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TEMPLE BALLS "PYROMIDE"が4月16日(金)国内盤発売

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フィンランド出身、80年代アリーナ・メタルを現代に体現する若き5人組、TEMPLE BALLSの通算3作目となるアルバム、"PYROMIDE"が4月16日(金)にワードレコーズから日本盤リリースされます。

バンドの結成は2009年にさかのぼるそうですが、当時まだメンバーは14、5歳だったとのことで、結成から10年以上経ったいまでも20代半ばと、高齢化の進むHR/HM界においてはピチピチの若手。

変わったバンド名は、HANOI ROCKSのアンディ・マッコイ(G)の著書の中に出てきたワードから採ったとのことで、なるほど、フィンランドからはたまにこの手の80年代型HR/HMバンドが出てきますが(RECKLESS LOVEとか)、それは母国のレジェンド、HANOI ROCKの残した遺伝子が大きいんですかね。

アメリカだともはや単なるノスタルジーの対象か、STEEL PANTHERのようなパロディになってしまうこの手の「ザ・80年代」なサウンドですが、日本のメタル・ファンには根強い需要がありそう。

一方で、実際に今10代、20代のナウでヤングな若者たちにこの音がアピールするのかというといささか疑問ではありますが、H.E.A.T.のヨナ・ティー(Key)の協力を得て作られているという楽曲は、先行公開されているMVを見る限りクオリティが高く、何より若さゆえのエナジーに満ちたパフォーマンスが魅力的。特にヴォーカルに華があるのがポイント高い。

この手の北欧出身80年代型バンドって今一つ日本で人気が伸びない気がしますが、H.E.A.T.やCRAZY LIXX、RECKLESS LOVE同様、クオリティ的には非常に高いので、もう少し盛り上がってほしいですね。『BURRN!』誌でも90点ついてますし(笑)。





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TBSラジオ『アフター6ジャンクション』でメタル特集

前回のエントリーで取り上げた書籍『「メタルの基本」がこの100枚でわかる!』に絡めて、TBSラジオの『アフター6ジャンクション』でメタル特集がオンエアされました。

といっても実際のオンエアは4月5日で、私は今さらRadikoで聴きました。

『アフター6ジャンクション』はライムスターの宇多丸がメインパーソナリティを務めるサブカルチャー番組で、同局の『アシタノカレッジ』(平日22時)のパーソナリティを務めている武田砂鉄氏(同書の原稿を一部執筆している)をゲストに迎え「武田砂鉄のヘヴィメタル入門」と題して放送されました。

宇多丸がパーソナリティを務める番組でメタルが取り上げられるのは実は2度目で、2011年の11月に「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」でちょっとしたメタル特集が行なわれていた(このブログにも当時の感想が書かれている)ので、実に10年ぶり。

この10年の間に2回ほどラジオに関するエントリーをこのブログに書いていますが、いずれもTBSラジオで、もしかすると伊藤政則氏が番組を持っている局を別格にすると、TBSが一番メタルに前向きなラジオ局なのかもしれません(?)。

こういう普段メタルを扱わないメディアでメタルを扱うと、どうしてもメタル・ファンには物足りない総花的な内容になりがちで、まして今回『「メタルの基本」がこの100枚でわかる!』という、割と入門書的な書籍きっかけということで、よりそういう内容になるのかな、と思いきやさにあらず。

オープニングこそOZZY OSBOURNE の"Crazy Train"やJUDAS PRIESTの "The Ripper"といった、いわゆる「古典」のような楽曲が流れましたが、その後は現在のメタルが抱える3つの問題、と題して「今のアメリカ社会にうまく参画できているのか」「日本とドイツが最大市場なのに、日本で全然知られていない」「バンドの高齢化問題」をテーマに割とマニアックなトークが進みました。

メタルはアメリカでは政治的には保守寄りの人に好まれる音楽ということで、先日のアメリカ連邦議会襲撃事件にICED EARTHのジョン・シェイファー(G)が参加していた話とか(トークのバックとはいえ、今ICED EARTHの楽曲をオンエアするラジオ番組というのは世界広しと言えどこの番組だけなのではないでしょうか)、東日本大震災の翌年にNAPALM DEATHが被災地でライブをやった話とか、大局的なメタルの話とは関係なさそうな話を中心に番組が進行。

政治とメタル、という切り口から台湾のCHTHONICがオンエアされたり、小岩のライブハウスなんていうおよそ外タレがライブをしないような場所でライブをやった、という切り口からスラッジ/ドゥームのPRIMITIVE MANなんて相当にマニアックなバンドがオンエアされたり、最後には「メタルの魅力を伝える1曲」としてオンエアされたのがVADERの"Into Oblivion"という超ブルータルな曲で、20時台という、テレビでいえばゴールデンタイムにこれだけエクストリームなサウンドが流れたのはある意味画期的。

