DYNAZTY / TITANIC MASS

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「生まれ変わり/再生」を意味するラテン語「RENATUS」をタイトルに冠した前作で、そのタイトル通りの変化を遂げた彼らの「再生」後2作目、通算5作目となるアルバム。

デビュー当時はワイルドでスリージーなロックン・ロール寄りのサウンドだったのが、前作でグッとパワー・メタル寄りのサウンドに変貌したわけだが、それはさながらSKID ROWのファーストからセカンド「SLAVE TO THE GRIND」への変貌を思わせるものがあった。

実際、ヴォーカルのニルス・モーリンは「人生を変えた5枚のアルバム」のひとつにその「SLAVE TO THE GRIND」を挙げており、セバスチャン・バックをフェイバリット・シンガーと公言しているので、実際この方向性の変化はその辺を意識しているのかもしれない。

前作も溌剌としたエナジーに満ちた傑作だったが、本作も同様の方向性の力作に仕上がっており、彼らが自分たちのサウンドを確立したことを窺わせる。

『BURRN!』誌のレビューではNOCTURNAL RITESやSYMPHONY Xを引き合いに出されており、モダンなセンスを持ったパワー・メタル・サウンドに熱唱型のヴォーカルという点ではまさに後期NOCTURNAL RITESだし(あそこまでドラマティックではないが)、ヘヴィなリフ・ワークとテクニカルなギター・ソロのコンビネーションという点でSYMPHONY Xに通じるものがある(あそこまでプログレッシヴではないが)。

アグレッシヴな中にもキャッチーなセンスもあり(#9「Crack In The Shell」、#10「Free Man’s Anthem」は彼らのキャッチーなセンスがよく出ている)、それでいて北欧のバンドにありがちな甘さに流れず、HR/HMが好きなら誰が聴いてもカッコいいと思えるであろう普遍的なカッコよさを備えたサウンドに仕上がっている。

そしてニルスのセバスチャン・バック型の「絶唱」ヴォーカルが、まるで少年マンガのような「熱さ」を感じさせるのも好ましい。HR/HMってこういう「俺は今、猛烈に熱血している!」みたいなノリを表現するのに向いている音楽形態なのに、意外とこういう路線のバンドって少ない気がするので、個性も充分。

個人的にはこういうヴォーカルがカッコ良くて、ギターが上手くて、充分にキャッチーではあるけれども、キャッチーさよりはアグレッシヴな印象が前に出るこういうバンドこそ「HR/HMの王道」だと思っているし、そういうポジションを築いてほしいと思っているのですが、ちょっと懸念もある。

というのも、現代の細分化が進んだHR/HMに「王道」なんてマーケットは存在しない、ということだ。「メロディック・パワー・メタル」「スラッシュ・メタル」「メロディアス・ハード」「プログレッシヴ・メタル」「メタルコア」「ロックン・ロール」など、わかりやすいラベルが付いたバンドでないと売れにくい。

そして本作のライナーノーツでは本作は「メロディック・パワー・メタル」と形容されており、確かに充分メロディックで、かつパワー・メタリックなサウンドなのだけれども、お聴きになればわかる通り、日本のメロスピ・ファンが「メロディック・パワー・メタル」と聞いて想像する音像とは距離がある。このバンドにはわかりやすいラベルが貼りにくいのだ。

「現代版METAL HEART」みたいなジャケットのアートワークも前作に引き続きなかなか内容を想像させにくいものだし、かつてのTWILIGHTNINGみたいに「普遍性と個性を両立させることを狙った結果、マーケットの居場所を失う」みたいな自体に陥ることをちょっと危惧してしまいます。

実際に見たわけではありませんが、なんとなくカッコいいライブをやってくれそうな気がするので、ぜひLOUD PARKに出演して、私のつまらない懸念などを吹っ飛ばすようなパフォーマンスを見せてほしいですね。【86点】

◆本作収録「THE HUMAN PARADOX」のMV



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コメント

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前作を聴いた時に「歌がロニーそっくりだ!」と思ったのですが、
実際にはバズから影響を受けてるのですね。

