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GYZEがX JAPAN の「Forever Love」やレリゴーのカバー動画を公開している件について

北海道出身のメロディック・デス・メタル・バンド、GYZEが、X JAPANの名バラード「Forever Love」のカバー音源をMV化して公開していました。



パンク風メタル・カバーという謎の説明がなされており、バラードだった原曲がアップテンポになっています。

動画の説明文を見ると、「彼らへのリスペクトと一人でも多くの方にGYZEのスタイルの音楽を認知してもらうために作ってみました」とのことで、ご本人たちとしては、広告業界的な言い方をすると「認知拡大施策」のつもりでカバーをしてみたようです。

まあ最近、YOSHIKI絡みでX JAPANがメディアで話題になることも多いですし、小泉元首相のおかげで「Forever Love」は「紅」と並んで、彼らの楽曲で最も有名なものの一つであることは確かでしょう。

この動画の存在に気付いたのは、たまたまYouTubeの「あなたへのおすすめ」に出てきたからですが、どうやら最近これ以外にもいろいろとカバー音源映像を公開している様子。

まずは、「暑中見舞い」と称して、大ヒット映画『アナと雪の女王』のテーマ・ソングだった「Let It Go」をカバーしている。



まあ、北海道のバンドとして雪と親和性も高いので、と言いたい所ですが、これまたご本人たちとしては認知拡大を狙った「ネタ作り」でしょう。

さらには、先日ロシアで行なわれたサッカーのワールドカップのタイミングに合わせて、ロシア民謡「カチューシャ」のカバーなども公開していたり。



まあ、北海道はある意味ロシアと接していますし…というのはさすがに苦しい、時事ネタに便乗した話題作り。

しかも、この夏のさなかにRyojiがソロ名義でヴィヴァルディの「四季」から「冬」のカバーも披露していたり。



これは一般受けを狙ったというよりはギタリスト受けを狙ったものだと思いますが。

そんな中、先日このブログでも取り上げた「龍吟」を、DRAGONFORCEのVo、マーク・ハドソンが日本語で(!)歌っているバージョンのMVも公開されている。



動画タイトルに「English ver.」とありますが、これ、日本語バージョンですよね…? いや、「英国人が歌っているバージョン」という意味であれば確かに「English ver.」ですが…。

てか、そもそも日本語で歌わせる必要あったんですかね? 楽曲の完成度を損なうだけのような…。

…とまあ、最近やたらとツッコミどころのある動画を次々とアップしている彼ら。

もちろん、状況や立場によって例外はあるにせよ、「動かないよりは動いた方がいい」というのは人間社会における基本。

そういう意味で、彼らのこういうアクションを前向きなものと捉えることは可能でしょう。

しかし、いち広告屋として言わせてもらうと、「順序が違う」。

有名な人が変わったことをやれば、それは話題になります。例えばX JAPANが「Let It Go」をカヴァーしたら、それはかなりの話題になるでしょう。

しかし、ベースとなる認知がない人が変わったことをやっても、普通は誰も興味を持ちません。見ようと思いません。

つまり、

変わったことをやる→話題になる→有名になる

ではなく

有名になる→変わったことをやる→話題になる

なのです。

新垣結衣が変なダンスを踊るから話題になるのです。無名の女の子が変なダンスを踊っても、それは単なる変な子でしかありません。

このことは、先日の「だんご3兄弟」カバー、「めたる3兄弟」がスベった(と、本人たちが思っているかどうかはわかりませんが、少なくとも当初期待していたほどの再生回数には達していないはず)ことで学習していると思っていたのですが…。

たしかにX JAPANが有名になるきっかけは、バラエティ番組に出演するという「変わったこと」でした。ただ、それは圧倒的な人数に観られることが保証された「変わったこと」でした。視聴率が10%を超えるようなテレビ番組でプレイするのであれば、オリジナル曲よりも、「めたる3兄弟」や「Let It Go」や「Forever Love」の方が話題になることでしょう。

しかし、興味のない情報でも届けてしまうプッシュ型のメディアであるテレビと違って、インターネットは基本的にはプル型のメディアなので、せめてTrue Viewやプロモツイートなどで広告しない限り、単に動画を公開しただけでは、既存のファンが見るだけで、新規層は開拓できません。

