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SHORTINO “MAKE A WISH” (feat.若井望)アルバム・レビュー

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元ROUGH CUTTで、ケヴィン・ダブロウ脱退後のQUIET RIOTや、2010年に再結成したKING KOBRAのリード・シンガーも務めていたことでL.A.メタル・シーンを代表するヴォーカリストとしてのイメージが強いポール・ショーティノの、SHORTINO名義では4作目となるアルバム。

SHORTINOはOZZY OSBOURNEやDIOのようなパーマネントなバンドというよりソロ活動に近い形態(そもそもレギュラー的にアルバム制作やツアーができるほどの活動規模ではない)なので、本作も全曲に参加しているのはポール・ショーティノ自身と、ギタリストの若井望の2名のみで、他の参加メンバーは楽曲ごとに異なるゲスト・プレイヤーが迎えられている。

ポール・ショーティノはここ数年ラスヴェガスに居を構え、そのラスヴェガスのカジノ・リゾートで行なわれているクラシック・ロックの名曲ライヴ・ショー“Raiding the Rock Vault”を中心に活動しており、そのショーに参加している、いわば同僚のダグ・アルドリッチ(Gt: 元WHITESNAKE)、フィル・スーザン(Ba: 元OZZY OSBOURNE)、ローワン・ロバートソン(G: 元DIO)、ジェイ・シェレン(Dr: 元HURRICANE)や、単純に知己と思われるピーター・バルテス(B: 元ACCEPT)、カルロス・カヴァーゾ(G: 元QUIET RIOT)などが本作にゲスト・プレイヤーとして参加している。

そして本作の「目玉」とされているのは、故ヴィニー・ポール(元PANTERA, DAMAGEPLAN, HELLYEAH)のドラム・プレイがフィーチュアされた#1 “Send In The Crowns”。

この曲は1973年のミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』の挿入歌で、フランク・シナトラやジュディ・コリンズ、サラ・ヴォーンといった往年の名歌手たちが歌ってきた、もはやスタンダードと言ってもいい名曲である。

ポール・ショーティノはヴィニー・ポールがまだグラム・メタルをやっていた80年代からの知り合いだったようで、この曲は15年ほど前にセッションした音源をヴィニーの遺族の許諾を得て、新たに若井望らの録音を重ねて発表したもののようだ。

ただ、本作の全体的な作風が若井望らしいメロディックで正統的なHR/HMなだけに、この曲が一番浮いていると言えないこともない。ヴィニー・ポールが参加しているからといってPANTERAのファンにアピールするとも思えないだけに、ちょっと誰得?な音源ではある。

というか、その誰得感は本作全体に漂っており、近年のDESTINIAのアルバムなどを聴いて若井望のファンになったような人にとってポール・ショーティノはちょっとあまりに「過去の人」だと思うし、ポール・ショーティノの大ファンです、というような80年代リアルタイム組の人にとっては若井望というギタリストは「誰?」という感じだろうからだ。

いや、ポール・ショーティノは66歳になる今なお上手いシンガーだし、若井望は優れたソングライターなので、本作は全体として私のようなオーセンティックでメロディックなHR/HMを好むファンが聴いて楽しめる作品に仕上がっている。

これまで発表してきた作品から、どちらかというと欧州的なメロディック・メタル・サウンドを得意としていると思われる若井望だが、本作ではポールのバックグラウンドや、彼のブルージーでソウルフルなハスキー・ヴォイスを意識して、ややアメリカンで乾いたフィーリングの楽曲をソツなく書き上げているあたりは相変わらずプロフェッショナルだな、と思わずにはいられない。

一方で#9 “Missing”みたいな哀愁メロディが冴えるメロディック・メタル・チューンは若井望の真骨頂で、DESTINIAでやってもよかったんじゃないの、って気がします。

2016年に唐突に行なわれたポール・ショーティノの来日公演にバック・バンドの1人として参加したことで、若井望とポールに接点があったことは確かなんでしょうけど、こうしてアルバム1枚作り上げるに至ったモチベーションはいったい何だったのかというのが個人的にはちょっと謎ですね。

MVなどがワードレコーズのYouTubeチャンネルで公開されていることなどから考えても、本作の制作を企画したのはワードレコーズなのだと思いますし、ワードレコーズの社長さんは若井望を世に出そうとプッシュしている方なので、基本的にはワードレコーズの意向なのだと思いますが、なぜにこの組み合わせだったのか。

まあ、とはいえポール・ショーティノは少なくとも若井望よりは国際的に知名度のあるミュージシャンですから、「ポール・ショーティノとアルバムを作ったことがある」という事実は、若井望が今後の欧米で仕事をする上で「箔がつく」、と考えたのかもしれません。

もちろん本当はオジー・オズボーンとかデイヴィッド・カヴァデールの方が望ましかったのだろうと思いますが、若井望を「相棒」に採用してくれる現実的な選択肢がポール・ショーティノだったということなんでしょう。

素人考えではジョー・リン・ターナーあたりなら付き合ってくれたんじゃないの、って気がしますが、先に梶山章と組んでしまっているから、新鮮味がなかったんですかね(苦笑)。

ポール・ショーティノにとっては日本市場での話題性が出て、若井望にとっては、ポールの持つ80年代L.A.メタル人脈やそのファン世代にその存在をアピールできる、ということなれば万々歳だったのかもしれませんが、ちょっとお互いに存在感が中途半端過ぎて、どちらのファンにもアピールできていない、という結果になってしまっている気がします。

まあ、結果として若井望氏にとってはラスヴェガスで自分よりはるかにキャリアのあるミュージシャンとレコーディングをするという経験を積むことができ、良質なアルバムが1枚生まれたわけですから、本作が無意味だったとは思いませんが、個人的には若井氏はDESTINIAなのかMETAL SOULSなのか、自身が主役となる活動に力を入れたほうがいい時期なんじゃないかなあと思います。

ところで若井望の「昼の仕事」はグラフィック・デザイナーだったはずですが、このアルバム・ジャケットはあまりにも手抜きじゃないですか?(笑) 【82点】





『メイク・ア・ウィッシュ』発売記念 連載第一弾!ポール・ショーティノ 独占インタビュー(前編) (WARD LIVE MEDIA PORTAL)

『メイク・ア・ウィッシュ』発売記念 連載第二弾!ポール・ショーティノ 独占インタビュー(後編)(WARD LIVE MEDIA PORTAL)

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