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ヘルゲ・エンゲルケが死去

4月28日に、FAIR WARININGおよびDREAMTIDEのギタリストとして知られるヘルゲ・エンゲルケが亡くなったというニュースが飛び込んできました。

これまでヘルゲ・エンゲルケが何歳なのか考えたこともありませんでしたが、61歳だったそうで、まだあまりにも早すぎる死でした。昨年DREAMTIDEのニュー・アルバムもリリースしていただけに、まだまだ元気なのだと思っており、完全に不意打ちを食らった気分です。

なんでも、2日前に発見されたばかりの結腸腫瘍の合併症で病院で亡くなったとのことですが、そんな急な話もあるものなんですね…。

やはりミュージシャンというのは健康診断とか人間ドックのようなものは受けないのか、と思ってちょっと調べたら、ドイツではミュージシャンに限らず定期的に健診を受けるという意識が一般的ではない(病院というのは悪くなってからかかればいい、という考えが一般的)そうなので、恐らくヘルゲもその例にもれなかったということなのでしょう。

私のように90年代にメロディアスなHR/HMを好んでいた人であればFAIR WARNINGは避けて通れない存在で、本国ドイツですら全く無名にもかかわらず、日本ではデビュー・アルバム発表年に『BURRN!』誌の年間投票でブライテスト・ホープに輝き、セカンドは当時13万枚、サードは14万枚を売り上げる大ヒットを記録しました。

単に曲が良いだけ、演奏や歌が上手いだけのバンドとは一線を画す「特別な何か」を感じることができた数少ないバンドで、私も当時非常に愛聴しており、デビュー作からサードまでの3作は当サイトの年間ベストでも上位に選出しています。

正直、再結成後のアルバムにはかつてのような「熱さ」が感じられず、今一つのめりこめませんでしたが、それでもやはり彼らは私にとって特別なバンドであることは間違いなく、ヘルゲはその重要なピースのひとつでした。

いや、実際に素晴らしいギタリストで、セカンドまで使っていたスカイギター、その後オリジナルで開発したハイフレットのギターを駆使した「天空フレーズ」の数々には何度も胸を熱くさせられました。

どんなに素晴らしいものを作っても正当な評価を受けるとは限らない、という「世の中は不条理である」という真理を教えてくれたのがFAIR WARNINGというバンドでした。

何しろYouTubeでオフィシャルにMVを観ることさえできないのですから…(正直、彼らのMVは彼らの音楽に不釣り合いなチープな仕上がりで、わざわざ観る価値は薄いというのも事実ですが…)。









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MAJESTY "BACK TO ATTACK"が4月28日(金)国内盤発売

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ドイツの正統派パワー・メタル・バンド、MAJESTYの通算10作目にして日本デビュー作となる "BACK TO ATTACK"が4月28日(金)にワードレコーズから日本盤リリースされます。

しかし、こうしてようやく日本デビューを果たしたにもかかわらず、先日、本作をもって解散することが発表され、このアルバムがリリースされる4月28日にラスト・ライブを行なうそうです。

よくMANOWARに比較される正統派パワー・メタル・サウンドはなかなか漢らしくて魅力がありますし、実際最近のアルバムはドイツのナショナル・チャートにランクインしており、前々作"REBELS"(2017)は最高16位のスマッシュ・ヒットを記録しています。

にもかかわらず解散してしまう理由は「これ以上続けても自分たちのセルフコピーになるだけで、今回のニュー・アルバムにはマジックがあったので、それを感じられるうちに解散する、というなんだかカッコよすぎて、逆に「ホンマかいな」と思ってしまうようなものでした。

実際、先行公開されているMVのうち、タイトル曲はこのバンドらしさに溢れたピュア・メタル・チューンだし、もう一方の"Freedom Child"は20年以上のキャリアに裏付けられたダンサブルですらあるキャッチーな佳曲で、バンドのテンションの低下は感じられません。

こういう「ザ・中堅」クラスのバンドの存在がシーンの厚みを作ると思いますので、「日本デビューと同時に解散」というのは残念ですが、バンドに衰えが見られるようになる前に解散する、というのはある意味「美しい解散」なのかもしれません。







