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Allegiance Reign “Ei Ei O” アルバム・レビュー

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武士の甲冑に身を包んだ、国産シンフォニック・パワー・メタル・バンドのデビュー・アルバム。

インディーズからのデビュー・アルバムにして『BURRN!』誌の表4に広告を出していて驚いたのですが、最新号(20年6月号)の表4も私がよく知らないインディーズ・バンドの広告が入っているので、かつては大手の楽器メーカーやレコード会社のレギュラー枠だったかの雑誌の表4広告も今や金さえ払えば誰でも入れるようになっているのか…と諸行無常の響きを感じたで候。

話が逸れましたが、このバンドは昨年9月に吉祥寺 club SEATAで行なわれたEvoken Fest 2019 Extra Showで観て、面白いバンドだな、と思っていました。

甲冑(おもちゃやコスプレグッズではなく本物らしい)に身を包んだいで立ちから、てっきりいわゆる和風メタルかと思いきや、音楽的には完全に欧州型のシンフォニック・パワー・メタルで、まずはそこにギャップ萌え。

まあ、和風なイメージの強い人間椅子や陰陽座にせよ、音楽的に和の要素満載かというと必ずしもそういうわけではないのですが。

インタビューを読むと、彼らの志向は戦いのメタル、すなわち「バトル・メタル」で、そのワードがTURISASのデビュー・アルバムのタイトルであることは、こんなほぼメタルのことしか書いていないブログをお読みの方であればお気づきかと思います。

そのTURISASの日本版をやりたかった、とインタビューで語っているものの、全体的にはフォーク・メタルの一種であるヴァイキング・メタルのTURISASのようにフォーキッシュな要素は強くなく、ヴォーカルがハイトーン型であることもあって、パッと聴きの印象はRHAPSODY OF FIREのフォロワー。

歌詞のテーマが「戦」という意味ではSABATONあたりに通じるものもありますが、やはりヴォーカル・スタイルと、2バス連打の頻度の高さから考えても、音楽的な部分のベースはRHAPSODY OF FIREと言えるでしょう。

ここ日本ではHELLOWEEN、STRATOVARIUS型のバンドこそチラホラ見かけますが、RHAPSODY OF FIREタイプのバンドってほとんど見かけないんですよね。

それは単純にRHAPSODY OF FIREがHELLOWEEN、STRATOVARIUSほどに人気がないから、と言ってしまえばそれまでなのですが、そのスタイルが日本人が取り組むにはいささか躊躇してしまうほどに欧州的だったからという部分もあったと思います。

その普通の日本人がやるにはちょっと違和感がある大仰さも、こうして甲冑に身を包んで非日常のキャラクターを演じれば意外とサマになる、というのは個人的にはこの時点で座布団を一枚上げたい発見。

ただ、正直このスタイルはRHAPSODY OF FIREの一人勝ちみたいなところがあって、フォロワーであの完成度に近づけているバンドはほぼ皆無というのが正直な所(TWILIGHT FORCEとANCIENT BARDSはなかなか頑張っていると思いますが)。

このバンドも、イイ線は行ってるんですよ。少なくともTHY MAJESTIEとか、HOLY KNIGHTSとかFAIRYLANDとか、その辺には負けてないと思います(褒め言葉になっているか微妙ですが…)。

いいメロディも随所に出てくるし、戦いをテーマにした歌詞世界(ちなみに本作はコンセプト・アルバムで、ストーリーがバンドの公式サイトで公開されている)に由来する勇壮な雰囲気なんかも私好みなのですが、今一歩琴線に触れ切らない…。

歌詞は何となく英語メインで、日本語パートについては「取ってつけた感」があるのは、やはり音楽スタイルやメロディのテイストが欧州型だからなのでしょうか。

個人的に好きなタイプの音楽だし、ポテンシャルも感じるので、逆にちょっと辛口になってしまっているのは申し訳なくもありますが、この手のサウンドはヴォーカルが女性でない限り比較の対象がファビオ・リオーネになってしまうのも苦しい所(苦笑)。

