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ギター・ソロの必要性について

本日5月7日(土)、「ギターソロ」というワードがTwitterのトレンド入りして盛り上がっていました。

発端は高野寛氏のこのツイートのようです。



引用ツイートなので、元を辿ればグラミー賞のロック・カテゴリーのノミネート曲にギター・ソロがある曲がほとんどない、という事実が問題の根源でしょうか。

これに対して、マーティ・フリードマンがTwitterでコメントしたことも議論を活性化したようです。

▼マーティーのツイート内容をまとめて紹介しているページ
マーティ・フリードマン「サブスクでギターソロが来たらスキップする件」について持論を語る

直接的な問題というか、若者がギター・ソロをスキップする原因としてはマーティーが言う通り、「バンド物じゃなくてアーティスト系」であることが多い(アイドルなども含めて、だと思います)という前提で、「作成チームの中、曲はギターソロ「存在感」さえあれば大丈夫と思ってる方居ると思う。なので、とにかくボーカル休憩の8小節、ちょっとした喧しい歪んでるギターソロあったら大丈夫になってしまう」という、音楽業界の問題が主要な要因だと思います。

かく言う私も、中学2年生になるくらいまでは、ギター・ソロというのはただの間奏だと思っていましたし、なんなら単なるボーカルの休憩時間だと思っていました。

そんな私にギター・ソロには音楽的な意味がある、と気付かせてくれたのは、X(JAPAN)の「紅」のギター・ソロ、それ単体で楽曲として成立するようなギター・ソロ・パートでした。

そういう意味で、マーティー・フリードマンの認識は正しくて、ヴォーカル・パートに負けないくらいギター・ソロ・パートに魅力があればスキップされないはず、ではあるのです。

ただまあ、そんな魅力的なギター・ソロがヴォーカルメインのポップ・ミュージックに提供される例は少ないというのは事実なのでしょう。ギター・ソロを聴きたいと思っていない人がリスナーに想定されている楽曲に素晴らしいギター・ソロを提供するなんてもったいないですもんね。

しかし実は私はこれはそういうギターの魅力云々の問題ではないような気がしているのです。

若者に限らず、最近の傾向として、長いコンテンツが好まれない気がしています。2時間の映画や1時間のドラマ、30分のアニメ、どれも「長い」と思われて、5分とか、せいぜい15分くらいのネット動画の方が好まれる。ドラマを観るなら2倍速で観る、みたいな人が私の周囲にもどんどん増えているような気がしますし、私自身そういう傾向もあります。

そういう観点で、今後音楽はサビしか必要とされない、一時期の着メロみたいな事態になっていくのではないでしょうか。

現代の人はやはり忙しくて時間がないですし、一方でできれば多くの人と共通の話題を持ちたいので「チェック」はしたい。そうなると間奏まで聴く必要はなくて、サビだけ知ってればとりあえず友達と「この曲知ってる?」「知ってる!」と盛り上がれる。

今もそういう動画が結構上がってますが、「過去の名曲サビだけメドレー」みたいなコンテンツは今後さらに需要が伸びるのではないでしょうか。

よく考えると、ギター・ソロを飛ばさない世代である私だって、クラシック音楽なんてサビ(というか有名なテーマメロディというか)しか知らない曲いっぱいありますし。

40分のクラシック曲を全部聴いて憶えられない、というのと、5分のポップソングを全部聴くのダルいから間奏パート来たら次の曲にスキップする、というのは本質的には同じようなことなのかもしれません。

ただまあ、ことHR/HMに関してはギター・ソロこそがハイライトであり、ギター・ソロを聴かずしてその曲の魅力に触れたことにならない、みたいな曲も多いんですよね。80年代のイングヴェイとか、マイケル・シェンカーなんてその典型だと思います。

そういう意味で、HR/HMという音楽は若者へのアピールが弱くなっているんだろうなあと思います。曲が始まって3分経ってからハイライトが来るとか、待ってられないでしょうね(苦笑)。

いや、90年代にはギター・ソロを弾かないNU METALみたいなサウンドも流行りましたが、このサイト/ブログを長年読んでくださっている方であれば私がそういうメタルのことを言っているのではないとおわかりかと思います。

私はとにかくトーンやタッチがどうとか、ギター弾きでないとわからない凄味よりも、ギター・ソロ自体に音楽的な魅力があるかどうか、がギター・ソロを評価するポイントですね。本来は楽曲全体の調和の中で魅力を放つのが良いギター・ソロなのだろうと思いますが、個人的にはギター・ソロ単体で主張するくらいの方が好きだったりします。

