BLACK EARTH 来日公演 at 東京 渋谷CLUB QUATTRO 2016/5/25

ARCH ENEMYのデビュー・アルバム「BLACK EARTH」リリースから20周年を記念して結成された、オリジナル・シンガーであったヨハン・リーヴァが、当時の(厳密に言えば「BURNING BRIDGES」期の)ARCH ENEMYのメンバーをバックに、自らが在籍していた時期のARCH ENEMYの名曲のみをプレイするプロジェクト、BLACK EARTH。

その来日公演(というか現状日本限定のプロジェクトのようだ)の東京会場がクアトロと聞いて、ARCH ENEMY本体じゃないとはいえ、さすがにそれは小さすぎるんじゃないの、と思っていたら案の定、近年のHR/HM公演にしては珍しい即完だったそうです。

だからせめてO-EASTにしておけばよかったのに、と思っていたら追加公演が組まれたので、足を運んできました。こんなに小さい会場でARCH ENEMY(ではないが)を観るのはかつて原宿アストロホールで観たとき以来だ。

平日の追加公演ながらソールド・アウト。HR/HM系のライブでここまで人口密度を感じたのは久しぶりだ。例によって仕事で開演直前の到着となったため、会場の上手(かみて)側の後方に陣取る。

私がフロアに入場してほどなくしてBGMが、BGMではない音量の「Ace Of Spades」(MOTORHEAD)に切り替わり、それがショウの幕開けを告げるものであることを知っているオーディエンスから歓声が上がる。

ショウはそのタイトルに反して「BLACK EARTH」アルバムに収録されていない「Black Earth」でスタート。彼らのレパートリーの中では比較的地味な部類の曲だと思っているが、このプロジェクト名だけにこの曲でスタートするのは必然性がある。

2曲目に人気曲「The Immortal」がプレイされると、場内に「ヨハン」コールが満ち溢れる。人口密度もさることながら、フロアにいるオーディエンスの熱気も近年のHR/HM系のライブではなかなかお目にかかれないレベルの高さだ。楽曲中のメロディアスなギター・フレーズは(恐らく合唱を想定していないようなものまで)ヲーヲーと合唱しまくり、クラウドサーフが行なわれる頻度も高い(というか、私が最近あまりそういうライブを観に行ってないだけかもしれませんが)。

ヨハン・リーヴァはLOUD PARKで観たときにはやっぱり現在のARCH ENEMYのフロントを張るにはいささかパフォーマンスがB級すぎる、ありていに言えばアンジェラやアリッサに比べてカリスマ性が無さすぎると感じたが、こういう小さいクラブであればそのアングラな存在感がむしろハマる。

なんかアニメに出てくる「悪役側なんだけど、なんか悪役になりきれない愛すべき敵キャラ」みたいな雰囲気のヨハンは、デス・メタルらしい禍々しさを表現しようとしつつもどこか重みに欠けるステージ・パフォーマンスが可愛らしい(?)。

何しろ自分がARCH ENEMYを脱退してからバンドはみるみるビッグになっていっただけに色々と思う所があったと思いますが、こうして再びオーディエンスの熱烈な歓迎を受け、ヨハンは本当に嬉しそう。

あまり上手ではない、しかしそれだけに日本人には聞き取りやすい英語でしゃべってくれるし、「なじみの顔がいるな、お前も、お前も、見覚えがあるぞ!」(きっと全国追っかけている人も多いのでしょう)とフロアをあちこち指差しながらフレンドリーに話しかけてくるあたり、その顔に反し(?)「いい人」感満載です。

ただ、ステージ上で一番アグレッシブに動き回っていたのはシャーリー・ダンジェロ(B)で、まあこれはいつものこと。ガタイがデカいだけに、本日のステージは狭そうです(苦笑)。

私の位置からは(前の人の頭で隠れて)マイケル・アモットはほとんど見えなかったのですが、要はほとんど動かなかったということでしょう。

個人的にはは2曲目からの「The Immortal」、「Dead Inside」、「Pilgrim」という、メロデス史上で5本、いや3本の指に入る名盤と確信している「BURNING BRIDGES」アルバムからの名曲3連発でもはや元が取れたという感じです。

プロジェクトの趣旨からいえば、10曲目からの「BLACK EARTH」アルバム完全再現がこのショウの目玉だったのだろうと思いますが、個人的なハイライトはその直前、「Let The Killing Begin」から「Angelclaw」の流れでした。「Angelclaw」はかつてライブで聴いたときにも(その時のシンガーはアンジェラでしたが)あの疾走パートでゾクゾクしましたが、こうして聴くと改めてライブ映えが半端ない。毎回やってくれればいいのに。

