DGM&ELVENKING来日公演 at 新宿MARZ 2016.11.6

先週末はメタラーにとって熱い週末でした。

何しろKNOTFESTとJAPANESE ASSAULT FESTが同日に開催され、さらにDGMとELVENKINGの来日公演まで行なわれたのですから。

微妙に客層はバラけているとはいえ、私としてはKNOTFESTではDISTURBEDを観てみたかったですし、JAPANESE ASSAULT FESTではANCIENT BARDSを観てみたかった。

と言えばおわかりになると思いますが(ていうかこのブログエントリーのタイトルを見れば一目瞭然ですが)、私はDGMとELVENKINGの来日公演を選びました。

DISTURBEDかANCIENT BARDSは土曜日に観れただろ、もしANCIENT BARDSの出演時間が19時半以降であれば両方掛け持ちも不可能ではない、と言われそうですが(?)、土曜日は仕事のイベントがあって無理だったのです。

そして日曜日も休日出勤からの会場入り。前売り券はソールドアウトしているとのことながら、当日券があることを信じて会場である新宿MARZに向かう。

仕事が終わって会場に着いた時間は、開場時間どころか開演時間を大きく過ぎた18時前。案の定当日券はあったが、さすが前売りがソールドアウトしているというだけあってかなり混雑している。

オープニングアクトとしてRAKSHASAおよびANCIENT MYTHという2つの日本のバンドが付くことになっており、告知物の表記順からてっきりRAKSHASA→ANCIENT MYTHという出演順かと思っていたら、ANCIENT MYTH→RAKSHASAという出演順だったそうで、私がフロアに降りたタイミングでプレイしていたのはRAKSHASAでした。

RAKSHASA

全然知らないバンドでしたが、それもそのはず、まだ正式なアルバムはリリースしていない新しいバンドのようです。

とはいえド新人というわけでもなく、本日のプロモーターであるEvoken de Valhall Productionの主宰者であり、20年近いキャリアを持つもはやベテランと言ってもいいシンフォニック・ブラック・メタル・バンドETHEREAL SINのYama Darkblaze氏による新しいバンドとのこと。

自分で企画したイベントで自分のバンドをプロモーションする、という構図でしょうか。

そのサウンドはメロディック・パワー・メタルに和テイストを持ち込んだ、世の中的には「陰陽座フォロワー」と思われそうな音楽性で、個人的には好きな音。

特に最後から2曲目に演奏された「彼岸の月」という曲はなかなかカッコ良かったですが、正直な所女性ヴォーカルがちょっと弱いかな…。高音パートは悪くないのですが、中低音域がかなり説得力不足でした。

とはいえショウが進むほど場内の反応は良くなっていき、このバンドのサウンドがオーディエンスに受け入れられていった感じは確実に見て取れました。


ELVENKING

本日3バンド目(私にとって2バンド目)はイタリアのフォーク・メタル・バンド、ELVENKING。今回が初来日となる。

RAKSHASAがプレイしていたときは混雑していたので階段を下りてすぐの所で観ていましたが、転換の際の人の動きに乗じて奥の方へズズイと進み、センター後方あたりへ侵入。

ELVENKINGは買って聴いたのは、当時の「クサメタル」ブームの中で話題になっていたデビュー作のみで、その後は時々ネットでチェックしていた程度。正直日本ではあまりパッとしないバンドで、よくこんなマニアックなバンド呼んだものである。

DGMとの接点はイタリア出身で、メロディック・パワー・メタル的な要素がある音楽をプレイしている、ということくらいでしょうか。

転換が終わって幕が上がると、フォーク・メタル独特のメイクをしたメンバーたちが登場、ヴァイオリン奏者の存在もまたフォーク・メタルを主張している。

フォーク・メタルというと日本ではデス声をフィーチュアしたタイプのバンドが有名だが、このバンドは基本的にノーマル・ヴォイスで歌われている。

彼らのレパートリーの中でも最もヘヴィな部類に入る「The Scythe」で幕を開け、最新作のリーダー・トラックだった「Elevenlegions」がプレイされると、後方にいた私の周りでも合唱が起き、かなりコアなファンが駆けつけていることを窺わせる。

率直に言って演奏はあまり上手くなく(特にドラム…)、ちょっとB級な感じは否めなかったが、側頭部を大胆に刈り上げたエモっぽいルックスのイケメン・シンガー、ダムナゴラス(メンバー全員「エルフの王」というバンド名通り、エルフっぽい芸名を名乗っている)がなかなか巧みにオーディエンスを煽っていて、場内は結構盛り上がっていた。

