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PRIMAL FEAR "METAL COMMANDO" アルバム・レビュー

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ドイツの誇る重金属戦隊PRIMAL FEARの、ドイツで初のTOP10入りを果たした前作”APOCALYPSE”(2018)に続く通算13作目のフル・アルバムで、本作もドイツで7位という過去最高を更新するチャート成績を残している。

前作からメンバー・チェンジがあり、ドラマーがフランシスコ・ジョヴィーノから、GAMMA RAYやTHE UNITYのメンバーでもあるマイケル・エーレに交代している。

そして本作より2007年の”NEW RELIGION”以来所属していた『Frontiers Music』を離れ、それ以前に所属していた『Nuclear Blast』に復帰している。

そのレーベル移籍の報に触れ、もしかすると『Frontiers Music』移籍後にこのバンドに関わるようになったマグナス・カールソン(G)が脱退するのではないかと思っていたが(もはやマグナスは『Frontiers Music』の「お抱えソングライター」状態で、「社員」と言っても過言ではない存在に見えていたため)、引き続き在籍し、大半の曲のソングライティングにも関わり続けている。

『Frontiers Music』移籍後、明らかにメロディアス度を増していた彼らが、どちらかというとよりヘヴィでエクストリームなメタル・バンドが数多く所属する古巣『Nuclear Blast』に移籍し、しかもタイトルが”METAL COMMANDO”と、「メタル」を謳うタイトルになっていただけに、本作を実際に聴く前は初期のようなソリッドなメタル路線に回帰しているのではないかと予想していた。

しかしアルバムを通して聴いてみると、『Frontiers Music』移籍以降の、ここ10数年の作風を受け継ぐ、ソリッドかつピュアなパワー・メタルでありつつもメロディアスなフックを忘れない、良い意味で保守的な路線の作品に仕上がっている。

むしろアコースティックな#7 “I Will Be Gone”や、哀愁のメロディがフィーチュアされた#4 “Hear Me Calling”などの存在が、ここ数作の中でもむしろメタル度が低めなのでは? という印象を受けなくもない。

誤解なきように言っておくと、あくまで印象であり、それ以外の楽曲には速い曲もあればヘヴィな曲もあり、トータルで見れば彼らのカタログの中における攻撃性のアベレージはクリアしている。13分を超える、バンド史上最長のドラマティックな大作#11 ”Infinity”を含め、単純に「楽曲にバラエティがある」というだけの話である。

限定版2枚組仕様にのみ収録された4曲も含め、楽曲のクオリティ、バラエティともに申し分ないのは彼らとしては「いつも通り」で、この水準を「いつも」達成できることは稀有であることは重々承知しているものの、率直に言えば個人的に「これは!」と思えるキラー・チューンがなかったため、神懸かりだったここ3作に比べると一聴時のインパクトは弱かったかな。

しかし、このメタル正統派まっしぐらな方向性でこれだけ高いクオリティの作品を出し続けているバンドというのは本当に他に思いつかないという領域に入ってきましたね。過去のレビューで「もうこのバンドがメタルゴッドでいい」と言ったことがありますが、彼らの意識は神とか王とかふんぞり返った偉そうな存在ではなく「特別な訓練を受けた奇襲部隊兵」を意味するコマンドーという、一番危険な所へ飛び込んでいく存在のようです。

「正統派メタル」という、「正統」と呼ばれつつもはや少数派、絶滅危惧種的な存在になったジャンルを支えるのは、彼らのような最前線で戦い続ける覚悟を持ったバンドなのではないでしょうか。【86点】







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