いや、YAMA-B(元GALNERYUS)を思わせる佐々緋鞘(Vo)の歌声も、やや細いなりに魅力はあるんですけどね…。

でも、デビュー・アルバムにして、恐らく(解散してなければ)30年後もライブのエンディングに使えそうなインパクトのある曲(タイトル曲である「Ei Ei O ~勝鬨~」)を生み出せているのは素晴らしいと思います。

最後に音楽とは関係ない難癖をひとつだけつけさせてもらうと、バンド名が覚えにくいです(苦笑)。こうして決して安くはない甲冑を(ローン組んで)買うくらいバンドの世界観を作り込む覚悟があったのであれば、もうちょっとその世界観がダイレクトに伝わるバンド名にした方が、海外に対してもアピールが強くなったんじゃないですかね。

今からでも遅くないので、「SAMURAI OF FIRE」とか「BUSHIDO IN BLACK」とか「SPACE NINJAS FROM HELL」とか、そんな感じのバンド名に改名した方がいいんじゃないですかね。割とマジで。





【Allegiance Reign インタビュー】日本の文化をたくさんの人に知ってもらいたい(OKMusic)


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コメント

非公開コメント

見覚えのある城だなぁと思いながら聴いてたら、案の定だったので嬉しくなった神奈川県民です(笑)
サビが覚えやすくて良いですね!

2018年のPagan Metal Horde Vol.3で観た時は、関西人を前にリキんだのか、MCで面白いことを言おうとし過ぎて、すべり気味だったのが印象的(?)でした。
「大阪まで馬で馳せ参じた!」「大阪の駐…馬小屋代は高い!」みたいな下りはややウケだったかと。

とはいえ、その後YouTubeで検索したりバンド名を覚えたりしているので、なんだかんだ言いながら自分のなかでインパクトがあったんだと思います。

「SPACE NINJAS FROM HELL」だとせっかくの甲冑が無駄になりそうですが、アルバムタイトルは「SHOGUN」なのにジャケットは忍者というSTORMWITCHみたいなパターンもあるので、欧米ではそこら辺はどうでもいいのかもしれませんね。

バンドの音楽には関係ないのですが...

Burrn誌の表4広告って90万近くするんですね...
https://www.hrks.jp/ad/mediadata/listener_e/burrn/

宣伝にそんな金を出せるインディーバンドがいるという事に驚きですし、また、今時Burrnに広告を出してどれだけ効果があるんだろう....と思っています....(笑)

真剣にやっているようなので大変言いにくいのですが、ミサイルマン岩部を連想しました…。
和をベースにしたバンドはもっと出ても良いでしょうし、なんなら戦国だけじゃなくて平安のドロドロをテーマにしても良いですし、ラプソディフォロワーももっと出てきて良いと思うのですが、文化的素養が求められる、と言うのがネックなのかなと思っています。

しかし、馴染みの薄い単語を並べたバンド名ですね。武士のイメージからは判り易くもあるのですが、adoreさんの仰る通り、もっと判り易い単語を選ぶべきだったと思います。

現Twilight Forceのボーカルがゲストで参加してるからか全編英詞なのかと思ってました。
ちょっと興味があるので近いうちに購入しましょうかね

>珍獣メガネコアラさん

私も子供の頃、小田原城に行ったことありますよ。 大河ドラマとか『信長の野望』の影響で戦国好きだったので(笑)。

>メタル・ジェントルマンさん

私が観た時はすべりそうですべらない感じでしたが、オーディエンスが関西人より寛容だったのかもしれません(笑)。

「SPACE NINJAS FROM HELL」は単にVICTORIUSのアルバムを聴いて以来「口に出して言いたい英語」になっているだけなのでそっとしておいてください(笑)。

>紅さん

まあ、一般誌の表4広告は100万円以上することが殆どですから、広告媒体費としては別に驚くような金額ではありませんが、たしかにインディーズのバンドにかける宣伝費としては結構レーベルは張り込んだな、という気がしますね。