このバンドの場合、「ヴァイオリンをフィーチュアしたフォーク風味」という体裁はキープしつつも、音楽性は時期によって結構ブレているため、パワー・メタリックな曲からメロディアス・ハードのような曲、エモ/パンクみたいな曲まで楽曲は良くも悪しくもバラエティに富んでいたが、オーディエンスの反応が一番いいのはフォーキッシュなメロディが奏でられる瞬間だったように思われ、そういう意味ではバンドの個性の部分が評価されていたと言える。

ヴァイオリン・ソロなど他のHR/HMバンドのライブではなかなか観られないものを観ることができた物珍しさ的な部分も含め、彼ら目当てで来場したファンにとってはかなり満足感のあるショウだったのではないでしょうか。

個人的には終始腕を上げるようなコーラス・パートでほのかに漂ってくるワ○ガの香り、そして途中至近距離で炸裂した屁の臭いで文字通り「クサメタルで悶絶」することになったのですが…。


DGM

当然ながらと言うべきか、基本的にはこのバンドがお目当てでした。今の時期も結構忙しいので、ちょっと足を運ぶのが億劫な気分もあったが、前回の来日時には別件があって行けなかったので、今回は観ておきたかった。

そしてまたELVENKINGからの転換時に起きる人の流れを利用して会場のほぼ真ん中辺りまで進出する。今日のBGMはなぜかずっとM.S.Gだ。

ステージに垂れ下がっている薄い幕の向こうでスキンヘッドが蠢いているのがシルエットでフロアからも見て取れ、マーク・バジーレ(Vo)本人がマイクなどのセッティングをしているのが丸わかりである(笑)。

そして準備が終わり、20時を少し回った頃、ショウがスタート。

音がデカい。RAKSHASAの時点ではあまり良くなかったサウンドがELVENKINGではかなり改善されていたが、DGMについては、サウンドが悪いわけではない(というかこの規模のライブハウスとしては良好な部類だろう)が、とにかく音がデカい。これは耳栓なしでは危険な音量である。

そしてやはり上手い。上手いのはスタジオ・アルバムを聴くだけでも容易に想像がついていたので、スタジオ盤ではどれだけ上手いのかよくわからなかったSECRET SPHEREの時のような意外な驚きはないが、音量はともかく歌唱も含めてほぼスタジオ音源通りである。中でも下手(しもて)に立っているシモーネ・ムラローニのプレイの正確さ、トーンの再現度といったら、スタジオ音源をそのまま流しているのではと勘繰りたくなってしまうほど。随所で繰り広げられるキーボードとのユニゾンもまさに「一糸乱れぬ」という形容に相応しい。

そしていかにもイタリア人らしい濃い顔立ちのヴォーカリスト、マイク・バジーレのフロントマンぶりも特筆に値する。ミケーレ・ルッピから過剰な艶を抜いてより男性的にしたかのような歌声も完全無欠の素晴らしさだが、ボクサーを思わせる独特のアクションで終始オーディエンスを煽り続け、フロアの盛り上がりをキープし続ける。

前に出たELVENKINGのダムナゴラスも悪くないフロントマンだったが、フロアの後方から2階席まで、その場にいるオーディエンス一人一人と目を合わせようとするかのごとく全方位的にコミュニケーションをとるマーク・バジーレのほうがより会場全体に気を配っていたことは間違いないだろう(ちょっと暑苦しさを感じなくもなかったが/苦笑)。

ショウの途中、オーディエンスの歓声を浴びて、感無量といった面持ちで言葉を失ってしまうあたり、この人は本当にエモーショナルな人なんだな、と思いました。実際、ライブ中何度も「DGMコール」が巻き起こるなど、フロアの熱気はかなりのもので、会場こそ小さいものの、その分濃いファンが集っていることがよくわかる。

最新作のオープニング・トラックである「The Secret」2部作で幕を開けたショウはマイク・バジーレ加入後の3作のアルバムの楽曲のみで構成されていた。それでも特に不満は感じさせない辺り、いかに現在の編成が充実しているかが伝わってくる。

いっそマイク・バジーレが加入したタイミングで、もっとキャッチーなバンド名に変えたほうがよかったのではないか…と思ってしまうほど。

アンコールでは、現在の編成になって最初の楽曲となった「Hereafter」の後、メイクを落とした後のELVENKINGのメンバーをステージに上げて(特にELVENKINGのメンバーは特にやることがないので手持ち無沙汰な感じでしたが)、アルバム『MISPLACED』に収録されていた「You Wa Shock!」(アニメ『北斗の拳』主題歌)のカヴァーを披露。日本のファンへのサービス精神を炸裂させてショウは幕を閉じた。

パフォーマンスの素晴らしさはもちろん、メンバー皆、楽器の上手い人にありがちな(?)気難しさを感じさせない「いい人」感に溢れていて、その辺も含めて好感を持たずにいられませんでした。次回はぜひLOUD PARKのような大舞台でその高い実力を大勢のオーディエンスに見せつけてほしいものです。
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コメント

