FC2ブログ

ANGRA / OMNI

angra10.jpg

MEGADETHに加入したキコ・ルーレイロ(G)が実質脱退し(本作では1曲のギター・ソロのみに参加。ラファエルの表現を借りると、「ファミリーではあるがメンバーではない」)、後任にマルセロ・バルボーザ(KHALLICE, ALMAH)を迎えて制作された、ファビオ・リオーネ(元RHAPSODY OF FIRE)加入後第2作目。

前作「SECRET GARDENS」は、プログレッシヴ・メタル色が強く、ラファエル・ビッテンコート(G)がリード・ヴォーカルをとる曲が4曲もあったこともあり、ややラファエルのソロ・アルバム的な趣があったが、本作はファンがANGRAと聞いて期待するサウンドが全方位的に(そしておそらく意図的に)表現されている。

日本のファンがイメージする、明朗なメロディック・パワー・メタルと、テクニカルなプログレッシヴ・メタルを主軸に、シンフォニックなアレンジ、母国ブラジルの民族音楽のエッセンスを随所に取り入れた黄金のANGRAサウンドは、その楽曲タイプの収録バランスや曲順、コンセプト・アルバムという仕立てまで、制作のイニシアティブをとったラファエルが、名作「TEMPLE OF SHADOWS」を意識していることが端々から伝わってくる。

#5「The Bottom Of My Soul」に#9「Always More」と、バラード系の楽曲を2曲も収録しているのも、「TEMPLE OF SHADOWS」から「Wishing Well」というバラード系の楽曲が母国ブラジルでヒットしたことと無関係ではないかもしれない(特に前者を自分で歌ったことは、あわよくば自分が歌った曲をヒットさせたいと思っている?)。

もはやオリジナル・メンバーが自分だけ、そして前作が好評とは言い難かった状況だけに、「失敗できない」というプレッシャーは相当なものだったに違いない。

過去の名盤を再現しよう、などという「守りの姿勢」に入った試みは往々にして失敗しがちなものだが、本作については「TEMPLE OF SHADOWS」を超えているとは言えないまでも、それがかなり高いレベルで成功していることは間違いない。

非常に音楽的密度が濃く、複雑に構築された音楽ながら、随所に彼ららしい伸びやかなメロディと心地よい疾走感のマリアージュが存在するため、それほど難解な印象を持たずに聴き通せるのが良い。

キコ・ルーレイロの代役という重任を任されたマルセロ・バルボーザも、ALMAHで披露していたバカテクを遺憾なく発揮しており、おそらく過去曲の再現も問題ないであろうという安心感を与えてくれる。

アンドレ・マトスやキコ・ルーレイロというスター性のあるメンバーの陰に隠れがちだったラファエルの「してやったり」という表情が透けて見えるような充実作である。

デビュー以来のオールド・ファンとしては、ファビオの歌唱に「コレジャナイ感」もないわけではないのだが(とはいえもちろん過去のシンガーに比べて実力的に劣る所は全くなく、しかも前作に比べれば「ANGRAっぽく」歌おうとしているように感じられる)、久々に新しいファンを獲得できそうな、優れた仕上がりのアルバムであることは間違いない。【88点】

◆本作収録「War Horns」のMV


関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

No title

まだ聞けてません(;´∀`)

が。とりあえず間違いはないだろうという事で、11月の来日公演は行こうと思います(笑)

別件ですが、管理人様はPUMPKIN UNITEDはいつ行くのですか?23日だと会えますね!

これは久々にカッコいい新作ですね!

久しぶりにコメントさせていただきます。
最近のANGRAは、聴き込んで良さが分かるタイプの曲・アルバムが増えてきた印象ですが、今回は一聴してわかるカッコよさがありますね。
ファビオの歌唱はエドゥを意識しているように聴こえますが、まだ歴代のブラジル人シンガーとは質感が微妙に違いますね。
それでも、今回は曲がカッコいいので、パワフルな歌唱が引き立っていると思います。

ファビオが歌うAngraはダメだという先入観(言いたい事は分かりますが)さえ無くせばとても良い作品だと私も思いました。

正直自分も前述の先入観を持っていたので全く期待していなかったのですが、これはとても素晴らしい裏切りです。
流石過去の名盤を産み出すだけあってラファエルは並みの作曲センスの持ち主ではないなと思いました。
こんな良い作品を出してくれるならちょいちょい歌う事だって許してしまいます(笑)