REVOLUTION SAINTS "EAGLE FLIGHT"が4月21日(金)国内盤発売

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一般的には一流のドラマーとして知られるディーン・カストロノヴォ(JOURNEY)をメイン・ヴォーカリストとしてフィーチュアした『Frontiers Music』発のプロジェクト、REVOLUTION SAINTSの通算4作目となるフル・アルバム"EAGLE FLIGHT"が4月21日(金)にマーキー・インコーポレイティドから日本盤リリースされます。

これまでのメンバーから体制変更があり、ジャック・ブレイズ(B : NIGHT RANGER, 元DAMN YANKEES)からジェフ・ピルソン(B :元 DOKKEN, FOREIGNER)、ダグ・アルドリッチ(G : 元LION, BAD MOON RISING, BURNING RAIN, 現WHITESNAKE)からジョエル・ホークストラ(G : 元NIGHT RANGER, WHITESNAKE)にメンバー・チェンジしている。

どちらも申し分ない実力者ながら、ギャラは前任者よりひと回り安そうで(?)、恐らく元々のラインナップはアルバム3枚の契約で、契約終了にあたってリストラが行われたとか、そういうことなのではないかと邪推しています。

REVOLUTION SAINTSに関しては、これまでMVになったシングル曲が割と爽快・快活系の曲が多かったこともあって、明るいバンドというイメージでしたが、今回先行公開されているMV曲はどちらかというと哀愁系の曲が多く、メンバー・チェンジを機に少しシフトチェンジを図っているのでしょうか。

本作もこれまで同様アレッサンドロ・デル・ヴェッキオがプロデュースとメイン・ソングライターを担当していますが、MV曲のひとつ"Crime Of The Century"ではソングライターにTREATのアンダース・ヴィクストロム(G)を起用している辺りにも、哀愁重視の姿勢が感じられます(?)。

そしてMVでは、過去作ではディーン・カストロノヴォがドラムもプレイしていたのに対し、本作のMVではディーンではない人がドラムをプレイし、ディーンはヴォーカリストに専念している体になっている(アルバムではディーンがドラムをプレイしています)あたり、もしかするとライブも見据え、フロントマンとしてディーンを立てたステージを意識しているのかもしれません。

REVOLUTION SAINTSはこれまでほとんどライブをやったことはありませんが、その数少ないステージではJOURNEYやWHITESNAKE、DAMN YANKEESの曲がプレイされていたようです。そう考えると、今のメンバーならJOURNEYやWHITESNAKEはもちろん、FORENGNERの曲までプレイできてしまいそうなのがこういうキャリアのある人たちを集めた「スーパー・バンド」ならではの強みですね(DOKKENの曲はプレイしなそうな気がします/笑)。

しかし、『BURRN!』誌のレビューでも触れられていましたが、WHITESNAKEに続いてこのバンドでもジョエル・ホークストラに仕事を奪われた形のダグ・アルドリッチ、どう思ってるんでしょうねえ…。てか『Frontiers Music』も確信犯でこの人事をやっていると思いますが、ちょっと人が悪いですよね(苦笑)。










ANTHEM "CRIMSON & JET BLACK"が4月21日(金)発売

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ジャパニーズ・メタルの雄、ANTHEMの全曲英語詞による通算18作目のオリジナル・フル・アルバム"CRIMSON & JET BLACK"が4月21日(金)にワードレコーズから発売されます。

2019年にリリースされた全曲英語詞によるリ・レコーディングベスト"NUCLEUS"は欧州メタル・インディー大手『NUCLEAR BLAST』からリリースされていましたが、本作の海外発売元はドイツの新興レーベル『REAPER ENTERTAINMENT』に変わっています。

ただ、"NUCLEUS"でエンジニアとして起用していた当代屈指の売れっ子、イェンス・ボグレンを今回はプロデューサーとして迎えたということで、基本的には"NUCLEUS"を踏まえての本作、という位置づけなのでしょう。まあ、今やレコード会社、まして海外販売元なんて音楽の制作には何の関係もないのでしょうし。

ANTHEMというのはデビュー以来、いや、デビュー以前から基本線には一切変化のないバンドで、ものすごく狭い範囲の中で新しい挑戦を行なっているという、職人というかもはや伝統芸能の演者みたいな人たちなのですが、それで(解散していた時期もあるとはいえ)40年近くテンションを保っているというのはやはりなかなか尋常ではない気がします。

