IRON MAIDEN来日公演 at 両国国技館 2016.4.20

両国国技館、日本人として一度訪れてみたいとは思っていましたが、まさかメタルのライブで行くことになるとは思ってもみませんでした。

というわけで行ってきました、8年ぶりのIRON MAIDEN来日公演。
会場の雰囲気に合わせて「アイアン・メイデン」とか「クリエイティブマン」「ラウドパーク」などとカタカナで書かれた幟が立っているのが笑えました。

本来2011年に行なわれるはずだった来日公演も当然チケットは取っていましたが、ご存じの通り東日本大震災で中止になってしまいました。

そして今回も来日直前に熊本・大分の大地震ですからドキドキです。もはやEARTHSHAKERに改名したほうがいいんじゃないでしょうか(不謹慎)。

仕事の打ち合わせから、そのまま流れるように両国へ向かう。開場時間である17時半をちょっとすぎたタイミングで到着しましたが、既に長蛇の列。

もはやクリエイティブマン恒例の開場遅れもあって、30分弱ほどの時間をかけて会場内に入り、チケットを取っていた枡席へ。

枡席、テレビなどで見たことはあったものの、こうしてみると想像していたより狭く、ここに大の大人が4人入ったらかなり密着を強いられそうである。他人同士だと結構キツい。しかも照明落ちた後に来たら自分の席を探すのが大変そう。

ほどなくして急遽前座としてブッキングされた、スティーブ・ハリスの息子、ジョージが在籍するTHE RAVEN AGEが演奏をスタートする。前回は娘、今回は息子と、スティーブ、なかなかの親バカです。

印象としてはBULLET FOR MY VALENTINEからスクリームなどのメタルコア色を抜いたかのようなモダンな感触のメロディック・メタル。

つまらなくはないのですが、特に際立った何かを感じることもない。曲がちょっと無駄に長いように感じられるのは(ジョージの)父親のバンドの影響でしょうか(苦笑)。

ステージングも、広さを持てあましている観があって、正直現時点ではアマチュアに毛が生えた程度かな…。とりあえずハリスの息子にオーラなし(笑)。

THE RAVEN AGEの演奏中に、一緒に観ることになっていた大学時代のサークルの友人が合流。残り2人分は空いたまま、IRON MAIDENのライブ開始を告げるSE、UFOの「Doctor, Doctor」が流れ出し、会場が沸き立つ。

いやホント、沸き立つという言葉がピッタリで、日本人にありがちな、「何となくお義理で声出して拍手しとこうか」みたいな感じではなく、もう「うおおおおおお!!」って感じなのです。この規模のオーディエンスをここまで熱くさせられるバンドはそうないですよ。みんな本当に楽しみに待っていたんだな、とちょっと胸が熱くなりました。

「Doctor, Doctor」が終わってその姿を現したステージは、かなり凝ったセットになっており、最新作「THE BOOK OF SOULS」の世界観を表現している。

中南米の(?)密林からエド・フォース・ワンが飛び立つ映像で劇的に幕を開けたショウは、「THE BOOK OF SOULS」のオープニング・ナンバーである「If Eternity Should Fall」でスタート。

正直な話、私にとってここ数作の彼らのアルバムというのは、半ば義務感というかお布施に近い感覚で買っているもので、愛聴しているとは言い難いというのが事実です。

なので、新作の曲が多いということについては、ロック・バンドのライブとしては健康的ながら、正直あまり嬉しいとは思っていませんでした。

ただ、こうして聴くと、「If Eternity Should Fall」はドラマティックでカッコいいし、続く「Speed Of Light」はアップテンポなドライブ感があって単純に気持ちいい。

やや渋めのクラシック、「Children Of The Damned」を挟んでプレイされた「Tears Of A Clown」も、後でプレイされた「Death Or Glory」と共に、正直スタジオ盤ではかなり退屈な部類の曲だと思っていましたが、こうしてライブで聴くと、意外とシンプルに盛りあがれる。なんとなくアメリカ人はこういう曲が好きなんじゃないかという気がします。

最新作の中では個人的に一番気に入っていた「The Red And The Black」ではヲーヲーという合唱が巻き起こり、かつて観た「Heaven Can Wait」を彷彿させました。こういう合唱の一体感が気持ちいいんですよ。この曲はインスト・パートをコンパクトにまとめれば相当な名曲になると思うのですが…。

