浜田麻里 / MISSION
昨年のLOUD PARKに出演したことが再びメタル・ファンに注目されるきっかけになったと思われる浜田麻里。
私はその前年、サマーソニックで彼女のライブを初体験。この日はA7XやMEGADETHをはじめ、かなりメジャーなHR/HMバンドが数多く出演していたが、正直な所彼女のライブ以上に感銘を受けるものはなかった。
こうして俄然浜田麻里に興味を持ち、ネットで色々と調べてみると2000年代に入ってからロック色が再び強まっており、2008年ごろにはメタル的な楽曲への回帰が進行していたようで、その後にリリースされた作品にはどれも私好みのメロディックなメタル・チューンが収録されていた。
そしてLOUD PARKのステージについては当初から期待して臨み、ご覧になった方はご存じのとおり充実のステージを展開。あらためてその歌唱力と楽曲の魅力を思い知らされました。
そんなわけで前置きが長くなりましたが、私が積極的な興味を持つようになって(にわかと呼ばれるのを恐れずに言うと「ファンになって」)初めてリリースされたオリジナル・アルバムが本作。
基本的には前々作「AESTETICA」、前作「LEGENDA」の路線を継承するHR/HM色の強い作風でほぼほぼ期待通り。
ただ、前作・前々作は2曲目にスピード・メタル・ナンバーが来て、序盤からアガったが、本作では速い曲が3曲目まで登場せず、1曲目、2曲目が割と重厚かつドラマティックな曲なので、即効性的なインパクトは少々落ちるかもしれない(個人的には2曲目と3曲目は入れ替えたほうが良かったと思う)。
しかし、トータルな楽曲のクオリティではハイレベルだった前作・前々作に勝るとも劣らないクオリティを実現しており聴き応えは抜群。プログ・メタル調からメロディアス・ハード風、現代ヘヴィ・ロック調まで適度にバラエティを持たせつつも、どの曲にもドラマティックな展開と旋律が配されており、それが浜田麻里の表現力豊かなヴォーカルで歌い上げられたとき、日本人の琴線に触れる輝きを放つ。ぶっちゃけ哀愁系のアニソンとか好きな人にもアピールするんじゃないかな。
ゲストとしてLOUD PARKのステージにも客演していたLOUDNESSの高崎晃(#1、#2、#3)、VOWWOWの厚見玲(#1、#3)、MR.BIGのビリー・シーン(#1、#3、#8)、デヴィッド・リー・ロスやジョー・サトリアーニのバンドなどへの参加で知られる超有名セッション・ドラマーのグレッグ・ビソネット(#7と#9以外の全曲)が参加しているが、音楽自体が強力なので、きっと元々凄腕揃いである彼女のレギュラー・バック・バンドが全曲プレイしていたとしても本作の魅力は変わらないだろう。
個人的には最近『BURRN!』誌でも注目されている若井望が関わったスピード・チューンの#7「Rainbow After The Storm」から本作で一番J-POP的なメロディアス・ハード・チューン#8「In Your Hands」の流れが最初に気に入ったが、何周か聴き込むうち、#4「Rin」や#9「Carpe Diem」などにもグイグイ惹かれており、今後さらに聴き込むとまた新たな魅力が発見できそう。
若い人にとって30年以上のキャリアを持ち20作以上のアルバムを発表している、日本の50代の女性アーティストに関心を持つというのは容易ではないかもしれませんが(私自身もそうでした)、メロディアスでドラマティックなHR/HMサウンドを愛する人であればここ数年の浜田麻里の音楽に触れずにいるのはもったいないですよ、と声を大にして言いたいです。
そしてさらに言うなら、ライブではさらに圧巻の凄みを体験できますよ、と。単独公演に足を運んだことのない私が言うのもアレですが(笑)。
◆本作のダイジェスト試聴用映像
ついでに私が好きな近年の楽曲をいくつか貼っておきます。
◆「Fantasia」
私が観たサマソニとラウパでオープニング・チューンとなっていたカッコいいスピード・チューン。
◆「Stay Gold」
WITHIN TEMPTATIONあたりの線を狙ったと思われるゴシック風のドラマティックな曲。妹である絵里さんのコーラスも凄い。
◆「Momentalia」
前作収録の様式系パワー・メタル・チューン。これまたアツい。
これらの曲を聴けば、浜田麻里がメロディック・メタル・ファンであれば聴かねばならないアーティストであることが理解できることでしょう…。
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コメント
麻里さんすごい
貼っていただいた新譜、視聴しましたがなかなか良さそうですね!
落ち着いた感じに聴こえましたがバラエティにとんでるのですね。
フィンランドのロックフェスとか出ないかなあ。
素晴らしいので海外でも人気でてほしいです(実際どうなんでしょうか?)。
貼っていただいたお薦めの3曲、とても気に入りました!
麻里さんて50代入ってたんですね!
いや~、劣化を知らない、ある意味ばけものだー!
ライブの最前列でその美しさを目の当たりにしてみたいです(笑)。
2016-01-25 19:38 KY URL 編集
>KYさん
確かに容貌・歌唱力ともに生娘の生き血でも飲んでるんじゃないかというレベルの衰えなさです(笑)。
日本のマーケットでそれなりの地位を獲得しているだけに、今から海外にチャレンジする可能性は薄いでしょうね…。
まあ、日本に生まれた喜びを噛みしめるということで良いのではないでしょうか(笑)。
2016-01-25 22:46 adore URL 編集
2016-01-26 12:40 りょう URL 編集
管理人のみ閲覧できます
2016-01-26 13:19 編集
>りょうさん
その人たち相手に商売するだけでもやっていけるのでしょうが、にわかだからこそ、同じようにこれまでノーマークだった人たちにその素晴らしさを伝えたい気持ちになりますね。
2016-01-27 01:48 adore URL 編集
>名無しの方
次回更新時に修正します。ご指摘ありがとうございました。
2016-01-27 01:50 adore URL 編集