わかりやすいラベルが付いたバンドでないと売れにくい傾向は
なくなっていってほしいですね!
逆に初めて聴くメタルがこのバンドだったら、
その人には、これがメタルの王道になるんですから。

あー確かにこれはオーソドックスでカッコいいですね。
ただ若者人気が出そうなモダン性というか現代性?というか、
一昔前のBMVみたいなスタイリッシュさがあったらと思います。
それをやれば音楽性がやや変わってしまいそうですが、この音は捨て難い魅力がありますねうーむ。

王道か…王道は多分理想主義なんですよね
中途半端にしか言えませんのでここで留めておきます
もやっとさせてすみません

このバンドのメンバーは私と同い年なので、なんとなく応援したくなりますね。

まとめてお返事

>Loki Holstさん
バズと、デヴィッド・カヴァデールと、ロブ・ハルフォードに影響を受けているらしいです。

わかりやすいラベルが付いていると、安心して買えるというのは事実だと思います。ただ、わかりやすいラベルが付いてなくてもカッコいいものはちゃんと評価されてほしいですね。


>人さん
そう、このカッコよさは極めてオーソドックスです。
かといって古典的な「正統派」とは違うモダンなセンスもあるのですが、たしかにBFMVみたいなトレンディな感じはありませんね。

たしかに「王道」というのは観念的なもので、じゃあLED ZEPPELINやIRON MAIDENやMETALLICAは王道なのか? と問われると、どれも唯一の個性で「王道」という言葉では語りきれないものがあります。難しいですね。


>名無しのメタラーさん
そういう感覚ありますよね。
私も同い年であるEDGUYのトビアス・サメットにはそこはかとない親近感を覚えます(笑)。

今は電子系の音楽とアイドルなんですかねやはり…
それにしたって流行りが長すぎの気も

みな同じことを懸念してるようで早く新世代のメタルヒーローが誕生すればいいのですが…でもメタラーは新しいものに厳しいからなぁ…

引用

http://metallica.livedoor.biz/archives/51972027.html

-ハードロックの魅力と今後について

ハードロックの魅力はシンプルだった。私はそれがまだあると思っている。その魅力を持ち続けているクオリティを持つ新しいハードロックバンドがいないことを除いてね。ハードロックは魅力があった。基本的には、ニキビ顔で両親が嫌いで女の子にも好かれず不満の募っていた平均的な15歳の男性にとってね。そして驚いたことに、自分のような人たちが他に1万人もいたというわけだ。問題は、興味深いことにハードロックでは、我々はいつだってこう頼んでいるってことだ。新しいメタリカはどこにいるんだ?頼む、そこらに25歳以下のハードロックバンドで誰かいないか、私に連絡してくれ。我々はキミたちを必要としている。

「メロディックハードロック」あたりですかね~(自分でも疑問)。
熱さは十分ですが、パワーメタルというには、もちっと突進感が必要かな。と。

私は「ハードロック」カテゴリは、こんな風に分類してます、感覚的に。

・クラシックハードロック UFO、Scorpions, ThinLizzy, 初期JudasPriestなど
・ブルースハードロック Cinderella, GreatWhite, Badlands, 今のEurope など
・ヘヴィハードロック Candlemass など (このジャンルはほとんど聴かないので^^;)
・メロディックハードロック Dynazty, Poodles, 初期Europe など

スラッシュメタルやパワーメタル、デスメタルぐらい激しいものは「ヘヴィメタル」カテゴリ、かな???

>人さん

新しいメタリカ、出現してほしいですね。

「ニキビ顔で両親が嫌いで女の子にも好かれず不満の募っていた平均的な15歳の男性」、たしかに私が子供の頃はまだこんな感じでしたが、最近の子はみんな小奇麗だし、両親もものわかりがいいし、昔ほどフラストレーションの解消になるようなヘヴィな音に飢えていないのかもしれませんね(苦笑)。

というのは半分冗談ですが、70年代や80年代と違って、「刺激的な音」の選択肢がHR/HM以外にたくさんあるだけに、なかなかかつてのようにHR/HMが盛り上がるのは難しそうですね。


