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SWEET OBLIVION feat. Geoff Tate "SWEET OBLIVION" アルバム・レビュー

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イタリアの『Frontiers Music』が送り出す新プロジェクト。

もはや同レーベルのエース・プロデューサーと呼ぶべきシモーネ・ムラローニ(G : DGM)と、そのバンド・メイトであるエマニュエーレ・カサーリ(Key : DGM)、パオロ・カリディ(Dr: HOLLOW HAZE, ex-KILLING TOUCH, ARTHEMIS)というイタリアを代表するプログレッシヴ・メタル系ミュージシャンがバックを固め、ヴォーカルには元QUEENSRYCHEのジェフ・テイトを迎えている。

『Frontiers Music』お得意の、実力はあるがバンドに恵まれていないヴォーカリストを連れてきて、お抱えソングライターによる楽曲を歌わせるという企画商品である。

かつては専らメロディアス・ハード/AORスタイルの楽曲を歌わせて歌唱力を堪能させるという売り方に徹していたが、最近はスタイル面でも(クラシック・ロックという枠の中ではあるが)多様化しており、そのヴォーカリストに期待されるスタイルの楽曲を歌わせることにしているようだ。

つまり、本作でジェフ・テイトが歌っているのは全盛期、"OPERATION : MINDCRIME"から"EMPIRE"にかけての時期におけるQUEENSRYCHEスタイルの楽曲である。

シモーネ・ムラローニが在籍しているDGMは必ずしもQUEENSRYCHEスタイルのバンドではないが、プログレッシヴ・メタルをプレイする人間としてQUEENSRYCHEに影響を受けていないはずもなく、ジェフ・テイトを迎えてこういうアルバムを作れるというのはなかなか感慨深い体験だったのではないだろうか(今日び、直接顔を合わせて仕事をしているとも思えないが)。

"OPERATION : MINDCRIME"や"EMPIRE"というメタル史に残る傑作のような凄みや、それらの作品に収められていたキラー・チューンに匹敵するほどのインパクトがある楽曲こそないものの、あれはもはや本人たちでさえ二度と再現できない奇跡であり、ここで展開されているサウンドのクオリティはあの時期のQUEENSRYCHEに思い入れを持つ人であれば充分に納得のいくものである。

特に本家QUEENSRYCHEが当時のファンを裏切るような作品を連発していただけに、「これだよ、これ」と思う往年のファンは多いことだろう。個人的にはメタリックな要素の強い#6"A Recess From My Fate"がお気に入り。

ジェフ・テイトはもはやハイトーン・スクリームはしない(できない?)が、彼独特の魅力のある歌声自体は健在で、ジェフの歌唱の魅力を最大化する音域でしっかりメロディックに仕上げてくるあたり、やはりシモーネ・ムラローニの才能は傑出している。

今年3月にリリースされた本家QUEENSRYCHEの新作も悪くはなかったし、より現代的なサウンドにチャレンジしているのは、全盛期の再現に徹しているこのプロジェクトよりもむしろ本家の方だと思うが、メロディ重視派の見地からはこちらの作品を高く評価せざるを得ない。

QUEENSRYCHE云々を抜きにしても、プログ風味(プログレッシヴな要素はあくまで雰囲気程度でしかない)の端正なメロディック・メタル作として楽しめる佳作であり、次作もジェフが歌わなかったとしてもチェックしてみたいと思える仕上がりだ。【84点】



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コメント

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かなり長い間こういったメロディアスな楽曲をジェフが歌う事が無かったので、avantasiaを含め非常に嬉しいですね。

ぶっちゃけ自身のバンドであるoperation mindcrimeとか辞めてしまってこちらに注力して欲しいですがきっと無理なんだろうなぁ、、(苦笑)

No title

っていうかDGMはよ

ジェフは当然素晴らしいけど、あんたの横には、更にいいVoがおるんやで

>ごえたさん

OPERATION : MINDCRIMEというバンド名でやるべきはこういう音楽だと思うんですけどね(苦笑)。

AVANTASIAやこのプロジェクトの反響によって、自分に求められているものが何なのか理解してくれるといいのですが…。

>名無しのメタラーさん

マーク・バジーレは素晴らしいシンガーですよね。

『Frontiers Music」での仕事が忙しくなったことでDGMの活動がスローダウンするのは残念ですが、きっと(少なくともシモーネ個人にとって)こういう仕事の方が儲かるんでしょうね…。

No title

先日のAvantasiaのライブでキスクが不参加で残念とおもいましがジェフが見事穴を埋めてました。(風貌もwww)やはりこのような曲を歌ってほしいですね。DGMも早く新譜を!

No title

QUEENSRYCHEという良くも悪くもメタルの代名詞に縛られずに、こうやって色んなプロジェクトに参加するようになったらジェフテイトは再評価されるようになると思います。

>しんさん

AVANTASIAのライブは行きたかったんですよねー。

もう何度も観ていますが、ジェフ・テイトは観たことがなかったので実はお目当てでした。ご覧になった方が羨ましいです。

ロブ・ハルフォード、ジェフ・テイト、マイケル・キスク、ラルフ・シーパース、これだけサンプルが揃うとハイトーン・スクリームと頭髪の相関関係を疑わざるを得ませんね(笑)。

DGMも前作からそろそろ3年ですから、新譜を期待したい所ですが、近年のシモーネ・ムラローニの課外活動の活発さを見ると難しいんでしょうか…。

>名無しのメタラーさん

ジェフ・テイト、実力は申し分ないのですが、インタビューなどを読む限り、なかなか取っつきやすい人柄とは思えませんし、プライドも高そうなのであちこちに気軽にゲストとして顔を出すイメージがわかないんですよね(苦笑)。