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夏だ!祭りだ!パーティだ! メタルのパーティ・ロック名曲5選

毎日暑いですね。東京では連日最高気温35度超えの猛暑/酷暑が続いています。

そんな季節にどんなメタルを聴くべきか。涼しそうなエリアである北欧のメタル? 暑い時には辛い物を食べよう、的な感覚でエクストリームなブルデスを聴くとか?

いや、ここは敢えて、ホットな(ホットだった?)パーティ・ロックでしょう。夏は祭りとパーティーの楽しいシーズンです。今年はコロナもなかったことになって(?)、各地でお祭りや花火大会が復活していますしね。

そう、90年代以降にメタルを聴き始めた人(私もそうです)には信じられない話ですが、かつてメタル(に分類されていた音楽の一部)がパーティ・ロックと呼ばれていた時期があるのです。

今となっては完全に死語、パーティーな音楽といえばダンス系のサウンドというのが21世紀のスタンダードですが(?)、80年代後半の一時期、メタルが世の中で一番享楽的な音楽とされていた時期があるのです。

そんなわけで(?)、私の考えるパーティ・ロックなメタル曲5選です。

◆MOTLEY CRUE "Same Ol' Situation (S.O.S.)"(1989)
個人的には「明るく楽しいメタル」をイメージするとこの曲のサビが真っ先に思い浮かびます


◆BON JOVI "Bad Medicine"(1988)
当時、日本でCMソングにも使われていたという全米No.1ヒット曲。


◆DEF LEPPARD "Pour Some Sugar On Me"(1987)
日本のメタル・ファンにとってはこの曲がDEF LEPPARDで一番売れたシングルであるというのはやや腑に落ちませんが、欧米人はこういう曲調が好きなんでしょうね。


◆WARRANT "Cherry Pie"(1990)
邦題の「いけないチェリーパイ」って何なんでしょうね(笑)。


◆POISON "Nothin' But A Good Time"(1988)
「ただ楽しい時間を過ごすだけ」という曲タイトルからしてパーティ・ロックですね。


メタルって元々IRON MAIDENとかJUDAS PRIESTとか、そういう音楽がスタート地点だったはずなのに、どうしてこうなってしまったのか(個人的にはこれらの音楽は大雑把に言えばVAN HALENの流れにある、ギターがハード&ヘヴィであるという以外はヘヴィ・メタルとは別の流れにあるものと解釈していますが)。

IRON MAIDENとかJUDAS PRIESTとかそういう音楽のファンにとってこれらのバンドが「同じジャンルの音楽」と思えるものだったのかというのが後追い組としては謎ですが、きっとジャンルにこだわりのある人には受け入れられないものだったのではないかと思いますし、ジャンルに対して無頓着な人にとってはIRON MAIDENもBON JOVIもカッコいいじゃん、みたいな感じだったのではないかと推測しています。

90年代、NIRVANAに始まるグランジ/オルタナティブ革命で淘汰されたのはこういう音楽だったわけですが、これはやっぱり80年代後半の空気にしかなじまない、時代のあだ花だったということなのでしょうか。

この手の音楽が好きかどうかはともかくとして、こういう享楽的な空気はもはやノスタルジーの世界にしか存在しないと思うと、それはそれでちょっとさびしいですね。

とはいえ、WARRANT の"Cherry Pie"のMVが6,300万回(2023年7月現在)以上の再生回数を記録しているのはちょっと驚きました。

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ELVENKING "READER OF THE RUNES – RAPTURE"が7月26日(水)国内盤発売

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イタリアのフォーク・メタル・バンド、ELVENKINGの通算11作目にして、前作"READER OF THE RUNES – DIVINATION"のコンセプトを引き継ぐアルバム、 "READER OF THE RUNES – RAPTURE"が7月26日(水)にキングレコードから日本盤リリースされます。

フォーク・メタルというと日本ではメロディック・デス・メタルの亜種のようなデス声のヴォーカルをフィーチュアしたバンドのイメージが強いですが、このバンドのベースはパワー・メタル。

歌や演奏があまり上手いとは言い難いのがスタジオ・アルバムからも伝わってくるので今ひとつのめり込めないのですが、一方でそれでも毎回チェックしてみたくなる不思議な魅力があるバンド。

