LOUD PARK 17 一日目の感想

ふと目覚めると、まだ朝7時前。私の家からさいたまスーパーアリーナまではドアtoドアで40分程度。「まだ余裕だな」と再び眠りにつく。

そして再び目覚めると、11時過ぎ。イングヴェイの「I’ll See The Light Tonight」冒頭のジェフ・スコット・ソート渾身のシャウト「No~~~~!! No!!!」が脳内に響き渡る。

慌てて家を飛び出し、さいたまスーパーアリーナに向かったものの、到着したときにはL.A.GUNSがプレイしていました。

かつて観たことがある、というか昨年観たばっかりのALDIOUSはともかく、レゲエやヒップホップという、HR/HMとはいささか相性が悪い(と思われている)ジャンルを取り入れたSKINDREDや、女性Voが大層キュートだったというドイツのシンフォニック・メタルBEYOND THE BLACKのような、単独での来日は難しそうなバンドこそぜひ観たかったのですが、残念ながら見逃してしまいました…。

なお、今年も私は指定席を購入しており、その席がBIG ROCK STAGE側だったため、基本的にBIG ROCK STAGEに出演したバンドは指定席で、ULTIMATE STAGEに出演したバンドはアリーナで観ています。

L.A.GUNS

メジャーからのドロップ後、もはやメンバーの変遷だけでWikipediaの1ページが作れてしまうほどの激しいメンバー・チェンジを繰り返し、さらにはVoのフィリップ・ルイスとGのトレイシー・ガンズがそれぞれにL.A.GUNSを名乗って活動するなどの迷走を経て、ついに今年そのフィル・ルイスとトレイシー・ガンズが合流したことで、こうしてLOUD PARK出演を果たした彼ら。

正直、「落ちぶれたロートル・バンド」的なイメージがあったし、個人的には全盛期の代表曲でさえあまり琴線に触れないバンドだったので特に期待していませんでしたが、バンドのパフォーマンスはタイトで、ドサ回りとはいえライブを続けてきたバンドの強さを感じました。

特に今年還暦を迎えたはずのフィル・ルイスが今なおフロントマンとしての華と毒と色気を保っており、さらには声もよく出ていて、いい意味で驚かされました。


ANTHEM

このバンドも一昨年に観たばっかりだったのであまりありがたみはありませんでしたが、「Bound To Break」で始められたら盛り上がらないわけはない。

森川之雄のMCがちょっと時代錯誤でこっ恥ずかしい(「ANTHEMの猛攻撃だ!ぶっ飛ばしていくぜ!」みたいなMCには思わず赤面してしまいました)ことと、決してパフォーマンスに足りないものがあるわけではないのになぜか全く華がないフロントマンぶりは前回観た時と変わらず、ライブ・パフォーマンスとしては坂本英三在籍時の印象を超えることはなかったのですが、ベテランにありがちな手抜き感のない全力投球のパフォーマンスは相変わらず好感が持てました。

ANTHEMを観ること3回目にしてようやく森川時代で一番好きな「Hunting Time」を観ることができたのは嬉しかったですね。でもライブではその後にプレイした「Venom Strike」の方が映えていた気がします。


BRUJERIA

メキシコ出身の謎の覆面集団…という設定のバンド。デス/グラインド系のバンドということで個人的には興味の対象外で、前半は通路で昼飯を食べてました。

アルバムを聴いたことはありませんでしたが、私が一番熱心にHR/HMを聴き、『BURRN!』誌を読み込んでいた頃にリリースされたデビュー・アルバムは人の生首の写真というショッキングなアートワークで印象に残っています。当時からNAPALM DEATHやFEAR FACTORYやFAITH NO MOREのメンバーが関わっている、という噂を聞いていましたが、とりあえず本日についてはベースがシェーン・エンバリー(NAPALM DEATH)であることは体型と髪型ゆえに覆面をしていても一目瞭然でした(笑)。

ヴォーカル・パートがメキシコの公用語であるスペイン語であるということは、デス系の音楽ゆえにどうでもよかったのですが、MCまでスペイン語なので、時折挟まれる英語以外は何を言っているかさっぱりわからず。とりあえずバンド名の読み方が「ブルヘリーア(リにアクセント)」であることを知りました(笑)。たしかにそう発音するとスペイン語っぽいですね。

とりあえず何も考えずに爆音に包まれて暴れたい人にはピッタリという感じのサウンドで、アリーナ前方では盛んにモッシュが行なわれていました(私は指定席で高みの見物)。

メンバーが時折ポーズめいたものをキメていましたが、あれは何だったのでしょう。「俺達テロリスト集団だぜ」みたいな雰囲気は出ていましたが。


WINGER

BRUJERIAの後にWINGER。激辛料理の後にスイーツといった趣の流れ。これは確信犯でしょう。

全米チャートにおける実績という意味ではALICE COOPER、SLAYERに続いてトップクラスの実績を持つバンドですが、本日のアリーナの人集まりは少なめ。以前彼らのライブを観た時、その巧さに舌を巻いた記憶があったので、アリーナ前方に進んで観てみることにしました。

