SABATON / THE LAST STAND

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LOUD PARK 15におけるインパクト抜群のステージによって、日本における注目度を飛躍的に向上させたスウェーデンの大人気バンド、SABATONの通算7作目となるアルバム。

プロデュースはここ数作同様、HYPOCRISYのピーター・テクレンが手掛けている。

日本での歓迎ぶりは中心人物であるヨアキム・ブロデン(Vo)にとっても印象深いものだったようで、オフにはプライベートで京都を訪れたり、日本の歴史についてネットで調べたりしていたという。

その成果が、西南戦争最後の戦いとして知られる「城山の戦い」をテーマにした#9「Shiroyama」である。

その曲を含め、1879年の南アフリカにおけるズールー族とイギリス軍の戦いをテーマにした#6「Rork’s Drift」や、1988年のアフガニスタン戦争をテーマにした#8「Hill 3234」、など、これまで欧米における戦いばかりをモチーフにしてきた彼らの歌詞世界がよりインターナショナルになっているのは、これまで欧州に支持が偏っていた彼らの「世界制覇」に向けた意志の現れ、と見るのはいささか穿ち過ぎだろうか。

音楽的にはこれまで同様、Keyとクワイアによるシンフォニックかつゴージャスなアレンジを纏った勇壮かつキャッチーなパワー・メタルで、これまでの彼らの音楽が気に入っている人であれば安心して聴ける仕上がり。

楽曲のクオリティ自体はここ数作のアベレージを超えるものではないが、彼らの場合楽曲のクオリティのアベレージ自体が高いので、むろん捨て曲などはなく、こうしてスタジオ音源で聴くのはもちろん、ライブで聴いたらさらに盛り上がれるであろう楽曲が揃っていることは間違いない。

楽曲のモチーフが常に「戦い」であるために金太郎飴的に映りがちな彼らのサウンドだが、ややモダンなリフや、フォーキッシュなアレンジなどを組み込んで巧みに個々の楽曲のバラエティを演出しているそのソングライティングの巧みさはもはや職人芸の域。

今回特に面白いのが#5「The Lost Battalion」で、ドラム・サウンドを全てサンプリングで構築しており、バスドラを50口径機関銃の銃声、スネア・ドラムを9mmハンドガンの銃声、ハイハットは銃剣が敵を貫く音をサンプルにしたという、かなり手間のかかったものになっている。

スコットランドとイングランドの戦いをモチーフにした#3「Blood Of Bannockburn」でスコットランドの民族楽器であるパグパイプを吹いているのはSCAR SYMMETRYのヨナス・キェルグレン、#4「Diary OF An Unknown Soldier」でナレーションをやっているのはICED EARTHのジョン・シェイファーという、わかりにくい形でゲストが参加しているのも本作の特徴(笑)。

個人的には中二な感性を刺激される、16~17世紀に欧州最強を誇ったポーランドの有翼重騎兵をテーマにした楽曲(#10「Winged Hussars」)が収められているのが嬉しい。

初回限定盤ボーナス・トラックはカリフォルニア出身のシンガー・ソングライター、スタン・リッジウェイが1986年に欧州でヒットさせた「Camouflage」(この曲の歌詞テーマはベトナム戦争である)のカヴァーと、JUDAS PRIESTの「All Guns Blazing」のカヴァーで、日本盤ボーナスはTWISTED SISTERの「Burn In Hell」のカヴァー。欧州盤ボーナスはIRON MAIDENの「Afraid To Shoot Strangers」のカヴァーだそうで、個人的には欧州盤ボーナスの方が良かったかな(笑)。

ボーナスDVDはフランスの都市ナントで、TVでの放送を前提に収録された、近年の彼らとしては貴重な、1200人クラスの小規模なクラブでのライブ映像である。

最前にヨアキムのコスプレそっくりさん(モヒカン&サングラス)が陣取り、ピカチュウの着ぐるみを着たクラウドサーファーが何度も映り込むその映像では、LOUD PARKでも見ることができたユーモラスな小芝居も含め、彼らならではのエンターテインメント性の高いステージを堪能することができる。

