PAUL LAINE / STICK IT IN YOUR EAR(1990)

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昨日レビューしたTHE DEFIANTSでヴォーカルを務めているのがポール・レインということで、久しぶりに彼のデビュー・アルバムを引っ張り出してきました。

80年代BON JOVIやAEROSMITHのメガ・ヒット・アルバムを手掛けたことで、売れ線HR/HMを手掛けたら当代随一とされていたプロデューサー、ブルース・フェアバーンの秘蔵っ子ということで、無名のカナダ人のソロとしては割と鳴り物入りでデビューしたようです。

どれくらい鳴り物入りかって、本作のリード・シングル「Dorianna」は発売当時日本でも8センチシングル(あの細長いシングル、今となっては買ったことない人がいっぱいいるんでしょうね…)がリリースされ、TBS系『世界ふしぎ発見!』のエンディング・テーマに起用されていたほど。

『世界ふしぎ発見』、親が好きだったので当時は結構観ていたはずですが、まったく記憶にないんですけどね(苦笑)。

内容はBON JOVIをさらに甘口かつポップにしたかのような徹底したハード・ポップ路線で、もうちょいギターをおとなしくしたら完全にポップスそのもの。

後年振り返ってみると、1990年というのは80年代半ばに始まるHR/HMのポップ化、大衆化が「行きつくところまで行った」年だったわけですが、本作は同じ年に発表されたFIREHOUSEの「FIREHOUSE」、NELSONの「AFTER THE RAIN」、POISONの「FLESH & BLOOD」、WARRANTの「CHERRY PIE」と並ぶ「バブル・メタル」の傑作と言えるでしょう。

プロダクション、楽曲、そしてポール・レインの歌と、そのクオリティに隙はなく、ルックスも(ちょっと田舎くさいですが)イケメンで、この手のアルバムとして何一つ問題は抱えていなかったにもかかわらず、本国カナダで小ヒットしたのみで終わってしまったのは、まあ、そろそろ大衆がこの手の音に食傷していたからなんでしょうね。

きっとあと3年早くデビューしていたら、「第二のBON JOVI」になれていたかもしれないのですが…。

当時『BURRN!』誌でも60点台をつけられて酷評されたようですが、それもクオリティの話というよりは、「もうこの手のヒットチャート狙いのサウンドはもうたくさん」という思いによるものだったと推察されます。

結果として翌年NIRVANAがブレイクし、この手のサウンドが世の中から一掃されるわけですが、その後吹き荒れたグランジ/オルタナティブ旋風の中、当時酷評した方も「まだこの手の音の方がマシだった」と思っていたのではないでしょうか(笑)。

ポール・レインはその後、同じくちょっとデビューが遅くてブレイクしきれなかったDANGER DANGERに加入し、そこそこの良作を残すわけですが、このアルバムほどの「キラキラゴージャス感」がなかったのは、時代の流れというものでしょう。もうあのキラキラしたゴージャスな時代は帰ってこないのです。寂しいですね。

ポール・レイン、なまじ華のあるルックスなので過小評価されがちですが(?)、ZINATRAの「THE GREAT ESCAPE」に提供した曲も良かったですし、本当に才能のあるソングライターだと思います。それはTHE DEFIANTSのアルバムでも充分証明されていると言えるでしょう。

なお、私が保有しているのは95年に『Long Island』から再発されたボーナス・トラック入りのもの。日本盤のオリジナルは違うデザイン(かなり酷い代物)だったようです。【85点】

◆本作収録「Dorianna」のMV


◆本作収録「Is It Love」のMV




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コメント

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GW素敵なレビューに感謝

この曲が『世界ふしぎ発見』に?なんとも時代のなせるワザですね。

サビの「ドリアーナ~」って響きも最高だし、ヴァン・ヘイレンの素が満載で、特にベースのつんのめった感も最高です。

スキッドロウのセバスチャンもカナダ人ですよね?カナダといえば、きん肉マンのカナディアンマンくらいしか重いつきませんけど、メタルをキャッチーに歌うことに長けた国なんでしょうか?つい、メタルだけで国民性を測ろうとしてしまします。

