に充分な新しいファンを獲得できずに先細るだけだと思っているんですけどね。

この日の放送は、リスナーからのお便りで「紅白歌合戦のAI美空ひばりをどう思うか」と訊かれ「一言で申し上げると、冒涜です」と答えたことがネット上でちょっとニュースになっていましたが、個人的にはIMPELLITTERIの曲が日曜の昼下がりに全国ネットのラジオで流れたことの方がニュースでした(笑)。

そのものズバリ、"RATT"というバンドもいますし、最近だとスウェーデンのGHOSTが"Rats"という曲をアメリカのロック・チャートでそこそこヒットさせていたので、来週もこの企画を継続でよろしくお願いします。(笑)。





"Rat Race"の映像を探しましたが、少なくともオフィシャルなものはなかったので、とりあえず2018年にリリースされた最新作"THE NATURE OF THE BEAST"から、日本公演の映像が使われているMVを。

TUNGSTEN “WE WILL RISE” (2019) アルバム・レビュー

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SILVER MOUNTAINやYNGWIE MALMSTEEN’S RISING FORCE、HAMMERFALLなどの活動で知られ、現在はMANOWARのライブ・サポート・メンバーにもなっているスウェーデンのベテラン・ドラマー、アンダース・ヨハンソンが息子2人と始めたバンドのデビュー作。

アンダースは元々SILVER MOUNTAINやYNGWIE MALMSTEEN’S RISING FORCEでは弟のイェンス・ヨハンソン(Key)と一緒にバンドをやっていたし、イェンスとはTHE JOHANSON BROTHERSというそのまんまなユニットでプレイしていたりもしたので、今度は息子とのバンドということで、かなり血縁重視な人ですね(笑)。

まあ、アンダース(とイェンス)の父親はスウェーデンではかなり有名なジャズ・ピアニストということで、ヨハンソン家には家庭環境含めミュージシャンのDNAがあるのでしょう。

このTUNGSTENは元々2016年に、ニック(G)とカール(B/Key)の2人の息子から彼らが作った曲を聴かされ、自分が思いつかないようなモダンなセンスのメタル・サウンドに感銘を受け、VoにCLOUDSCAPE、PLANET ALLIANCE、FULLFORCEなどのプロジェクトで北欧メロディック・メタル・ファンには知られるマイク・アンダーソンを迎えてSTROKKURというバンドを結成したのが始まりだそう。

2017年にアルバム” VANTABLACK”をデジタルのみでリリースし、その後現在のバンド名を現在のものに改名して2015年に設立されたドイツの新興レーベル『Arising Empire』(日本のLOVEBITESの欧州における所属レーベルでもある)からリリースされたのが本作。

日本人がアンダース・ヨハンソンの名前に期待するメタル・サウンドというのはいわゆる様式美系正統派という日本でしか通用しない概念のメタル・サウンドであると思われるが、本作で展開されているのはRAMMSTEINやPAINといった欧州のインダストリアル・メタルからの影響が感じられるモダンなメタル・サウンド。

しかし、このバンドのユニークネスや魅力というのはそういうサウンドの目新しさ(そもそもインダストリアル・メタル自体、今となっては大して目新しくもない)ではなく、欧州フォーク・ミュージックからの影響を強く感じるヴォーカル・メロディで、このヴォーカル・メロディのインパクトはここ数年でも最大レベル。

私自身はいわゆる「様式美系正統派」な音を好む保守的なメタル・ファンですが、このバンドはそういう嗜好を超えた魅力があり、ヘヴィなエッジがちゃんと効いているにもかかわらず、語弊を恐れずにいえば非常にキャッチーで、ある意味ポップでさえある。

モダンなヘヴィ・サウンドとトラディショナルなフォーク・メロディの融合、これは新しい「メタルの未来」のひとつかも。2019年の年間ベストにこれ入れてもよかったな。

一方で、バンドのロゴデザインやアートワークが、欧州パワー・メタル・ファンにはなじみ深いアンドレアス・マーシャルによるものであることは個人的にニヤリとさせられますが、このサウンドが気に入るであろうイマドキの若者(?)には古臭く見えるのでは? というのは杞憂でしょうか。そういう意味ではそもそもアンダース・ヨハンソンの存在自体に古臭さが出てしまうのかもしれませんが(苦笑)。【88点】