『BURRN!』の最新号(2023年5月号)の表紙はこのANTHEMの柴田直人(B)なわけですが、もう頑固さが表情というか顔つき全体から伝わってきますもんね(笑)。信念の人です。

RAINBOWやJUDAS PRIESTといった古式ゆかしきブリティッシュHR/HMのスタイルを継承しつつ、昔の歌謡曲やアニメソングからの影響も感じさせる独特の歌メロが英語で歌われた時に海外のメタル・ファンにどのように響くのかわかりませんが、先行公開されているMV曲には外国語のコメントがたくさんついていますし、伝わる人には間違いなく伝わる説得力があると思います。

先日のLOUD PARKでもステージ間のBGMでそのMV曲が流れていましたが、素直にカッコいいと思いましたし、初の海外リリース前提での英語詞オリジナル・アルバムだからなのかわかりませんが、いつも以上に気合めいたものを感じます。

彼らの音楽は「エクストリーム・メタル」と呼ばれるようなものではなく、現代の感覚で「過激」とされるようなスタイルではありませんが、きっと柴田氏は自分たちの音楽は決してただヘヴィなだけのエクストリーム・メタル・バンドの音楽に「力負け」しているつもりはさらさらないんでしょうね。

このご時世に海外リリースだからといって英語である必要もない気がしますが、「海外で勝負するなら英語だろ」的な古臭い考え方もまたANTHEMらしいこだわりなのだろうと思います(?)。





MIKE TRAMP "SONGS OF WHITE LION"が4月19日(水)国内盤発売

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元WHITE LIONのヴォーカリストとして知られるデンマーク人ヴォーカリスト、マイク・トランプが、そのWHITE LIONの楽曲をセルフカヴァーしたアルバム、その名も"SONGS OF WHITE LION"が4月19日(水)にマーキー・インコーポレイティドより日本盤リリースされます。

"PRIDE"(1987)の一発屋ながら、WHITE LIONで全米マルチ・プラチナムの成功を収め、WHITE LION解散後はFREAK OF NATUREというオルタナティブ・ロック・バンドを結成し、イギリス/ヨーロッパではちょっと注目されたものの、DIOの前座を務めたらそのDIOにベーシストのジェリー・ベスト(元LION)を引き抜かれてあえなく解散することになってしまった(しかもジェリーはすぐにDIOから「演奏力不足」という理由でクビになってしまった)という過去を持つマイク・トランプ。

その後はソロ・アーティストとして活動し、母国デンマークではTOP10ヒットも放つなど、そこそこ成功していた彼が、このタイミングでWHITE LIONの楽曲をセルフカバーする気になった理由は不明ですが、マイクも還暦を超え、そろそろキャリアの終わりも見えてくる中で「やるなら少しでも早くやってしまおう」と思ったのでしょうか。

いずれにせよ、今回日本盤が出るのは間違いなく日本ではアメリカで人気が出る前から注目されていたWHITE LIONの楽曲をプレイしているから、ということに他ならないでしょう。

そして私も、全くの後追いながらWHITE LIONがかなり好きなので、こうしてこのブログで取り上げてみました。

このオリジナルよりキーの下がった仕上がりが、日本盤発売元であるマーキー・インコーポレイティドの広告にあるように「現役時代には出せなかった 年齢を重ねたワインの如き深みを演出した」と感じられるかどうかはその人次第という感じですが、そもそも今も現役は現役なんじゃないですかね?(苦笑)

基本的にはVAN HALENタイプのアメリカン・ハード・ロックながら、マイクの出自ゆえか北欧というか欧州的なメロディ・センスも感じさせるキャッチーな楽曲は今聴いてもかなりのフックがあって魅力的。

ただ、やはり歌メロ以外でWHITE LIONのサウンドを特別なものにしていたもう一つの要素は、名手ヴィト・ブラッタのフラッシーで構築感溢れるギター・ワークだったので、それを欠く本作がオリジナルを超える輝きを放つかというと、やはりノスタルジーの喚起以上のものにはならない気がします。

それでも本作がWHITE LION再評価のきっかけになれば、こうしてリリースされた甲斐もあるというものではあるのですが。

▼本作からちゃんとしたMVは公開されていないので、公開されているオーディオと、オリジナルのMVを並べてみました。