AMARANTHE / MAXIMALISM

amaranth04.jpg

EDMとメタルコアを融合したサウンドでデビュー以来一躍注目を浴びたスウェーデンのハイブリッド・ポップ・メタル・バンド、AMARANTHEの通算4作目となるアルバム。

セカンド・アルバムまでは中心人物がDRAGONLANDのメンバーであるという事実を、言われればなんとなく納得するような欧州メロディック・メタル風のクサめのメロディが随所にフィーチュアされていたが、前作『MASSIVE ADDICTIVE』では一気に洗練され、より先鋭的なEDMの要素が強まっていた。

個人的にその路線はアメリカ市場を狙いにいったものと映ったし、事実アメリカでは過去最高のチャート・アクションを記録したが、それまでTOP10入りしていた本国スウェーデンで失速した(最高18位)ことを意識したのか、本作では再び歌メロが強化されている。

とはいえ、ファースト、セカンドへの回帰というよりは、よりコマーシャルなポップ・ミュージックのメロディ・センスが打ち出され、時に母国の大先輩であるABBAの音楽を彷彿とさせる普遍的な魅力を備えた高品質なサウンドに仕上がっている。正直もはやあのB級メロディック・パワー・メタルだったDRAGONLANDと楽曲の制作者が同じだと聞いても信じられないレベルのスケール感、メジャー感である。

#2「Boomerang」や#5「On The Rocks」、#7「Faster」#10「Supersonic」など、耳に残るサビを備えたキャッチーな曲を中心に、QUEENの「We Will Rock You」へのオマージュかのようなファースト・シングルの#3「That Song」、タイトル通りもはやメタルというジャンルの限界を消失させるかのような#6「Limitless」、アグレッションが強く出た#7「Fury」、それとは対極にもはやハリウッド映画のエンディング・テーマのタイアップでも狙おうとしているかのようなエリースの単独歌唱による壮大なバラードと、楽曲のクオリティ、バラエティ、共に申し分ない。

このコンパクトでキャッチーでモダンなメジャー・サウンドを前に、世界最大のメタル・データベース・サイト「The Metal Archives」はこのバンドをそのデータベースから削除したが、わざわざヒット・チャートを毎週「研究」して制作している(オロフ談)という「超売れ線狙い」サウンドだけに、もっと爆発的にヒットしてくれないと浮かばれないというものではなかろうか(現状は本国スウェーデンおよび隣国フィンランド以外で目立ったチャート・アクションは記録していない)。

なお、本作発表後、男声クリーン・ヴォーカルを担当していたジェイクがツアーからの離脱を発表。それを知ってあらためて本作を聴いてみるとジェイクのフィーチュア度が低いのは離脱の原因なのか結果なのか。【84点】

◆本作のリーダー・トラック「That Song」のMV

どうも前作の「Drop Dead Cynical」といい、このバンドの楽曲の中では異質な曲をリーダー・トラックとしてピックアップしていることが、バンドの評価を妨げているような気がしてならない。

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

No title

>どうも前作の「Drop Dead Cynical」といい、このバンドの楽曲の中では異質な曲をリーダー・トラックとしてピックアップしていることが、バンドの評価を妨げているような気がしてならない。
あくまでファンはメタルベースの人が主だから評価されくい…ってことですかね?
これに似た印象を抱いたのはIn flamesの新作で、そちらもやけにポップさを増してましたね。

>人さん

メタラー向けの曲ではない、という意味でもそうですし、この曲を気に入った人がアルバムを聴いてもこのタイプの曲はそれほど収録されていない、という意味でもそうですね。

No title

こちらのIn Flamesのレビューの一文を拝借いたします。
「従来のサウンドでアメリカを攻略してこそ意味があると思うのだが…。」

作品の出来不出来の話ではないんですがこういう作風にするとなると
あまりこのバンドを聴く必要がないんじゃないかと…。

悪い作品じゃないんです。

ただこういう音出す人達他にも結構いるんじゃないかな~って思いまして。
あえてその他大勢にならなくても…。

いや元々バンドとしてはこういう作風こそが目指していた作品なんです!っていうことなんでしたら別にあれなんですけど。

The Metal Archivesはどんだけ頭が堅いんでしょうね?
それなのに1%もメタルじゃないStorm Corrosionが何故か載ってるし、
さじ加減がサッパリです。

>toshi-halfordさん

こんなにチャラいメインストリーム志向なメタル・バンドって他にいるんですかね?(笑)

このバンドのコンセプトは「ポップ・ミュージックのファンにアピールするメタル」だと思うので、これはこれでアリではないかと思っています。

作風が初期から変化したのは、ポップ・ミュージックに対するオロフの理解が深まった現れなのではないでしょうか。

ただまあ単純に、初期のサウンドの方がメタル耳には馴染みやすかったな、という思いはありますが。

>Loki Holstさん

The Metal Archivesに何らかのこだわり(≒偏り)があることは確かでしょうね。

基本的にはポップ・ミュージックにすり寄っていると彼らがみなしたアーティストは対象外なのだろうと思います。

BON JOVI、POISON、WHITE LION、WINGER、WARRANT、FIREHOUSEといった80年代メタル・バブルのバンドは掲載されていませんし(なぜかDEF LEPPARDは掲載されているのですが)、もちろんBABYMETALも掲載されていません。

一方でアニメタルや陰陽座やALDIOUSなんかはちゃんと拾っているのですが。

STORM CORROSIONはまあ、OPETHつながりということで…なのでしょう。

この辺の基準というかボーダーラインというものは主観的なもので、他人には理解し難いものにならざるを得ないのだろうと思います。B!誌然り、当サイトもまた然り。

No title

私はDRAGONLAND、オロフ・モルクが大好きでして、AMARANTHEも前作までは購入していましたが、今作は微妙…
音は良いし、作品としては高品質かもしれませんが、個人的にオロフにやってもらいたいのはクサクサなメタルなんですが(泣)ヒットチャートを研究した結果なんでしょうね…。

>とうもろこしさん

自分の好きな音楽をやって全く売れないのと、自分が売れることを計算した音楽をやって実際に売れるのはどちらが幸せか。これはなかなか難しい問題です。

いずれにせよこのバンドの音楽はオロフの出自を知らないほうが素直に楽しめるかもしれませんね(苦笑)。