私個人の趣味に合致したアーティストはほとんど出番なしでしたが、なかなか濃い内容であったことは間違いないと思います。

一応番組告知上は「ヘヴィ・メタル入門」となっていましたが、これをきっかけにメタルに入門する気になった人がいたのかどうかは神のみぞ知る、という感じですね(笑)。




『「メタルの基本」がこの100枚でわかる!』感想

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先月、星海社から発売された『「メタルの基本」がこの100枚でわかる!』を読みました。

これまでもこの手の「メタル名盤ガイド」的な書籍はぼちぼち出版されていましたが、新書の形態で出るのは初めてではないでしょうか。

なぜ新書で出たのかは部外者には知る由もありませんが、現在メタル・リスナーというのはかなり高齢化し、おそらく40代以上がボリューム層であることを考えると、いかにもメタメタしい装丁の本よりも、こういう落ち着いた(?)新書の方がマッチしているのかもしれません。

そういう意味で言うと、いよいよメタルもクラシックやジャズの領域に近づいてきたのかもしれません。それが良いことか悪いことかは何とも言えませんが。

「メタルの基本100枚」ってかつて『ヘドバン!』でやってなかったっけと思ったら、本書の企画と監修は『ヘドバン!』だそうで、『ヘドバン!』の編集長である梅沢直幸氏が編集する形になっている。

『ヘドバン!』編集部のTwitterで「諸事情で「ヘドバン」の名前が表紙にないですが、企画と監修やってます」とツイートされていましたが、その辺はアレですかね。権威付けのために伊藤政則氏を執筆陣に迎えたことで、伊藤氏が特別顧問を務める『BURRN!』誌に忖度せざるを得なくなったとかそういうことですかね。

『ヘドバン!』はこの手のキュレーション企画をよく行なっているイメージで、『BURRN!』誌のように雑誌としての色を出すか、全体を網羅するかの二択で記事作りをする編集部に比べて、良くも悪しくもネット世代向けだなという気がしています。

本書のセレクトは大筋で王道的で、私のように『BURRN!』世代の人間でも安心して読める内容です。オルタナティブ・メタル寄りのバンドについてもメジャー所をちゃんと拾っている感じですし。

強いて言うならちょっと日本のバンドをピックアップしすぎかな、という気はしますがその辺は国内のバンドをちゃんと推していこうというスタンスなのでしょう。

それもBABYMETALや人間椅子のような『ヘドバン!』らしいアーティストはもちろん、ANTHEMや聖飢魔IIやGALNERYUS、DIR EN GRAYなども取り上げられているので、バランスは考えられていると思います。

一方でBON JOVIとMR.BIGはセレクトされていないのは、それも一種のスタンス表明なのかもしれません。

私の世代がメタルを聴き始めた時期の「HM/HR名盤セレクション」には登場しがちだったPOISON、WINGER、WARRENT、FIREHOUSE、EXTREMEなんかも入っておらず、その辺のバンドが排されているのが2021年におけるメタル史観の実情というものでしょう。

MOTLEY CRUEのセレクトが"DR. FEELGOOD"ではなく"SHOUT AT THE DEVIL"である辺りも、その価値観に基づくものですかね。

こういうセレクトって、1バンド1枚となると、シーンに衝撃を与えたり、ブレイクのきっかけになった作品と、内容的に最高傑作なものと、一番売れたアルバムがバラバラだったりして難しいのですが、個人的にはJUDAS PRIESTやIRON MAIDEN、METALLICA、ACCEPTなんかは特に選ぶのが難しいバンドだな、と思います。

とはいえあれも入れたい、これも入れなきゃ、とやっているとキリがなくなり、実際これまで出版されていたメタル名盤ガイド的な書籍は掲載されているアルバムが多すぎてどれを聴けばいいんじゃい、という感じになりがちだったので、この100枚という縛りあたりが普通の人間がギリギリ挑んでみようと思える上限のような気がします(笑)。

個人的によくぞこのアルバムを選んでくれました、はBLIND GUARDIANの"SOMEWHERE FAR BEYOND"ですね。なんとなくあからさまに欧州で売れ始めた"IMAGINATIONS FROM THE OTHERSIDE"以降のアルバムが選ばれがちなので。

なお、本書の電子書籍版(というかKindle版ですね)の本文にある「曲番号」をタップすると、Amazon Musicに飛んですぐに曲が聴けるというイマドキな仕様になっています。書籍版も巻末に掲載曲のプレイリストQRコード付きで、読んですぐにSpotifyやApple Musicなどのサブスクで聴けるようになっています。

SWEET OBLIVION Feat. GEOFF TATE "RELENTLESS"が4月9日(金)国内盤発売

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『Frontiers Music』による、「ジェフ・テイト(元QUEENSRYCHE、現OPERATION MINDCRIME)にメロディックな曲を歌わせる」プロジェクト、SWEET OBLIVIONのセカンド・アルバム"RELENTLESS"が4月9日(金)にマーキー・インコーポレイティドから日本盤リリースされます。

セカンド・アルバムと言っても、ジェフ・テイト以外の参加メンバーは前作から全員入れ替わっており、前作はDGMのシモーネ・ムラローニ(G)を中心に制作されていましたが、本作ではSECRET SPHEREのアルド・ロノビレ(G)が中心となって制作されています。