いずれにせよ、期待していなかった新作からの選曲も、意外なほど楽しめたというのが正直な所。

元々音楽用のコンサートホールではないということで危惧していたサウンドも、思ったより悪くない。ただ、会場の構造上、席の場所によって聞こえ方は結構違いそうというか、二階席とかどうだったんでしょうかね。

前半のハイライトとなるべき「The Trooper」では、ブルース・ディッキンソンが恐らく衣装を着替えた際にマイクを忘れてセットに登ってしまったため、1番がまるまる観客のカラオケになってしまうという事態が発生。ある意味ショウの前半における最も印象的な瞬間になってしまいました。

今回のブルース・ディッキンソンの長袖の黒パーカーにアースカラーのカーゴパンツという普段着のような出で立ちは、個人的な趣味からするとロック・バンドのフロントマンらしさに欠けるのですが、「The Trooper」における恒例の軍服をはじめ、時折衣装替えがありました。

中でも印象的だったのはプロレスのような覆面マスク姿ですね。おそらく「THE BOOK OF SOULS」というコンセプトの舞台がマヤ文明=メキシコということで、当地で盛んなルチャ・リブレ(プロレス)のマスクを被ったということなのではないかと思われます。

まあ、私の世代だとキン肉マンマリポーサにしか見えなかったのですが(ボソッ)。

新作のタイトル曲「The Book Of Souls」では恒例のエディが登場。ブルースがエディから心臓(?)を奪い取り客先に投げ込む(心臓を奪われた後も普通に動いていましたが)。ヤニックがここでも自由にエディの股をくぐりまくっていました。

そして、個人的には「IRON MAIDENとはこういう曲をプレイするバンド」ということを説明するのに一番相応しい曲だと思っている「Hallowed By Thy Name」、そしてその「Hallowed By Thy Name」で提示された「メイデン流エピック」の完成型であり、最高傑作であると思う「Fear Of The Dark」の2連発で、ショウの盛り上がりは最高潮を迎えました。

同じタイプの楽曲を立て続けに演奏するのはセットリストの組み立てとしていかがなものかという気もするのですが、このクラスの名曲となれば問答無用でしょう。特に前回の来日公演の時同様、「Fear Of The Dark」におけるオーディエンスの合唱の力強さは鳥肌モノでした。

この時間帯になるとブルース・ディッキンソンの高音はややキツそうになっていましたが、57歳という年齢、舌がんの手術から回復してまだ1年ほどしか経っていないことを考えると超人的でしたし、特に序盤に関しては絶好調といっても過言ではなかったと思います。

ステージ・アクションも相変わらずカッコいい。文句なしにメタル界No.1のフロントマンです。さすがに8年前と比べると運動量は落ちていた気がしますが、これも年齢を考えると超人的。今回ジャンプが控えめだったのは、単にステージが狭かったからかもしれません。

本編ラストは定番の「Iron Maiden」。セットの後ろから『進撃の巨人』における超大型巨人のように巨大なエディの頭(バルーン?)が登場し盛り上がる。かつてこういう音楽以外の見世物をライブのステージに使うことを「子供だまし」と批判する人もいたようだが、彼らのようにドラマティックな音楽をプレイしているバンドであれば、こうした演出にもちゃんと必然性があると言えるだろう。

アンコール1曲目は、これまたバルーンと思われる、PVに出てくるようなモンスターの巨大な頭部がステージに登場し、彼らの代表曲のひとつである「The Number Of The Beast」がプレイされる。

その後、ブルース・ディッキンソンが「ここにいるみんなは国籍も何もかも超えて音楽でつながった兄弟だぜ」的な「いい話」をして、「Blood Brothers」がプレイされる。歌詞テーマ的にはライブ的にいい曲なのかもしれませんが、正直ちょっと地味なので他に聴きたい曲があったというのは事実です(笑)。

ラストは個人的にも大好きな名曲「Wasted Years」。終演後も「メイデン」コールが盛り上がりましたが、そこは大御所バンド、残念ながらというか当然というか、追加のアンコールなどはありませんでした。

しかしさすがの貫録を見せつける満足度の高いライブでした。というかもう、やはり格が違うんですわ、パフォーマンスの。カッコいいパフォーマンスをするメタル・バンドというのは数あれど、やはりメイデンは別格なのです。もうROLLING STONESとかAC/DCと同じ領域というか、メタルという異形の音楽をプレイしていてなお、こういうロックの普遍的なカッコよさを感じさせるライブ・パフォーマンスを見せてくれるのは彼らだけかもしれません。