おっしゃる通りタイミング次第では、日本でも西宮球場で演奏したのはボンジョヴィでははく、ポールレインだったのかもしれませんね。

2曲目の「Is It Love」って曲はツボを押さえドラマチックでいいんですけど、「This」を「It」にしただけですよね?デヴィカバさんからクレームとか来なかったんででしょうか。

しかし同年に発表されている作品が凄すぎますね、こないだネルソンは新作出してましたよね、ファイヤーハウスとかも戻ってきてほしい。。。

ニルヴァーナの登場は痛手でしたよね。別にカートコバーンは嫌いではないし、「おっ!新しいな」と感心しましたが、まさかメタルが追いやられる事態になるなどとは重いませんでした。
あと並走してパンテラの登場(変貌)が、もうHR/HMの定義すらを変えてしまったような。パンテラも嫌いじゃないんですけど、こちら側に与えた影響が多き過ぎたのが無念なのdeth。。。

もう一言言わせてください

このDoriannaって曲のイントロですけど、ボンジョヴィの「シードントノーミー」と同じに聞こえてしかたありません。

https://www.youtube.com/watch?v=omLgJe9cnCw

懐かしいですね。
確か酒井氏がボロクソに叩いていたアルバムですね。
伊藤政則氏のラジオに出演した時も低い点数を付けた理由を話していましたね。
まあ、当時はこのような内容のアルバムは沢山ありましたからね。
時代を感じさせますね。

カッコいいですよね、これ。
評論家って一体何が仕事なんでしょうか
Burrnなんて今じゃ
疾走系メロスピメロデス嬢メタルやたらにに高得点付けるくせに

1990年ごろは聖飢魔Ⅱ0点に代表されるように尖がってた時期で
得点上げまくる今は丸くなりすぎたおじいちゃんって感じかな?
ディスクレビューにまで自分の思い出話ぶち込んでくるマサイトー先生は
手付けられねえ感じになってるし

ガラケー派何ですがねぇ

>カナダといえば、きん肉マンのカナディアンマンくらいしか重いつきませんけど・・・に思わず吹き出してしまいました。

まぁ、自分がカナダと聞いて最初に思い出したのはBlackBerryですけれど(^^;。
・・・カナダの至宝RUSHの存在感が(;´д`)。

後期LAメタル

第一期HMの黄金期?は Painkiller で終焉したと思ってます。

HR/HMが乱発される中で、後期LAメタル(じゃなかったらごめんなさい)で「これでご飯が3杯食べれる」と思ったのは、SkidRow と Winger の1st ぐらいだった、と記憶してます。(2ndはいずれも1stに及ばず。。。)

その他の後期LAメタルの代表格、Poison , Warrent , DangerDanger などは全くスルーでした。
LAメタルでも「アメリカン」なメタルはほとんど受けつけなかったですね~~~(しみじみ)。
Dokken,WASP、TokyoBladeあたりが主食で、唯一買い続けた「アメリカン」なLAメタルは Black'n'Blue ぐらい、かな?(なんせ約30年前。。。WarriorやKingKobraの1stもけっこうおいしかったです)

adoreさん、ほっっっっっっんとによく「お勉強」してますよね~~~ ^^

まとめてお返事

>学生気分38さん
「Dorianna」のイントロについては、恐らく当時同じような曲がゴマンとあったのではないかと推察します(苦笑)。そしてそういったことが低評価の理由だったのではないかと…。

しかしちょっとカナダのイメージ狭すぎませんか?(笑)。
かくいう私も大自然とウインタースポーツくらいしかイメージありませんが…。


>ランディさん
同じようなアルバムが沢山ある中で、クオリティの高い低いを見究めるのが評論家の仕事だと思うんですけどねえ…。
酒井氏は私が世界一信用していないレビュアーです。


