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VICTORIUS “SPACE NINJAS FROM HELL” アルバム・レビュー

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ドイツ出身のパワー・メタル・バンドの通算5作目となるフル・アルバム。

ドイツ出身の、ファンタジックなテーマをモチーフにしたメロディック・パワー・メタルというと、「ああ、HELLOWEENやBLIND GUARDIANのフォロワーね」と思われるだろうし、実際そういったバンドからも影響を受けていると思われる。

しかし、欧州のHELLOWEENフォロワーのバンドの多くがトールキンやムアコックといった半世紀以上前の古典的なファンタジー小説や、さらに大きくさかのぼって神話や民話の類を世界観のバックボーンにしているのに対し、このバンドの描くファンタジーというのは現代的なアニメやゲーム、現代ハリウッドのエンターテインメント映画に近いノリで、良い意味での「軽さ」がある。

それが顕著になったのが、前作EP”DINASAUR WARFARE – LEGEND OF THE POWER SAURUS”(2018)からで、それまでは凡百の欧州メタルのイメージに埋もれがちだった彼らの、「男の子が好きなモノ」に対する愛情が暴走する独自性のあるスタイルを世に知らしめることになった。

そう、彼らにとってはドラゴンや魔法使いといった、いかにも欧州の伝統を踏まえたスタイルのハイ・ファンタジーも、『ジュラシック・パーク』に出てくるような恐竜も、そして本作でテーマとしている『ニンジャやサムライ』も、どれも「カッコいいもの」なのである。そしてその感性は男の子(かつて男の子だった男性)にはよく理解できるものだろう。

メロディック・パワー・メタルのファンであればご存じの通り、メロディック・パワー・メタルというスタイルは日本人の感覚だと「アニメの主題歌みたい」と言われることもしばしばなのだが、このバンドの音楽もまさにそれで、言うなれば戦隊ヒーロー物のテーマ曲に通じるカッコよさと親しみやすさがある。

そういう、このバンドが描くカッコよさを「表面的」とか「軽薄」と感じる向きもあるかもしれないが、アラフォーになっても少年の心を忘れられない私のような人間(苦笑)にとっては、このサウンドはなかなかに魅力的。

ちょっと軽薄に響くメロディック・パワー・メタルという意味で、結果としてDRAGONFORCEに近い雰囲気があり、実際、速い曲の多さや、あまりウエットにならないサウンド作りといい、彼らを意識している部分は確実にあると思われる(というかアルバムのジャケットがDRAGONFORCEの最新作”EXTREME POWER METAL”に瓜二つである/笑)。

本作でテーマになっている「ニンジャ」や「サムライ」も、欧米人ならではの誤解に満ちたものだが、今日びネットで忍者や侍というのが実際にはどのようなものであったかはちょっと探求心があれば簡単に知ることができるので、あえて虚構の「ニンジャ」や「サムライ」のカッコよさを確信犯的に楽しんでいると考えるべきだろう。

バンドのメンバー・ショットもコスチュームめいた衣装に身を包んでおり、そういう意味でもこのバンドはまさしくSABATON、POWERWOLF以降の、GLORYHAMMERやTWILIGHT FORCEなどと並ぶ「ヴィジュアルも含めてコンセプチュアルにバンドの世界観を構築する」新世代パワー・メタルの一員である。

「オタクというのは“探求心が強く知識が豊富な人”ではなく、単に“子供向けの趣味から卒業できない人”のことを指す」という言説に照らせば、彼らの音楽はまさしく「オタク・メタル」だし、実際「Cheezy=安っぽい、子供だまし」と評されることも多いようだが、個人的には嫌いじゃないです。てかむしろ好き(笑)【86点】






これだけニッポン推しでやってくれてるわけですから、日本のメタル・ファンとしては応援してあげたいですね。

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コメント

非公開コメント

こんばんは。ご無沙汰しています。

彼らのこのアルバムの紹介動画を見ていると、「心から楽しんで聞いてくれ」という熱量みたいな物が感じられました。

こういう方がいらっしゃるからこそ、私達はメタルを聞き続けるのかもしれません。
次のモチーフは、トランスフォーマーみたいな変形ロボットとかでしょうかね?(笑)

>chigoさん

お久しぶりです。

このアルバムには楽しい要素しかないですから、聴く側は何も考えずに楽しむしかないですね。

恐竜、忍者と来てのロボット…ありそうですね(笑)。