期待のエンターテイン・メタル(ネタメタル?)バンドたち
昨年はLOUD PARKでSABATONが大受けし、ドイツの人気バンドだったPOWERWOLFの日本盤リリースが実現するなど、新世代の(といってもどちらのバンドももはや結構なキャリアですが)バンドに注目が集まった年でした。
両バンドをはじめとする新世代のバンドの特徴というのは、メタルという音楽スタイルを利用して、オーディエンスを楽しませようという姿勢が明確なところですね。
もちろん過去のバンドにそういった姿勢がなかったわけではありませんが、どちらかというとオーディエンスを楽しませようという意識よりは「自分たちの世界観を表現すること」「自分たちがやりたいことをやること」が重視されていて、「お客様目線」というのは二の次だったように思えます。
こう言うとSABATONやPOWERWOLFが「ウケるために自分たちのやりたいことではないことをやっている」と誤解されそうですが、そうではなく、彼らの音楽やライブからは「自分たちの世界観が、ひいてはメタルという音楽をどうすれば面白く見せられるか?、楽しんでもらえるか?」という意識が伝わってくるということです。要は「見せ方」や「サービス精神」に対する意識の差ですね。
私は広告の仕事をしており、同じものでも見せ方ひとつで伝わり方やイメージが全然変わることを日々感じさせられています。そういう意味で、最近の人気バンドは「よく考えているな」という感じがしてとても感心しています。
そう、これだけバンドの数が増えた世の中にあっては、単に「良い音楽をプレイすることにベストを尽くします!」というだけではよほどの才能があるバンドでない限り突き抜けられないのです。どうしたら自分たちのサウンドが魅力的に見せられるか、オーディエンスに受け入れられるか、ということについて、一種のマーケティング的な戦略が求められています。
SABATONは幸いなことにLOUD PARKというプレゼンの場を与えられたことでその魅力を日本のオーディエンスに伝えることができましたが、それでもまだ充分でははく、それ以外のバンドについてはなおのことなので、個人的にネクストブレイクを期待したいバンドをここでいくつかピックアップしたいと思います。
◆SABATON
このサイト/ブログをご覧になっている方であればその存在はご存じであろう、スウェーデンの大人気バトル・パワー・メタル・バンド。1999年に結成され、2005年にデビュー。歌詞テーマに戦争を用い、ミリタリーっぽいコスチュームに身を包んでのライブ・パフォーマンスは熱狂的な支持を集めている。
やはり彼らはライブが素晴らしいのでまずこの映像を。
メタルと「戦い」の相性の良さを生かした事例ですね。
◆POWERWOLF
2003年に結成され、2005年にデビューしたドイツのパワー・メタル・バンド。狼男伝説や吸血鬼伝説といった欧州のゴシック・ホラー的な世界観が特徴。ドイツではSCORPIONS以来のナショナル・チャートNo.1を獲得したHR/HMバンドとなった。
メタルとオカルト/ホラーとの相性の良さを生かした事例ですね。
◆GLORYHAMMER
イギリスのALESTORMのメンバーによるサイド・プロジェクトだが、もはやサイド・プロジェクトを超えた人気を博しつつあるシンフォニック・メタル・サウンド。
メタルとファンタジー/SFとの相性の良さを生かした事例ですね。
◆UNLEASH THE ARCHERS
5オクターブの声域を持つという女性Voを擁するカナダのメロディック・パワー・メタル・バンド。音楽的な完成度はドイツや北欧のバンドに比べるとやや荒削りだが、こういう音楽をやっても古臭さを感じさせないセンスは光るものがある。
どう見ても「マッドマックス」パロディなわけですが(笑)、ネタになることを恐れないこういうセンスは大切にしてもらいたいです。
◆BATTLE BEAST
こちらもLOUD PARKでそのパフォーマンスが高く評価されたフィンランドの正統派へヴィ・メタル・バンド。日本のコミック「ベルセルク」なども取り上げる歌詞テーマの設定、「ヘヴィ・メタルっぽさ」を過剰に振りまくパフォーマンスなど、単なる懐古趣味に陥らない「面白さ」がある。