2010年代の私的ベスト・チューン15選

もう松の内も明けていますし(関東地方では)、年明け最初のエントリーというわけでもありませんが、あらためまして新年あけましておめでとうございます。

いつも読んでくださっている方は本年もよろしくお願いいたします。初めましての方は今年からよろしくお願いいたします(笑)。

今年もこのブログがお読みいただく方と自分にとって、どうすればより有益なものになるか試行錯誤しながら、無理のない範囲でやっていきたいと思ってます。

先日のエントリーで2010年代のベスト・アルバムを選出しましたが、ここではそのエントリーでは触れられなかったアルバムの楽曲を中心に、2010年代のベスト・チューンを選んでみたいと思います。

順位は付け難かったのでアーティスト名のアルファベット順で。

ARCH ENEMY "The Race" (2017)

基本、メロディックな歌ものメタルが好きな私ですが、こういうリフで力押しするアグレッシヴな楽曲も好きです。




BATTLE BEAST "Beyond The Burning Skies" (2017)

BEAST IN BLACK推しな私ではありますが、BATTLE BEAST本家も今なお楽曲が素晴らしい。このサビとか絶品です。イントロもいいですね。




BLOOD STAIN CHILD "Stargazer" (2010)

近年EDM調のメタルというのも珍しくなくなりましたが、彼らはAMARANTHEより早かったんですよ。その点はもっと評価されていいと思うんですよね。




CAIN' S OFFERING " I Will Build You A Rome" (2015)

スピード・チューンなのにハートウォーミングでホープフルな、「ウェディング・ソングに使えるメタル」。




GALNERYUS "Raise My Sword" (2015)

"Destiny"や"Angel Of Salvation"と共に、彼らが2010年に生み出したマスターピースのひとつ。アニソンみたいな歌詞だがそれがまた良い。




GYZE "Horkew" (2017)

IN FLAMESの"The Hive"にハマって以降、こういう印象的なギターのメロディが歌のバックで繰り返されるタイプのメロデスは私のツボです。




H.E.A.T "Living On The Run" (2012)

メロディといい構成といい超完成度の高い、2010年代北欧メロディアス・ハードの代表曲でしょう。




ICED EARTH "Dystopia" (2011)

この劇的なイントロ、そして勇壮なサビのコーラス、こういうメタルを私は求めている。




KREATOR "Victory Will Come" (2012)

KREATORらしい曲なのかどうかはさておき、アドレナリンを出したい時に聴くには最高の曲です。




LIV MOON "アマラントスの翼" (2011)

日本が生んだシンフォニック・メタルの神曲。この文章を書くにあたってまずこの曲がパッと思い浮かんだという意味では、私にとっての2010年代ベスト・ソングはこの曲かもしれません。歌詞含め、この曲には力付けられましたね。4:05あたりからのクライマックスで毎回鳥肌が立ちます。




SERENITY "Legacy of Tudors" (2013)

これぞ欧州ロマン。シンフォニック・メタルというスタイルであればこそ描けるドラマがここにある。フォーキッシュなメロディの導入も絶妙。




SERENITY IN MURDER "Land Of The Rising Sun" (2017)

「和」の要素を取り入れたメタルというのも珍しくないご時世ですが、最も私の琴線に触れたのはこの曲でした。お国のために命を投げ出してもいいという気持ちにさせる危険な曲です(笑)。




STRATOVARIUS "Unbreakable" (2013)

めちゃくちゃテクニシャン揃いなのに、こういう完全に歌モノな曲をやってくれるからこそSTRATOVARIUSはビッグになれたと思ってます。この哀愁…たまりません。




VERSAILLES "God Palace -Method of Inheritance-" (2010)

2010年代に発表された10分超えの曲の中で一番グッと来たのはこの曲でした。「孤独こそ永遠の愛、そう信じ生きてきた」…なんて中二病な歌詞!(笑) だがそれがいい。




WORK OF ART "The Rain" (2011)

AOR系の曲では個人的にこれがダントツでした。10年近く経った今でもコンスタントに聴きたくなります。爽快!だけどなぜだか泣きたくなるんです。




いろんな評価軸があるアルバムという単位より、こういう楽曲単位のセレクトの方が自分の感性が素直に出た、嘘のないものになる気がしますね。

これらの曲はきっと一生聴いていくことになるでしょう。2020年代もそんな特別な曲に数多く出会えるといいな、と思ってます。

それでは今年も皆さんにとって良いメタルに出会える年になりますように。