BABYMETAL / METAL RESISTANCE

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2014年に公開された「ギミチョコ!」の動画がネット上で世界的に話題になって以降、加速度的に全世界的な注目を集め続け、つい先日にはイギリスのウェンブリー・アリーナでの単独公演を成功させた、話題のメタル・ダンス・ユニットによる待望のセカンド・アルバム。

1曲目はDRAGONFORCEのハーマン・リとサム・トットマンがゲスト参加したことでも話題になった、まさにDRAGONFORCE風のメロディック・スピード・メタル・チューン「Road Of Resistance」。

2曲目「Karate」は空手という海外でも認知の高い日本の武道をモチーフにした、「ジャパンアピール」のオルタナティブ・メタル・チューン。

3曲目は「ギミチョコ!」が受けたことを意識しているのだろう、「ギミチョコ!」同様、元THE MAD CAPSULE MARKETS、現AA=の上田剛士の手によるTHE MAD CAPSULE MARKETS風のインダストリアルなデジ・ロック・チューン。

そして4曲目は彼女らが本来「ダンス・ユニット」であったことを改めて印象付けるダンス色の強い楽曲と、個性の強い多彩な楽曲が収録されている。

とはいえ、前作がいかにも「楽曲の寄せ集め」感があったのに対して、本作ではちゃんとアルバムとしての構成が考えられている観があり、そのことを「完成度が上がった」と捉えるか、良い意味でのカオスな感じが減少して予定調和に近づいたと感じるかは微妙な所。

TURISASのようなヴァイキング・メタルと昭和のマーチ風アニメソングが融合したかのような#6「META! メタ太郎」や、こんなタイトルのRPGゲームありましたね、という変拍子バキバキのプログレッシヴ・メタル・チューン「Tales Of The Destinies」など新境地の楽曲もインパクトがある。

個人的には前作の「紅月」の流れを汲むメロディック・スピード・メタル・チューンの#5「Amore -蒼星-」、J-ROCK風というか、V系っぽいアップテンポのロック・チューン#7「シンコペーション」がどストライクでした。可憐さと芯の強さを兼ね備えた中元すず香の歌声が一番生きるのはこの手の曲だと思います。

「ギミチョコ!」が海外で大受けしたがゆえにその路線が増えたら厳しいな、と思っていましたが、意外にもそれほど「海外への意識」は感じられない作風で、個人的にはそこは安心材料でした。

バラエティに富んだ楽曲が収録されているので、全曲を同程度に好きになれる人というのはいないと思いますが、トータルで見て私のようなメロディック・メタル・ファンが聴いても楽しめる作品に仕上がっていると思います。

バラエティに富んでいると言っても、いずれもモダンなテイストがあって、古典的なHR/HMのサウンドには近づけないあたり、現代性への意識は強く感じられ、古臭さやダサさがないのが若いオーディエンスに受け容れられている大きな理由のひとつでしょう。

しかし彼女らのサクセス・ストーリーは、2011年から彼女らの存在を認知し、2012年の1月にバックバンドなしのライブを観ていた身には驚きというか感慨というか、「世の中何が起こるかわからないな」って気持ちにさせられますね。

スタート当初は絶対に一種の「ネタ」というかスタッフサイドの「遊び」で、アルバムさえ作る予定なかったと思うんですよ。それがたまたま海外の一部のメタルファンの関心を引いたことで注目され、日本でもメタルファンやアイドルマニアからサブカル好き、そして数々のフェス出演を経て幅広い音楽ファンの心をつかみ、「ギミチョコ!」のブレイクをきっかけにあれよあれよという間に現在のスターダムへ。

このサクセス・ストーリーを「自分ごと」にできたファンの高揚感は半端じゃないと思いますよ。凄いのはあくまでBABYMETALであって、ファンが凄いわけではないのですが、ファンとしてはまるで自分が世界に認められているかのような麻薬的な承認欲求の充足を感じていると思います(一般にメタルファンやドルオタというのは日陰者が多いだけになおさら)。

