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U.D.O. "WE ARE ONE" アルバム・レビュー

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久々のレビューです。コロナ禍による業績不振で、儲かってないのに何だか多忙で8月は1件もレビューしませんでした。貧乏暇なしというヤツですね。

1ヶ月に1枚もレビューしなかったのってもしかすると初めてかもしれません。

そんなわけで1ヶ月以上前にリリースされている本作を今さらレビュー。

元ACCEPTのヴォーカリスト、ウド・ダークシュナイダー率いるU.D.O.の通算17作目のスタジオ・アルバムにして、ドイツ連邦軍音楽隊(Das Musikkorps der Bundeswehr)とコラボレートした、一種の企画アルバムである。

母国ドイツのチャートで7位と、初のTOP10入りを果たした前作”STEEL FACTORY”(2018)制作時から、長年のベーシストだったフィッティ・ウィーンホルドが脱退し、後任としてかつてPARADOXやVICIOUS RUMORSのメンバーだったことがあるティレン・ハドラップが加入し、また、ファビアン・ディー・ダマーズなるギタリストが加入しツイン・ギター編成に戻っている。

軍楽隊とのコラボレーションというのは、メタルに限らずロック界隈で見ても殆ど例のない試みと思われるが、ことU.D.O.に関しては2014年にはドイツ海軍軍楽隊とコラボレートしたコンサートを行ない、2015年に『NAVY METAL NIGHT』というライブ作品をリリースしており、このドイツ連邦軍音楽隊とも2015年の『Wacken Open Air』で共演するなど、既に実績がある。

この軍楽隊との縁はいったい何なのでしょうね。U.D.O.のデビュー・シングルともいうべき曲が” They Want War”という戦争をテーマにした曲だったからでしょうか。ウドがかつて在籍していたACCEPTの楽曲には軍隊の士気を上げそうな勇壮なムードが漂っていましたが、U.D.O.についてはさほどそういうテイストは感じないのですが。

ドイツ連邦軍音楽隊というのは単独で日本公演を行なったこともある(それも複数回)、その筋では人気の楽団なのでご存知の方もいるのかもしれませんが、軍楽隊の常で管楽器を中心とした吹奏楽、ブラスバンドの色が強いオーケストラである。

所謂「シンフォニック・メタル」とされるバンドを中心に、オーケストラ・サウンドを取り入れたメタル・バンドは数多いが、こういう吹奏楽の響きをフィーチュアしたメタル・サウンドというのは極めて異例である(かつてU.D.O.もオーケストラ・サウンドの導入を試みたことはあるらしいが、バラードのようなソフトな曲にしかマッチしなかったため見送ったらしい)。

管楽器、ホーンやブラスのサウンドというのは実はメタル的には鬼門で、ホーン・セクションを取り入れたRIOTの” THE PRIVILEGE OF POWER”(1990)には当時否定的な意見が多く寄せられていた。

実際、ホーン、つまりラッパの響きというのはどうしても明るい感触で、マイナー調を基本とするメタルとは今一つマッチしない。

本作も、音楽としてのクオリティこそ一定以上の水準に達しているものの、U.D.O.らしいか、と言われると首をかしげざるを得ず、アルバム全体としてこれまでのキャリアの中でも最も明るい感触だし、AORみたいな曲や、ウドの息子であり、このバンドの現ドラマーであるスヴェン・ダークシュナイダーとのデュエットによるラップ調の歌(!)がフィーチュアされたファンキーな”Here We Go Again”など、異色の楽曲が多く、もしこれが1990年代に発表されていたら問題作として結構叩かれたのではないか。

とはいえ、ウドのビジョンとして、バンドの音楽をビッグにするためにオーケストラを装飾として使うのではなく、オーケストラがメインになり、バンドがバッキングになるようなものをやりたい、という思いがあったそうで(結果として必ずしもそういう音楽にはなっていないと思うが)、そういうメタル・バンドとして前例のないチャレンジに挑んだのであれば、問題作になるのはむしろ望む所なのかも(?)。

本作の楽曲はベーシックな部分をバンドで作り、それを連邦軍音楽隊のアレンジャーに聴かせるという作業を繰り返して共同作業で作り上げていったとのことで、そういうイレギュラーなやり方で作られている分、良くも悪くも金太郎飴状態になっていたU.D.O.の音楽に変化を生み出している。

本作をしてU.D.O.の最高傑作とする声は恐らく極少数にとどまると思われるが、ある意味、最も差別化され、特徴がある作品と評価することはできるかもしれない。

なお、本作はステファン・カウフマンがプロデュース(ソングライティングにも深く関わっている)を手掛け、2018年にACCEPTを脱退したピーター・バルテスも作詞作曲やコーラスなどで関わっているということで、ACCEPTのオールド・ファンにとっては「引き」の多いアルバムである。

個人的には、こういうオーケストラ・サウンドがフィーチュアされ、楽曲を印象付けるようなテーマ・メロディやリフレインをオーケストラ・サウンドが担っているのであれば、もっとメロディを朗々と歌い上げられるヴォーカリストがいるバンドが共演した方が音楽として映えるものになったのではないかという気がしています。【82点】









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