DARK MOOR / PROJECT X

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前作発表後、初の来日公演が実現した彼らの通算10作目となるフル・アルバム。

前2作でプレイしていたビリー・シーン・タイプのテクニシャン、マリオ・ガルシア(B)が脱退しており、後任としてマリオの前任だったダニエル・フェルナンデスが復帰している(クレジットは「ダニ・フェルナンデス」になっている)。ただ、本作でベースをプレイしているのはリカルド・モレノという人物。

アルバム・タイトルは「10作目→ローマ数字で10はX→Xといえば『X-FILE』→じゃあPROJECT Xにしよう」という連想ゲーム的なプロセスで決定し(日本人には『X-FILE』というよりはかつてNHKで放送されていたドキュメンタリー番組を想起するが)、アルバムの歌詞テーマも『X-FILE』的な、SF的な要素を扱ったものになっている。

とはいえ一貫したストーリーを持つコンセプト・アルバムというわけではなく、共通のテーマを持つ独立した楽曲による「ゆるいコンセプト作」とのこと。

SFがテーマとはいえ、近未来的なスペーシーでコズミックなピコピコアレンジがされているということもなく(いや、一部それっぽいアレンジもなくはないが)、歌詞を読まずに音だけを聴いてSFを意識させられることはない。

前作「ARS MUSICA」の時点でパワー・メタル色は大きく後退してメロディアス・ハード的な雰囲気が出てきていたが、本作においてもその路線が推し進められ、もはやパワー・メタルどころかメタルと呼べるかどうかも怪しいレベルにソフトになっている。

特に本作では「MARA BOSTON」なる合唱隊が参加しており、そのクワイアが特に大きくフィーチュアされた#3、#5、#6、#10といった曲はもはやQUEENかMEAT LOAFかといった趣で、楽曲としてのクオリティは高いが、哀愁に乏しく、正直「これがDARK MOOR?」という違和感は禁じ得ない。

それらの曲のインパクトが良くも悪しくも強いため、本作の印象自体がちょっと「彼ららしくない」と感じてしまうものになってしまっているというのが本音で、音楽的なクオリティとは関係なく印象はあまりよろしくない。

しかし初期からの彼らのファンにとって本作の目玉は、彼らのメロディック・パワー・メタル・バンドとしての絶頂期である2nd、3rd時代の楽曲の現ラインナップにおけるリ・レコーディングを収めたボーナス・ディスクである。

ただ、ここ数年メロディック・パワー・メタル系のバンドにおける過去曲の再録はしばしば行なわれているが、残念ながらそれがオリジナルの魅力を上回っていた例はない。

SONATA ARCTICASECRET SPHEREをはじめ、やはりこの手の音楽というのは「若さの発露」なのか…と感じさせられる結果に終わっており、過度な期待はせずに聴いてみたところ、案の定でした。

まあ、ほぼSONATA ARCTICAのケースと一緒ですね。ギター・プレイから泣きとアグレッションが失われ、ドラム・サウンドも良く言えばナチュラルに、悪く言えば迫力不足になっており、およそパワー・メタルとしてのテンションに欠ける。

そう言うとサウンド・プロダクションの問題に聴こえるかもしれませんが、当時も今も同じスタジオで微妙なサウンド・プロダクションであることに変化はなく(変化してくれ)、それでも当時の音の方が悪いなりに迫力はあったのだから、やはり意図的な音作りの問題なのでしょう。

アルフレッド・ロメロのヴォーカルの持ち味を活かした結果こういうソフトなサウンドになったのかもしれないが、女性シンガーだったエリザ・C・マルティンより男性であるアルフレッドのヴォーカルの方が勇壮さやパワーに欠けるってのもどうなのか。

まあ、原曲が半端じゃなく良いし、アルフレッド・ロメロの方が上手いは上手いので、原曲への思い入れがそれほど強くなければ「これはこれでアリ」なのかもしれませんが…。

ひょっとするとこのボーナス・ディスクは、新機軸が目立つ本編でオールド・ファンが離れないように、「麗しき過去」を思い出させるために付けたのかもしれませんが、個人的には逆にこれを聴いてこのバンドへの思いが成仏してしまった感じです。【81点】

◆本作収録「Gabriel」のMV


◆本作収録「Imperial Earth」のMV




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コメント

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ライナーノーツには「これは俺たちからファンへのスペシャルなプレゼントだよ」と書いてありますが、おっしゃるとおり、ボーナス・ディスクを付けたのはオールド・ファンが離れないように日本のレーベルが助言したのかもしれませんね。
RIOTの件もありマーキーにはあまりいいイメージがないです(苦笑)。

個人的にはSFがテーマのメタルでは今作より、GLORYHAMMERの新作のほうが楽しめました。
https://www.youtube.com/watch?v=YGV6bCTMM5w&feature=youtu.be

>お名前さん

RIOTの件はバンドに無理矢理強いたように見えるのが悪印象でしたね。
今回は「提案」や「助言」であり、制作費もある程度持ったのであれば、まあビジネスの範囲ではないかと思いますが。

GLORYHAMMERはまさに最近の通勤BGMです(笑)。

タイトル

ううう~ん、
正直、全てが中途半端なでき(PV含む)に感じるので
どう評価していいかわからない...。

私のSFテーマの好きなアルバムはScar Symmetryのですね!

>Loki Holstさん

SCAR SYMMETRYの世界観は完成度高かったですね。

個人的にこの手のシンフォニック・メタル路線でのSF世界ということであれば、LUCA TURILLIの「PROPHET OF THE LAST ECLIPSE」が良かったという印象があります。

タイトル

http://www.hmv.co.jp/en/newsdetail/article/1512071016/
どうなんでしょうこれ
ちなみにadoreさんはヘッドフォンは何かこだわって使っていますか?良かったら教えてください

>お名前さん

外で使えるかどうかギリギリのデザインですね(笑)。

こんなサイトをやっている者にあるまじきことかもしれませんが(?)、オーディオとかヘッドホンとかそういうものにはあまりこだわっていません…。