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OZZY OSBOURNE “ORDINARY MAN” アルバム・レビュー

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メタルという音楽ジャンルで一番有名なバンドはMETALLICAだと思いますが、一番有名な「人」にフォーカスするなら、それはオジー・オズボーンでしょう。

そんなメタルの帝王的存在であるオジーの、2010年の”SCREAM”以来約10年ぶりのニュー・アルバム。

本作が誕生したきっかけは、娘ケリー・オズボーンの紹介でゲスト参加した人気ラッパー、ポスト・マローンの楽曲”Take What You Want”で、この曲のプロデューサーだったアンドリュー・ワットなる29歳の人物がオジーと意気投合し、ほぼノリで(?)サクッと短期間で(4日で10曲作り、3週間でレコーディングしたという)制作したのがこのアルバムである。

アンドリュー・ワットはポップ/ヒップホップ畑の人気プロデューサー/ソングライターとして頭角を現した人物だが、実際はハード・ロックが好きで、かつてギタリストとしてグレン・ヒューズ(Vo, B)やジェイソン・ボーナム(Dr)とCALIFORNIA BREEDというバンドを組んでいた過去があったりする。

本作ではアンドリューがギターを担当、GUNS N’ ROSESのダフ・マッケイガンがベース、RED HOT CHILLI PEPPERSのチャド・スミスがドラムという、豪華ではあるがなんだかメタルになりそうもないメンツで制作されたと聞き、実はちょっと不安を覚えていた。もしかしてオジーが、柄にもない売れ線のイマドキロックを歌わされることになっているんじゃないかと。

しかし結果としては杞憂だった。たしかにこれは80年代のオジーのファンが期待するようなメタル・アルバムではないし、イマドキロック的な側面もある。ただ、オジー・オズボーンのあまりにも個性的なヴォーカルが、「オジー・オズボーンのアルバム」としか形容できない仕上がりにしている。

ギター・ソロで参加したスラッシュ(G : GUNS N’ ROSES)やトム・モレロ(G : RAGE AGAINST THE MACHINE)、そして極めつけにはタイトル・トラックをデュエットするエルトン・ジョンというビッグなゲストも、このオジーの存在感の前では完全に「添え物」になってしまっているのだから凄い。

保守的な意味でのメタル調な曲こそないが、それなりにハードでヘヴィなパートもあるし、過去のオジーの(BLACK SABBATHの)楽曲に対するオマージュやリスペクトが感じられるような雰囲気も随所にある。

保守的な意味でのメタルが好きな私にとってはあまり琴線に触れる瞬間はないのだが、2、3回聴いただけでだいたい全ての曲の「キャラ」がつかめたのだから、それはやはり個人の嗜好を超えたハイレベルかつ普遍的なソングライティングということなのだろう。

本作のトラックリストには、#1 “Straight To Hell”(地獄へ直行)、#2 “All My Life”(わが人生の全て)、#3 “Goodbye”(さよなら)、”Under The Graveyard”(墓の下)、#7 “Today Is The End”(今日は終わりの日)と、何やら「死」をイメージさせる曲名が並んでいる。

実際71歳で、パーキンソン病でもあるというオジーの状況を考えるとラスト・アルバムになることを覚悟して作ったのかと勘ぐってしまうが、直近のインタビューでは来月にも新しいアルバムの制作に着手したい、などと言っており、必ずしもラスト・アルバムを意識して制作されているわけではなさそうだ(結果的にそうなる可能性はきっと意識しているだろうとも思うが)。

そういう感傷的というか特別な意味を無視して虚心に本作に向き合うと、先述した通りフックのある曲が揃った質の高いロック・アルバムであるわけだが、やはり80年代に発表された初期の5枚に思い入れを持つ私としてはコレジャナイ感が否めない。

とりあえず「メタル専門誌」が96点とか94点といった超高得点を並べているのを目の当たりにすると、まあオジー本人やレコード会社に対する向き合いなども考えるとやむを得ないのだろうなあとも思いつつ、メタルをろくすっぽ知らない人に「2020年最高レベルのメタル・アルバムってこの程度の出来なんだ」と思われるのは、正直いささか心外である。

そんなわけで、これまで本サイトでレビューしてきた過去作と同じ基準に則ってあえて本作に点数をつけるなら、(老人虐待とか不敬罪などと言われるかもしれませんが/笑)こんな感じです。【76点】






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コメント

非公開コメント

これはオジー・オズボーンにとっての「Innuendo」(Queen)になる作品になるでしょうね。

No title

オジーバンドではなくオジー個人としてのアルバムですね
オズモシスで復活して以降はキラーチューンも存在せず、ベスト選曲のライブだけが楽しみでしたが・・・それも終わりかと思うと寂しさがこみあげてきます

参加メンツ聞いて(ザックもうクビにしたん?)と思いましたw

エルトンジョンがピアノ弾いてるタイトル曲が一番好きです
あとはまあまあ

>名無しさん

すると次作は"MADE IN HELL"になってしまうんでしょうか…。

>わびすけさん

おっしゃる通り、OZZY OSBOURNE BANDとしてのアルバムではなく、ソロ・ヴォーカリスト、オジー・オズボーンのアルバムですね。

思ったよりは元気なアルバムでしたが、「終わり」が近いことは確実なだけに、ファンにとってはなかなか複雑な思いになりますね。

>ヘロウィンさん

"Ordinary Man"は歌モノとして普通にイイ曲ですね。

他の曲はメタル耳の持ち主にはたしかに可もなく不可もなし、という印象ですね、残念ながら…。

これじゃない(笑)

ずーーーっと、そうでしたね。
ヘビー路線になってからはずっとこれじゃないでした。今回は意味合いが違うけど、やっぱりこれじゃないです。
うーーん、、、
曲がつまらない、、、普通だと

>グラハムボネ太郎さん

80年代のオジーを愛する「メタル耳」だとそうなりますよね。

でもきっと、今オジーが獲得したいリスナーはそういう懐古趣味のリスナーではなく、"Bark At The Moon"とかダサいけど、このアルバムはクールじゃん、と言ってくれる若いリスナーなのでしょう。