FC2ブログ

Metal Female Voices Fest Japan 2019 at 新宿BLAZE 4/21感想

2003年からベルギーで行なわれてきた女性ヴォーカルのメタル・バンドの祭典、Metal Female Voices Festの日本版、Metal Female Voices Fest Japan 2019に行ってきました。

と言っても、私が観たのはVUURとLEAVE'S EYESの2バンドだけなので、フェスを楽しんだとはとても言えず、VUURが前座についたLEAVE'S EYESの来日公演を観た、という感覚です。

ぶっちゃけ私は女性ヴォーカルのメタルのファンというわけではなく、もちろんNIGHTWISHとかWITHIN TEMPTATIONクラスの、もはやメタル・シーンを代表するレベルのバンドを別格とすると、あまり積極的に聴いてはいません。

一応断っておくと、別に女性ヴォーカルのメタルが嫌いなわけではなく、男らしいパワー・メタルの方が好きなので、そちらを優先的に聴いてしまうというだけの話です。

ただ、今や数多く存在する女性メタル・ヴォーカリストの中でも、アネク・ヴァン・ガースバーゲン(VUUR, 元THE GATHERING)という人の歌声は個人的にHR/HMの女性ヴォーカリスト史上最も魅力的だと思っており、その歌声を一度生で聴きたい、という思いだけで足を運んだという感じです。

私が会場である新宿BLAZEに到着したのは、まさにVUURのショウが始まる直前の19:30頃。

元々この日は用事があり、最初から観ることは不可能でした。しかもついつい30周年に寄せてXの"BLUE BLOOD"を聴き、それに関するブログ記事まで書いてしまったので、それを諦めれば、その前のMARY'S BLOODには間に合ったのではないかと思いますが、あのエントリーはあのタイミングで書かずにいられなかったので仕方ありません(?)。

集客に苦労しているという噂は聴いていましたが、オーディエンスは会場キャパの5~6割といったところ。日本ではやっぱり女性ヴォーカルのメタルってイマイチ人気ないですよねえ。NIGHTWISHとかWITHIN TEMPTATIONのようなトップ・バンドでさえ、本場欧州に比べるとだいぶ盛り上がりに欠けますし。

VUUR

それだけに、2016年に結成されたばかりのVUURがどれだけ盛り上がるのか、個人的には心配していました。その音楽も、女性ヴォーカルのメタル以上に日本では(DREAM THEATERを除き)人気のないプログレッシヴ・メタルということで、THE GATHERINGの人気もあまりなかった日本で彼らが受け容れられるのか、正直不安でした。

しかし、ライブが始まってみると、その心配は完全に杞憂でした。オーディエンスは少ないとはいえ、ちょっとビックリするくらい盛り上がっていたのです。

そして、その盛り上がりの理由がアネク・ヴァン・ガースバーゲン、その人であることは明白でした。

とにかく圧倒的な存在感とカリスマ性。バックを固める演奏陣も、皆非常にテクニカルで、ルックスも悪くない(特にベースはカッコよかった)のですが、視線はもうアネクに釘付けでした。

アネクは私より4つくらい年上なので、もう40代半ば、客観的には「オバサン」。実際ちょっと体型は崩れてきていて、二の腕などはパンパンなのですが、そんなルックスの劣化(とはいえ、彼女が若い頃美しかったことを疑う人間はいないだろう、というくらいにはちゃんと美しさの面影がありますが)など気にならないほどに存在自体が輝いている。

とにかく笑顔が素敵なのですが、「この笑顔を守りたい」「この人の笑顔を曇らせてはいけない」「このライブを盛り上げることはもはや我々の義務だ」と、オーディエンスに自然に思わせてしまう何かがあるのです。これをカリスマ性と言わずしてなんと言いましょうか。

プログレッシヴ・メタルなので、リズムは決してノリやすいものではなく、そのメロディもコーラスしやすいキャッチーさとは無縁。しかしそれでもオーディエンスは熱く盛り上がり、アネクが手拍子やフィストバンギングを求めれば皆おざなりではなく全力でその呼びかけに応える。