まあ、メタルの場合、一番効果がある、というかほぼ唯一効果がある広告媒体は今でも『BURRN!』誌のみと言われているので、そこに投資を集中するのは悪い戦略ではないと思います。

とりあえず、B!誌の今月号の表4に広告が入っているCROWLEYというバンド、この広告がなかったら私はこのバンドを今知らなかったはずなので、すぐにセールスにつながるかどうかはともかく、認知を獲得するという意味では効果はあるんじゃないでしょうか。

>結城真之介さん

本人たちなりに真剣とはいえ、これが世の中的にネタであることは重々承知した上でやっているバンド・コンセプトだと思うので、ある種お笑いに見られるのはバンドも覚悟の上でしょう。

バンド名、訳語を見ればまあ、何故にこんなバンド名にしたのかはわからなくもないのですが、日本人にはなじみがなさすぎる単語で、発音を聞いてすぐに正しいスペルで表記できる人もほとんどいなそうなのが、「商品名」としては今後売り出していく上で結構ネックになる気がします。

>かつ丼さん

そういえば本文に書くのを忘れましたが(思いの外長い文章になったので…)、アレッサンドロ・コンティがゲスト参加してますね。EVPつながりというやつですね。

MV曲は日本語詞ですが、むしろこの曲はアルバム中ではちょっと異色なので、TWILIGHT FORCEのファンであれば楽しめる作品だと思います。

No title

小田原出身なので、出だしからびっくりです。
小田原城がインディーズのバンドの制作協力しているとは思っておりませんでした。

今の小田原城は改修してadoreさんの行かれた頃より、おそらくすっきりと綺麗になってます。
天守閣前や勝鬨をあげている場所は結構広いので、同じ場所でライブやってほしいです!

一昨年の

EVP(新宿)のオープニングアクトで見ました。色ものかと思いきや曲は正統派だなと思いましたが、デビューできて良かったです。
6時間以上にもなるイベント中、市場(彼ら言うところのグッズ売り場)でも、終演後に出口でチラシ配りしていた時も甲冑姿でいてその「本気度」に心打たれましたねえ。
またいつかライブ見られますように。

>鋳鉄削りさん

やはり小田原市民にとっては小田原城は誇りなんですね。

私が行ったのは30年以上前だと思うので、きっと今はだいぶ変わってるんでしょうね。実際、このMVを観て「こんなにきれいだったっけ?」と思いましたし(笑)。

制作協力といっても、きっと単に撮影許可を出しただけだと思いますが、おっしゃる通りここでライブをやることができたら面白いですね!

>なな吉さん

私が観たイベントでも、1番手で出て、その後ずっと甲冑姿で「市場」に立ってました(笑)。

かつて鎧を着ていた時代のGALNERYUSを観た際には、終演後の物販に立っていたYAMA-Bは普通にTシャツ姿だったので、そういう意味では彼らのキャラ作りにかける情熱は「本気」なんでしょうね。

せっかくこうしてアルバムを発表しても、ライブをやる機会がなさそうなご時世なので、早くライブができるようになってほしいですね。

面白そうなので、結構応援してます。
エイエイオーを聞いてしみじみ思ったのですが、歌詞は日本語の方がシックリ馴染む気がします。
バンドのコンセプト的にも。
BABYMETAL以降、日本語歌詞でも海外で戦えるのではないかと。

バトルメタルだけに|彡サッ

>yoshiさん

バンドのコンセプト的には間違いなく日本語がハマるでしょうね。

インタビューでもそんなようなことを言っていましたが、近年は欧米でも、少なくとも日本のバンドを聴いてみようと思うような人であれば日本語で歌っていることに抵抗はないようですし、むしろその方が欧米でバトル・メタル(笑)に勝利できそうな気がします。

この曲調にマッチする日本語の歌詞を考えることは結構大変そうですが…。