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SABATON “THE GREAT WAR” アルバム・レビュー

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昨年BABYMETAL主催のフェス(というと大げさかもしれませんが)“DARK NIGHT CARNIVAL”で来日したスウェーデンの大人気「ウォー・メタル」バンド、SABATONの、前作”THE LAST STAND”(2016)以来、通算9作目となるフル・アルバム。

デビュー以来戦争、あるいは戦闘を歌詞テーマに、そのテーマに相応しい勇ましいメタル・サウンドを特徴としてきた彼らだが、本作ではアルバム一枚を通して第1次世界大戦という「大ネタ」を扱っており、戦争の規模に相応しい(?)フル・コンセプト・アルバムとなっている。

約10年前の2010年に発表された”COAT OF ARMS”は第2次世界大戦を扱ったコンセプト・アルバムだったが、世界規模の大戦ネタが今後発生しないことを願うしかありません。

音楽的にはシンフォニックで勇壮でキャッチーな「SABATON節」が変わることなく展開されており、ヨアキム・ブローデン(Vo)の太く雄々しいヴォーカルがこの手のメロディック・パワー・メタルにおいては個性的であるがゆえに金太郎飴的に響かないでもない。

ただ、画一的な曲調にもかかわらず、楽曲のテンポやアレンジによって巧みに差別化され、どの曲にもその曲を特徴づけるフックが設けられているのは流石で、現在欧州随一と言っても過言ではない人気バンドであることも頷ける完成度の高さを誇っている。

このバンドについては毎回ながら、楽曲が3分台から4分台とコンパクトで、アルバムを全体でも40分程度に収まっているため、濃厚かつ画一的な作風でも聴き疲れすることがないのは、自らの音楽の強みと弱みをちゃんと理解しているのだろう。

そして本作については、オープニング・ナンバーである#1 ”The Future Of Warfare”(NIGHTWISHのフロール・ヤンセンがゲスト参加しているが、あまり存在感はない)が、ちょっと機械的な印象を受ける彼らにとっては変わった曲で、一聴時に「あれ、本作はちょっと今までと違う?」という良い意味での違和感を与えるのと、ちょうど中盤に当たる#6 “The Red Baron”のイントロのオルガン・パート(バッハのフーガですね)が一種の小休止的役割を果たしており、そしてアウトロの少年合唱団的な#11 “In Flanders Fields”の存在によって「特別なアルバム」として個性を形作っている。

前作のツアーから参加したトミー・ヨハンソン(G ; MAJESTICA)の名前がクレジットされているのは#8 “A Ghost In The Trenches”のみだが(たしかにこの曲は言われてみるとどことなくREINXEEDっぽいパートが多い)、本作では従来にも増してギター・ソロがメロディックに歌っている印象があり、そういう意味でトミー・ヨハンソンの貢献は小さくなかったのではないかと思われる。

本作は2014年の”HEROES”以来3作連続となる母国スウェーデンのチャート1位を獲得しており、さらに本作に先立って発表された、ドイツ人の愛国心を掻き立てる”Bismarck”(日本人にとっての戦艦大和である)のMVが評判を呼んだこともあってか、ドイツのチャートでも彼ら初となる1位を獲得している(もっとも前作も2位まで上昇していたが)。

あと、どうでもいいっちゃいいんですが、ジャケットのアートワークの雰囲気が前作と似すぎてませんかね? (苦笑)【85点】





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コメント

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No title

ジャケットやっぱり前作と似すぎですよね
新譜じゃなくて、ジャケットが微妙に違うバージョンとかなのかと思って
サバトンファンなのに、一回スルーしちゃいましたもんw

>通りすがりさん

遠目で見たら同じに見えますね(笑)。
たしかにバージョン違いと言われたら信じてしまいそうです。

描いてる人が一緒なんでしょうけど、せめて色の雰囲気だけでも変えられなかったんでしょうかね。

No title

基本的にはキャッチーな正統派メタルという路線は変わらず、前作と同様非常に良い作品でしたね。
ところで、悲壮感・ドラマ性が素晴らしく、サビの熱唱はスターゲイザーのDioをも思わせる名曲、ビスマルクはなぜ収録されなかったのでしょうか...笑
多分日本のSabatonファンの120パーセントくらいが思っているのではないかと推測しますが、せめて日本版ボーナストラックに入れて欲しかったです笑

>紅さん

SABATONのアルバムにおけるクオリティの安定感は盤石ですね。

本作は第一次世界大戦のコンセプト・アルバムで、"Bismarck"は第二次世界大戦の話なので、内容的に入れられなかったのだと思いますが、だとしたらなんで"Bismarck"をこのタイミングで発表しなくてはならなかったのか、が理解に苦しみますね(笑)。