MEGADETH / DYSTOPIA

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ANGRAのキコ・ルーレイロ(G)、LAMB OF GODのクリス・アドラー(Dr)という他バンドに在籍するスター・プレイヤーを迎えて制作された通算15作目。

もっとも、デイヴ・ムステイン(Vo, G)にしてみればクリス・アドラーはともかくキコ・ルーレイロについてはスター・プレイヤーを迎えたという意識はさほどなく、「ブラジルのローカル・バンドから上手い奴を引っぱり上げてやった」くらいの気分かもしれないが、個人的にはキコの加入がなかったら本作を買って聴くことはなかったかもしれない、というくらいの期待ポイントである。

前作・前々作と、シュレッドの達人だったクリス・ブロデリック(G)が飼い殺しに思えるようなキャッチーな歌重視路線(もちろんこのバンドにしては、だが)で、「デイヴ・ムステインの歌声でキャッチーな路線を狙われてもなあ…」と感じていたが、今作ではキコ・ルーレイロの加入が関係しているのかどうかはともかく、私がMEGADETHに期待しているテクニカルかつ攻撃的なサウンドが復活している。

路線としては「UNITED ABOMINATIONS」(2007)と「ENDGAME」(2009)の中間というか、過剰な期待を煽ることを承知で言えば「RUST IN PEACE」(1990)に近い、彼らならではのテクニカルさと、適度なキャッチーさが共存する攻撃的なメタル・サウンドだ。

とにかく鋭利な緊張感が冴える#1「The Threat Is Real」から、前作・前々作の路線とは異なる意味でのキャッチーさとドラマティックさが「UNITED ABOMINATIONS」収録の名曲「Washington Is Next!」を思わせるタイトル曲#2の流れが白眉で、この「アルバム冒頭2曲にインパクトがあること」がまた「RUST IN PEACE」に近い印象を与える。

インスト・パートの精緻な構築感と緊張感が久々に全盛期を彷彿させるレベルになっているのがキコ・ルーレイロの加入効果なのだとしたら、このメンバー・チェンジは(少なくともMEGADETHにとって)成功だったのだろうが、キコが作曲にクレジットされているのは#6、#7、#8の3曲のみなので、音楽的なインプットという意味で真価が発揮されるのは次作以降かもしれない。

#11「Foreign Policy」は、かつてデイヴ・ムステインと一緒にMD.45というプロジェクトをやったリー・ヴィング(Vo)率いるLAのベテラン・ハードコア・パンク・バンド、FEARのカヴァー。

本作は全米チャートで3位という、彼らのカタログで最も成功した「COUNTDOWN TO EXTINCTION」(1992)以来の好成績を記録するなど好評を博しており、キコ側に問題がなければこの「キコ・ルーレイロ体制」は継続されることだろう。

むしろそのことでANGRA側に影響がでなければいいのだが、というのは実はANGRAファンとしての本音だったりもするのだが(苦笑)。【85点】

◆本作収録「The Threat Is Real」のMV


◆本作収録「Dystopia」のMV




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コメント

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デイブ様からしたら、バンドやろうぜ!
上手いギター
イケメンベース
むさくるしいドラム
絶対俺に従うやつ、急募!って感じかな?
今の段階ではキコを入れた理由が分からん

キコ、アングラ抜けないで~っていうかラファエル首にしないで~

>名無しのメタラーさん

まあ、正直な所このアルバムがクリス・ブロデリックでは作れなかったのか? というとそんなことはなかったんじゃないかという気もしますね。

ANGRAファンとしてはやはりキコ・ルーレイロのミュージシャンとしての本領はANGRAでこそ発揮されると思うので、何とか両立させてほしいし、ぶっちゃけ充分にアメリカで名前を売ったらANGRA一本に戻ってほしいですね(笑)。

クリスがテクで圧倒するタイプの凄腕ギタリストであるのに対して、キコはアレンジやフレージングで懐の深さを感じさせる凄腕ギタリストなので今回の構築されたサウンドに貢献した、と好意的に解釈したいです(少し強引ですが(笑))。
少なくともメンバーチェンジでバンドがリフレッシュして、ファンの多くが望むサウンドになったので良かったですよね。
クリス・アドラーもメインのバンドがあるので、この体制が長く続くかは疑問ですが、MEGADETHでプレイするキコはライブで見たいですね。

期待しすぎた?

アングラもメガデスも好きな私は、やはり今回のアルバムに期待した!期待しすぎた!(笑)キコがデイブ様とどんなケミストリーを産み出すのか?と。
やはりキコは遠慮があるのか、デイブ様の力が凄いのか今までの曲調と変わらないメガデス節なので正直がっかり。
最初の数曲はおっ!って思ったし全曲悪くはないが、キコのメロディがあまりないな~。仰るように次作に期待したほうがいいのかもしれません。こんな状態でさらにアングラに悪影響があったら、私も私も泣きます・・・。

>なっつさん

まあ、単純にいいアルバムになっていると思うので、結果オーライ的な意味でキコの加入はプラスだったでしょうね。

LOUD PARKで観たMEGADETHだと「普通の上手いギタリスト」に見えてしまいましたが…。

>かじやんさん

まあ、音楽的にキコの要素はほとんど感じられず、あくまでMEGADETHのアルバムではありますね。

ただ、ANGRA的であることがキコの要素であるとしたら、このバンドで生きる気がしないのが微妙な所です…。

旧譜のレビュー、どうせなら1stと2ndもお願いしますよ~。

>HDMさん

MEGADETHの1st、2ndはスラッシュ・メタル史におけるエポック・メイキングですから、基本的にスラッシュをメインで扱っていない当サイトでレビューするのは畏れ多いです(笑)。