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BLOOD STAIN CHILD "AMATERAS" アルバム・レビュー

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日本のメロディック・デス・メタルにおける先駆者的存在のひとつであるBLOOD STAIN CHILDの、オリジナル・アルバムとしては2011年の"EPSILON"以来約8年ぶりとなる6作目のフル・アルバム。

前作から8年のブランクがあるとはいえ、何枚かのEPと、リ・レコーディング・ベスト・アルバム"LEGEND"(2018)を挟んでいるので、これまで何の活動もしていなかったわけではない。

ただ、やはり8年間オリジナル・フル・アルバムを出せなかったというのはバンドのコンディションの悪さを感じさせ、実際ここ数年の彼らの活動というのは、少なくとも私のようにバンドの内情に通じない、外から見ているファンにとっては「迷走」にしか映らないものだった。

"EPSILON"で歌っていたギリシャ人女性シンガー、ソフィア脱退後に加入したKiKiなる女性は、ライブが良くなかったのか(私は未見)何やらネット上では不評の嵐だったし、その後に加入したSAIKAなる男性Voは名前やルックス、クリーンVoパートの歌声などがいかにもV系で、新曲はともかく過去の楽曲においては相当な違和感があった。

そのことを中心人物であるRYU(G)自身がどの程度自覚していたのかは不明だが、結局は客観的に彼らが一番「乗っていた」頃のヴォーカリストだったSADEWを復帰させて制作されたのが本作。

トランス系EDMサウンドとメロディック・デス・メタルの融合というサウンドは、現在でこそ珍しくはないアプローチだが、彼らは間違いなくそのパイオニア的存在であり、本作はあらためて「元祖」としての貫禄を感じさせる、EDMならではの快感とメタルならではの快感という異種の快感が掛け算でハイブリッドされた、強力なサウンドを展開している。

正直な所、かつてSADEWが歌っていた"MOZAIQ"(2007)の頃にあった「バンドとしてのケミストリー」のようなものはここにはないが(やはりそれはRYOの不在が大きいのだろう)、ソングライティングやサウンド・プロダクションはレベルアップしており、元々メロディやアレンジのセンスにおいては非常に優れたものを持っているだけに、聴き応えのある作品に仕上がっている。

THOUSAND EYESやGYZEなど、新世代バンドの台頭著しい日本のメロディック・デス・メタル・シーンだが、やはり彼らのサウンドは個性とクオリティの両面で今なお際立っている。

個人的には、ようやくRYUはこのバンドでメタルの枠組みを超えたメジャーな存在になることを諦め、そういう路線はYUZUKINGDOMなど他のプロジェクトで行なうことで、このバンドを「メタル・バンド」として「再生」することに腹をくくったということなのではないかと思っているが、本作を聴く限りその決断は吉と出たと言えるだろう。

アニメ『ドラゴンボールZ』のテーマ曲として有名な"CHA-LA HEAD CHA-LA"のカヴァーは、個人的にはやや蛇足感があるが、これはかつて"MOZAIQ"に収録されていたtrfの"Ez Do Dance"のカヴァー同様、ボーナス・トラックというか、オマケ的に楽しむべきものだろう。

しかしこのジャケットはもう少しどうにかならなかったものか。【85点】





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コメント

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今更ですが、買ってきました。聴き込めてはいませんが、第一印象はMOZAIQ part2だな、と言う感じです。
ここ10年ほどの迷走はadoreさんご指摘の通り、アニメシーンなどをターゲットとしてメタルの枠から踏み出そうとしていたように思えます。ryuさん個人の嗜好もあるでしょうが、昨今のアニメゲームソングとモダンヘヴィネスフォロワーな親和性は非常に高く、適切なメンバーさえ獲得出来れば戦略としては有りだったのかなとは思いますが、如何せん二人目の女性ヴォーカルがきつかったですね。
sodewさんを呼び戻したと言うことはメタルシーン回帰の意思表示だと前向きに受け止めたく思います。シーンの牽引者として期待しています。

>結城真之介さん

"MOZAIQ" Part2というか、"MOZAIQ"の後に来るべきアルバムという感じですね。

個人的には"EPSILON"は大好きでしたし、その後任の女性Voも"Lady Stardust"のシングルを聴く限りはそんなに悪くないと思ったのですが、華が無かったんですかね。

いずれにせよ、普通にメタル・バンドとしてポテンシャルのあるバンドだと思うので、次回のアルバムを作るのに8年もかかるようなことにならないことを願います。