やっぱり上手い。やっている音楽はキャッチーでコンパクトだが、そこらのプログレッシヴ・メタル・バンド顔負けの演奏力。フェスで、持ち時間も少ないというのにドラムとギターのソロ・タイムがあるというのが自信の表れでしょう。ソロ・タイムというのは楽器をやらない人にとっては往々にしてトイレタイムになってしまいがちですが、これだけわかりやすく超絶技巧を披露されれば、エクストリーム厨と呼ばれるような人でさえ、退屈した人はそんなに多くないのではないでしょうか。

あと、彼らの場合、キップ・ウインガー(B)、レブ・ビーチ(G)、ロッド・モーゲンステイン(Dr)のメイン3人とも、いい歳のとり方をしているというか、変な若作りをするわけでもなく、中年なりのカッコよさをちゃんと身に付けているあたりがいいですね(セカンド・ギタリストであるジョン・ロスもちょっと地味ながらちゃんと上手くてカッコいい)。

惜しむらくは、このバンドの代表曲が「Seventeen」というティニー・ポップな曲である、ということですね。もちろんヒットしただけあってキャッチーでいい曲ですが、このバンドの魅力の本質を伝える曲ではないかなと。

個人的にはとても楽しめたショウでしたが、今回も「Rainbow In The Rose」が観られなかったのが残念です。まあメタル・フェス向きの曲とは言い難いのでやむを得ないですが。

ライブを観終わって指定席に戻る途中、川島未来さん(SIGH)とすれ違いました。


OPETH

彼らを観るのはLOUD PARK 06以来、約10年ぶり。先ほどのBRUJERIAからWINGERの流れもドラスティックでしたが、WINGERからOPETHの落差もかなりのもの。

OPETHの音楽が「深イイ」ものであることは理解できるものの、個人的にHR/HMにはもっとわかりやすいものを求めているので、何枚かアルバムは購入して聴いていつつも、あまり親しんでいるとは言い難いのが実情。

酒飲んで、スタンディングで盛り上がった後に座って観たら寝てしまうだろうなあ、と思っていましたが、案の定寝てしまいました(苦笑)。

1曲目からウトウトし、2曲目「Ghost Of Perdition」で「おお、この曲は知ってるぞ」と目を覚まし、3曲目でまた眠りに落ち、5曲目にしてラスト(彼らの曲は長いので…)の「Deliverance」のヘヴィなイントロでようやく目を覚ます、という体たらく。大変失礼いたしました。


OVERKILL

このバンドもライブが強力、という評判を耳にしていたので期待していました。

スラッシュ・メタルとビールって合うよね、とアリーナ後方のオフィシャルバーでドリンクチケットをビールに換え(それまでは普通に屋台でフードと一緒にビールを買っていました)、ビールを飲みつつOVERKILLの開演を迎える。

いやいや、後ろで飲みながらまったり観ている場合じゃないですよ。まず出音が違う、キャリア30年以上におよぶベテランとは思えないほどの荒々しい勢いがサウンドに漲っている。当然のごとく盛り上がっていて、アリーナ後方からだと見えないものの、きっと前方ではサークル・ピットやモッシュピットが発生していることは間違いなかったでしょう。

てか、私もピットの側にいたら年甲斐もなく飛び込んだかもしれません。それくらいイキリ立って飲み終えたビールのカップをゴミ箱に放り込むと、アリーナ前方に走ったのですが、人が多すぎてスゴスゴとアリーナ後方に引き返しました(苦笑)。

正直、ボビー“ブリッツ”エルスワース(Vo)のミッキーマウス的なハイトーン・ヴォイスはちょっと苦手で、アルバムで聴くことはあんまりないのですが、ライブは素晴らしいですね。こういうスラッシュ・メタル・バンドはフェス1日にひとつは欲しい気がします。

ラスト、ボビーの「俺は、日本語はほとんど喋れない。英語だってひどいもんだけどな。だけど、このサインだけは完璧だ!」と言って中指を立て、カナダのパンク・バンドSUBHUMANSのカヴァーであり、既に彼らの代表曲となっている「Fuck You」がプレイされる。平均年齢は若く見積もっても30歳、下手すると40歳を超えるであろうオーディエンスが「Fuck You!」と絶叫できるこの空間は全銀河系でも貴重なものだと言えるでしょう。痛快なライブでした。