彼らの単独来日公演が行なわれるとしたら恐らくこれくらいの規模の会場になると思われるだけに、その充実したライブ内容に期待を膨らませざるをえない。

なお、本作発表後ツイン・ギターの片割れであるトッベ・エングランドが脱退し、REIN XEEDのトミー・ヨハンソンが加入したことが発表されている。【85点】

◆「Shiroyama」のリリック・ビデオ


◆「The Lost Battalion」のリリック・ビデオ



SABATONが取り上げている戦いは有名なものばかりなので映画化されているものも多く、それらの映像を使ったオリジナルのMVがたくさんアップされています。

◆「Sparta」×映画『300』


◆「Rorke's Drift」×映画『ズール戦争』


◆「Hill 3234」×映画『アフガン』


◆「Shiroyama」×映画『ラスト・サムライ』


◆「Winged Hassers」×映画『神聖ローマ、運命の日~オスマン帝国の進撃~』

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コメント

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No title

SABATONかっこいいですね。

動画サイトでつまみぐい的にチェックしてましたけど
そろそろちゃんとした音源と向き合わねばなりませんね。

日本ではどうなんですかね?
ウケてるんですかね?
LOUD PARKは相当な盛り上がりだったと聞いていますが
ルックス的には日本での人気出るかな~どうなんだろ~??
と思ってしまったり。

いつも勝手に参考にさせて頂いております。

>toshi-halfordさん

SABATONのカッコよさは「わかりやすい」のがいいですよね。

LOUD PARKでのライブを観た人であれば、彼らの魅力がルックスというか、キャラクター込みであることが理解できると思いますが、スタジオ音源だけ聴いているとその辺はわかりにくいかもしれませんね。

でも、ここ数年では屈指の、人気バンドになれるポテンシャルを秘めたバンドだと思います。ご興味を持たれたのであればぜひトライしてみてください。

本作の限定盤はライブ映像DVDも付属しているので、よりその魅力が伝わりやすいと思います。

No title

今作も相変わらず漢らしいアツさに満ちまくってるのに聴きやすいキャッチーさもバッチリでカッコイイです!

僕はケチって輸入の通常盤を買ってしまったのですが、ボートラもDVDも充実しているのならもうちょっとフンパツすればよかったなあとちょっと後悔してます。

やっぱり彼らの楽曲は家でジックリCD聴くよりも(それでももちろん良いけど)ライヴで体感する方が圧倒的に魅力が増すと思うので、本作を引っさげたツアーで日本にも早いとこ来て欲しいです。

>翔さん

彼らの音楽はライブでオーディエンスと盛り上がることを前提に作られていると思しきカッコよさですね。

DVDがフルセットのライブで、カメラワーク、画質ともバッチリな、それ単体でも商品になるレベルのものだったので、差額が1,000円程度だとしたらお得だったと思ってます。

ラウパであれだけ受けたので、どんな形にせよ再来日公演はきっと実現すると思います。

主戦場は欧州のバンドなので、日本が後回しになるのはやむをえない所かもしれませんが。

POWERWOLF と並んで、RUNNING WILD一門の優等生だと勝手に思ってます。師匠を反面教師に曲をコンパクトにして正解でしたが、最近はやや金太郎飴状態かとも思います。ICED EARTH のゲティスバーグのような曲があれば最高ですね。とはいえ、今、一番ライヴが見たいバンドです。

>大介山さん

RUNNING WILD一門、って随分狭いですね(笑)。
どちらかというとBLIND GUARDIANなどに近い気がしますし、直接的にはRHAPSODYやNIGHTWISHのようなシンフォニック・パワー・メタルの影響が強そうですが。

ただまあ、おっしゃる通り金太郎飴状態であるのは確かだと思います。好意的にとらえれば「SABATONサウンドを確立している」ということになるのでしょうけど。

いずれにせよ、ライブこそが本領という、この手のバンドとして珍しいタイプのバンドだと思います。