このバンドの場合はマジなのかネタなのかちょっと微妙だし、メイン・ソングライターが脱退した今後どうなるのかも怪しいのですが、この流れに通じるものがある優れたセンスを持つバンドだと思います。
◆ORDEN OGAN
このバンドは元々は単なるBLIND GURARDIANフォロワーという感じでしたが、最近POWERWOLFに影響されたか、コスプレ色(?)を強めて自分たちのドラマティックなファンタジー・ワールドをより強く訴求する術を身に付け、欧州では人気上昇中。
ちょっと日本人好みではないかもしれませんが、日本では過小評価されているバンドだと思います(ここに挙げたバンドはどれもそうですが)。
◆ALESTORM
先に紹介したGLORYHAMMERのクリストファー・ボウズ(Key)のメイン・バンド(こちらではVo)である「パイレーツ・メタル」バンド。読んで字のごとく海賊をテーマにした、ヴァイキング・メタルとは似て非なる楽曲をプレイしている。
曲名が「Drink!(飲め!)」これからのメタラーの飲み会アンセムはこの曲に決定でしょう。てかこのMV最高です(笑)。
いかがだったでしょうか? 好みの問題はあれ、どれも観て楽しいバンド/映像ばかりだったと思います。
同じ音楽をやっているなら、こういうよりエンターテインメント性の高いバンドに注目が集まるのは当然のことでしょう(もちろんこういうのが嫌いな人もいるでしょうが、世の中一般の傾向としてはより「楽しいもの」が求められていると思います)。
くそ真面目に「いい音楽をプレイしていれば認められる」という時代ではなく、ヘヴィ・メタルという音楽をプレイしていること自体には新規性がなくなってしまった今、成功を収めるのはこういう「色物」と呼ばれることを恐れない、自ら進んで「ネタ」を提供するサービス精神溢れるバンドなのではないでしょうか。
こういうバンドが増えてきたのは、インターネットを通じてビジュアル、映像をアピールできる場ができた(そしてテクノロジーの進歩によって映像制作にかかるコストもグッと下がった)こと、そして面白いものはSNSなどを通じてシェアされる世の中になったからこそ、でしょう。そういう意味でも現代的なバンドたちなのだと思います。
上記のバンド群は主に欧州人の趣味に合わせたコンセプトを展開しているため、日本でどのくらい受けるかは未知数ですが、どのバンドも純粋に音楽も優れているので、ぜひ興味を持ったバンドの音楽はチェックしてみてください。
両バンドをはじめとする新世代のバンドの特徴というのは、メタルという音楽スタイルを利用して、オーディエンスを楽しませようという姿勢が明確なところですね。
もちろん過去のバンドにそういった姿勢がなかったわけではありませんが、どちらかというとオーディエンスを楽しませようという意識よりは「自分たちの世界観を表現すること」「自分たちがやりたいことをやること」が重視されていて、「お客様目線」というのは二の次だったように思えます。
こう言うとSABATONやPOWERWOLFが「ウケるために自分たちのやりたいことではないことをやっている」と誤解されそうですが、そうではなく、彼らの音楽やライブからは「自分たちの世界観が、ひいてはメタルという音楽をどうすれば面白く見せられるか?、楽しんでもらえるか?」という意識が伝わってくるということです。要は「見せ方」や「サービス精神」に対する意識の差ですね。
私は広告の仕事をしており、同じものでも見せ方ひとつで伝わり方やイメージが全然変わることを日々感じさせられています。そういう意味で、最近の人気バンドは「よく考えているな」という感じがしてとても感心しています。
そう、これだけバンドの数が増えた世の中にあっては、単に「良い音楽をプレイすることにベストを尽くします!」というだけではよほどの才能があるバンドでない限り突き抜けられないのです。どうしたら自分たちのサウンドが魅力的に見せられるか、オーディエンスに受け入れられるか、ということについて、一種のマーケティング的な戦略が求められています。