そういう私のギター・ソロの嗜好を決定づけたのはこの曲のこのギター・ソロでした。3分半もない曲なのに、ギター・ソロが1分以上あるのがイカす。
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コメント

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私も聞いた事があります

私も以前ネットでそのニュースを目にした事が有り、なんかガッカリしました。

adoreさんと同様にX(JAPAN)の「紅」のギター・ソロに感動して、遂にはクラシカルなギターソロを追い求めてYNGWIEに手を出してHR/HMというジャンルにハマった経緯が有るだけに寂しいです。

曲自体はつまらないのに、ギターソロだけは凄い曲(苦笑)を挙げると、

①ブラックサバス「Heaven and Hell」より『Lonely Is the Word』

② イングヴェイ・マルムスティーン「Trilogy」より『Fire』

この2曲ですかね^^;。どちらも好きなアルバムなのでもっと気に入ってる曲は他に有るのですが、ことギターソロに関してはこれらの曲が最高です。

自分もギターソロの魅力はメタル聴き始めて少ししてから気付いたので普段聴かない人は尚更でしょうね。
進撃の巨人のOP等を担当しているLINKED HORIZONの曲のコメント欄では間奏が長すぎるからダルいみたいな事が書かれていてショックを受けたことがあります。

でも自分はやはりギターソロは曲の中のもう一つの曲であり、サビと同等かそれ以上の曲のハイライトだと思いますね。
Rock BottomやTornade of Souls、Thundersteelなんかは定期的に聴きたくなりますね。

No title

Rock BottomやTornade of Souls、Thundersteelはまさに神の所業。
ギターソロ記念碑を作るべし。
個人的にVandenbergの2枚目、3枚目は
ギターソロ構築とは何たるかの教科書だと思っています。

Youtubeでバズってる(←この単語は好きになれんですが)動画って
1分未満のネタ動画が大半ですからスキップは自然な流れなんですかね。
1分*4=4分だから聞く時間なんていくらでもあるはずなのに。

でも最近ギターソロ飛ばす、って言うのも理解できますよ。
今の音源って、全部キレイに処理されてて、
ギタリストごとのトーンの違いも分からんし、
皆ロボットが弾いたようにウマいし(、みんな同じに聞こえるし)。

初コメです。
95年当時、HelloweenのWhere The Rain Growsはこんなかっこいいギターソロがあるんだなと衝撃でした。
I'm Aliveもやる気にさせてくれる感じですきでしたね。
最近は新しいバンドもほとんど聴かなくなったけど魅力的なギターソロが少なくなってるんでしょうかね?

No title

私もこの話題を見てショックでしたが、わからなくもない…という感じも。

私も、っいうか、きっと誰でも最初は「歌しか興味ない」感じだったのではないかと。

その中で「より自分の嗜好にあったものを」と追求する人はいろんなジャンルを聞いてみるし、その中で演奏の凄さも理解してくる。

そうじゃ無い人は「ファッションの一部」みたいな感覚で聞くので、耳触りが良くて周囲と共有(流行にのる)できれば良い、みたいな。

大半の人はファッションで聞いてて、特に昨今はより、その傾向が強いのかな、と。
そういう人は、ギターソロにも、楽曲の構成にも興味は持たないのではないか…と。

かなり偏見入ってますが…。
私からすると、同じ時間かけて聴いてるのに、もったいないな、と思っちゃいます。

>ゆうていさん

ありますよね。リフやヴォーカル・パートは平凡だけど、ギター・ソロ・パートはとても良い、という曲。

ギター・ソロをスキップする人たちはそういう「隠れた名曲」には出会えないわけですが、まあ隠れてない名曲だけで一生楽しめるくらいの量があるというのが今の世の中なのでしょうね(苦笑)。

>元学生メタラーさん

カラオケでも間奏長い曲は強制終了されがちですからね(苦笑)。

どの曲もそうだとは言いませんが、やはり良いギタリストが在籍しているバンドの曲はサビに匹敵する魅力がありますよね。

>名無しのメタラーさん

TikTokとかインスタのリールとかも短いですし、そのくらいが集中力の限界という人が増えているのかもしれませんね。

まあそれは4分のポップソングは楽しめても40分の交響曲は全編楽しめないというのと本質的に同じなのであまり非難できることでもないですが…。

おっしゃる通り、最近のギタリストはみんな上手いですが、印象に残るソロは減ったような気がします。もっともそれは私が歳をとって感性が衰えただけかもしれませんが(苦笑)。