その盛り上がりを目にしたアネクが見せる笑顔がまた超チャーミングで、ああ、ヨーロッパで歴史上国民に愛された女王様、王女様というのはこういう人だったんだろうな、などと思ってしまいました。さすが90年代、欧州のメタル・ファンの間で「お嫁さんにしたいミュージシャンNo.1」に選ばれたという魅力はハンパではない。

THE GATHERING時代の楽曲や、アルイエン・アンソニー・ルカッセン(AYRION)とのプロジェクト、THE GENTLE STORMの曲も含めて、およそ日本人好みとは言えないものでしたが、そのショウに対する満足度は、わずか7曲しかプレイしなかったとは思えないほどに高いものでした。

どうでもいいですが、「アネク・ヴァン・ガースバーゲン」という名前の響き、メチャクチャカッコよくないですか?




LEAVE'S EYES

VUUR終演後、ドリンクカウンターでチケットとハイネケンに換え、MANOWARの"SIGN OF THE HAMMER"の巨大ワッペンが貼られたGジャンを着ていたオジサマが、外人に「マノウォー、チョーダサイネー(日本語)」とイジられているという心温まる(?)国際交流を横目に眺めつつ、ビールを飲み終えてフロアに戻る。

そしてこのMetal Female Voices Fest Japan 2019のヘッドライナーとして登場したのは、本場のMetal Female Voices Festでも常連的出演者であるLEAVE'S EYES。

LEAVE'S EYESは、アネク・ヴァン・ガースバーゲンのいたTHE GATHERINGと同様90年代中期、女性ヴォーカルを擁するゴシック・メタルの先駆者だったTHEATER OF TRAGEDYのメンバーだったリヴ・クリスティンが、同バンドを解雇されたことを機に、夫だったアレクサンダー・クルル(Vo, Key)が率いるATROCITYのメンバーと始めたバンド。

2016年、リヴ・クリスティンとアレクサンダー・クルルが離婚したことを機にリヴ・クリスティンが脱退、後任にフィンランドのメロディック・メタル・バンド、ANGEL NATIONのメンバーだったエリナ・シーララを迎えている。

個人的にはこの界隈のパイオニアであるアネク・ヴァン・ガースバーゲンとリヴ・クリスティンの揃い踏みを見たかったという思いはあるが、こればかりはままならない。

問題は、私が聴いたことがある彼らのアルバムはリヴ・クリスティン在籍時のものしかない、ということであるが、今日はあくまでアネク様に拝謁するために来たのであって、個人的にはLEAVE'S EYESはオマケ、良かったら儲けもの、くらいの気分で後方から観ることにした。

開演時間になりメンバーが登場、エリナ・シーララの第一印象は「細っ!」でした。超スレンダー系。

しかもなかなかキレイな顔立ちをしていて、正直ルックスだけで言えば、年齢を重ねてちょっと魔女めいてきていた(失礼)リヴ・クリスティンよりも現時点では上。

しかし、無いのだ、華が。アネク・ヴァン・ガースバーゲンと比べると壊滅的に。

いや、あまり人と人を比べるのは良くないが、なにせ直後だけにどうしても比較してしまう。女王と町娘くらいにオーラが違うのだマジで。

心なしかオーディエンスのテンションもVUURの時に比べると低いように見える。

しかし、ヴォーカル・パートの比率でいうと2割程度しか貢献していないアレクサンダー・クルルが、空いている8割の時間を駆使してオーディエンスを煽る煽る、煽りまくる。

人間、楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなるのだ、という心理学の話がありますが、半ば無理やりにでも手拍子をし拳を振り上げて盛り上がったフリをしていると、次第になんとなく本当に盛り上がってくるのだから、やはりオーディエンスを煽り、リアクションを促すというのはフロントマンの大切な仕事だ。