日本の音楽ファンとしてこれほどの世界的なサクセス・ストーリーを目撃・体験できる機会というのはそうそうないだけに、彼女たちがどこまで行くのか、これからも注目していきたいと思います。

◆本作1曲目「Road of Resistance」

LOUD PARKでもなかなかソールド・アウトにならないさいたまスーパーアリーナを易々と埋めてしまう存在になってしまいました。

◆本作2曲目「KARATE」のMV

振付はPerfumeと同じ人です。

◆本作ラスト「THE ONE」のMV




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コメント

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ついにここまで来ました。

正直Wacken open airのture metal stage のヘッドライナーと、ビルボードのアルバムチャート1位を狙える地球上唯一の存在だと思います。
私も彼女たちを知ったのは震災直後の2011年3月ですが、当時Road of Resistanceみたいな曲があればもっと国内のメタラーにもアプローチできるみたいなことを書き込んだような記憶があります。
はい、実際のところ高揚感半端ないです。
本当にこのほとんどネタで始まった日本のアイドル企画が、世界を制するところまで来ていると思います。
アイドルという立場上活動期間の限界はあると思いますが、あと一歩で世界制覇なので頑張って欲しいですね。

いつまでネタだったんでしょう?

google play musicで聴けるようになって初めて聴いたくらいのにわかです。
KARATEの、PANTERAフォロアーっぽいイントロから、
女の子たちの「セイヤー」で椅子から転げ落ちそうになりますが、
だがそこがいい、ということなんでしょうね。
実際、現時点で唯一無比な存在ではあるでしょうし。

スタート当初はネタだったと書かれてますが、いつまでそうだったんでしょうか?
生バンドの服装はおれたちひょうきん族の懺悔室のヒトにしか見えませんし、
ある程度の時期まではネタだったのかな?と思うのですが。

最初から真面目にメジャーデビューしたであろうperfumeが口パクで(もちろんダンスがメインなんでしょうからそれでいいんですが)、
ネタで始まったbabymetalが生バンド・だいたい生歌のライブで勝負しているのを見ると、
本当に、何が起こるか分からんなあと思いました。

>アリオッチさん

2011年の3月は早いですね。「ド・キ・ド・キ☆モーニング」すら発表されていなかった時期ですから、さくら学院をご存じだったということですよね。

Wackenのトリもビルボードの1位も、現実的には相当高いハードルですが、「ひょっとしたらイケるんじゃないか」と思わせてしまう勢いが今の彼女たちにはありますよね。

プロジェクトのコンセプト的に、今回以上の成績を残せるとしたら次、だけでしょうね。
どこまで行けるのか、見守っていきたいです。

>完全にわかさん

いつまでネタだったかというと、このプロジェクトでのメジャーデビューが決まるあたりまででしょうね。
もちろんネタとはいえ、作る側としては「真剣にこだわって遊んでいた」と思いますし、だからこそ世界から注目されたのだと思いますが。

ダンス・ミュージックとちがってメタルはやはり生歌・生演奏であることに価値が認められる世界なので、そこは真面目さの問題というよりは勝負所の違いということなのでしょう。

まあでも、ここまで受けるとは誰も思っていなかったんじゃないですかね。
ある種の奇跡を目にしていることは間違いないと思います。

前作に比べて随分メタルサイドに寄せてきた印象で、アイドルとしての彼女たちが好きな人には刺激が強すぎるサウンドなのでは?と心配してしまいます笑
もろINHUMAN RAMPAGEの頃のドラフォ・サウンドな#1、ジャーマン・パワー・メタルな#5、某Yoshikiさんのバンドを彷彿とさせるパワー・バラード#10、プログレッシヴ・パワー・メタル組曲#11〜#12が特に気に入りました!