ALICE COOPER

開演前、ステージに張られたアリス・クーパーのパンダ風メイク柄の幕からして期待感を煽りましたが、照明が落ち、ただならぬ存在感とオーラを身にまとって登場したアリス・クーパーがとても御年69歳とは思えぬキレキレの動きでステッキをクルクルと回した瞬間、これは特別なショウになると予感しました。

1曲目は2000年の『Brutal Planet』からのヘヴィなタイトル曲で、ALICE COOPERがメタル・フェスに出演するに相応しい存在であることをアピールしつつ、2曲目は「No More Mr. Nice Guy」、3曲目は「Under My Wheels(邦題:『俺の回転花火』)」と、クラシック・ナンバーがプレイされる。正直70年代の曲は本日の他のバンドの楽曲に比べると古臭いというかのどかな印象を受けるが、アリス・クーパー御大のカリスマ性が有無を言わせず、そしてバンド・メンバーのパフォーマンスがソリッドなので充分にカッコいい。

てか、スティックをクルクル回しながらパワフルなドラミングを聴かせているドラマーはどこかで見たことがあると思ったら、元IMPELLITTERIのグレン・ソーベルだ。実力に相応しい就職先を見つけましたね。

『俺の回転花火』の後、リズム・ギターを引いていたブロンドの女性ギタリストのソロ・タイム。ライブが始まったときからダントツで目立っていた(こんなに動き回るギタリストは他にイングヴェイくらいしか知らない)彼女、めちゃくちゃカッコよくて、一発でファンになってしまいました。そういう人は私以外にも多かったのではないでしょうか。

後で調べてみた所、彼女はオリアンティの後任として2014年にこのバンドに加入したニタ・ストラウスという女性で、女性のみによるIRON MAIDENのカヴァー・バンドとして有名なTHE IRON MAIDENSでの活動経験があるようだ。そしてなんと「美しく青きドナウ」など数々のウインナ・ワルツの名曲を作曲したことで知られるクラシック作曲家、ヨハン・シュトラウスII世の末裔とのことで、シベリウスの曾孫であるSTRATOVARIUSのラウリ・ポラー(B)と並ぶ音楽サラブレッドでした。

そんなバンド・メンバーのみならず、ステージの演出やギミックがスペシャル。パイロやスモークはもちろん、「Feed My Frankenstein」ではIRON MAIDENのエディよろしくフランケンシュタインが登場、他にもダンサーのような女性も登場して小芝居を展開、しまいにはアリス・クーパーがギロチンで処刑されるなど、ステージがさながら劇場と化す。こりゃ曲を知らなくても単純に見世物として楽しい。

ラストの全米TOP10ヒット曲、クラシック・ロックのコンピレーションにもよくピックアップされている代表曲「School’s Out」では場内にカラフルなバルーンのようなものが投げ込まれ、インスタ映え(笑)する光景に。

いや~、参りました。正直、最初は単に『観たことがあるロック・レジェンド・スタンプカード』を埋めるだけ、くらいの気持ちで観始めたのですが、ぶっちぎりのベスト・アクトです。ショウとして楽しめた度ではLOUD PARK史上屈指でしょう。なんでこれがトリどころかトリ前ですらないのか。60分そこそこで終わらせるにはあまりにももったいない、最高のエンターテインメントでした。


EMPEROR

前評判というか、ネット上の評判を見るに、本日一番注目/期待されていたのはこのブラック・メタル・レジェンド、EMPERORだったのではないでしょうか。

私のようなメロディ派の人間が彼らについて何を言っても説得力に欠けるので多くは語りませんが、そんなメロディ派の人間でもこのバンドの音楽が「ブラック・メタル」というジャンルを超越した完成度と説得力を備えていることは充分に感じ取れました。会場の空気も本日一番緊張感がありましたね。

メンバーも、もはやブラック・メタル独特のコープス・ペイントなどはしていませんが、それでも皆さん充分に怖い。私がこの手のバンドのライブを観るのはほぼLOUD PARKに限られるわけですが、これまで観たブラック・メタル・バンドの中で一番凄味を感じました。


SLAYER

もはやLOUD PARKのトリ常連と言っていいでしょう。正直「またか」という気持ちもある一方、SLAYERのステージを観ることで「ああ、今日もLOUD PARKが終わるな」という気分が生まれるようになったということもまた事実です(笑)。

彼らに関しては「SLAYER is SLAYER」なので、特に過去に観たライブと比べて何が変わるということもなく、このブログの過去の感想をコピペして貼り付けてもいいくらいなのですが(笑)、本日このフェス史上最も音響が良かったこともあり、SLAYERの純度100%のスラッシュ・サウンドが一層研ぎ澄まされて聴こえました。こんなにアホみたいに速い(褒めてます)タテノリのリズムを刻んでいるのに一種のグルーヴが生まれているあたり、本当にSLAYERというのはモンスター・バンドだと思います。

