HEAVEN & HELL / THE DEVIL YOU KNOW

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当初はツアーだけのプロジェクトになるはずだったが、思いのほかツアーが好評だったため、こうしてアルバムが制作されることになった。

個人的にはかつて「様式美サバス」と評され、このバンド名の由来となった「HEAVEN AND HELL」アルバムの再現を希望していたが、近年の彼らの作品を思えばそんな素敵な作風になるはずもなく、かなりへヴィなアルバムに仕上がっている。

むろん、ヴォーカル・ラインだけを追えば、所々で「HEAVEN AND HELL」アルバムや、あるいはかつてのDIOを思わせる「ロニー節」を聴くことができるが、基本的なリフの組み立て、楽曲の方向性はかなりドゥーミーだ。

むろん、このバンドは実質的にBLACK SABBATHであり、BLACK SABBATHこそ「元祖ドゥーム・メタル」であるからして、この方向性はごく自然なものということもできる。

そういう意味で、同じへヴィな作品でも、時代に媚を売るような印象のあった「DEHUMANIZER」とは、パッと聴きの「重さ」という点で似ている部分はあっても、その本質は全く異なる、ベテランらしい威厳と余裕を感じさせるものである。

トニー・アイオミ(G)はへヴィなリフと味のあるソロで、ギーザー・バトラー(B)もうねるベースラインで「らしさ」を存分に主張しており、そういった意味でも評論家的には誉めやすい作品だろう(ヴィニー・アピスのDrも悪くはないが、彼はもっと勢いのある曲で映えるドラマーだと思う)。

まあ、実際の所、ロニー・ジェイムズ・ディオは70歳近い年齢を考えれば驚異的な声量・歌唱力を維持しているとはいえ、やはり加齢にともなって発声のキレは明らかに衰えており、この粘っこい歌い方では「Neon Knights」のような速い曲は厳しいだろう(念のために言っておくと、それなりにアップ・テンポな曲もある)。

正直、こういう音楽が好みとは言えない私のようなリスナーが聴いても、アルバムとしてはなかなか完成度高くまとまっていると思えるので、こうしたドゥーミーな、ある意味「BLACK SABBATHらしい」サウンドが好きな人にとってはかなり満足できるアルバムだろうとは思う。

ただ、「名曲」クラスの曲は存在していないと思うし、前述の通り様式美的なサウンドを期待していた私にとってはあまり楽しめる音楽ではないというのが率直な感想である。

◆本作のリーダー・トラック「Bible Black」のPV



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