自分はEU盤を購入したため、#7がインストっぽい曲に差し替えられていました
国内盤の方が良さそうですね

鉄は熱いうちに打て、ネットからの発信性

adoreさん、はじめまして。BABYMETALにずっぽり
とハマっているリスナーの一人です。
最初は、ヘドバンギャーを見たのと、近所のCDショップに
大きなポスターが貼られており、1stへの購入に至りました。
当時は、ずいぶん斬新だなあと思ったものです。

もちろん、2ndも購入し、とても楽しんで聞いています。
SU-METALの歌唱力は、劇的に上がっていますね。
伸びやかでキレイなハイトーンと激しい演奏の
ぶつかり合いは、たまりません。

僕は、元々アイドルに興味がなかったのですが、友人から
教えてもらった【ももクロ】にハマり、そこからアイドルの音源を、
チョコチョコ聞きはじめています。
いま35歳になりますが、10~15年前のモーニング娘
(20世紀末?)とか、AKBには、まったくピンとこなかった
ので不思議な感じです。

adoreさんのレビューは、とても楽しませてもらいました。
ヘドバンの最新号も買ったのですが、この雑誌でも
メタル(ロック)とアイドルの親和性が、ここ数年で
メジャーになっている?という記事があったような。

ムラ社会としてだけではなく、音楽的なアプローチでも、
興味を惹かせるのは、大したものだと思いました。

話が変わりますが、Volbeatを発見したのも、このサイト
からなので、大変感謝しています。
今はAmazonだけでなく、タワレコやユニオンでも、
国内外で知名度に差があるバンドのCDが入手
しやすくなって、こういったスペースは本当に、
貴重です。

ただ、国内盤のリリースがなくなると、情報を探すのが、
大変になるのでは、と心配になります。

価格面でも、AmazonではBABYMETALの2ndが
発売前に、定価以上の値段だったこともありましたので。
この一件で、配信サービスの有用性が言われる事も、
肌で感じました。

いつもこのサイトを拝見しています。

ここでコメントされる方には申し訳ないです。
失礼承知で申し上げます。
とてもついていけない・・・
売り方は完璧です。そこは分かります。

adoreさん、HR/HMサイト的に、
日本代表HR/HMがこれってどうかしてません?

まとめてお返事

>元学生メタラーさん
私も思ったよりメタル色が強いな、と思いました。
メタルに興味がないBABYMETALファンがどのように感じたのか、興味深いですね。

EU盤は「シンコペーション」が入っていないとはけしからんですね。カッコいい曲なので別途何がしかの手段で聴いてみてください。


>田中さん
ももクロとBABYMETALはなんとなくファン層が重なっている気がしますね。そしてその層は典型的なアイドルファンとは若干嗜好性が異なっている気がします。

近年はその気になればかなりマイナーなCDでも容易に入手できるようになった反面、情報が多すぎて普通の人にはかえって自分に合う音楽が見つけにくくなったように思います。

そういう意味では、「国内盤リリース」という形である程度選別してくれるのは、私のように一日中音楽漁りをしている余裕のない人間には助かりますね。


>名無しのメタラーさん
音楽のように、生きていく上で特に必要ないものに関しては、ついていけないものに無理してついていく必要はないと思います。

現時点ではBABYMETALが日本で一番ホットなHR/HM関連アクトかもしれませんが、彼女たちのことをピュアなHR/HMアーティストだと思っている人はそんなに多くないと思いますよ。

少し前にNHKの特集を偶然見て初めて聴きました(この新譜の2曲目も生演奏でやっていましたね)。正直アイドル要素には興味が無いし曲も自分の好みには全く合わないのですが(好きな人にはごめんなさい・・・)、それでも耳に残るほどに印象的でしたしガンガン売れるのもわかる気がしますね。

>ハルディンさん

まあ、好き嫌いを問わずインパクトのある存在だと思います。
最近多い女の子によるアイドルグループの中でも、エッジの立ち方はNo.1でしょう。

だからこそ嫌いな人はとことん嫌いになるのかもしれませんが。