>珍獣メガネコアラさん

11月までには聴いてください(笑)。

PUMPKIN UNITED、残念ながら私は初日と最終日です…。

>なっつさん

久々に一聴してガツンと来ますね、今回は。

ファビオは前任者たちとタイプが違うので、古くからのファンほど馴染みにくい気がしますが、メロディがいいのでVISION DIVINEよりはファビオ自体も輝いていると思いますし、初めて聴くリスナーにはむしろ歴代最高と感じる人もいるのではないでしょうか。

>エメッソンさん

私はファビオが歌うANGRAがダメだという認識はありませんでしたが、冷静に考えて『TEMPLE OF SHADOWS』以降、心の底からいいと思えるアルバムがなかったので、期待していませんでした。

しかしこの出来栄え。私もちょっとラファエルをナメていたことを反省しています(笑)。

No title

Angra、正直高校生の頃は「メロスピって言われてるのに、アルバムに速い曲が2~3曲しかないバンド」というイメージでした。

しかし、音楽の趣味もだいぶ変わり、また自分で曲を作ったりするようになると、アングラの凄さがだんだんわかってきました。

マトスの時代から物凄いものがありましたが、エドゥに代わってからは更に弦楽器のアレンジもさらに高まり、テンプルオブシャドウで頂点に達したと思います。

あのアルバムは、非常に凝った造りこみをしながらも、キャッチ―さを失っていないというのが凄いですね。

そして今作ですが、結構気に入りました。

正直メロディーの良さという面では、テンプルオブシャドウに及んでいないような気もします。

歌メロは結構いいですが、War Hornを筆頭にサビがちょっと淡泊に感じてしまいます。

とはいえ、プログレッシブな曲もなかなか飽きにくい様に聞きやすいパートがありますし、ここ数年稀に見る力作な感じですね...!

来日も決まっていますし、何より実はアングラだけでなくファビオも生で見たことが無いので、結構楽しみにしております。

>紅さん

改名されたのは、学生ではなくなった(なくなる?)からでしょうか。

「メロスピって言われてるのに、アルバムに速い曲が2~3曲しかない」というのは、私の世代にとってはそれが当たり前、という感じだったんですが、21世紀以降は速い曲ばかり、というバンドも珍しくなくなりましたね。

ANGRAは、音楽的なレベルでいえばHR/HMのフィールドでトップクラスのバンドですし、「TEMPLE OF SHADOWS」は、2000年代のメタルを代表する音楽的成果だと思います。

ANGRAのライブはアンドレ・マトス在籍時から4、5回観ていますが、ヴォーカルのコンディションさえよければ素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれますし、ファビオは安定感抜群なので、恐らくご期待に応えるものを見せてくれるのではないかと思います。

ANGRAは私にとってかなり思い入れの強いバンドでして、どんな作品であっても購入し続けるのは間違いないのですが、今回は1曲目からこれは!と思わせるデキで、久々の良作ですね。

マルセロさんはアルマーの頃から素晴らしいギタリストだと思ってましたので、ライブで観られるのは嬉しいです。
アルマーのマルセロさんと故パウロさん、キコ・ラファに匹敵すると思ってました。ルックスもメタルのミュージシャン!って感じで。

ファビオのANGRA、正直まだ違和感はありますが、上手いのは間違いないし、バンド全体のレベル的にもこのジャンルではかなりの上位だと思っています。

アリッサの参加には驚きました。ANGRAでデス声って今までで初めてではないですか?私はアリッサ大好きなので大歓迎ですが、何故?と思われる方もいるのでは…とちょっと心配になりました。

No title

>adore 様

長いモラトリアム期間がついに終わってしまいまして、昔のHNに別れを告げた形です...w

改めて本作を聞きこみましたが、メタリックでは無い曲の良さに色々感じ入ってます。

高度な事をやりつつも、聞きやすさもしっかりしているというのは本当にすごい事です
ね。
テンプル~はそれを極限で成し遂げていたのかもしれません。

ライブに向けて過去作含め聞きこんでいこうと思ってます、久しぶりに外タレメタルバンドのライブを見に行くので、かなり楽しみです(笑)

彼らが新作を出していたことを失念していました(汗)。発売の前の週までは覚えていたんだけどなあ.......

