GALNERYUS / ULTIMATE SACRIFICE

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担当ディレクターがバップからワーナー・ミュージック・ジャパンに転職したことを受け、同じディレクターが担当していたFear, and Loathing in Las VegasやColdrainと共にワーナー・ミュージック・ジャパンに移籍したGALNERYUSの、オリジナル・アルバムとしては通算11作目となるフル・アルバム。

レコード会社を移籍して心機一転、というわけでもなく、本作はコンセプト・アルバムだった前作『UNDER THE FORCE OF COURAGE』のストーリーのその後を描く続編的なコンセプト・アルバムである。

とはいえ、ドラマーが長年在籍していたJUNICHIからFUMIYAに代わっていることも含め、連続性がありながらも新たな出発、という印象もある作品だ。

前作が素晴らしい作品だったので、その続編となると、多くのシリーズ物の映画が2作目になるとテンションが下がるように、聴き劣りしてしまうのではないかと危惧していたが、それは全く杞憂だった。

『ULTIMATE SACRIFICE』、「究極の犠牲」なんていうタイトルからしていかにもだが、メタルにしか表現できない悲壮美がアルバムを貫き、典型的なメロディック・スピード・メタル・チューンからプログレッシヴ・メタル・タイプの曲、メロディアス・ハード風の楽曲、フォーク・メタル的なテイストを持った楽曲まで適度にバラエティを持たせつつも、これまで以上にエピカルなクサいメロディに対するこだわりが徹底されている。

こういう悲劇的な世界を歌い上げるには小野“SHO”正利の歌声はちょっと明るすぎる気もするが、これで過剰にエモーショナルな歌声の持ち主が歌い込んでしまったらちょっとクドくなりすぎる可能性もあるので、これくらいでバランスがいいのかもしれない。

圧巻は三部構成、11分半におよぶ#8「Brutal Spiral Of Emotions」から全5章12分半から成るタイトル曲#9というクライマックスで、普通であれば胃もたれしそうな濃密な大作が続くにもかかわらず、その劇的な展開が一切長さを感じさせない。

描かれるストーリーは正直ベタの極みと言うか厨二病全開なのだが(失礼)、だからこそここまでストレートに感情に訴えかける作品になったとも言えるだろう。

RHAPSODY OF FIREなど、欧州のエピック・メタル・バンドの描くストーリーはやはりマイケル・ムアコックなどの海外ファンタジー小説からの影響が強く感じられるのに対し、Syu(G)の描くストーリーというのはある種ジャンプ的な熱い少年マンガの雰囲気があって、その辺は国民性を感じてちょっと面白い。

まあ率直に言って、日本のメロディック・メタル・バンドとして他の追随を許さないほど突き抜けた境地に達してしまったなーという感じです。ジャケットが落ち着いているのは、前作のアートワークが不評だったからですかね?(笑)【88点】


これは短く編集したバージョンで、オリジナルはこれの2倍以上ありますが、2倍以上聴き応えがあります。


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コメント

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No title

雨後の筍のように出てくるガルネリフォロワーが次々解散する中
やはり孤高の存在になってますね。

前任者には失礼な言い方ですが、
小野さんを迎えてバンドのスケールは
50倍くらいアップしました。
未だ一般に通じるかどうかはアレですが。

陰陽座フォロワーとアルディアスに端を発した嬢メタルも
未だ増えては消え増えては消えしていますが、
この3つが最近のいわゆる「ジャパメタ」なんですかね?

またしてもとんでないもん作ってきましたよね〜
全体としては前作のほうが強力かな?とも思うんですけどタイトルトラックがあまりにも圧倒的すぎてもうぐうの音の出ないです
多作でかつクオリティを落とさないこんなバンドが先頭に立つ今のシーン後続のバンドは大変だろうなあ、なんて余計な心配してしまいます
個人的にはクオリティの面だけではskywingsやgauntletには期待しているんですが、メジャーデビューだとかアニタイついてだとかは絶対期待できないのでなんとも……(笑)

No title

レコード会社の移籍やコンセプト2作目という不安はありましたが全くの杞憂でした。
前作にあったタメをきかせたパートが減り
スリルが増したのが好印象です。
お気に入りはコンセプトアルバムなのもありますが全部です(苦笑)
ライブに行けなくなったことが悔しいです。

国内No.1パワー・メタル・バンド!