クライマックスの「Raining Blood」、「Chemical Warfare」、「Angel Of Death」の畳み掛けは、我々の首を折りに来ているとしか思えませんでした(笑)。完全燃焼です。

しかし毎年思いますが、この時間にサークル・ピットでグルグル回っている人たち、凄い体力ですね。いや、LOUD PARKの華はこの巨大ピットだと思います。今年はプレミアムチケット用のスペースが確保されたせいでアリーナ前方が狭くなっていて、ピットもその分小さくなったり少なくなったりしていたような気がしますが、ガラガラのVIPスペースで観ていた人たちより、ピットで走っていた人の方がきっとこの時間を楽しんでいたと思います。

てか、あのプレミアムチケット用のスペース、あの場所でいいんですかね? アリーナ最前列の前にスペース取ってあげればよかったのに。それならあんなにガラガラにならなかったと思うのですが。


そして終演してふと気づくと例年サッシャ氏かDJ BOO氏が務めていたMCがいない。しかしこのイベントに関しては別段困ることはない。毎年MCって別にいらないんじゃね? と薄々思っていましたが、経費削減の結果?その疑惑が正しかったことが証明されてしまった感じです。

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コメント

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No title

忙しい中レポお疲れ様です。
今年はどうしても土曜日が空けられずに日曜のみの参加だったので、レポ楽しみにしてました。

幸い、積極的に見たいバンドは比較的日曜に偏ってくれましたが、OPETHとALICE COOPERは観たかったですね。特にALICE COOPERは素晴らしかったみたいなので残念です。もし今後単独で来日しても多分行かないだろうし。

EMPEROR最高でした‼

 EMPERORがラウパで観れることが素晴らしい
真面目に観たブラックメタルのライブはこの日と翌日のCradleぐらいなものですが
言葉で表せません
あとBeyond The Blackは言われるほどシンフォメタルではなかったですね
そこが少し残念でしたが楽しいライブだったと思います。
曲やパフォーマンスも良かったですが
ヴォーカルのMCが柄にもなくカワイイと思ってしまいました。

>kimさん

ラウパはやはり三連休にやってほしいですね。翌日レポが書けるので(笑)。

ALICE COOPER、すごく良かったですよ。今年のベスト・アクトをひとつ選ぶなら彼(ら)です。

とはいえ、私も単独を観に行くかといえば微妙ですが…。

>かつ丼さん

EMPERORは確かに何だかスペシャルなものがありましたね。私も言葉では表せないので他のバンドに比べて文章が短くなりました(笑)。

BEYOND THE BLACK、最近のWITHIN TEMPTATIONのフォロワーっぽいので、シンフォニック・メタルとしては薄味かもしれませんね。でも可愛ければとりあえずOKでしょう(笑)。

いつも、興味深く見せてもらってます。
それにしても他のブロガーしかり、近くにいたんだろうなーと考えながら、読ませて頂くとそれはそれはなんとも不思議な感じが........
ライブの感想はと言いますと、OPETH,Emperorは新たな収穫でしたし、oberkillは見てる間はスレイヤーを完璧にに喰った印象さへありました。
結局はおっしゃる通りスレイヤーはスレイヤーでしたが.......
ところで、
スレイヤーの時、どの曲かは忘れましたが、1秒ほどドラムの生音以外全て無音になった瞬間、ご記憶ございます?

>Tomさん

はじめまして。

ブロガーって、ブログ書いていればブロガーかもしれませんが、要するに一般人ですからね(笑)。近くにいても何も不思議はありません。

SLAYERのとき一瞬音、途切れましたね。
私も既にどの曲でそうなったかは記憶していませんが、あ、トラブルだな、と思いました。演出ではないと思います。

ラウパは昨年、初参戦しましたが今年は行けなかったので、レビューで楽しませていただきました。ありがとうございます。
Wingerは大好きなバンドで、曲の中で「Rainbow」が一番好きなので、adoreさんに観たかったと言っていただき、何だか嬉しかったです。
Alice Cooperのシアトリカルショーがフェスという場でどうなのかな~と思っていましたが、さすがロック界の重鎮ですね。
そういえば、WingerのKipとRebはWinger結成前、Alice Cooperのバックバンドのメンバーだったんですよね。今回、日本で同じフェスに出演とは、感慨深いです。

>happychildsさん

「Rainbow In The Rose」はWINGERの楽曲の中でも3本の指に入る名曲だと思ってます。

ALICE COOPERは完全に予想を超えてきましたね。楽しいショウでした。

キップ・ウインガーは同日の出演なのでもしかしてゲスト参加もあるかも? と思ってましたが、さすがに60分のステージではそんな遊びを入れている余裕はなかったようです。