唯一気になったのは、終始ヤニック・ガーズがあまりにも自由すぎる動きをしていることで「この人、重要な演奏パートを任せてもらってないんだな…」というのが丸わかりなことでしょうか(苦笑)。時々ソロを弾かせてもらっていましたが、ステージにおける役割は「ギタリスト」というより「ダンサー」という感じでしたね…。

あとはやはり枡席という特殊な席で、靴を脱いでライブを観るという体験がオツでした。またこういう席で観たいかと言われると、正直「もういいです」というのが本音ですが…。

本当は大学時代のサークル仲間4人で観に行くつもりで枡席4席を取ったのですが、社会人の悲しさで2人仕事で脱落。泣く泣くヤフオクで2枚売り払った(原価割れ…)のですが、結局私の枡には私ともう一人の友人以外誰も現れませんでした。転売ヤーさんが転売に失敗したんですかね。「ソールドアウトのはずなのに席が空いてる!」という現象のひとつの理由を見てしまった気がしました。

そして私は終演後会社に戻り、深夜3時過ぎまで働いたという悲しいアフターストーリーがあるのですが、それはここで語るべきことではないでしょう。

次回は8年も間隔を空けずに来てほしい、そして願わくば平日ではなく土日に来てほしい、それが社会人メタラーとしての切なる願いです。

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コメント

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エンパイアオブクラウズはやらなかったんですね

世代な者ですから…。

>私の世代だとキン肉マンマリポーサにしか見えなかったのですが


あまりの懐かしさにニヤ笑いしてしまいました(  ̄▽ ̄)。

ソールドアウト?

演って欲しい曲が多くて
前座は要らないかなというのが正直なところです(失礼)
最初にして最後(大袈裟)の可能性もなきにしもあらずですが
最新作を聴き込んでいないので
やや不満が...
そして周りに人が居なくて席を間違えたかと思いましたw
通路の反対側は埋まっていたのに...

私も初日に行ってきました。枡席だったのですね。うらやましいです。私は2階席最後尾、しかも横!だったので、見下ろす感じでしかも上に設置しているものが邪魔で見えにくかったです。レビューを拝見して「ああ、そうだったのか」と判明したり(The Trooperのときとか)。上司が席を確保してくれたので文句もいえませんが。ライブ自体は、やはりベテランは違うなと。ヤニックの立場は私も気になりました(笑)。弾いているよりもギター回しをしてる方が長いんじゃないかと。ただ、セットリストについては正直不満で、新譜の曲はやはりまったりしちゃいましたね。名曲がたくさんあるのでもっと聴きたい曲もありましたが、まあしょうがないか。でも楽しめたのも事実、来日したらまた行きたいですね。あと、ラウパの予約ができたのはラッキーです(振込を忘れないようにしないと)去年の顔ぶれがどんぴしゃだったので、今年も追加に期待です。ライブ、お仕事、お疲れ様でした!!

おつかれさまです。
国技館、先日w-inds.を観に行きましたが、武道館をコンパクトにした感じでなかなかいいなと思いました。
枡席は遠目に見ても独特な感じでしたね。

MAIDENは「DANCE OF DEATH」の武道館を最後に観たきりですが、そろそろ行っておくべきかと思いつつ、スルーしてしまいました。
今回NIGHTWISHも行けず、へこんでます(^_^;

21日に観に行きました。
本当に最高でした。
なんか上手く言葉に出来ないですね。
2000年の来日公演を観たときにも思いましたが、このバンドのヴォーカルはブルースでなければダメですね。
その事を改めて再確認させられた気がします。
個人的にはブレイズ時代の来日公演もみているのでなおさらですよ。
とにかく8年ぶりに観る事が出来て本当に良かったです。

まとめてお返事

>鼻毛女子高生さん
やりませんでしたね。さすがに長すぎでしょう。


>ゆうていさん
30代後半から40代半ばくらいの方ならわかりますよね。


>かつ丼さん
クラシックしかやらない前回の公演内容ならきっと満足できたでしょうね。
それでも並のバンドのライブよりはるかに満足度が高いと思うのですが。

周りに人がいなかったんですか。ある意味見やすいですが、ちょっと寂しいかもしれませんね。


>りょうさん
2階席の最後尾・それも横とは失礼ながらクソ席ですね。
私も武道館などでそれに近い席に当たったことがありますが。

ヤフオクでそれよりマシなチケットが半額ぐらいでいっぱい出回っていたので、そちらを狙ったほうがよかったかもしれませんね。


>かおるさん
w-indsからのメイデン、落差がすごいですね(笑)。
w-indsは特に初期に結構いい曲ありますね。

「DANCE OF DEATH」ツアー以来ということは前回はご覧になっていないのですか。あれは神だったのに…。
NIGHTWISHは私も仕事で行けませんでした。


>ランディさん
メイデンのライブの素晴らしさは、たしかに言葉にできないですね。
いや、もちろんどんなライブだって言葉で全て伝えることはできないのですが、特にメイデンについてはそう思います。