非公開コメント

レポ、ありがとうございます。
DGMもELVENKINGはYoutubeで
聴いたことがある程度なので
パスしてしまいましたが
ここのプロモーターは滅多に
ライブをしないバンドなども
呼んでくださるので
行けば楽しめたのではと思ったり...
今年、3月のKALMAHの来日も良かったですし
12月のシークレットスフィアとトリックアトリートも良さそうなので
行けたら行きたいですね
会社が忙しい時期なので厳しいですけど

No title

RAKSHASAの人がプロモータなのか。
良いバンドを引っ張るプロモータなので
このバンド売れたらマシな箱でできるってことですね。
頑張ってほしいです。

ELVENKING,特に下手とは感じませんでした。
個人的には「分かりやすい」に徹していると感じました。
事前知識無しでしたが、とても楽しめました。

DGM,シモーネはソロも素晴らしいですが、
HMの常套句、ザクザクリフとは一線画す
スリリングにハネたリフは余程のリズム感がないと無理でしょう。
更にイケメン。ヤングギターが飛びつかないのが不思議でならない。
これで北斗の拳以外のキメ曲があれば完璧・・・⁉

>かつ丼さん

Evoken de Valhall Productionの呼ぶバンドはメロディック系、エクストリーム系とも、マニア心をくすぐるバンドが多いですね。

12月のTRICK OR TREATとSECRET SPHEREも心惹かれるカップリングですよね。

おっしゃる通り師走の忙しい時期、それも柏という微妙な場所なので、どうしたものかちょっと悩みますが…。

>名無しのメタラーさん

RAKSHASAでベースを弾いていた人がプロモーターのようですね。

バンドとプロモーターを両方やるというのはなかなか大変だと思いますが、さすが精力的な感じの面構えの人でしたね。

ELVENKING、格別下手というわけではないのですが、個人的に考える「プロ水準」には達していなかった、というくらいの話です。

シモーネ・ムラローニ、おっしゃる通り技術は恐るべきものがありますし、よく見れば(ヒゲを剃れば?)イケメンなのですが、「ギター・ヒーロー」っぽい華には欠けているかもしれません。スタジオ・ミュージシャンっぽいというか。

あと、おっしゃる通りこのバンドといえばこれ、みたいなキメ曲がないのがこのバンドがブレイクしきれない理由なのかもしれません。

No title

レポありがとうございます。
関西在住の身としては、なかなか関東までライブは観に行けずADOREさんのレポートは有り難いです。
DGMレポの中の「その場にいるオーディエンス一人一人と目を合わせようとするかのごとく全方位的にコミュニケーションをとるマーク・バジーレ」と言う一文を読んでフジロックレポのBO NINGENの「全員の目、見ました」と言うフレーズを思い出しました笑

>ねこどらさん

大阪公演はガラガラだったようなので、足を運んでいただきたかったですね!(笑)

マイク・バジーレはBO NINGENのヴォーカリストより明らかに全員を見ていましたよ(笑)。
しかしよくそのフレーズを覚えていましたね(笑)。

No title

11/3大阪であったんですね。しかも祝日、、。
メタル情報のチェックが甘かった、、。
DGMしか聴いた事はありませんが、足を運ぶ価値はあったようですね。
次回、来日時(あるのだろうか笑)は逃しません。
それにしてもサーカス・マキシマスのようにLOUD PARKで観たいですね。

「全員の目、見ました」は何らかの機会があれば使おうと思ってるので覚えてます笑

>ねこどらさん

招聘元はSNSで盛んに告知していたのですが、やはり来日情報はコアな人にしか届かなかったようですね。
やはりLOUD PARKのような大舞台でその実力をアピールしてほしいですね。

「全員の目、見ました」、たしかにインパクトのあるセリフではあったので、もし大勢の前で何かする機会があったらぜひ使ってみて下さい。

Adoreさん。レポありがとうございます。
初コメントさせて頂きます、chigoと申します。
既に2週間が経ちましたが、私が参加した東京公演では『俺らはMETALをplayしていて超楽しい!OK 皆で楽しもうぜ! 』そんなPassegeではなく、Messageを出していた様に強く体感しました。
それらは各々のtwitterやfacebook、ライブ中のパフォーマンスから感じ取れた事と思います。
ともあれ、素敵なライブで楽しかったです。また次回があれば。

>chigoさん

はじめまして。

たしかにDGMからは「お仕事」感は一切なく、純粋にプレイを、オーディエンスとのコミュニケーションを楽しんでいる雰囲気がありましたね。

正直、これくらいの実力があってなおこの程度の規模のライブしかできないことに忸怩たる思いがあったりしないのかと思ってしまいますが、もはやそういう世俗的な雑念を超越した境地に達しているのでしょうね。