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STARBREAKER "DYSPHORIA"

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トニー・ハーネル(Vo: 元TNT)とマグナス・カールソン(G: 元LAST TRIBE, ALLEN-LANDE他、現PRIMAL FEAR)によるプロジェクトの、前作"LOVE'S DYING WISH"(2008)以来、約10年ぶりとなる再結成(?)アルバム。

ドラマーが前2作でプレイしていたジョン・マカルーソから、マグナス・カールソンのソロ・プロジェクトでもプレイしていたAnders Köllerforsなる人物に交代している。

とはいえ、アルバムのジャケットにトニー・ハーネルとマグナス・カールソンの名前だけが表記されているので、このプロジェクトは実質的にトニー・ハーネルとマグナス・カールソンのデュオなのでしょう。

デビュー・アルバムではちょっとプログレッシブかつモダンなメロディックHR/HMを、前作ではややゴシカルな感触のヘヴィ・ロックをプレイしていたが、本作では過去最高に正統的なヘヴィ・メタルの方向性に進んでおり、トニー・ハーネルがこういう音楽を好んでいるとは思っていなかったので、#1"Pure Evil"の威勢のいいドラムからパワー・メタル然としたギター・リフ、トニー・ハーネルのハイトーン・スクリームという出だしにちょっとビックリ。

その後もマグナス・カールソンらしいメロディ・センスが活きたメロディアス・ハード的なセンスの曲から、どちらかというとトニー・ハーネルのセンスによるものと思われるモダンなタッチの楽曲まで多少の振り幅はありつつ、メロディックなメタルのファンであれば楽しめる楽曲が全編に渡って展開されている。

これまで『Frontiers Music』からリリースされてきた、マグナス・カールソン主導のプロジェクトは一歩間違うと「歌い手が違うだけ」状態になってしまいがちでしたが、このプロジェクトがそうならないのはやはりトニー・ハーネルが単なる歌い手に徹するようなタイプのシンガーではないからなのでしょう。今まで『BURRN!』誌などで目にしてきたインタビューを読むと、結構我の強そうな人ですからね(笑)。

アメリカ人であるトニー・ハーネルのセンスが、コテコテ・クサクサにならないこの洗練されたメロディック・メタル・サウンドに昇華されているとしたら、これはケミストリーと呼べるものなのかもしれません。

マグナス・カールソンのソロ・プロジェクトにトニー・ハーネルがゲスト参加している楽曲もそうだったのですが、この二人が組んでバラード系のメロウな楽曲を歌うと絶品なんですよね。

恐らくこのバンドがライブをやることはないという安心感(?)からか、トニー・ハーネルは「まだこんなに声出るんだ?」と驚くほどのハイトーンを随所で披露しており、80年代以来の彼のファンには溜飲が下がることでしょう。

アルバムのラストはJUDAS PRIESTの"SIN AFTER SIN"(1977)アルバムに収録されている"Starbreaker"のカヴァー。

やっぱりこのバンド名はこの楽曲から取ったんですかね? その割にはデビュー当時にそういう正統派ヘヴィ・メタルの要素はさほど強くなかったような気がしますが…。

このバンドSTARBREAKERの現代的なセンスを備えた洗練されたメタル・サウンドの後に聴くとこの40年前の楽曲はいささか垢抜けないものに響いてしまいますが、本作の作風を伝えるにあたってJUDAS PRIESTのカヴァーを収録するというアイディアは悪くないのかもしれません。【84点】





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コメント

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結構好きです!

昔、LAST TRIBEとTNTが好きな私は、最初どんなアルバムが出来るのだろうとワクワクしたものでした。
今、その当時を思い出すことすらできないほど印象に残っていないって事は、曲がもう一つだったのでしょうか(笑)。
新作を試聴させてもらいましたが、ご指摘の通り正統派な曲といった感じ。
超技巧派でありながらメロディアスなGを弾くマグナス・カールソンが好きなので全曲でどんな感じか?
買うかどうか迷い中。
昔と違ってかなり厳選しないと買えない私の極貧資産のせいです。
(失敗は許されない)
音楽業界ってこういう感じで、もしかしたら厳しいのかしら

トニー・ハーネルは新しい楽曲でHR/HM系を歌う意欲があまり無いのでは、と勝手に思っていたので意外とメタル寄りな内容にちょっとビックリです。トニーが一枚通して歌ったアルバムで聴いたのは2010年の「Round Trip」が最後だったので(アコースティックのアレンジだからこそ彼の巧さがより際立っていたので、結構楽しめましたが)、この手の楽曲を歌ってくれるのはやっぱり嬉しいです。カヴァーは今回のJudasやWestworldでBlack Sabbathの「Neon Knights」もプレイしていたので、あの辺の時代のメタルには思い入れはありそうですね。

マグナス・カールソンが関わったバンド/プロジェクトで相性が一番良いVoは実はトニーなのかなと思ってます。少なくとも今のロニー・ル ・テクロよりマグナスとのコラボの方が期待が持てます。

あと次作があるなら2年とは言わないので、3、4年後くらいに出して貰いたいですね(笑)。10年はちょっと長いです....。(前作発売した頃自分は高校生だったと思い返すと随分時間が経ったなあと改めて感じますし)

>かじやんさん

んー、失敗は許されないとまで言われると無責任に推せないですね(笑)。

さすがにLAST TRIBEや全盛期のTNTほどの輝きがあるとは言い難いので、その8掛け、7掛けの満足度で納得できるのであればどうぞ、という感じですかね。

というか、予算が限られているのであればそれこそサブスクリプションサービスで楽しまれてはいかがでしょうか。

とりあえず私が使っているAmazon MusicとSpotifyにはこのアルバムがありますよ!

>YTさん

私もトニー・ハーネルが正統派メタル的な楽曲を進んで歌うイメージがなかったので、本作の作風にはちょっと驚きました。

おっしゃる通り、マグナス・カールソンがこれまで組んできたヴォーカリストで、一番ケミストリーが感じられるのはトニー・ハーネルですね。

ある意味楽曲の「マグナスらしさ」は抑えられることにもなっていますが。

私は10年前とそんなにライフスタイルが変わっていないのでそれほどご無沙汰感はありませんでしたが、10年前は学生でした、という人にとっては長いインターバルですよね。

もう少し売れれば、もっとコンスタントに作品が出るのだと思いますが(苦笑)。

No title

マグナスはトニーを生かしてますが
ロニールテクロはもちろん、マークリアリの方が生かしてる気がします。

TNTが昨年出したアルバム、トニーが参加してない分
全然話題になってませんが、2018個人的bestの素晴らしいアルバムでした
今の感触からしたら全然メタルではないですが

>名無しのメタラーさん

そう言えばWESTWORLDなんてのもありましたね。当時TNTがオルタナ化していたので「こっちの方がいいな」と思っていた記憶があります。

TNTの新作はメタルどころかハード・ロックと呼ぶことさえ躊躇われる作風でしたが、個性的なポップ・ロックとして久々に傑作と言える仕上がりでしたね。