もちろんその魅力がフォーク・テイスト由来であることは間違いなく、そういう意味では上手くアイデンティティを確立しているバンドだと思います。

独特の味わいがあるフォーキッシュ・パワー・メタルは他にありそうでないスタイルで、20年以上コンスタントに活動できているのはやはりそれなりの理由があるということなのでしょう。

先行公開されている(といっても本作は欧州では4月にリリースされているのですが)MVも、コンセプト作ならではのドラマティックなムードも感じさせつつ、彼ら独自のフォーク・メタル・サウンドが展開されており、名盤とされる"THE PAGAN MANIFEST"(2014)以降のファンにとって裏切りのないクオリティをキープしています。

ここ3作はちゃんと日本盤が出ているし、2016年、2019年と来日も果たしているということは、実は密かに日本でフォーク・メタルの人気が上がっているのかもしれません(?)。







EXCALION "ONCE UPON A TIME"が7月21日(金)国内盤発売

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フィンランドのメロディック・パワー・メタル・バンド、EXCALIONの通算6作目となるフル・アルバム"ONCE UPON A TIME"が7月21日(金)に日本盤リリースされます。

かつては雨後の筍の如くいた「フィンランドのメロディック・パワー・メタル・バンド」も、今なおスタイルを変えずに続けている例は極めて少なくなっており、あの2000年代前半の活況はあの時期のフィンランドローカルのトレンドでしかなかったのかと思うと、なかなか切ないものがあります。

このバンドも2000年結成、2005年デビューと、STRATOVARIUSやNIGHTWISH、SONATA ARCTICAといったバンドが母国で大成功していたことに影響を受けたと思われる「雨後の筍」組ですが、2005年という、その手の音楽のブームがピークアウトしてからデビューしたために成功の果実を手にすることはできていないようです。

ただ、ある意味だからこそ商業的なことを意識せずこの手の「キーボードをフィーチュアしたパワー・メタル」を愚直に続けられているという面もあるのかもしれません。

Voがちょっとマルコ・ヒエタラ(TAROT, 元NIGHTWISH)風の力強さがあることもあって、個人的にフィンランドのパワー・メタル・バンドの美点と思っている繊細な哀愁のようなものはあまり強くないのですが、先行公開されているMVを見ても確かなクオリティを持つスオミ・スタイルのパワー・メタルを愚直にプレイしていて、好感が持てます。

スタイルというか音楽性は好みで、クオリティも確かでありつつ、ちょっと地味さを感じてしまうあたりも、マルコ・ヒエタラのTAROTに通じるものを個人的には感じています(笑)。





PYRAMAZE "BLOODLINES"が7月19日(水)国内盤発売

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前作"EPITAPH"(2020)が『BURRN!』誌で95点を獲得するなど、ここに来て日本で注目度を高めつつあるデンマークのプログレッシヴ・メタル・バンド、PYRAMAZEの通算7作目、現体制になってからは4作目となるフル・アルバム"BLOODLINES"が7月19日(水)にマーキー・インコーポレイティドから日本盤リリースされます。

前作がメジャー流通を持たないルビコン・ミュージックだったのが、ビクターエンタテインメントの流通を持つマーキー・インコーポレイティドからのリリースになったのも、前作が好評だったから、ということなんでしょうか。

前作も非常に味わい深い翳りを持つ作品でしたが、先行公開されているMVを見る限り本作も変わらずドラマティックで、かつメタルというジャンルには珍しいほどにエモーショナルな味わいを持つ作品に仕上がっていそうです。

「プログレッシヴ・メタル」というとDREAM THEATERとかSYMPHONY Xのような超絶技巧が炸裂するテクニカル・ミュージックとしての人気が日本では高いですが、こういう「QUEENSRYCHEがオルタナティブ・ロックではなく欧州パワー・メタルにインスパイアされていたらこうなったかも」みたいなバンドも評価されてほしいですね。

いや、もうこのバンドはプログレッシヴ・メタルのファンというよりはメロディック・メタル全般のファンにアピールするサウンドだと思いますが。KAMELOTのファンとかにもアピールしそうですね。来日公演に帯同するメリッサ・ボニーもゲスト参加していますし。







AMUSIE "HEAVY METAL DOCTORS"アルバム・レビュー

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2019年に行われたCIRCUS MAXIMUSの来日公演でオープニング・アクトを務めたこともある名古屋出身のメロディック・パワー・メタル・バンド、AMUSIEのデビュー・アルバム(厳密にいうと2014年に自主制作でアルバム制作をしたことがあるそうですが)。