「BLACK EARTH」アルバムのラスト・ナンバー(日本盤ボーナストラックを除く/笑)であり、今夜のショウの本編ラスト・ナンバーである「Fields Of Desolation」のエンディングのギター・ソロ、マイケルとクリスの兄弟が揃ってのツイン・ギターのハモリは圧巻でしたね~。これぞツイン・ギターの醍醐味。全身総毛立ちました。

一旦ステージから下りると、たちまち巻き起こる「BLACK EARTH」コール。その熱気にほだされるかのようにほどなくメンバー再登場。かつてIRON MAIDENのトリビュート・アルバムに提供していた「Aces High」をプレイ。メタル・ファンであれば必ず盛り上がる鉄板の選曲だ。

セカンド「STIGMATA」のリード・トラックであった「Beast Of Man」を挟み、恐らく日本では彼らの楽曲中でもトップクラスに日本人好みな名曲「Silverwing」がプレイされる。

そのデス・メタル離れした爽やかなメロディに包まれ、これでショウが終われば明るい気持ちで帰れるというものですが、彼らは北欧のメロディック・デス・メタル・バンド、笑顔で帰すわけにはいきません(?)。

ショウを締めくくる定番曲のひとつである「Bridges of Destiny」(なんかこの曲のときだけスネアドラムの音が変じゃありませんでした?)、そのエンディングのギター・ソロでたっぷり泣かせて、熱いライブが幕を閉じました。

以下、本日のセットリスト(たぶん今回のツアー共通?)。

1. Black Earth
2. The Immortal
3. Dead Inside
4. Pilgrim
5. Sinister Mephisto
6. Diva Satanica
7. Tears of The Dead
8. Let The Killing Begin
9. Angelclaw
10. Bury Me an Angel
11. Dark Insanity
12. Eureka
13. Idolatress
14. Cosmic Retribution
15. Demoniality
16. Transmigration Macabre
17. Time Capsule
18. Fields Of Desolation

アンコール:
19 Aces High
20 Beast of Man
21 Silverwing
22 Bridges of Destiny

ふとこういう、「オリジナル・シンガーが過去在籍していたバンドのベスト選曲で歌うプロジェクトのライブ」、というコンセプトにデジャヴを感じたわけですが、何のことはない、つい先日観てきたDIRKSCHNEIDERのライブでした(笑)。もっともあちらはヴォーカルだけがオリジナル・メンバーだったわけですが…。

きっかけはやはりLOUD PARK 15での共演だったのでしょうね。あのときのヨハン・リーヴァは本当に嬉しそう&楽しそうでした。「ヨハンのいるARCH ENEMYを観たい」というニーズがビジネスとして成立するほどあって、本人がやりたがっているということであれば、ヨハンとプライベートでは今でも親友だというマイケル・アモットとしてやらない理由はなかったのでしょう。

幸いなことに現在のARCH ENEMYのヴォーカリストは未だ「新入り」で自己主張の発言権が小さいであろうアリッサですし(笑)。

ていうか、現在同時期に行なわれているKAMELOTの来日公演でアリッサも今日本にいるんですよね。自分が所属しているはずのバンドが、違うヴォーカリストを迎えてライブをやっているというのはどんな気分なのでしょうかね。

私は別にヨハン期至上主義者ではなく、アンジェラの時代も、現在のアリッサも好きです。そしてそもそもフロントマンとしてはヨハンよりもアンジェラやアリッサの方がスター性があると考えており、現在のARCH ENEMYの地位はヨハンが歌い続けていたらなかっただろうと思っています。

それでもARCH ENEMYで一番好きなアルバムは、と訊かれたらやはり「BURNING BRIDGES」なわけで、ヨハン時代に特別な思い入れがあることも事実。そして本日のライブはその思い入れに100%応えてくれる素晴らしいライブだったと言えるでしょう。

ただ、私が唯一恐れているのは、未だ発表されないLOUD PARK 16における恒例の「アモット枠」。それがこのBLACK EARTHなのではないかという事態です。何しろ昨年のDRAGONFORCEの例(単独公演が終わった後、LOUD PARKへの出演が発表された)があるだけに…。

CAIN’S OFFERINGも「この機を逃したらもう一生観れないかも!」と意気込んでライブに足を運んだらあっさりLOUD PARKへの出演がアナウンスされてちょっとズコーという感じでしたが、同じことが起こりうる可能性は決して低くないと思っています。

とはいえ、LOUD PARKであればここまで充実したセットリストを堪能することはなかったであろうし、ヨハンが輝くのは小さいハコだと思われるだけに、ここで観ておいて良かった、と自分に言い聞かせている今現在です(笑)。

それでは2年後、「STIGMATA」というプロジェクトでまた会いましょう(笑)。
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コメント

