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LIONE-CONTI / LIONE-CONTI

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前エントリーのTHE NIGHTSに続いて、半年前に出たアルバムを今更レビュー。

本作はファビオ・リオーネ(RHAPSODY OF FIRE, VISION DIVINE, ANGRA)とアレッサンドロ・コンティ(TRICK OR TREAT, LUCA TURILLI'S RHAPSODY)によるシンガー共演プロジェクト作品。古臭い言い方をすれば、「デュエット・アルバム」(笑/もっとも常にデュエットしているわけではないが)。

この手の企画モノは当然というか『FRONTIERS MUSIC』によるもので、ラッセル・アレン(SYMPHONY X)とヨルン・ランデ(JORN他)によるALLEN-LANDE、マイケル・キスク(HELLOWEEN, UNISONIC)とアマンダ・サマーヴィルによるKISKE-SOMERVILLE、ボビー・キンボール(TOTO)とジミ・ジェイミソン(SURVIVOR)によるKIMBALL-JAMISONなどの流れにあるもの。

アルバムのアートワークはなんだかポケモンみたいだが(?)、ALLEN-LANDEにもゾイドみたいなアートワーク(?)があったので、こういう「対決」を主題にしたテーマの絵というのは往々にして少年向けコンテンツ的になってしまうということなのだろう。

もっとも、ファビオ・リオーネとアレッサンドロ・コンティでは「番長と舎弟」くらいの格の差があるので、こういう「対等の対決」みたいな構図が二人の関係性を的確に表現しているとは思えないが…。

いずれにせよ、ソロ名義のアルバムだと本人のこだわりが出て作りにくいが、こういう企画モノの形であればちょっとした小遣い稼ぎ気分で参加してくれる、ということを『FRONTIERS MUSIC』のオーナーであるセラフィノ・ペルジーノ氏はこれまでのビジネスから学んでいるのだろう。

しかもソロだとその一人のファンしか買わないが、ダブルネームなら二人のファンが買ってくれて売上も伸びる、となればビジネスとしては意外においしいのかもしれない。

もちろん、ビジネスとはいえ、クオリティに手抜きはないからこそ『FRONTIERS MUSIC』はここまで拡大したわけで、DGMのシモーネ・ムラローニ(G)をプロデューサーとして制作の中心に迎えた本作も、楽曲のクオリティ、演奏、サウンド・プロダクションまで(もちろん歌唱も)、ケチをつける余地が見当たらない。

ファビオ・リオーネとアレッサンドロ・コンティという組み合わせが「RHAPSODYつながり(あるいはルカ・トゥリッリつながり?)」で企画されたことは想像に難くないが、本作で展開されているサウンドは、あそこまで大仰なシンフォニック・メタルにはなっておらず、より広義のメロディック・パワー・メタルが展開されている。

聴く前はてっきりDGMの曲を二人のシンガーが歌う、みたいなことになるのかと思っていたが、シモーネ自身がプレイしているギター・パートにこそDGMっぽさはあるが、DGMのようなプログレッシヴ・メタル的要素は薄く、ストレートなメロディック・パワー・メタルに徹しているのが私好み。

『BURRN!』誌では「…2人の個性がぼやける。それぞれのシンガーのどこから魅力を引き出そうとしたのか、これじゃわからないよ」というレビューと共に77点という、同誌においては「落第点」ともいえる点数を大野氏に頂戴していたが、あえて言おう、本作はメロディック・パワー・メタル・ファンが今年必ず聴くべきアルバムの1枚だ。

まず、この手の音楽における歌唱とは楽器のひとつのようなものであって、力量以上に個性が問われることはない。個性的なヘタウマ・シンガーに歌われるくらいならロブ・ハルフォードやマイケル・キスクのクローンみたいなシンガーに歌って欲しい、というのがこのジャンルのファンにおける多数派意見と思われる。少なくとも私はそうだ。

その点、ファビオとアレッサンドロの2人とも力量に申し分はなく、声質も結構違うので聴き間違えることもない。そして、シモーネ・ムラローニが何も考えずにアミダくじや好き嫌いでヴォーカル・パートを配分したとは考えにくく、二人のシンガーの得意な声域や、楽理についてシモーネほど詳しいはずもない大野氏がその点にケチをつけるというのは、いち雑誌編集者の言としてはいささか不遜に過ぎるのではないだろうか。

とまあ、大野氏批判みたいな文章になってしまったが、彼女のレビューにおける「もう一人入れればドミンゴ、カレーラス、パヴァロッティ並の“3大テノール”になってセールスポイントもはっきりしたのに」というくだりは全く同意見で、イタリアにはまだミケーレ・ルッピ(元VISION DIVINE, 現SECRET SPHERE)やロベルト・ティランティ(LABYRINTH)といった逸材がいるだけに、「メタルの3大テノール」を狙ってほしかったな、と(笑)。

まあ、その辺はもうファンの重複が多すぎて、人数を増やすことで上がる制作コストほどに売上の伸びが期待できない、ということになってしまうのでしょうけど(苦笑)。

とりあえず、本作はメロディック・パワー・メタル・ファンが今年必ず聴くべきアルバムの1枚です(大切なことなので2度言いました)。【86点】


本当はこのMV曲より、疾走感抜群の「Glories」や、KAMELOTファンならニヤリとしてしまう「Misbeliever」あたりを聴いてもらいたいですが、オフィシャルな音源は公開されていないので、アンオフィシャルな音源を検索してみてください(笑)。

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コメント

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ファビオ働きすぎ!

すまん。

>Loki Holstさん

ファビオが自分から売り込んでいるのか、ファビオに歌って欲しいというニーズが多いのかわかりませんが、いずれにせよインターネットを介して、直接会わずとも仕事ができるようになった環境が大きいでしょうね。

>鼻毛大魔王さん

ファビオさんですか?

やはりファビオの伸び伸びとした中音域は1級品ですね!ここ最近のANGRAも嫌いでは無いですが、やはりファビオにはこの当たりのキーで歌える楽曲を歌って欲しいものです。

アレッサンドロ・コンティもずいぶん前(トリックオアトリートの2ndあたり)に比べると格段に歌が上手くなっていてびっくりしました(笑)第2弾も期待したいですね。

>ごえたさん

ファビオの中音域は絶品ですね。メタルのフィールドで1、2を争う魅力的な歌声だと思います。

そういう意味で、新作は良かったですが、ANGRAはファビオの良さを一番引き出すバンドではないよなあ、と。

アレッサンドロ・コンティは、多分かなりルカ・トゥリッリに鍛えられたのではないかと思います(笑)。

MV感想

曲はそこそこ。歌とギターは上手い。85点くらいです。