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浜田麻里 / GRACIA

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2010年のアルバム、『AESTETICA』以降、「メタル回帰」を強めていた浜田麻里の、デビュー当時のレコード会社である古巣、ビクターエンタテインメントへの復帰第一弾アルバム。

いや、これはビックリ。正直ここまでガチなメタル路線で来るとは思わなかった。

これまでも高崎晃(G : LOUDNESS)をはじめ、日本のHR/HM系ミュージシャンが彼女のアルバムに参加することは珍しくなかったし、海外の凄腕ミュージシャンが参加することも少なくなかったが、海外のミュージシャンについては主にスタジオ・ミュージシャン系の人たちであることがほとんどだった。

しかし今回ゲスト参加しているミュージシャンのラインナップと来たら、ポール・ギルバート(G : MR. BIG)にビリー・シーン(B : MR.BIG, THE WINERY DOGS)、クリス・インペリテリ(G : IMPELLITTERI)、マイケル・ロメオ(G : SYMPHONY X)、クリス・ブロデリック(G : 元NEVERMORE, MEGADETH)、そしてデレク・シェリニアン(Key : 元DREAM THEATER, PLANET X, SONS OF APOLLO他)に、マルコ・ミネマン(Dr)といった恐るべき技巧派メタル・ミュージシャンが名前を連ねている。

そして本作はその名前から受ける期待を裏切らないテクニカルな高密度のHR/HMサウンドが展開されており、時にプログレッシヴ・メタルとしか形容できないパートが頻出、そのインストゥルメンタル・パートの緊張感とフィーチュア度の高さは、もはや女性ソロ・シンガーのアルバムとはとても思えない領域に(笑)。

特に若井望(DESTINIA)が作曲に関わった冒頭3曲は強烈。アグレッシヴ、テクニカル、ドラマティックの三拍子揃ったそのサウンドは、「浜田麻里はヘヴィ・メタル」だとわかっている人でさえ「ここまでやっちゃう?」と驚くこと間違いなし。

いや、1曲目「Black Rain」のソロ、ポール・ギルバートが弾いているんですが、やっぱりポールはメタル・ギタリストとして凄い人だわ、とあらためて思い知らされましたね。

メロディックな速い曲が好きな人(それは私です)にはマイケル・ロメオ(G)とビリー・シーン(B)という恐るべきカップリングが実現している#3「Orience」と、クリス・インペリテリ(G)とデレク・シェリニアン(Key)のソロ・バトルが聴ける#10「Dark Triad」という珠玉の名曲が用意されており、これらを聴かずに今年のメタルを語るわけにはいかないでしょう。

一方で#5~#8の中盤には歌謡系メロディアス・ハード路線の曲が集められており、これがまたいい感じに哀愁路線の曲ばかりでマイ琴線にジャストミート。

もちろん浜田麻里のヴォーカルは圧巻の一言で、50歳を超えてなお衰えるどころかますます冴え渡る高音は「今更そこまで誇示しなくても、もう誰も貴女の実力を疑う人なんていないんですから、もっと喉を大切にしてください」と諫めたくなってしまうような、偏執狂的とさえいえるヴォーカル・ワークを響かせている。

これは大ヒット曲「Return To Myself」が好きでファンになったような人は付いていけるのかしら…と余計な心配をしたくなるほどに力の入ったアルバムだが、実際これで久しぶりのオリコンTOP10入り(6位)を記録しているのだから、今の彼女を支えているファンというのは「そういう層」なのだろう。

私は80年代のアルバムと、2010年以降のアルバム以外はほとんど聴いていない、浜田麻里のファンとしてはニワカな単なるメタル好きですが、そんな私の感覚だと本作はアルバム単位で見た時に彼女の最高傑作ではないかと思います。グレイト!【89点】


▼「テクよりも味、というのは逃げ」と語る挑発的なインタビュー。読み応えあり。
浜田麻里が語る、音楽的快感を作品に求める理由「同じ自分で居続けるのが面白くない」(Real Sound)


ビクターはショート・バージョンとかケチくさいものではなくフル・バージョンを上げてほしい…。

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コメント

非公開コメント

メタルですね~

まさか浜田麻里まで聞かれていたとは恐れ入ります。しかもオリコンチャートまでチェックされているとは・・・(笑)。管理人さんは、やはり裏業界の方?
みなさんこの浜田麻里を待っていたのでしょうか?それとも宣伝効果が良かった?
このレビューをみても、メタルの本気度が信じられなかったが、MVを見て納得しました。昔以上にメタルしていますね~。
私も買おうか悩んでいます。だってMVが中途半端ですもの。1・2曲聞いて良かったら買うという人、私以外にもいると思うんですけどね。
いつも貴重な情報、有難うございます。

