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UNLEASH THE ARCHERS “ABYSS” アルバム・レビュー

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カナダのバンクーバーを拠点とするUNLEASH THE ARCHERSの、通算5作目となるアルバム。

前作”ABYSS”のストーリーを受け継ぐコンセプト・アルバムとのことだが、音楽性は”ABYSS”から変化しており、バンド史上初めてシンセを導入し、これまでに比べ格段に洗練されたモダンな印象のサウンドになっている。

先行公開されたタイトル曲のMVを視聴し、シンセの導入に象徴されるモダンな要素はバンドの音楽のスケール感をアップさせていると感じたし、基本的に私はあまり無骨な音より洗練された音の方が好みなので、その変化は好意的に受け止めていた。

ただ、本作における音楽性の拡張は予測を超えており、デヴィン・タウンゼントがブラック・メタルに挑んだかのような#4 “Legacy”や、古き良き80年代HR/HMを思わせるキャッチーな#9 “Carry The Flame”については、どちらもよく出来た曲ながら、正直最初は面食らってしまったというのが本音。

もっとも、このバンドの場合、もともとメロディック・パワー・メタルとメタルコア/メロディック・デス・メタルのハイブリッドみたいな音楽性でデビューしていることもあり、欧州のバンドに比べると元々そのスタイルは様式化しておらず、この多様性も驚くには値しないのかもしれない。

実際のところ、どの楽曲もよく練り込まれていて煽情的なメロディも多く、魅力的なアルバムではある。MVになった曲はどれも文句なしにカッコいいし、#8 “The Wind That Shapes The Land”や#10 “Afterlife”のような長めの曲を飽きさせずに聴かせるドラマ構成力は素晴らしい。

ただ、本作を聴いた後、あらためて前作や過去作を聴き直して、今回の変化(進化?)によって失われて(少なくとも減退して)しまった魅力もあるなと感じたのも正直なところ。

ちょっと楽曲に未整理というか、やり過ぎな所もあるし(それはギタリストが2人揃ってANGRAの大ファンというのが影響しているのではないかと思う)、昔のアメコミのようなアートワークもなんとなくB級だし、歌唱力については申し分ないというかむしろ非常に高いレベルのものを聞かせてくれるブリトニー・スレイズのフロントマンとしての華の無さなど、今のところちょっと「足りないもの」が目に付いてしまうのは、やはりバンドとしての「押しの弱さ」を感じてしまう事実であり、ポテンシャル的には良いものを持っているのが明らかなだけに、「もう一歩」を望みたくなってしまう。【85点】







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