>名無しのメタラーさん
少なくとも日本における洋楽評論家の仕事というのは限りなくバイヤーズガイドですね。

聖飢魔IIのレビューについては音楽のクオリティ以外の部分での問題だったようですが、そういう点数の付け方をする人のレビューは信用できないですね。

伊藤政則先生については、もはやロックを語ることが人生とイコールなのでしょう…。


>ゆうていさん
カナダと聞いてBlackBerryというのもカナディアンマン以上にニッチですね(笑)。実際に使っている人を1人しか見たことありません(笑)。

RUSHは大御所ですが、我々の世代だとHAREM SCAREMじゃないですかね?


>Metal88さん
アメリカン・ポップ・メタルな音を受け付けない人はいわゆるメタル・ファンの間でも多そうですね。
私は基本的にポップス好きなのでアリですが…。

本作はB!の再発盤レビューで絶賛していて、その後中古で安く見かけたので買いました。

単なる趣味なので、「お勉強」という気持ちはそれほどないんですけどね(笑)。

そういえばJUDAS PRIESTの「PAINKILLER」も90年ですね…。

「アメリカン」でも「哀愁系」であれば、主食なんです。
いわゆる「産業ロック」と言われた、Journey、Survivorの中期(84~86年)は、大好きです。

大御所ですと、「1984」はそれほどでもなく、「5150」は劇ハマりでした。
NightRanger は RockInAmerica のみ劇ハマり&1stはお気に入り程度、3rd以降は一通り聴きましたが「ふ~ん」って感じどまり。

Slaughter はダメでしたね~。
VinnieVincentInvasionの2ndはよく聞きましたが。
でもあの甘~い声質は生理的にダメです。。。

Firehouse と Steelheart は初聴が2ndだったせいか、ハマまりませんでした。
発売後15年以上たってから中古でFHの1stを聴きましたが、METALGATEでの再発盤の評価を読むまでは、イマイチだったのですよ!
思い返すと、グランジが台頭してきたあの時期によく検討したと思います。(KawasakiRockCityでは棒立ちでしたが。。。笑)
SHは1stが未聴です。(バラードの名曲がなんちゃら、って言ってましたよね?)

ニッチなところですと AtomicPlayboys と RedDawn が愛聴盤でした。
AtomicPlayboys はリマスター盤を買いなおすほどハマりました。基本的にダンサブルなのはダメなのですが、これは特別ですね。

同時期ですと、日本ではなんといっても Mr.Big ですが、2ndの前半以外は琴線に触れず。。。3rd以降は買いませんでした。

酒井氏は80年代のレビューは悪くないと思ってます。
90年代でよい仕事(レビュー)をしたのは、うろ覚えですが、下記の2点です。
1) Stratovarius の2nd収録「HandsOfTime」を指して「この1曲のためにこのアルバムを買っても惜しくない」
2) Twilightning のデビューアルバムで90点をつけたこと。

長々とお邪魔してしまいました。

【訂正】
再発盤 → リレコベスト

>Metal88さん

アメリカンでも哀愁系であればOKというのはB!誌の藤木氏などと同じ感覚で、よくわかります。もっとも「哀愁の有り無し」の線引きは人によってだいぶ異なると思いますが…。

そういう意味ではSTEELHEARTの名バラードとされる「She's Gone」は超哀愁系なのでぜひ聴いていただきたいですね(他の曲はそうでもないですが…)。
https://youtu.be/ICJs1CxCRt0

ATOMIC PLAYBOYSはカッコいいですね。私も大好きです。RED DAWNもKeyをフィーチュアしたメロディアス・ハードの佳作でしたね(どちらも聴いたのはリリースからだいぶ経ってからでしたが)。