セットリストは予想以上に現Voに代わってからリリースされた最新作"SIGN OF THE DRAGONHEAD"からの楽曲が中心で、ぶっちゃけ殆ど知らない曲ばかりだった。

しかし、リヴ・クリスティン在籍時より俄然ゴシック/シンフォニック・メタル色が後退し、元々存在していたフォーク/ヴァイキング・メタル風味が大幅に強化されたそれらの楽曲はなかなかにキャッチーで、思いの外楽しめている。

途中、EVPのスタッフ(バイト?)と思われる日本人が4人ほどヴァイキングの恰好で登場してステージ上を賑やかしてみたり(超弱そうでした/笑)、アレクサンダー・クルルが「俺にとって日本は特別な国なんだ。ガキの頃DEEP PURPLEの"MADE IN JAPAN"に夢中だったからな。そんな国でプレイできて感激だよ」などと熱い長めのMCをしてみたり(ちなみその時ギターの人がちょろっと"Woman From Tokyo"のリフをプレイしてくれた)、ショウを盛り上げようという工夫と努力が感じられたのも好印象。

ひたすら可憐なエリナ・シーララは、ピッタリした黒レザーの衣装含め、勇壮なヴァイキング・メタル調の楽曲にミスマッチな気がしたが、これはもはや「普通の可愛い子がヴァイキング・メタルを歌っている」というギャップに萌えるべきなのだと途中から思い直しました(笑)。

てか、このエリナ、アレクサンダー・クルル(48)の娘くらいの年齢かと思っていたら、調べてみると35歳なんですね。白人女性は30越えると太るか皺が目立つようになるか、いわゆる「劣化」が早いことが多いですが、彼女は若々しい。MCなんかも良い意味でフツーの女の子っぽくて、好感度大でした。

15年以上のキャリア、7枚のアルバムをリリースしたバンドともなると、普通は本編ラストやアンコールには「初期からの代表曲」がプレイされるものだと思いますが、このバンドの場合どちらも最新2作からの楽曲がプレイされ、それがちゃんと「その位置」に相応しい楽曲として響いたあたり「まだまだこれからのバンド」としてのポテンシャルがあることを感じさせられました。新作もチェックしたいと思えましたね。収穫でした。



というわけで2バンドしか観なかったとはいえ、チケット代(当日9,500円)分は充分に楽しめたのですが、この満足度に対してやはり集客は寂しかったと言わざるを得ません。

てか、ヘッドライナーがLEAVE'S EYESでフェスが成立すると思っていたとしたらEVPはちょっと強気過ぎるか、ビジネスセンスが無さすぎます(苦笑)。

NIGHTWISHやWITHIN TEMPTATION、LACUNA COILは無理でも、最低限EPICAとかAMARANTHEとか、日本で単独公演が成立するクラスのバンドは必要だったのではないでしょうか。

この客入りだと、このイベントの「次」があるかどうかは甚だ怪しいですが、とりあえず個人的にはアネク様に拝謁する機会を与えてくれて非常に感謝しています。

MetalFemaleVoicesFestJapan2019.jpg


そしてこのフェスと直接関係はないですが、やはりこのHR/HM史に残すべき名作ライブ映像、WITHIN TEMPTATIONの"BLACK SYMPHONY"におけるシャロン・デン・アデルとアネク・ヴァン・ガースバーゲンのデュエットは必見ですね。



関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

No title

初めまして、自分も行ってました。

ヴァイキングの恰好で出て来たのは
日本ヴァイキング協会の方々らしいです。
https://twitter.com/Japan_Viking/status/1120315767814148096

>桃丸さん

はじめまして。

日本ヴァイキング協会…そんなものがあるんですね(驚)。

どうやってLEAVE'S EYESと接点を持ったのかわかりませんが、協会の皆さんにとっては晴れ舞台、バンドにとってはいい演出になって、WIN-WINなコラボレーションですね。

そういう意味だと、協会の皆さんは2、3分でも時間をもらって自分たちの組織をPRすれば、新規会員が獲得できたのではないかという気もするのですが(笑)。