前作のキーボードはこれまたDGMのエマニュエーレ・カサーリで、さながら「DGMをバックにジェフ・テイトが歌ってる」という状態でしたが、本作のキーボードはSECRET SPHEREの現キーボーディストではなく、前キーボーディストであるアントニオ・アガテがプレイしており、個人的には初期SECRET SPHEREのKeyアレンジが大好きだったので、本作のラインナップはなかなか魅力的(リズム隊はSECRET SPHEREではなく、他のイタリアのプログレッシヴ・メタル系バンドのメンバーです)。

制作スタッフが変わったとはいえ、先行公開されているMVなどを視聴する限りサウンドに全く影響はなく、"OPERATION : MINDCRIME"から"EMPIRE"にかけての時期におけるQUEENSRYCHEの雰囲気を持ったメロディック・メタル・サウンドで、言われなければきっとメンバーが変わっていたことに気付かなかったことでしょう(苦笑)。

作り手が変わっても方向性やクオリティは維持できるという辺りが『Frontiers Music』の安定感ですね。それはまるで工業生産品のような話で、音楽がそれでいいのかという気はしなくもないのですが、『Frontiers Music』はトラディショナルなメタル・ファンのストライクゾーンの狭さをちゃんと理解し、そこにある意味誠実に応えているということなのでしょう。

きっとレーベル・オーナーのセラフィノ・ペルジーノ氏は、前作を手掛けたシモーネ・ムラローニにも、本作を手掛けたアルド・ロノビレにも、"EMPIRE"の次にQUEENSRYCHEが作るべきだった作品を作れ、とディレクションしているに違いありません(笑)。





映画『ロード・オブ・カオス』感想

ブラック・メタル黎明期の出来事を、MEYHEMのギタリストであり、BURZUMのカウント・グリシュナック(ヴァーグ・ヴァイカーネス)に刺殺されたユーロニモスを主人公に描いた映画、『ロード・オブ・カオス』を観てきました。

原作は『ブラック・メタルの血塗られた歴史』という本で、これも読んだことがありましたが、関係者インタビュー集のような本で、ほとんど頭に残っていなかったというのが実際のところ。

ただ、このユーロニモス殺害に至るエピソードというのは『BURRN!』誌でも掲載されたことがあったし、この映画の字幕監修をしている川島未来氏がやっていたSIGHのホームページ(当時)などにも情報が記載されており、事実としてのアウトラインは把握していた。

そして本作のストーリーはほぼそのアウトラインに沿って展開しており、登場人物の性格や関係性、細かいエピソードなどについては脚色されているにせよ、「きっとこんな感じだったんだろうな」と納得できるものになっている。

基本的にはイキりたいだけの若者だったユーロニモスが、デッドやヴァーグ(ヴァイカーネス)のような本当にヤバい奴が寄ってきてしまったことで破滅する物語で、教会を燃やすのも、殺人事件も、ひと昔前の不良少年の「誰が一番ワルか」を競うようなメンタリティと変わらない。

どれだけイキろうと、結局警察に見つかったら終わり、という時点で大した存在になれていないということを認識できないのが若さというものなのでしょうか。

そういうリアルな面が描かれていることで、ブラック・メタルを神聖視(悪魔崇拝を打ち出す音楽に対してこの言葉を使うのも妙な話だが)し、ユーロニモスやヴァーグを本気で崇拝しているようなコアな筋からは批判もあるようだが、そういう新興宗教じみた所も含めて本作はある種の真実を浮かび上がらせている。

ただ、個人的にはそのリアルさは正視に耐えないもので、R-18なのも納得。特にデッドの自傷シーンの生々しさは思わず目を閉じずにはいられませんでした。

このサイト/ブログを長年お読みいただいている方であればご存知の通り、私はブラック・メタルを愛好する人間ではなく、90年代にはちょっと面白いと思って半ば怖いもの見たさでBURZUMやEMPEROR、DARKTHRONE、MURDUKなどを聴いてみたりもしましたが(周囲に好きな友人がいたことが大きいですが)、結局魅力を感じたのはCRADLE OF FILTHやDIMMU BORGIRなど、シンフォ・アレンジによってメロディ的なフックが備わっていたバンドくらいでした。

そんな私でも、この映画は人間社会の中で、特に閉じられた狭い集団の中でどのような狂気が起きうるかを描く、ある意味普遍的な内容として考えさせられるものがありました。ここまで過激な挙には及ばないにせよ、インナー(ブラック)・サークルは様々な組織、企業、学校の中に存在していると思います。

なお、個人的に本作にまつわる情報を集めて一番驚いたというか感銘を受けたのは、この映画の監督であるジョナス・アカーランドが、元々は元祖ブラック・メタルとされるBATHORYのメンバーで、その後映像監督に転身し、マドンナやポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズやレディー・ガガ、メタリカなどのMVを手掛ける売れっ子監督になったという事実。この界隈の出世頭ですね。



▼本作の撮影中に、本作のキャストやセットを使って撮影されたMETALLICA "Manunkind"のMV


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