>シオンさん

初めまして。

HELLOWEENのギター・ソロはギターを弾かない人でもわかる魅力がありますよね。単純にメロディが良いというか。

メタルに関して言えば今でもいいギター・ソロは多いと思いますが、ポップ・ミュージックで良いギター・ソロがフィーチャーされることは減ってきたのでこういう話題が盛り上がっているのではないでしょうか。

>yoshiさん

私もそれこそメタルに出会う前は歌にしか興味ありませんでしたからね。

そして会社の若者と話していたら「音楽なんてコミュニケーションツールでしかない」と言っていて、そういう意味ではそもそも音楽に対して求めるものが変わってきているのかもしれないと思いました(もちろん若い人全員がそういうわけではないと思いますが、比率としてそういう人が増えているのかなと)。

お久しぶりです!
カイのソロは歌心あって良いですよね!
7人で来た時はI'm Aliveのカイソロで興奮しすぎておっさんなのに涙が出ました笑

No title

似たような話ですが、サブスク系だとイントロで歌がないとスキップされてしまいやすくなるそうですね。しかも、曲の中であまりメロディに起伏があると(AメロBメロサビ、って構成です)これはこれでスキップされやすいらしく、その結果最初から最後までサビ、なんてパターンが多くなっているとか。

そうすると、メタルにありがちな
・曲の前にイントロがある
・Aメロ→Bメロ→Aメロ→Bメロ→サビ
みたいな曲は論外、ということになってしまいます。つまり、Emerald Swordはダメということに笑

90年代みたいにギターソロ消えた

ここ10年くらいヒット曲から歪んだギター消えましたね
クリーントーンかアコギがうっっっっっっっすら鳴ってる感じ
例えば今のワンオクとかイマジンドラゴンズとか
ラウド系?メタルコア?達も完全ポップ仕様になってたりBMTHとかBFMVとか

豊かな社会の中で

adore先生、つまり再生数が1億回を越えた「Through The Fire And Flames」も隠れた名曲になってしまうって事ですか?

あとリモートが増えたとはいえ、電車通勤の方々は電車内だけが自分の時間に使えるという方もいるように見受けられます。

No title

自分もそのニュースは見ました。映画からスポーツに至るまで最近の20代以下は(といっても私もまだ20代ですが・・・・)長いコンテンツを許容できないという論調は度々見ますがこれもその一環なんですかね・・・・・
ギターソロどころか他にも複数の方が言われているようにイントロカット、更には伴奏の音数まで減らすというのも最近のトレンドであるそうですね。なんでも楽器の数が増えると何をやっているのかわからず共感できないからとのこと。確かに最近のヒットソングを聞いているとそれこそビートルズ登場以前レベルのシンプルな伴奏が増えているような気はします。

ただ一方でその風潮の揺り戻しというか反動みたいなものはどこかで来そうな気はするんですよね。いくらCDの売り上げ枚数が減っているとはいえラウドネスがオリコンデイリー1位、あんきもも総合上位(確か10位以内だったはず)メタル要素の強いRoseliaなんかも若者受けしてますしちょっと前では中々考えられない事態だと思います。

音楽にこだわるオタク的な人種がこれから絶滅するとも考えにくいので今後流行音楽は
「興味がなくどうでもいいと思ってる向けのシンプルでわかりやすい曲」と「しっかり聞きたい人向けの作りこまれた曲」の二分化が進むんですかね。
だとするとカラオケでみんな知ってる曲や文化祭で盛り上がれるベタな曲ってのも今後姿を消していくんですかね・・・・・
それはそれで寂しいものがありますが。

>タマネギさん

お久しぶりです。

カイのギター・ソロは最高ですね。近年はちょっと作り込みが足りない気がしますが(苦笑)。

私も“PUMPKINS UNITED TOUR”で"I'm Alive"を聴いた時、「これで成仏できる…」と思ったものです(笑)。

>さそりさん

90年代、多くのCDショップに「試聴機」が導入された時にも「サビから始まる曲は強い」と言われていましたが、今はもう「サビしかいらない」時代になってしまったんですね。