SABATONは幸いなことにLOUD PARKというプレゼンの場を与えられたことでその魅力を日本のオーディエンスに伝えることができましたが、それでもまだ充分でははく、それ以外のバンドについてはなおのことなので、個人的にネクストブレイクを期待したいバンドをここでいくつかピックアップしたいと思います。
◆SABATON
このサイト/ブログをご覧になっている方であればその存在はご存じであろう、スウェーデンの大人気バトル・パワー・メタル・バンド。1999年に結成され、2005年にデビュー。歌詞テーマに戦争を用い、ミリタリーっぽいコスチュームに身を包んでのライブ・パフォーマンスは熱狂的な支持を集めている。
やはり彼らはライブが素晴らしいのでまずこの映像を。
メタルと「戦い」の相性の良さを生かした事例ですね。
◆POWERWOLF
2003年に結成され、2005年にデビューしたドイツのパワー・メタル・バンド。狼男伝説や吸血鬼伝説といった欧州のゴシック・ホラー的な世界観が特徴。ドイツではSCORPIONS以来のナショナル・チャートNo.1を獲得したHR/HMバンドとなった。
メタルとオカルト/ホラーとの相性の良さを生かした事例ですね。
◆GLORYHAMMER
イギリスのALESTORMのメンバーによるサイド・プロジェクトだが、もはやサイド・プロジェクトを超えた人気を博しつつあるシンフォニック・メタル・サウンド。
メタルとファンタジー/SFとの相性の良さを生かした事例ですね。
◆UNLEASH THE ARCHERS
5オクターブの声域を持つという女性Voを擁するカナダのメロディック・パワー・メタル・バンド。音楽的な完成度はドイツや北欧のバンドに比べるとやや荒削りだが、こういう音楽をやっても古臭さを感じさせないセンスは光るものがある。
どう見ても「マッドマックス」パロディなわけですが(笑)、ネタになることを恐れないこういうセンスは大切にしてもらいたいです。
◆BATTLE BEAST
こちらもLOUD PARKでそのパフォーマンスが高く評価されたフィンランドの正統派へヴィ・メタル・バンド。日本のコミック「ベルセルク」なども取り上げる歌詞テーマの設定、「ヘヴィ・メタルっぽさ」を過剰に振りまくパフォーマンスなど、単なる懐古趣味に陥らない「面白さ」がある。
このバンドの場合はマジなのかネタなのかちょっと微妙だし、メイン・ソングライターが脱退した今後どうなるのかも怪しいのですが、この流れに通じるものがある優れたセンスを持つバンドだと思います。
◆ORDEN OGAN
このバンドは元々は単なるBLIND GURARDIANフォロワーという感じでしたが、最近POWERWOLFに影響されたか、コスプレ色(?)を強めて自分たちのドラマティックなファンタジー・ワールドをより強く訴求する術を身に付け、欧州では人気上昇中。
ちょっと日本人好みではないかもしれませんが、日本では過小評価されているバンドだと思います(ここに挙げたバンドはどれもそうですが)。
◆ALESTORM
先に紹介したGLORYHAMMERのクリストファー・ボウズ(Key)のメイン・バンド(こちらではVo)である「パイレーツ・メタル」バンド。読んで字のごとく海賊をテーマにした、ヴァイキング・メタルとは似て非なる楽曲をプレイしている。
曲名が「Drink!(飲め!)」これからのメタラーの飲み会アンセムはこの曲に決定でしょう。てかこのMV最高です(笑)。
いかがだったでしょうか? 好みの問題はあれ、どれも観て楽しいバンド/映像ばかりだったと思います。
同じ音楽をやっているなら、こういうよりエンターテインメント性の高いバンドに注目が集まるのは当然のことでしょう(もちろんこういうのが嫌いな人もいるでしょうが、世の中一般の傾向としてはより「楽しいもの」が求められていると思います)。
くそ真面目に「いい音楽をプレイしていれば認められる」という時代ではなく、ヘヴィ・メタルという音楽をプレイしていること自体には新規性がなくなってしまった今、成功を収めるのはこういう「色物」と呼ばれることを恐れない、自ら進んで「ネタ」を提供するサービス精神溢れるバンドなのではないでしょうか。