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ライブ観戦とレポ、お疲れ様です。
Kamelotではなく
こちらに行けば良かったと後悔しています。(Kamelotのライブも大満足でした)
メロデス好きになったのは
ヨハン在籍時のアルバムなので
本当はチケットがソールドアウトしなければ
17日に観に行っていました。
観た人は、嫌でしょうけど
ラウパに参戦して欲しいです(笑)
個人的にスピベガよりはいいです(笑/失礼)

僕はどちらかというとアンジェラ以降の方が好きだったので、何となく行くのを躊躇していたら、あっという間にソールドしてしまいちょっと後悔しました。申し訳ないですが僕もLOUD PARKにBLACK EARTHが出演してくれたらちょっと嬉しいです(笑)

去年見て思ったのですが、やっぱりヨハンのステージングは地味なんですね・・・。でもそのアングラ加減が真正デスメタラーにはハマるのかも。たとえ華がなくとも嬉しそうに目一杯パフォーマンスする愛すべきヴォーカリストをぜひ間近で見てみたかったです。

>かつ丼さん

私は私でKAMELOTを観ておけばよかったかな、という思いがありますよ(笑)。

まあ、実際の所、今回のツアーを観た、というレア感を誇りたい人以外にとっては、LOUD PARKで歓迎されるのはSPIRITUAL BEGGARSよりBLACK EARTHでしょうね(笑)。

>翔さん

ARCH ENEMYが好きで、かつ今回のツアーを観ることができなかった人にとってはLOUD PARKにBLACK EARTHが出演するのはむしろウェルカムなんでしょうね(笑)。

ヨハンのステージング、地味というわけでもないんですけどね(もっと動かない、喋らないフロントマンはいっぱいいる)。
ただなんでしょう、いわゆる「華」がないんですよね。「愛すべき陰キャラ」というのが彼の宿命なのでしょう(笑)。

2年後のSTIGMATAですか...
多分、来るでしょうね(笑)
個人的には、その次のBURNING BRIDGEを観たいです(苦笑)
Kamelotはラウパの拡張版という印象があったため
あのようなコメントになってしまいました。

>かつ丼さん

STIGMATAやBURNING BRIDGEまで実現してしまうと、さすがにアリッサが「あたしの立場はどうなるの」とキレそうですけどね(苦笑)。

KAMELOTはセットリストを見る限りラウパの拡張版ですね。
でも今のコンディションの良いバンド状況で「Center Of The Universe」や「Karma」を聴くことができたというのは羨ましい限りです。

これって
お兄ちゃんの弟救済プロジェクト?

まあ、大満足でしたから文句言えませんが・・・

>名無しのメタラーさん

まあ、このプロジェクトで経済的にメリットが大きいのはヨハンとクリスの二人でしょうね。

とはいえこのラインナップでのライブを観たい、というファンも多いわけですから、そういうファンとしては無邪気に楽しんでいいのではないでしょうか(笑)。

BLACK EARTH最高でしたー。

すみません、BLACK EARTH、KAMELOT両方観にいった者です(笑)。

LOUD PARK 15でのヨハンはキメのポーズもなく、
ステージをウロウロしていたイメージがあったのですが、
今回はやたらとヨハン・コールも多くてハコが小さいこともあり、
動きが少なくともパフォーマンスは楽しめました。

「Fields Of Desolation」演奏時はさすが名曲、スマホの花が咲いていました。

LOUD PARK 16での「アモット枠」は、もはや「ラウパ名物ARCH ENEMY」
なのでこちらの参戦を希望します。
只、インタビューでアモット兄がヨハンは現在定職(印刷業??)についており、
長期のバンド活動は難しいと語っていたと思いますが?

>Fuck-Lowさん

両方ご覧になるとはライブ密度高いですね(笑)。

LOUD PARK15のときはやはりちょっと緊張していたのかもしれませんね。
今回はその時よりアクションがありましたが、やはり大ステージでは寂しい感じになりそうな気がします(笑)。

仕事については、あちらは雇用の流動性が高いようですし、長期の休みが取りやすいみたいなので、何とでもなるのかもしれませんね。

レポートお疲れさまです。
私は迷った末に、kamelotのライブに参戦してきました。
kamelotのライブもかなり盛り上がっていて素晴らしかったのですが、BLACK EARTHのライブも良かったみたいですね。
今年は行きたくても行けないライブが多くて困ります…
管理人さんには悪いですが、行けなかったnightwishと共に、BLACK EARTHもLOUD PARKで見れる事に期待します(笑)

>ryopooさん

近年特にその傾向がありますが、観たいアーティストのライブが特定の時期に集中することが多いんですよね。

さすがに月に何本も観るのはスケジュール的にも経済的にも厳しいので、うまく分散して来てほしいですね。

BLACK EARTHが来ることについては、どうやらLOUD PARKに来るのが多くの人の幸せにつながるようですね(笑)。