SERENITY / CODEX ATLANTICUS

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「叙情性と甘さを増したKAMELOT」のような「これぞ欧州ロマン!」な作風(KAMELOTはアメリカのバンドだが)で私の個人的なツボを突きまくってきたオーストリア出身のシンフォニック・メタル・バンドの5作目のアルバム。

前作で正式メンバーとして加入していた女性ヴォーカリストのクレモンティーヌ・ドロネイ(WHYZDOM, VISIONS OF ATLANTIS)が早くも脱退、その理由はツイン・ヴォーカル体制から再びゲオルグ・ノイハウザー単独体制に戻るから、とのことだったが、このバンドの場合クレモンティーヌ加入前からちょいちょい女性ヴォーカリストを「彩り」として使っており、クレモンティーヌの存在感もその「彩り」としての存在感を大きく超えるものではなかった。

しかも、本作でもAVANTASIAなどでメロディック・メタル・ファンにはおなじみのアマンダ・サマーヴィル、そして同郷オーストリアのポップ・ロック・バンドTASHAのナターシャ・コークといった女性ゲスト・シンガーを迎えているだけに、クレモンティーヌの脱退には何か実務上以外の感情的、あるいは金銭的な理由があるのではないかと勘繰ってしまう(笑)。

そんなわけで実はクレモンティーヌの脱退はそれほどバンドのサウンドに影響を与えていないのだが、デビュー以来のギタリストであるトーマス・ブッフベルガーも脱退しており、後任としてVISIONS OF ATLANTISでクリス・ティアンという芸名でギターをプレイしていたドイツ人ギタリスト、クリス・ヘルムスドーファーが加入している。

また、これまでデビュー・アルバム以来プロデューサーとして関わってきたオリヴァー・フィリップス(Key : EVERON)の関与がなくなり、オリヴァーと共にプロデュースで関わってきたヤン・ヴァツィク(Key : DREAMSCAPE)のみ継続してプロデュースを手掛けている。

そういう様々な転機を感じさせるタイミングで発表された本作はレオナルド・ダ・ヴィンチをテーマにし、タイトルはダヴィンチの著名なコレクション集である『Da Vinci Codex Atlanticus』に由来しているが、明確なストーリーを持つという意味でのコンセプト・アルバムではないようだ。

基本的には従来の流れを汲む叙情的なメロディをフィーチュアしたドラマティックなシンフォニック・メタル・サウンドで、方向性という点でメンバー・チェンジの影響はない。

これまでで最もアグレッシヴかもしれない#3「Sprouts Of Terror」のような曲から、AVANTASIAやロビー・ヴァレンタインさえ彷彿させる#9「The Perfect Woman」のようなバラードまで、これまで以上に楽曲のバラエティは豊かになっている。

一方で、前作は「Age Of Glory」に「Legacy Of Tudors」という2大キラー・チューンを擁しており、特に後者は当サイトの2013年ベスト・チューンに選んだほどのお気に入りだったが、本作にはそこまでのインパクトを持つ楽曲が存在しないため、作品全体としてはやや盛り上がりに欠ける印象になってしまっているのが残念。

作品テーマのせいなのかもしれないが、これまでの作品に比べ、パワー・メタリックな面よりもメロウに歌を聴かせるパートが多く、勇壮な要素が少ないこともややおとなしい印象を強めている感がある。

ただ、『BURRN!』誌で90点という過去最高点をとっていたこともあり、私の個人的な期待が異様に大きくなっていただけで、客観的にはメロディアスなシンフォニック・メタルとしてもはやシーンでもトップクラスのクオリティを誇っていると思うので、その手の音楽が好きな人はぜひご自分の耳でチェックしてみて頂きたい。

実際、本作はバンド史上初めて母国オーストリアおよびドイツのナショナル・チャートにランクインする成功を収めていたりするので。【84点】

◆本作収録「Follow Me」のMV


◆本作収録「Spirit In The Flesh」のMV


◆つい先日行われたパリ公演の模様

ゲスト・シンガーであるターシャがエロい感じでとてもいいですね(笑)。




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コメント

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このバンドもPRIMAL FEAR同様、安心して新作が買えるバンドの一つですね。
個人的にはギターソロ後からドラマティックに展開していく"Fate Of Light"がお気に入りです。
ただ今回は前作に比べて曲の勢いやオーケストレーション、ミックスが弱い気が…、キメ曲にも欠ける気がします。
それでもアルバム全編通してここまで高品質なシンフォニック・パワー・メタルを聴かせられるバンドは少ないので今後も期待したいですね。

>元学生メタラーさん

デビュー以来、安定して良作を送り出している、シンフォニック・メタル・ファンには安心のブランドになっていますね。

おっしゃる通り、今回はライナーノーツにあったようにツアーの合間に曲作りをするような忙しい状況だったというせいなのか、前作に比べるとちょっと詰めが甘い気がします。

まあ、前作がこのクラスのバンドにしては異常に出来が良かったというのもありますけど(笑)。