こういうバンドが増えてきたのは、インターネットを通じてビジュアル、映像をアピールできる場ができた(そしてテクノロジーの進歩によって映像制作にかかるコストもグッと下がった)こと、そして面白いものはSNSなどを通じてシェアされる世の中になったからこそ、でしょう。そういう意味でも現代的なバンドたちなのだと思います。
上記のバンド群は主に欧州人の趣味に合わせたコンセプトを展開しているため、日本でどのくらい受けるかは未知数ですが、どのバンドも純粋に音楽も優れているので、ぜひ興味を持ったバンドの音楽はチェックしてみてください。
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コメント
gloryhammerとか、twilight forceあたりが来日したら是非見に行きたい笑
日本にもphantom excaliverというネタ臭振りまくバンドがいますが彼らのライブも実に強力でした
去る10月のvolcano来阪で前座を務めていましたがオーディエンスを巧みに掌握し相当な盛り上がりでしたねー
私も盛り上がってアルバム買ってしまいました笑
2016-01-11 15:56 ein URL 編集
>einさん
PHANTOM EXCALIVERはまさに「ネタメタル」ですね。
メンバーの方をLOUD PARKで見掛けました。
2016-01-12 00:26 adore URL 編集
ネタメタル?いいですね!
このようなメタルを新しい切り口で表現するバンドが、若い世代の新規ファン獲得に貢献してくれると、シーンも活性化されるんでしょうね。
2016-01-12 01:21 なっつ URL 編集
2016-01-12 19:35 ハルディン URL 編集
>なっつさん
GHOSTもきっと欧米の人にとってはエンターテイン・メタルなのだろうと思います。
こういうバンドが日本でも受けるのかどうかはいささか微妙ですが、どのバンドも良いバンドだと思うので、売れてほしいですね。
2016-01-13 02:16 adore URL 編集
>ハルディンさん
そのおもしろさは私が取り上げたようなバンドとはちょっと趣を異にしますが、個性的で魅力的なバンドだと思います。
2016-01-13 06:25 adore URL 編集
2016-01-14 01:55 Loki Holst URL 編集
>Loki Holstさん
2016-01-15 01:28 adore URL 編集
ところでいつブログ名変更したんですか ?
2016-01-16 07:50 black&green URL 編集
>black&greenさん
TURISASはこの路線のパイオニアでしょうね。彼らはデビュー当時からネタに走っていました(笑)。
2016-01-17 00:31 adore URL 編集
最初のハイトーンはダニエル・ハイメンを彷彿とさせます。
早速Amazonでポチりました笑
この手のエンタメ系?メタルではフィンランドの歌舞伎メロデスWHISPEREDなんかも良いですよ。
2016-01-18 17:37 元学生メタラー URL 編集
>元学生メタラーさん
WHISPEREDもそうですね。忘れていました(笑)。
2016-01-19 01:12 adore URL 編集
確かに世界観を音楽以外でも総合的に表現するのって、メタル以外でもなかなか見ませんね
日本ではX JAPANと聖飢魔II、ヴィジュアル系等割と多いですが(←恐らく業界が日本に売り出しづらい理由)
2016-01-19 22:27 ヘロウィン URL 編集
>ヘロウィンさん
そして日本ではV系という存在の認知度が高くなりすぎてしまったがゆえに、メイクさえしていればみんなV系扱いになってしまったり。
陰陽座もV系コーナーに置かれていたりしますしね(苦笑)。
2016-01-20 00:59 adore URL 編集
神官もしくは巫女装束にコープスペイントって笑
インパクトが強すぎて
アルバム買ってしまいましたよ笑
2016-02-02 23:33 かつ丼 URL 編集
>かつ丼さん
2016-02-03 02:30 adore URL 編集