HR/HMでは褒め言葉として使われる「ドラマティックな曲展開」はもう前時代の遺物ということでしょうか。それはちょっと寂しいですね。

>ヘロウィンさん

私の世代にとって歪んだエレクトリック・ギターの音色は「エキサイティングな刺激」でしたが、今の若い人たちにとってはただのノイズなんですかねえ…。

>chigoさん

DRAGONFORCEを聴くような人はさすがにむしろギターを目当てに聴くような人なんじゃないでしょうか(笑)。

問題にされているのは、ひと昔前には結構あった、「基本的にはポップ・ソングだけど、結構カッコいいギター・ソロが入っている曲」が絶滅しつつある、ということなんじゃないかと思います。

>C.Tさん

まさかこのブログにまだ20代の読者が残っていたとは(笑)。

LOUDNESSやあんきもは、そのカテゴリーのトップ・アーティストなので、そういう固定ファンの集票力があるアーティストは今それなりのチャート・アクションが得られる時代なんだと思います。

一方で、じゃあそこらを歩いているサラリーマンのオジサンや女子高校生でLOUDNESSやあんきもを知っている人がどれだけいるかというと? という感じです。

「みんなが知っている曲」というのはこれからも一定数出て来るのでしょうが、「クラスの半分くらいは知ってる曲」みたいな「そこそこ有名な曲」みたいなのが減っていくような感覚があります。

こうなったら全人類のスマホのサブスクに
Lordの『Because We Can』しか流れなくなる呪いをかけたいですね!笑

>Lokiさん

あの曲のMVは秀逸でしたね。インスト曲のMVで印象に残っている数少ない作品です。

呪いはイングヴェイの曲(2010年以降限定)しか流れなくなるものの方が強力かもしれません。

No title

最近ラップの曲でもさっさと歌入らないと飛ばされるって聞きますよね
これいにしえの洋楽リスナーが言っていた「日本のリスナーは歌しか聴かないが外国はサウンドやグルーヴをちゃんと聴く」ってウソだったんじゃないの?思えてきますが

メディアの形態によって表現も規定されるというのはプログレの片面の時間を前提にしたプログレなんかもそうでしょうけど。The Beatlesがヒットしたのはラジオの時代で目立つ為にサビ始まりが多かったからとも言われますし

アニメソングをよく好きで聴きますが、確かにあの方面はギターソロだけがメタルか演歌のそれで、そこだけ空間や時代が違うって感じがするんですよね。アイドルソングもそれかも
2コーラス歌った後はギターソロを入れるべきというパターンがあって、特別ロックマニアでもないリスナーにはメタル弾きでないとギターソロだと認識して貰えないからでしょうか

近年のアニメやアイドルのギターはメタルがベースながらブルース感ゼロのシンセみたいな澄んだ音で、あれはあれでオリジナリティを獲得してるんじゃないかなと思います

紅のギターソロは確かにあれ単体で曲ですよね。というかあの曲「このパーツでもう曲じゃん」の要素しかない(笑)。10曲くらい入ってますよね、あれ

好きなギターソロだと9mm Parabellum Bulletの カモメ ですかね。ちょっと短いけど哀愁感たっぷりのメタル演歌な感じが良いです
洋楽だとNirvanaの serve the servants でしょうか
NirvanaだとIn Uteroの方をよく聴くので聴く回数が増えるからというのもありますが、あれを聴くとやっぱりカートってメタル小僧のツボ分かってるんじゃんと思えますがメタルに関しては同族嫌悪だったのかなぁ?
単に歌詞と格好がチャラいのが嫌だっただけかもしれませんが

>222さん

音楽は結局どのような形で聴かれるか、ということに影響を受けますからね。サブスクという形態が長いギター・ソロを聴かせるのに向かないフォーマットなのでしょう。

日本のアニソンはもはや「アニソン」という独自の音楽ジャンルになっていますね。もう10年くらい前になりますが、仕事で知り合った某ロキノン社の人が、「もう日本はロックよりアニソンの方が面白くなってしまってるんですよねえ」と言っていたのを覚えています。

「紅」はYOSHIKIだけでなくHIDEやTAIJIによるものも含め、何度も改作されて今の形になっているようなので、その結果「10曲くらい入っている」ような曲になっているのかもしれませんね。

NIRVANAでギター・ソロを気にしたことはありませんでしたが、たしかに"Serve The Servants"はギター・ソロ然としたギター・ソロ・パートがありますね。

カートが嫌いだったのはいわゆる「ヘア・メタル」で、メタルの全てが嫌いだったわけではないのではないかと思っています。