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FARCONER “FROM A DYING EMBER” アルバム・レビュー

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スウェーデンのフォーク・メタル・バンド、FALCONERの通算9作目、触れ込みによるとラスト・アルバムとなるフル・アルバム。

昨今「フォーク・メタル」というと、前のエントリーで取り上げたENSIFERUMとか、EQUILIBRIUM、ELUVEITIEなど(共通点:イニシャルE)、どちらかというとメロディック・デス・メタルを基本スタイルとしたバンドのイメージが強いが、このバンドの場合、基本スタイルはパワー・メタルで、そこにフォーキッシュなメロディが乗っているのが特徴。

彼らがデビューした2001年当時は90年代終盤に勃発したパワー・メタル・ブームが真っ盛りで、彼らもかなり注目されていたものだが、パワー・メタルがジャンルとして失速するタイミングで看板シンガーだったマティアス・ブラードが脱退したことによって、彼らの人気にもブレーキがかかってしまった。

その後、マティアス・ブラードが復帰したものの、パワー・メタルへの注目度が落ちていたためか人気は回復せず、こうして自ら幕引きを告げる事態になったということなのだろう。

前作”BLACK MOON RISING”(2014)が、デビュー・アルバム以来最高レベルにアグレッシヴでカッコいいパワー・メタル・アルバムに仕上がっていたので本作にも期待していたが、本作は前作ほどにパワー・メタルにステータスを振り切っておらず、ラスト・アルバムに相応しい、彼らの集大成的な内容となっている。

もう1曲目 “Kings And Queens”からFARCONERそのものといった感じで、ラスト・アルバムであることを踏まえて聴けばいかにもという感じの感傷的なメロディにグッとくる(もっとも、彼らのプレイするフォーク・メタル・サウンドは常に哀愁を湛えているので、通常運転と言えなくもないが)。

#2 “Desert Dreams”や#9 “Testify”のような2バスが連打されるパワー・メタリックな曲でも「熱さ」よりは叙情を強く感じるあたりはこのバンドの美点でありつつ、パワー・メタル・ブームに乗り切れなかった要因かもしれない。

牧歌的でフォーキッシュな#4”Bland Sump Och Dy”、インストゥルメンタル#6 “Garnets And A Glide”や、マティアス・ブラードの味わい深い歌声が堪能できるバラードの#8 “Rejoice The Adorned”など、楽曲面でもこのバンドの「幅」をひと通り網羅しており、その辺もラスト・アルバムらしいと言えば、らしい。

アルバム本編ラストの#11 “Rapture”でブラスト・ビートが炸裂するのは、(バンドの音楽的中心人物であるステファン・ヴァイナーホール(G)がかつて在籍していたという意味で)このバンドの母体であり、ルーツともいえる伝説的ヴァイキング・メタル・バンド、MITHOTYNにブラック・メタルとしての一面があったことを思い出させようとしているのかもしれない。

HR/HM(に限らずだが)を30年近く聴いてきて、「えっ、こんなバンドまで再結成するの?」という例をあまりにも多く見てきたことで、もはや再結成しないバンドなんてないんじゃないかとさえ思っていますが(苦笑)、この程度の成功規模のバンドの場合、再結成する経済的な意味が生じる可能性は極めて低いと思われ、そういう意味では本作が本当に最終作となってしまうのかもしれません。

明確な個性と世界観のあるサウンドを生み出したステファン、そして「ダンディ」という、あまりメタル界隈では使用されない形容が似合う美声の持ち主であるマティアス共、このままシーンから消えてしまうには惜しい才能なのですが…。【83点】




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