自分は4年前にNHKのSONGSで特集されていたのを見て彼女の作品に興味を持ちました。丁度その放送の少し前に以前のアルバムが再発されていたので、「Romantic Night」〜「Return To Myself」とシングルコレクション(Heart And Soulが聴きたかったので)を購入しました。80年代の彼女の作品ではメタル路線より歌モノの「Return〜」が一番気に入りましたね。

そのうち他のアルバムにも手を出してみようと思っていたのですが、数が多く(まだ半分にも達してない....)他にも聴きたいものがあったので、気付いたら集めるのをやめてしまっていました。

adoreさんが前作をレビューした時にも興味は持ったのですが、今作の高評価に押されて久しぶりに聴いてみたくなり購入しましたが、いくらHR/HMのヴォーカリストとはいえソロ作品、そしてこの年齢(全く衰えていないのが凄い!)でここまで演奏を前面に出した作品を作るとは思いませんでした。そしてそれが素晴らしい出来なのだから凄いです。近作も中々良さそうなので、まずは2010年代のアルバムからまた集めてみます。

どの曲も全く隙がありませんが、5〜8の流れが今のところ特にツボですね。この4曲での彼女の歌声を聴いていると黒猫と重なるところも有るのだなぁと思ったり。「覇道明王」も聴きたくなってきました(笑)。

若井望が関わった楽曲を聴いて、Destiniaの次作に彼女の起用も良いなと思いました。





>かじやんさん

浜田麻里についてはこのブログで何回か取り上げていたのですが、まあ全部のエントリーを読んでいる方などそう多くはありませんよね(笑)。

オリコンの順位は裏業界に属していなくてもインターネットがあればすぐに調べられます(笑)。

気に入るかどうかは保証できませんが、メタルであることと、質が高いことは保証できますよ! さあポチっと!(笑)

>YTさん

80年代の作品は、良い曲と捨て曲の落差があってアルバムとしては満足しきれないというのが正直な所ですね。

そういう意味では2010年以降にリリースされた『AESTETICA』と『LEGENDA』はオススメできますね。本作中盤のメロハー路線が楽曲がお好みであれば『AESTETICA』の方がよりハマるかと。

仮にもオリコンNo.1の実績がある方ですから、DESTINIAへの参加は考えにくいような気がします(1曲ゲスト参加くらいはあるかもしれませんが)。

良いと思います!

こんにちは。

前作を購入しつつ、あまり聴かなかったのですが、先日タワレコで今作を視聴しましたら、

Blue revolutionとか、cry for the moonとかnostargiaなど好きなワタシ好みの作品でした!

切ない感じの曲と、メタル!といった曲とで

これは買いだな!と。

早速ライブチケットをと思ったらZeppga

即完売で、

春くらいにまた東京ライブやりそうなので

その情報待ちです。

邦人のライブ方が、チケットとれないんですね、、、。

>ゆりおさん

前作は私も『AESTETICA』や『LEGENDA』に比べるとちょっと弱いな、と思っていました。

本作はメタル好きにとっては素晴らしいアルバムですね。

一般に邦楽アーティストの方が新作の良し悪しで動員が変わる洋楽アーティストよりもロイヤリティの高いファンが付いていて、その人数に見合った規模でのライブが行なわれるのでチケットをとるのは大変かもしれませんね。

初めてコメントに書き込む新参者です

麻里さんの新作、気になってたのでレビューしていただけて有り難かったです。

確かにビクターにはフルMV上げる方針に変えてもらいたい。
Cyntiaもビクター時代のMVはショートばかりだったし…。

ビクターに移籍したとたん、アルバムのお値段もお高めになりましたし、ファンとしては素直に喜べない部分も正直感じてます…。

>龍さん

はじめまして。

ビクターはレコード会社としての格はこれまでより上ですが、その結果MVが短くなり、1曲しか入っていないCDと、今日び普通のアーティストであればYouTubeで公開するレベルの映像しか入っていないDVDがついてあのお値段というのは、よほど熱心なファンでないと厳しいですよね(通常盤があるとはいえ…)。

まあ、今浜田麻里のアルバムをフィジカルで買う人というのはそういう「熱心なファン」しかいないのかもしれませんが…。