DRAGONFORCE / REACHING INTO INFINITY

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前作『MAXIMUM OVERLOAD』(2014年)発表後、ライブ作品『IN THE LINE OF FIRE… LARGER THAN LIVE』、ベスト・アルバム『KILLER ELITE : THE HITS, THE HIGH, THE VIDS』を挟んでリリースされた通算7作目、現シンガーであるマーク・ハドソン加入後3作目となるアルバム。

前作『MAXIMUM OVERLOAD』はある種、原点回帰的とも言える「速さへのこだわり」が感じられるアルバムだったが、本作ではこれまで以上に起伏のあるアレンジによって、楽曲単位でも、アルバム単位でも過去最高級にバラエティを感じさせる作品に仕上がっている。これは、ソングライティングのイニシアティブをとったのが(クレジット表記を見る限り)サム・トットマン(G)からフレデリック・ルクレール(B)に移行したことが影響しているのだろうか。

スラッシュ・メタル風の#8「War!」(およびボーナス・トラックの「Evil Dead」や、彼らの楽曲史上最長となる、11分超えの#10「The Edge Of The World」などは本作における「新機軸」の典型的な例といえるだろう。

楽曲がバラエティに富んでいる分「平均BPM」で言えばカタログの中では「遅い」作品になるのではないかと思われるが、アレンジの起伏はむしろスピード・パートの疾走感を増幅する方向で寄与しており、ファンが彼らに求めるものはちゃんと提供されている。

疾走一辺倒の金太郎飴的な印象が後退し、マーク・ハドソンのヴォーカルに力強さと表現力が増したこと、そして前作に引き続いてプロデュースを担当したイェンス・ボグレンによる芯のあるサウンドによって、かつての彼らが「メタル通」を気取る人たちにあげつらわれてきた「軽さ」はだいぶ払拭されている。

とはいえ随所に哀愁を漂わせつつも基本明るくキャッチーなメロディが疾走する、典型的なメロディック・スピード・メタルとしての全体イメージは変わらないので、決して「メタルとはDarkでHeavyでEvilであるべし」と思っているような「硬派なメタラー」に支持されるような音楽ではないと思われるが、何だかんだいってこういう「わかりやすい」サウンドを展開するバンドの存在こそが日本におけるメタルの間口を広げることにつながると私は思っている。

このバンドもARCH ENEMY同様、やや「BIG IN JAPAN」の気がある(他の国で全く売れていないわけではないが)わけだが、そんな状況に対する感謝の意の表現か、日本盤ボーナスは日本のR&RバンドZIGGYの1989年の大ヒット曲「Gloria」のカヴァー。例によってカヴァー曲もスピード・メタル・アレンジにしてしまっているわけだが、サビの一部では日本語で歌う努力も見せている。【85点】

◆本作収録「Ashes Of The Dawn」のMV


◆日本盤ボーナス「Gloria」のカヴァー(Short Ver.)


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コメント

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No title

MV見てPower Questの「Blood Alliance」のアートワークを思い出しました。笑
って、ヴァジームが映ってない!(好きなメンバーなのに)

フレデリックがイニシアチブを取ってるせいか昔のドラゴンフォースが好きな自分としては物足りないアルバムですね。
まぁ、昔の様なほぼ全曲7、8分の疾走は聞く方も疲れますけどw

若い頃のパッションと年を取り経験を得て手に入れた技術を両立したアルバム、そんな物を聞いてみたいですね。

>Loki Holstさん

この手の異世界とのゲートはファンタジーでもSFでも定番のデザインですね。

ヴァジームは育児休暇中との噂…。

>カイトさん

1st~3rdのファンには物足りない作風かもしれませんね。

個人的には『ULTRA BEATDOWN』こそがパッションと経験を両立させたアルバムだと思っているんですけどね。

No title

2nd〜4th辺りが好きな自分としては最近のドラフォはどうもしっくりこないんですよね。
サビメロの爆発力とトリッキーなギターソロが鳴りを潜めてしまってるような気がします。
それでもほかの同系統のバンドと一線を画す高品質なアルバムではあるのですが、彼らならもっと良い作品が作れると思ってしまいます。

>元学生メタラーさん

Voがマー君にチェンジしてからの彼らのサウンドは確かに良くも悪しくも地に足が付いた感じで、Voの歌いやすさなどを無視したサビメロや、若気の至り的なトリッキーでフラッシーなギター・ソロが目立たなくなりましたね。

それでもシーントップクラスの「良質なメロディック・パワー・メタル・バンド」であることは間違いないですが、彼らはそういう「良質」みたいな平凡な形容に収まらない所が魅力だったので、おっしゃることはよくわかります。

No title

5th以降の路線が好きな自分にとっては今作もお気に入りです。
このバンドは後半若干楽曲が弱くなるイメージがあったのですが、今作はそのようなことが無くて驚きました。


ARCH ENEMYは去年のWackenでヘッドライナーでしたし、もうBIG IN JAPANとは呼べないかもしれませんね。

>fantaさん

彼らの場合楽曲のタイプがやや画一的だったので、後半になると飽きがくる、という傾向はあったかもしれませんね。

本作はバラエティに富んでいる分、そういうダレみたいなものがないのだと思います。

ARCH ENEMY、たしかに最近は日本と欧米(とうか欧?)の温度差は縮まっていますね。
むしろ欧米で評価が高まるのが遅すぎた気もしますが。