酒井氏はイングヴェイとか、METALLICAとか、EUROPEとか、EXTREMEとかROYAL HUNTとか、期待されてるアーティスト、アルバムを貶すことで自己の特別な存在感をアピールしようとする姿勢が嫌いでした。
まあ、彼がどんなに貶そうと、どのバンドも成功したわけですけどね。

酒井氏について。
これは人によって解釈が異なりますね。

Burrn!の売却はやめましたのでこれから読み返す予定ですが、adoreさんのいうとおり「貶める」ことが本位だっだかもしれませんが、あえて自ら悪役となり、雑誌としてのバランスをとっていたのかもしれません。

2000年中期(あたり?)以降の、「レビューのほとんどが70点以上」&「インタビューや掲載バンドのスポンサー偏重型」のBurrn!は、病的というかメディアの機能として著しく低質化している、と思ってます。

当時の酒井氏は、編集長自らアンチテーゼとなり、健全な編集部育成&読者増加を目指していたのかも。。。
どんな会社でも、上司の意向を部下がはっきりと把握するってこと、あんまりないですよね。
なんといっても「Burn!創業者」ですから、当時の雑誌のありがたみを振り返ると、尊敬の念が消えることはありません。

1980年代のBurrn!は、結局手元に残し、adoreさんのような80年代HRHM研究者?に「貸本」しようかと計画中です。

ただいま旅行中につき失礼

『世界ふしぎ発見』を結構見ていたにもかかわらず覚えていないということは勉強ばっかりしていたか、あるいは、その時間帯は勉強疲れのあまりに机の電気をつけたまま寝てしまったということですね(笑)?

個人的にヒットチャート狙いのサウンドにあえて移行すること自体は悪いことではないし、実際に聴いてみたらいい曲だったので当時、酷評されていなければ日本ではもっと話題になっていたかもしれませんね。

私も1990年というと小学4年生だったのでほとんど覚えていません。たとえ友達とケンカしたとしてもよっぽどの悪い思い出でなければ子供というのはきれいさっぱり忘れるようにできているそうなので、当時はどんなアーティストが流行っていたかなんて忘れてしまいました。あえて挙げるならクラスの女子が光GENJIにキャーキャー言ってたぐらいですけどね(笑)。

HMHRが日本のテレビ番組のテーマソングに使われた、
というネタで一本書けそうですね ^^ 。

私が思い起こすのは、
・野茂がドジャースで活躍していたときに、スポーツ番組の野茂のニュースの前後で NoMore by Bonfire (ダジャレですね)
・CSIマイアミのエンディングで Superheros by Edguy
ぐらいです。

カナダと言えばTRIUMPHに決まっていますが。
もしかして、今時TRIUMPHなんて誰も知らない…?

まとめてお返事2

>Metal88さん
創業者といっても単なるシンコーミュージックの社員ですからね…。
彼の考える「健全な編集者」「健全な読者」「健全なHR/HMシーンの在り方」というものに私は全く共感できませんし、何かを貶めることで(それが正しいものであれ)目的を達成する、という考え方自体が人間としてどうかと思ってしまいます。

HR/HMはタイアップとしてはともかく、BGMとしては相当あちこちで使われていると思います。
何気なくつけていたテレビから流れたサウンドにハッとさせられることも多いですし、「ダジャレ選曲」に気付くこともよくあります(笑)。


>ストラディキャスターさん
90年というと私は中学1年生ですが、そんなに勉強してませんでしたね、残念ながら(笑)。当時の私にとっては何のインパクトもない曲だったのでしょう。

90年というとまだ光GENJIでしたかね。懐かしいですね。


>鼻毛超暴々さん
80年代のHR/HMファンにとってはTRIUMPH、90年代のHR/HMファンにとってはHAREM SCAREMでしょうね(RUSHを別格とすれば)。

90年代以降にHR/HMを聴き始めた人にとってはTRIUMPHはちょっとなじみが薄いかもしれませんね。私はたまたま聴く機会がありましたが…。