このバンドは「Temple〜」がピークでその後はエドゥの劣化やアキレスの脱退、「Aurora〜」から「Secret〜」のボチボチなアルバム3枚で関心が薄れてしまっていました。ですがこの作品で再びこのバンドに対する情熱が自分の中で蘇った気がします。アキレスが抜けた後のドラムパートが毎回不満だったのですが、今回のブルーノのプレイは彼の穴を最小限に留めており素晴らしいと思います。ファビオの歌唱とイェンスの音作りも前作は今までのイメージのせいで違和感がありましたが今回はバッチリハマっていて流石だと感心しました。マルセロはすぐに居なくなったり.....しないよね?でも英米の有名ドコロに目を付けられたら怪しいんだよなあ。

今回の作品は今のところ彼らの中で3番目に良いと感じていますが、聴き込めば2位の「Rebirth」に並ぶか上回るかもしれません。最近発売された国内版ではThousand Eyes、W.E.T.、そしてこのAngraが非常に良かったです。(The CrownとDukes Of The Orient も購入したのですがまだ聴けてないです。Orphaned LandとFMはまた今度にしよう。)

そういえば昨日Helloweenのライブだったのですね。キスクが参加していたのなら行けば良かった.......


>とうもろこしさん

この手のバンドで上位どころか、音楽の面では1、2を争うバンドだと思いますよ、ANGRAは。

今日びパワー・メタルやシンフォニック・メタル系のバンドにデス声のVoが部分的にフィーチュアされていることは珍しくないですし、メロデスとパワー・メタルは親和性が高いので、アリッサの参加に違和感を覚えた方はそれほど多くないのではないでしょうか。

>紅さん

ご卒業おめでとうございます(笑)。

そう、ANGRAはメタリックでない曲も味わい深いんですよね。

普通のメタル・バンドだと、ただのおとなしい曲かイージーリスニングなバラードになってしまうような曲に深みを与えられるのが彼らの凄さだと思います。

>YTさん

このブログをお読みになるような方でも、ANGRAの新作を忘れていたり、HELLOWEENのツアーにマイケル・キスクが参加していることについてノーチェックだったりするのですね。

アクセス数が一番多い頃の半分くらいに減っているので、もはや結構コアな人しか読んでいないと思っていましたから、いい意味で驚きました。

ファビオもマルセロもブルーノも、過去のメンバーに劣らない素晴らしい才能だと思います。やはり優れたバンドには優れたメンバーが集うものなのですね。

もちろんファンには思い入れがあるのですんなり受け入れられないこともあるでしょうけれども。


adoreさんへ

一応このサイトの事を知ったのが2005年(まだ中学生だった....)なのでそこそこ古参な気がします(笑)。アーカイブスが初心者にとっては有り難かったです。(人名録は特に)

音楽に限らないですが、どうも自分は熱が冷めてしまうと以前の様に情報を追わなくなってしまうみたいなんですよね。あと他の趣味(サッカー観戦、特に2002年から横浜Fマリノスのサポーターです)に時間を割いていると、いつのまにか誰々が来日、加入•脱退を結構経ってから知るという事もあります。やっぱり今思うと大学生の頃が一番自分の時間があったなあと感じますね。


今回の2バンドのようなこともあるので、以前より興味が薄れているバンド(HR/HMに限らず)にも少し目を向けてみようかなと思いました。

またまた長くなってしまい申し訳無いです。

>YTさん

2005年から! 実質オープンしたばかりの頃ですね。中学生がこのサイトを見ているという意識はありませんでした(笑)。長期に渡るご愛読ありがとうございます。

Archivesはおっしゃる通り初心者のために作ったつもりだったのですが、これだけWikipediaやEncyclopaedia Metallumが充実してくるともはや不要になりつつあるな、というのが正直な所です。

メタルがメインの趣味でなくなっているのであれば、情報も積極的に取らなくなりますからリリース情報などもわからないですよね。

最近はAmazonなんかも教えてくれたりはしますが、一番まとまったHR/HMリリース情報の情報源は未だにBURRN!というのが日本の実情ですね。

復活作

やはりマルセロ・バルボーザがさすがですね。
知らなかった人は「ANGRAは終わった」と思っていたみたいですが。

第3期を代表する作品といっていいでしょう。

>ストラディキャスターさん

マルセロの技術はALMAHでも非凡だと思ってましたから、その点は心配ないと思っていましたね。

今後ソングライティングの面でもキコ並みの貢献が見られるかどうかが楽しみです。