そして私のような「既存のファン」が望み、広めたいと思うのは、余興のようなカバー動画ではなく、彼らの才能が表現されたオリジナル作品です。

例えば、最新作からのこのMV(リリック・ビデオ?)、これは上記で紹介したどのカバー動画よりも私の心を震わせます。



もちろん私個人はファンなのでカバー動画も楽しみました。ファン・サービスとしてはこういうのもいいと思います。

ただ、もしこれらの動画で新しいファンが獲得できることを期待しているとしたらそれはいささか甘い考えで、新しいファンを開拓したいのであれば、オリジナルで新たな名曲を書くことに邁進し、より多くの人の目に触れる場でライブをすべき、というのが私の意見です。

ネタがネットでバズって通知が止まらん、みたいな話に比べると遠回りな話に聞こえるかもしれませんが、才能のあるバンドにとって実はそれが一番確実な成功への道だと思います。「本業」の時間を削って「ネタの仕込み」をするなどというのは「才能の無駄遣い」以外の何物でもありません。

一介のサラリーマンが彼らのような才能ある若者に言うのもおこがましいのですが、彼らにはイギリスの哲学者、フランシス・ベーコンの「高みに上る人は、皆らせん階段を使う」と、「一番の近道は、たいてい一番悪い道だ」という言葉を贈りたいと思います(えらそうですみません。しかし言わずにはいられませんでした)。
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コメント

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あなたへのおすすめ

私もYouTubeを視聴していると、あなたへのおすすめでよくGYZEのカバー曲が出て来るのでビックリしていました。
龍吟のMV、映像の出来はともかく(笑)、曲は気に入っておりますのでチャンネルを登録したんですよね。
ただそのバンドの熱心なファンならともかく、いまいち再生する気になりませんでした。YNGWIEやHELLOWEEN、SKID ROWのカバーアルバムは好きなのですが。
GYZEならではのオリジナルの名曲を期待しています。

いつもadoreさんのざっくばらんな見解は
読んでて面白いですし、勉強になります!

No title

同郷として応援しているつもりだし、こういう記事を見て乗っかるのもどうかなーと思いつつ、同意します。
事務所の戦略なんでしょうけど微妙に外してるなっていうのは思ってました。
単に予算がないんでしょうけど、クォリティがどれもC級過ぎるんですよね。
クサメロの90年代チルボド影響大っていうバンドだからあえてそうしてる部分もあるのかもしれないですけど、もうちょいやりようあったはず。

昨年のGYZEの新譜にとても感動し、X JAPANに多少なりとも思い入れがある身としては、手放しで喜べるクオリティではないと思います。
管理人さんが筆を走らせた起因も、案外そういうところではないのですか?(笑)

そして「もしGYZEを知らない人がこの動画を見て、彼らにどんな印象を持つのか」と考えてしまうは、心配のしすぎですかねぇ

>ゆうていさん

なんと、チャンネル登録をするほど気に入っていたとは(笑)。

でもまあ、ちょっと宴会芸みたいな感じがしてあまり真剣に見る気にならないというのが彼らのサウンドそのものに魅力を感じている人間の偽らざる本音ですね。

>Loki Holstさん

勉強になるなどと言われると気恥ずかしいですが、こんな独りよがりな文章でも面白いと言っていただけると書き手としては嬉しいですね。ありがとうございます。

>人さん

道民だったんですね。となると彼らを応援しないといけませんね(?)。

クオリティについては、予算の問題というよりは本気度の問題なのだと思いますが、やっぱり外してますよねえ…。もったいない。

>名無しのメタラーさん

X JAPANのカリスマと仰ぐ身として、唸るようなカバーかというと正直そうは言えないですね(苦笑)。

おっしゃる通り、この動画で彼らを知った人がいたとして、GYZEのファンになるのかというとそれはどうなんでしょう…という気がします。残念ながら。

No title

YouTube上でおすすめとしてこれらが表示されたとき、だんご三兄弟で懲りてなかったのかと見もしなかったのですがadoreさんが話題にされたこの機会に一通り見てみました。
やはりクラシックはメタルアレンジすると映えますね。唯一これだけ最後まで聞けました。

彼らが本気でこれらを足掛かりにしたいと思ってやってるんだとしたら、とても残念なことです。

>8さん

ヴィヴァルディのカバーだけ聴けたのは、大衆への媚びと歌がないからじゃないですかね(苦笑)。

おっしゃる通り、彼らが本気でこれがキャリアの足掛かりになると思っていないことを願うばかりです。

No title

有名になる→変わったことをやる→話題になる


と言う文面で、
「ショトマッテ!ショトマッテ!」をまた思い出してしまった...

>Loki Holstさん

私はすっかり忘れていましたよ(笑)。

まあ、あれは日本のファンに対する親愛の情を示すためのファンサービスで、彼らはあれで自分たちの知名度が上がるとは全く思っていなかったと思います。