このバンドの特色はメンバーが全員現役の医師であるということで、ベースのマノ氏、ギターのキノシタ氏、ドラムのイトウ氏は産婦人科医、ヴォーカルのイヌカイ氏は耳鼻咽頭科医とのこと。

本作はルビコン・ミュージックからのリリースということで、実質自主制作に毛が生えたようなものと思われますが、もしこれが大手レコード会社からリリースされるということだったら「現役医師によるヘビメタ・バンドがデビュー、低迷する国内メタル・シーンにメスを入れる!」みたいなPR記事がどこかのスポーツ紙に出たかもしれません。

結成は1995年、愛知医科大学に在学していたマノ氏とキノシタ氏が後輩のドラマーと結成していたSYNDROME Xというバンドまで遡ることができるが、AMUSIEとしてのバンド結成は、若手医師としての最も多忙な期間を過ぎ、イトウ氏、イヌカイ氏という現在のメンバーと出会った2011年のことだそう。

そして先述の通り2014年に自主制作でアルバムを制作しており、本作の曲作りも2015年には開始していたそう。

それがリリースされるのが2023年という8年という期間を要しているのは、やはり医者という多忙な仕事に従事しているからなのでしょう。私の従姉妹も医者で、診療の傍らしょっちゅう海外の学会などにも出席していてメチャクチャ忙しそうなのでそれは理解できます。むしろよくアルバムをリリースできるレベルで音楽活動ができるものだと感心してしまいますね。

音楽性は前述の通りメロディック・パワー・メタルということになると思いますが、「典型的」なスピード・チューンは少なく、全9曲というそれほど多くない曲数の中にキャッチーな曲やバラードが収められ、一方で#3 "I.C.T."などは明らかにJUDAS PRIESTの"Painkiller"のオマージュと思われるヘヴィな曲と、この手のジャンルの幅でメリハリに富んだバラエティが用意されています(I.C.T.というのは"Incection Control Team"の略で、病院内の感染管理チームのことだそうです)。

#5 "Way Of My Life"や#9 "Lost Senses"といったやや長尺のドラマティックな展開を持つ曲からはプログレッシヴ・メタルからの影響も明確に感じられ、学生時代のバンド名がSYNDROME Xだったというのも頷ける(笑)見事な構成力を披露しています。

日本のバンドのネックになりがちなヴォーカルも、耳鼻科医として高音発声についての研究も行なっているというイヌカイ氏の歌声は、こうしてアルバムで聴く限り破綻もなく、安心して聴けるレベルに達しているのもポイントが高いですね。

ミックスとマスタリングには90年代末から00年代初頭の欧州パワー・メタル・ブームの陰の立役者的な存在だったプロデューサー/エンジニアのフレドリック・ノルドストロームを起用し、音質の面でも安心して聴けるレベルに達しているのは診療報酬の賜物でしょうか(笑)。

イェンス・ボグレンという選択肢もあった中でフレドリック・ノルドストロームを選択しているという辺りにオールド・ファッションなメタル・サウンドへのこだわりが感じられて好感が持てますね。

欧米の一線級のバンドと同等のクオリティがあるかと問われるとさすがにそうは言えないかもしれませんが、この手の音楽が好きな人であればそれほどB級感を感じることなく聴けるレベルに達しており、これを医師という多忙な業務の傍ら、ある意味「趣味」で実現しているというのは驚異的だと思います。

(いや、欧米のこの手のバンドのメンバーの多くも「昼の仕事」は持っていることが多いですが、ある程度コンスタントにアルバムをリリースしツアーも行っているバンドの場合、「昼の仕事」はあくまでバンドをやるために必要な生活費や資金を稼ぐための「手段」でしかなく、このバンドのように明らかな「本業」ではないので、その場合は音楽活動を「趣味」とするのは失礼でしょう)

メタル界隈でドクターというとクレイジーなドクターだったり、フィールグッドなクスリを処方してくれるドクターだったり、モンスターを作るスティーン博士だったり、ロクでもない人たちばかりですが(笑)、このヘヴィ・メタル・ドクターたちはかなり真面目な人たちであろうことを感じさせる良心的な作品だと思います。

どうでもいいですが、#6 "Thanks For Usual Days"の冒頭のリード・ギターのメロディがRAPHAELの「花咲く命ある限り」のサビメロっぽいのは偶然なのでしょうか、それともオマージュなのでしょうか。