MAJESTICA “ABOVE THE SKY” アルバム・レビュー

2016年にギタリストとしてSABATONに加入したことで一躍知名度を上げたトミー・ヨハンソン(Vo, G)が、これまでREIN XEED名義でやっていた自身のプロジェクトをMAJESTICAと改名してリリースした再(?)デビュー・アルバム。
これまでREIN XEED名義で2008年から2013年までの間に6枚のオリジナル・アルバムと2枚の企画盤と、年に1枚以上のペースで精力的に音楽をクリエイトしていたトミーが、数年前には断ったというSABATONへの加入に踏み切ったのは知名度やお金、人脈などを得るための、いわゆる「売名行為」だったのではないかと推察するが、その選択は本作が大手"Nuclear Blast"からリリースされている事実と、この仕上がりから考えて正解だったと言えるのではないだろうか。
基本的な音楽スタイルはREIN XEED時代となんら変わらないピュアな欧州型メロディック・パワー・メタルだが、全ての面で洗練され、グレードアップしているのは明らかで、きっとあのままREIN XEEDとして創作を続けていたらこうはならなかったことだろう。
元々メロディ・メーカーとしての作曲センスは充分だったトミーだが、ライブ・バンドとして卓越した存在であるSABATONで数多くの大きなステージを経験したことが活きているのか、これまでよりもライブで映えそうな楽曲に磨かれている。
SINERGYやDIONISUS、SAINT DEAMONなどのドラマーとして知られ、多くのバンドの裏方仕事を経験しているロニー・ミリアノヴィックを共同プロデューサーに迎えたことも、本作のサウンド・プロダクションを含めたメジャー感の向上に寄与しているに違いない。
自分でだいたいのことができてしまう人ほど、外部の専門家に関わってもらったほうが往々にして良い物になるんですよねえ…(あの大御所ギタリストに言ってます/笑)。
トミー自身の歌声は甘さがあって多少好き嫌いが分かれそうだが、かつてやや不安定だった高音域も力強さを増し、2017年にVoが脱退したTWILIGHT FORCEの代役シンガーとしてステージに立った(つまり、純粋にシンガーとしてニーズがあった)のも納得のクオリティで、この手のジャンルのメタルが好きな人なら減点要素になることはないであろう歌唱を聞かせている。
元GAMMA RAY, HELLOWEENのウリ・カッシュ(Dr)の参加(アルバムのみ)も話題のひとつではあるが、作品自体にこれだけのクオリティがあれば、「ちょっと箔をつけた」以上の意味はないだろう。
このバンドがブレイクしたら、ステージ上で「イジられ役」にされてしまっているSABATONはさっさと脱退しちゃいそう(笑)。
なお、#4 “Motley True”はMOTLEY CRUEについての歌でも、LAメタルっぽい曲でもありません(笑)【86点】
これは"Eagle Fly Free"のオマージュ・ソングでしょうね。歌詞にも"No Eagles Flying Free"というフレーズが登場するし。
こういう80年代っぽい曲もまたいい。
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コメント
北欧第3のDBの成長
ややリバーブを効かした透明感のあるヴォーカルも、北欧っぽくて懐かしさすら感じます。
この人ははNarniaの人ともコラボとかもそうでしたが、他のDBと比べると人を立てる事がよくできる方なんですよね。
イングヴェイやティモ・トルッキがSabtonでも何でも他人のバンドに入るなんてまずあり得ないと思います。
こう言う謙虚な姿勢で、色々やったいった上でこう言う日本人の琴線にも触れる作品を出していけば、日本でも人気が出て来るのではないでしょうか。
2019-08-01 04:04 Ario✠cH URL 編集
>Ario✠cH さん
ただその分、イングヴェイやティモ・トルキに比べるとキャラが弱いように見えてしまうのは、まだ彼のキャラクターがちゃんと伝わるほど日本で彼の露出が少ないからなんですかね。
2019-08-02 01:19 adore URL 編集
No title
なんか勝手にヴォーカリストとしては成長しないタイプの人かと思っていた事を謝罪したいと思います(笑)
2019-08-04 11:36 kim URL 編集
>kimさん
もはや北欧パワー・メタルとしては専任シンガーとしても充分なスキルですね。
2019-08-04 15:24 adore URL 編集
No title
歌もめちゃくちゃ上手くなり、曲も今年かったメロスピ系で一番良いなと感じました。
来日も楽しみです。
2019-11-05 10:52 紅 URL 編集
>紅さん
ReinXeedの1stからの本作はかなりのジャンプアップですね(笑)。
おっしゃる通り、本作は今年リリースされたメロスピ系の中ではトップクラスの充実作だと思います。
だからこそワードレコーズもフェス形式の公演ではなく実質単独公演に近い形での来日公演を組んだのでしょうね。
2019-11-06 01:04 adore URL 編集