RUN FOR VICTORY / GAME OVER

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プロジェクト名やアルバム・タイトルのセンスがややアレな感じながらも、「BURRN!」誌で94点を獲得した(レビュアーは藤木氏)話題の1枚。

同誌のレビューは、クロスレビューになるような大御所関してはもはや「盛られる」のが当たり前、という印象だが、単独の編集者によるレビューであれば、その人の嗜好が自分に近いと思われる限りにおいてはまだ興味喚起につながっている。

しかし本作については、個人的にはちょっと期待した音とは異なっていた、と言わざるを得ない。

本プロジェクトは、スウェーデン出身のソングライター/マルチ・プレイヤーであるエリック・リボムのソロ・プロジェクト。

エリック・リボム氏はスウェーデン人でありながら、基本的にはJ-POPおよびK-POPのアーティストに楽曲提供をしており、嵐やKis-My-Ft2、TOKIOにV6といったジャニーズ系、三代目J-Soul BrothersをはじめとするEXILEファミリー、そしてBoAやKARA、少女時代、FTISLANDといった韓国のアーティストの大ヒット曲を数多く手がけ、オリコンNo.1獲得数は40曲を超えるという。

欧米の音楽よりJ-POPが好き、というマーティ・フリードマンみたいな人なのである。

ちなみに、これまでなぜか今年のLOUD PARKで来日予定のMASTERPLANに何曲か楽曲を提供しており、彼のディスコグラフィーにおけるHR/HMとの接点はそれくらいだ(あとはDEGREEDやCYNTIAに関わっているくらい)。

「BURRN!」誌のレビューでは「キラキラ輝く胸キュン・メロディと重厚なハーモニー、カラフルなアレンジと予想外の展開美を持ったハード・ポップ」とのことで、まあ実際本作を言葉で表現するとそんな感じではあるのだが、そもそもこれはハード・ポップなのか、という所から疑念が残る。

同レビュー内でA.C.Tに例えられているが、ロビー・ヴァレンタインの描く世界にも近く、HR/HM的な要素は確実に存在するものの、音楽の根底に流れる一番ベーシックな感性がHR/HMのそれとは異なる感じ。

間奏部がネオ・クラシカルだったり、ちょっとデス声が入ってみたり、プログレッシヴ・メタル的な変拍子を取り入れていたり、2バスで疾走してみたりと、HR/HMファンをくすぐるパートは随所に登場するのだが、楽曲の骨格がちょっとポップすぎるかな。

あらためて聴いてみると1曲目(「Shred Is Not Dead」というタイトルは良いのですが)のイントロがファニー過ぎてズッコケるのと、冒頭3曲が特にポップかつコンパクトな曲で、すっかり出鼻をくじかれてしまうのが本作の印象を悪くしている気がする。

#7「The Hunt」のようなモロにネオクラ路線の曲とはいわないまでも、せめて#5のタイトル曲や#6「Day After Day」くらいにはエッジとフックのある曲が1曲目だったら多少印象が良くなった気もするのですが。

エリック・リボム氏の歌声も、よく聞けば結構「北欧タイプ」の甘いハイトーンなんだけど、本作のメインを占める明るめのメロディを歌ってしまうと単にチャラい声に聞こえてしまうかも。

まあ、職業ソングライターによるハード・ポップ・アルバムということで、勝手に「Frontiers Records」から濫発されているような作品の上質なやつを期待していたのが悪かったのでしょう。

とても個性的なサウンドであり、かつ音楽としてのクオリティは高いのですが、ちょっと期待したものとは違っていたために不満を感じることになってしまったという不幸な事例です(苦笑)。

Amazonのレビューも不評な感じ。これが80点台前半から半ばだったら誰も文句言わなかったと思うのですが、そもそもその点数だったら買わなかったというヤツですかね(苦笑)。

◆本作のティザー映像



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コメント

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藤木信者参上!

BURRN!の編集者の中で、藤木氏こそ我の感性にもっとも近し者と勝手にシンパシーを抱いているのですが、時折騙される事が有ります。彼の好みは我よりもPOP過ぎるのです。

という訳で、いかに藤木氏のオススメといえど、今回はパス1択です。

No title

釣られましたね~(笑・でよいのかな?)

でも、このチャレンジング精神もMETALGATEの魅力の一部であるので、この手の記事もとても楽しめます。
特にBURRN!を買わなくなった身としては。(人柱に感謝)

藤木さんは昔から基本的にメロ重視で、巻末のお気に入り10曲でもアイドルもどきやらいろいろと取り上げてきたので、そんなに驚きはありません。
ですが、雑誌の趣旨(HRHM)を考慮すると、ちょと点数のつけ方は適切ではないような。(youtubeのみでの判断ですが)
以前存在した、編集者ごとのピックアップコラムで絶賛する、ならこんな「惨事」も起きなかったでしょうね(苦笑)。

Game Overと聞いて

てっきりこっちのGame Overかと思ったら・・・。
https://youtu.be/QAl9knhZR0o
失礼しました。

まとめてお返事

>ゆうていさん
藤木氏の「メロディ重視」という姿勢には共感を覚えるのですが、実際藤木氏が絶賛する音楽を聴いてみて思うのは、彼の感じる「良いメロディ」と私の感じる「良いメロディ」にだいぶ距離感があるということです(苦笑)。

結果として、特にメロディ派とはみなされていない大野氏や前田氏の推す音楽の方が肌に合う、みたいな事態がしばしば発生します。


>Metal88さん
いやいや、私は得体のしれない輸入盤とかにはほとんど手を出しませんし、基本はB!誌で高く評価されているものばかり買ってますから全くチャレンジングではないです。

本作に関してはおっしゃる通り、「今月のおすすめ」で取り上げるくらいにとどめてほしかったですね(笑)。


>HDMさん
私が「GAME OVER」と聞いて思い出したのはむしろこちらでしたね。
https://www.youtube.com/watch?v=xfNM2qNZa2U

No title

正直期待はずれなアルバムってのが本音ですね。

ラジオでタイトル曲を聴いたときは「いいね!」って思いましたし、
94点もありえるかもしれないと思いました。

僕はHR/HMがポップ過ぎても構わないってタイプですが全体的に似た曲が多いのでいまいち耳に残らないんですよね。
仮にB!の点数が80点台前半から半ばぐらいだとしてもタイトル曲は素晴らしいので僕は買っていましたけど(苦笑)

アルバムとしては同日発売のFirst Signalの方が断然好印象でした。

まあ次に期待ですね。

>ノバックさん

実際にちゃんと音を聴いて期待して、点数がそほどでなくても(笑)買った人でさえ期待外れだったとは。

よく聴けばそんなに似た曲ばかりでもないのですが、なまじ世界観に個性が強いだけに、どの曲も印象が同じになりがちな面はありますね…。