RHAPSODY OF FIRE / LEGENDARY YEARS

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ファビオ・リオーネ(Vo)とアレックス・ホルツヴァース(Dr)脱退後、ニュー・シンガーとしてジアコモ・ヴォーリ(Vo)とマヌ・ロッター(Dr)を迎えた新生RHAPSODY OF FIREの、往年の名曲を現編成で再録した、いわゆるリ・レコーディング・ベスト的なアルバム。

新たな出発に際しては、新ラインナップの真価を問うような完全新作で勝負するべし、という意見も多いことと思うが、デビュー20周年という節目のタイミングという、こういうベスト的な作品を出すには格好の時期でもあり、かつ、それだけの歴史を持つバンドとなると、ライブにおいては往年のクラシック・ナンバーをプレイすることを期待されるのは不可避であり、自分たちが過去の名曲をちゃんとプレイできることを証明することが、CDの売上よりもライブの動員をメインの収入源とせざるをえない昨今の音楽ビジネス業界においては優先度が高いと判断されたのだろう。

しかも、現在ファビオ・リオーネはルカ・トゥリッリ(G:LUCA TURILLI'S RHAPSODY)と共にRHAPSODY名義で"20th Anniversary Farewell Tour"を行なっているというややこしい事態があり、過去の名曲をプレイする「競合」がいるという状況もこうしたアルバムを作る後押しになったのかもしれない。

選曲が、RHAPSODY名義だった『EMERALD SWORD SAGA』時代(デビューから『POWER OF THE DRAGONFLAME』まで)の楽曲に偏っているのも、ファビオやルカの動きを意識したものかもしれない。決して、過去の音源のライセンス料の問題などを意識しての判断ではないと信じたい(笑)。

経緯はさておき結果としての本作の仕上がりであるが、決して悪くはない。パワー・メタル・バンドのリ・レコーディングというのは往々にしてテンションが下がっていてガッカリさせられることが多いのだが、本作に関しては良くも悪しくもオリジナルを忠実に再現しようという強い意志が感じられ、多くの楽曲でそれは成功している。

そして初期の楽曲においてはプロダクションが向上しているし、オーケストレーションやクワイアの質も上がっている。そういう意味でクオリティが上がっている、と言える面もある(もっともそれは他のリ・レコーディング作品の多くにおいてもそうなのだが)。

しかし本作において注目されるのは、やはりヴォーカリストだろう。

新加入のジアコモ・ヴォーリはなかなか良いシンガーだ。多くの楽曲を無難に歌いこなしている。もし彼が新人バンドのヴォーカリストとしてデビューしたのであれば何の問題もなく普通に良いヴォーカリストとして評価されたことだろう。

ただ、やはりあのファビオ・リオーネの後任を務めるにはいささか個性が弱い。いや、個性があればいいというものではなく、このバンドの音楽にフィットする個性でなくては意味がないのだが、前任のファビオが奇跡的なまでにこの音楽にフィットした歌声の持ち主だったために、単に上手いだけのシンガーだと物足りなさを感じてしまうのは否めない。

現ラインナップが「ちゃんとやれる」ことを証明するという目的は果たしているアルバムだが、一方で「過去を超えてはいない」こともまた証明してしまっているアルバムで、これでは来日公演が組まれたとしても、既に決定しているファビオとルカのいるRHAPSODYによる"20th Anniversary Farewell Tour"を蹴ってこちらに馳せ参じるファンというのは多くなさそうである。

とはいえ一向に第2弾ラインナップが発表されないLOUD PARKに出演する、ということであればもちろん観たいし、「ファビオのいないラプソなんて…」という日本のファンのネガティブな思いを払拭する機会があるとしたらそれしかないような気がするんですけどね。

◆本作収録「Land Of Immortals」のOfficial Audio


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コメント

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新ヴォーカルが気になって久しぶりにラプソディー購入。やや線が弱いですが、いいシンガーですね。甘さや青さが魅力だと思います。声を活かせたサーガが産み出されることを願います。ラプソディー疎遠になってましたが、カムバックです。

新しいボーカルでDistant Skyなど最近の楽曲も聞いてみたいですね。

>大介山さん

私も、個人的には好きなタイプのヴォーカリストですね。

濃厚なRHAPSODY OF FIREの音楽よりもLABYRINTHやSECRET SPHEREのような、哀愁とプログレ風味のあるサウンドの方がマッチしそうな気がしますが。

>エメッソンさん

初期の曲ほど浸透していない新しめの曲をプレイしたほうが、ファビオとの比較論に終始せず、単純にジアコモの実力が評価されたかもしれませんね。

ニュー・ラプソ

こんなアルバムはくそだぁ

>嬢メタルさん

手厳しいですね。

僕はこのアルバムはショップで視聴してスルーしてしまったのでadoreさんのレビューを待っていました(笑)

新ボーカルの人いいのですが少し高音が細いのとプロダクションのせいか声がバックに埋もれ気味な部分もあってあまりぐっときませんでした。1番聴いて思ったのがファビオよりはアングラに向いてそうでそこが皮肉っぽいなという所でした。

>ゴエたさん

ラプソのような分厚いシンフォ・アレンジが入っていると、たしかにファビオのような太さというか厚さのある歌声でないと存在感が薄くなってしまいますね。

おっしゃる通りANGRAの方が違和感のなさそうな声と言えるかもしれませんね。

つまり、LEGENDARY YEARSという事ですね。

>Loki Holstさん

LEGENDARY YEARS、それはつまり1997年から2002年までだった、ということですかね。
これからの彼らのキャリアもまたLEGENDARYであってほしいものですが。

No title

adoreさん、こんにちは。
いつも楽しく拝見しています。

改めて、ファビオがいかにラプソの楽曲にマッチしていたのか、確認させられた気がします。

ただ、ファビオでなくとも、十分すぎるほど素晴らしい楽曲ばかりであるとも感じました。ほんと、いい曲作ってくれたな~と思います。

20th Anniversary Farewell Tour はもちろん行くつもりですが、もしこちらの来日公演が決まれば、私は参加しますよ!

>とうもろこしさん

このアルバムは、おっしゃる通り「いかにファビオがこのサウンドにマッチしていたか」と、「初期ラプソの楽曲がいかに素晴らしかったか」を教えてくれるアルバムですね。

どちらの来日公演にも足を運ぶつもりとは、ファンの鑑ですね!(笑)