No title

個人的にアルバムとしてのまとまりは前作のが上ですが疾走曲のカッコ良さは本作に軍配が上がりますね。
おっしゃる通り、#8、#9の流れは圧巻です。

ただどうしても全編英詞の曲が気になってしまいますね。
他の曲に比べると歌メロに説得力がないです。
全曲日英混合歌詞で良かったのでは?

No title

小野さん、6曲目と8曲目の後半ではなかなかエモーショナルに歌ってくれていたとは思うのですが、ハイトーンでかつ疾走曲となるとどんなにメロディが泣いていようが明るさが目立ってしまって、うーん…となってしまいますね。これは過去の曲でもそうでした。

まあそれでもタイトルチューンのULTIMATE SACRIFICEは個人的には小野期では最高傑作だと思います。歌メロは最高!中間のソロが意外とあっさりしていたのがちょっと惜しいですね…。これがもし前作のSOUL OF THE FIELDのそれ並に劇的だったらGALNERYUS史上最高傑作。いや、私の人生のベストチューンになっていたかもしれません。

No title

前作の続編なんてハードル高いどころじゃなかったのにこれだから半端ないですね…
これと前作だけで日本どころか世界のプログレパワーメタルのトップに躍り出たと言っても過言ではないんじゃないでしょうか
ややこしい展開やプレイ、長さなのにちゃんとメロディアスでキャッチーなのが芸術的すぎます…

>名無しのメタラーさん

フォロワーにはフォローしきれない存在になってしまっていますね。

日本のメタル・シーンも多様化しているので一概には言えませんが、いわゆる80年代の「ジャパメタ」の流れを正統的に受け継いでいるのはおっしゃる3つの流れでしょうね。

>einさん

前作の方が優れていると思える部分もあり、本作の方が優れていると思える部分もあり、甲乙つけがたい傑作だと思います。

このレベルのバンドがこのくらいしか売れないのでは、メジャー・レーベルとしてはなかなかSKYWINGやGAUNTLETと契約に踏み切る勇気は出ないでしょうねえ…(苦笑)。

>かつ丼さん

彼らも陰陽座同様、作品のクオリティの安定感が素晴らしいですね。
おっしゃる通り、今回の方がスリルというか緊張感が持続していると思います。

しかしライブに行けなくなったとはいったい何故に?

>Loki Holstさん

国内No.1はもちろんのこと、ファンであれば世界一と言いたくなってしまうようなクオリティに達していますね。

国内であれば、パワー・メタルに限らず、全メタルでNo.1の実力と言っても過言ではないかもしれません。

>名無しのメタラーさん

小野さんは英語で歌うと確かに説得力がなくなってしまうんですよね~(発音の問題とは関係なく)。あくまで日本語と比べて、ですが。

とはいえやはりメタル・バンドとしては全編英語の曲にはこだわっていきたいのではないでしょうか。

>pndnskさん

小野さんの声質の明るさは魅力と表裏一体な個性ですから、何とも言い難い所ですね。

本作の作風にベストマッチではないかもしれませんが、現実的に小野さん以上のヴォーカリストを見つけるのはなかなか難しいでしょうし、ファンとしては受け容れるしかないでしょう。

タイトルチューンはおっしゃる通り名曲なわけですが、この間奏部で「あっさり」と言われてしまうのがGALNERYUSの恐ろしさですね(笑)。


>名無しのメタラーさん

めちゃくちゃテクニカルで複雑なことをやっているのに、全体としてはメロディアスかつ勢いに満ちて聴こえるのがGALNERYUSの魅力ですね。

No title

確定というわけではありませんが
仕事が忙しい時期で休みが取れないということ
それと定時上りもできなくて行けなくなりました。
もっと早く知っていればチケット買わなかったんですけどね
すいません愚痴になってしまいました。