>Metal88さん

個人的にはこれくらいの音圧があればメタルだと感じますが、ハード・ロックであるという主張を覆すような根拠があるわけでもないので「メロディック・ハードロック」とお感じになるのも別におかしくないと思います。

この辺の線引きはどうしてもある程度個人の主観に左右されるので「ジャンル論争」というのは常に活発なのだろうと思います(笑)。

「メタル」の部分って、ヴォーカルの高音部やスクリーム&シャウトだと、80年代当時から感じてました。
ロブ、ブルース、ジェフ・テイト、ポール・ディアノ、RIOTのトニー、EXCITERのダン、RAVENのジョン などなど。

数年前ですが、発言者はデーモン閣下だったかな?
「ハードロックとヘビーメタルの違いは、ヘビーメタルには様式があること」
とかなんとか読んだ記憶があります。

爆発寸前

ポールレインが我が家に届いて間もないのに、これまた素敵ソングレビューですね、繰り返し聞きました。
最初はギターがガスGっぽいなとか重いつつ、メタルらしいはあるのに、そこまで重さを追及したわけでもない耳あたりの良さと、どこか懐かしいのは何故?
行き着いた結論が、この曲ってエックスに沢田泰司氏、松本秀人氏がいたら、何枚目かのアルバムの1曲目はこんな感じだったかもという妄想が爆発寸前、展開や意図するところがJadeあたりに通ずるものを感じてしまいます笑
なんで、ライナーノーツに一部「エックスにヒデ、タイジがそのままいたらこんな感じだったかもよ?」って加筆することを提案したいのdeth笑

>Metal88さん

70年代全盛期のロバート・プラントやイアン・ギランの高音もかなりのものだったと思いますから、スラッシュ以前のHR/HMにとってはハイトーンであることは基本だったという印象もありますね。

ハード・ロックとヘヴィ・メタルの線引きについてはサイトで書いた↓の文章が私の認識ですが、このページがアクセス解析を見る限り一番コンスタントに検索でアクセスされているページなので、多くの人の関心を引くテーマなのでしょうね。
http://www.metalgate.jp/C_diffarence.htm

>学生気分39さん

ソングレビューというか、アルバム・レビューですね。

HNの変化は、もしかしてお誕生日を迎えられたのでしょうか。
だとしたら私と同い年ですね(笑)。

言われてみると確かにこのバンドのリフに漂うモダンなセンスというのは、ひょっとすると90年代後半以降のX JAPANが志向していたものに近いかもしれませんね。

70年代全盛期のロバート・プラントやイアン・ギランは、じつはまともに聴いてません。
が、察するにかれらのハイトーン唱法は部分的な「シャウト」ではなかったか?と思ってます。(Zeppelinは1stを聴いて撃沈しました。のでそれ以降のアルバムは一切聞いていません、未だに^^;)

高音のスクリームは、喉への負担への分類で、ハードスクリームはロブが、ソフトスクリームはクラウスが初代なんじゃないか、って想像してます。

>Metal88さん

音楽の分類については色々な考え方がありそうですね。

個人的には、ジャンル分けというのは他人に説明するときにわかりやすくするための便宜的なものなので、どれだけ一般的な「共通認識」に近いものを持てるか、ということにしか意味がないと思っています。

バンドによっては、自分たちの音楽はオンリーワンだとおもっていたりするでしょうしね(笑)。

いいですねー!

このバンド、もっとLAメタル的なちゃらちゃらした音楽性だと思っていて敬遠していましたが、たしかに後期NOCTURNAL RITESを彷彿とさせる熱い正統派メタルサウンドですね!(それにしてもNOCTURNAL RITESは一体どこへ?)
早速Amazonでポチらせて頂きました!

今年は現時点だけでもBEST10を選出できるほど個人的にツボなアルバムが多いです。
あと5月はVEKTORの新作が非常に楽しみですね。

>元学生メタラーさん

確かに前々作までは大筋でグラム・メタルの流れにあるスリージーな感覚がありましたが、前作で化けました。カッコいいですよね。

VEKTOR、B!誌でも高得点でしたし、プログレッシヴ・デスラッシュ的な音が好きな方は注目ですね。