ブレイズ時代の来日公演をご覧になっているというのは、今となっては逆に貴重かもしれません(笑)。

20日に行ってきました。初メイデンだったため、興奮のあまり何が何やら。あまり覚えてないです(悲)。
The Trooperについてはマイクトラブルとはわからず、「え?歌わなきゃいけないの???」状態でした。1日しか行けなかったのがとても残念です。

2階席西のステージの真横でしたw
モニターも少し見づらかったです。
みんな、キャンセルしたんでしょうねw
2日行ければまた違ったかもしれないです。
今度は満遍なく聴きこんで また観たいです。

私も二日間升席で行ってまいりました。
二日目は私以外の3人が友達同士という、とても気まずい状況に、、(笑)
ライブはとても素晴らしかったですね!!
自分は事前にセットリスト調べて完璧に予習して臨む派なので、セットリストの不満はツアーが始まった時にひとしきり言ったので気になりませんでした(笑)

管理人さんは前回のツアーも行かれたんですか?
その時からメイデンを好きじゃなかったことを後悔するくらい良いライブでした。
次来日したら何がなんでも行ってやります!

初日を名古屋から観に行きました。
今回は何とか観に行けましたが、やはり、リーマンには平日縛りはキツイです…。
私は西側の2階席にいたのですが、終盤にギターの音がおかしくなっているように聴こえ、
「Fear of the Dark」あたりは少し残念なことになっていましたが、
それ以外は音響は良好で、国技館も悪くないな~と思いました。
確かに、上から見ていたら、升席は人口密度高そうでしたけど…(笑)

出勤中

読むだけで行った気になれる、すばらしいライブレポ。某メタル雑誌読むより、こちらのほうが面白いdeth

まとめてお返事2

>ririxさん
憶えていないなんて、それはさすがにちょっと興奮しすぎじゃないですか?(笑)
「The Trooper」は私も「えっ、まだ客が歌わないといけないの?」と戸惑いました(苦笑)。


>かつ丼さん
次回はもっといい状態で(そしてなるべく早めに)ご覧になれることを祈っております。


>エメッソンさん
あの桝席で自分以外の3人が友達は結構しんどいですね(笑)。
私は都合3回メイデンを観ていますが、正直前回が(選曲的な意味で)最高でしたね。と、後悔に拍車をかけてすみません(笑)。


>marochikuwaさん
名古屋からの遠征お疲れ様です。お休みを取られたということですよね。

桝席は4人揃ったら結構大変だと思います。
ぶっちゃけ環境的には2階席のほうがいいのでは…と思ってしまいました(笑)。


>学生気分38さん
いやいや、某メタル雑誌は少なくとも写真がありますし、文章量も多いからコンサート描写という意味では全然及びませんよ。
でも、そう言っていただけると嬉しいですね。ありがとうございます。

仕事が空けられないのが早くから確定していたので、チケットも取っていないからどうしようもなかったですが、レポを読むと「行きたかった・・・」と思ってしまいますね。

精力的に活動している彼らなので、また日本に来てくれるチャンスがあると信じて!

自分も1度だけ終演後会社に戻った経験がありますが、何というか、ものすごい虚無感・脱力感ですよね・・・。お疲れ様でした。

何故か

今回、会場が狭かったせいか、
ステージが小さい(狭い)と言う人が多いです。
ステージの大きさはツアー中ずっと変わりません。
ステージセットが入る前提で会場選定をしています。

よって、ブルースのジャンプが少なく感じたとしても、それはステージ(の大きさ)の問題ではありません。

>高3さん

私も含め、前回の来日公演との比較論で話す人が多かったんじゃないでしょうか。
ステージの広さ(ステージセット自体が違うので)も、ブルースのジャンプの大きさも。

BRAVE…の頃から、ステージの広さは毎ツアーほぼ同じです。

>666さん

私は「BRAVE NEW WORLD」ツアー以降のメイデンの来日はほぼ観ていますが、毎回ステージの大きさは(会場の大きさに比例して)違って見えているので、人の眼なんてアテにならないものですね(笑)。