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ARCH ENEMY 来日公演 at Zepp DiverCity Tokyo 2023.3.3

ARCH ENEMYのZepp DiverCity Tokyo公演に行ってきました。

ここしばらくかなり激務が続いており、会社を出たのは18:40頃。もう開演時間まで20分ほどしかない。

タクシーに乗り、高速道路使って飛ばしてくれと運転手に伝えるも、都心のこの時間帯は慢性的に道が混んでいるので、実際には法定速度くらいでしか進まない。

なんとか19時ギリギリに到着し、先に入っている友人が上手(かみて)側の一番後ろにいる、とLINEを送ってきていたので後ろ側の扉から入場しようとするも、場内パンパンでとても扉の前から進めない。

私の後から入ってきた人で強引に奥に進もうとした人もいましたが、私のすぐ脇にいたオッサンがそれを阻止するという心の狭い動きをしていたため、遅く入ってきた人は扉前に滞留することになっていました。

入場してほどなくBGMでLOUDNESSの"Crazy Nights"が流れる。この開演時間直前に、日本のバンドが歌う、ライブについての曲が流れるというのは偶然ではなく「演出」なのでしょう。関係があるのかどうかわかりませんが、大阪公演には高崎晃(G)が観に来ていたようですね。

そして照明が落ち、オープニングSEが流れた後、ステージにかかっていた"PURE FUCKIN' METAL"の垂れ幕が落ちると同時に"Deceiver, Deceiver"でショウがスタートする。

ちなみに先述した通り、私がいるのは後方であり、私はあまり背が高い方ではないので、男ばかりのこの会場だとステージの様子はほぼ見えない。時々メンバーの頭が見える程度だ。つま先立ちをして背伸びをすれば多少観えるものの、ライブの最中ずっとつま先立ちをしているわけにもいかない(苦笑)。

2曲目の"The World Is Yours"の後、軽くアリッサがMCを挟んでもはやクラシック・ナンバーと言っても過言ではない名曲"Ravenous"がプレイされる。この曲のイントロはオーディエンスの集中力を一気に楽曲に集める力がある。その後アリッサ加入後最初のアルバムから"War Eternal"が演奏される間、私はもう見えないステージを追うのを諦め、無心に久方ぶりのヘッドバンギングに打ち込む。

そして最新作から私のお気に入りのフックを持つ"In the Eye of the Storm"をプレイした後、アリッサが「ニューアルバムから今夜この場にいるみんなにこの曲を捧げるわ」的なMCを挟んで"House of Mirrors"が始まる。この曲の歌に入る直前のスクリームは完全にノーマル・ヴォイスだ。

"My Apocalypse"の冷厳なギター・リフが場内を引き締めた後、「ニュー・アルバムから速い曲をやるわよ」というMCで歓声が上がり、"The Watcher"がコールされる。

たしかにここ3曲ほど、彼らのレパートリーの中では「速くない曲」が続いていたが、それでもダレるどころか、ライブの勢いが損なわれる感じは一切なかったのは、やはり彼らの楽曲の魅力がテンポの速さや単純な攻撃性に依存していないからこそだろう。

その"The Watcher"に続いたのは前作"WILL TO POWER"からの"The Eagle Flies Alone"で、この曲のリフは「ヘッドバンギングしやすいテンポ」だ。中間のメロディックなパート含め、フックに富んだ曲で、意外なほどライブで映えている。

曲を知らない人であれば「ギター・ソロ・タイムかな?」と思ってしまいそうなイントロから始まったのは、最新作"DECEIVERS"の冒頭を飾る、同作の作風を象徴するクラシック・メタル色の強い"Handshake With Hell"。

このJUDAS PRIEST的な(というか、ありていに言えば"Electric Eye"的な)ギター・リフを主軸とした楽曲の目玉は何と言ってもアリッサがサビをノーマル・ヴォイスで歌っていることだろう。アリッサの女性的なしなやかさと男性的な芯の強さを兼ね備えた歌声の魅力は、ギター・ソロ前のメロウなパートを含め、私のようなメロディック・メタル派のリスナーにとってはやはりグッと来る。

「地獄と握手」というタイトルもキャッチーだし、これは新たな代表曲としてセットリストの定番になっていくのではないでしょうか。

続く"Sunset Over the Empire"では途中でブレイクが入り、アリッサが「みんなの歌声が聞きたいわ」と曲中でリフレインされるメロディックなフレーズをオーディエンスに歌わせる。

この曲に限らず、ロイヤリティの高いオーディエンスは彼らの楽曲のメロディックなギター・フレーズを常に歌っていたものの、基本的に人間が歌うことを想定していないメロディやフレーズも多いので、「それ歌うのは無理があるやろ」というシーンも多いのですが、この曲についてはわざわざ歌わせるだけあって、ゆったりとしたメロディなので歌い甲斐(歌わせ甲斐?)がある。

続いてプレイされた"Blood on Your Hands"における"Remember"の合唱(というか雄叫び)といい、彼らの楽曲にはこういうメタルのライブ独特の双方向性を意識していると思われるフックがあるのがやはり巧妙。

「みんな信じられないくらい素晴らしいわ。またすぐに戻ってきてみんなに会いたい」という、ライブの終わりが近いことを匂わせるMCの後、本編ラスト曲として"As the Pages Burn"がプレイされる。この曲のエンディングのギター・パートにはクラシック・メタルとしての醍醐味のようなものが感じられる。

いったんメンバーがステージ袖に引っ込み、3分ほどアンコール待ちの時間を挟んで、現在の女性ヴォーカルをフィーチュアしたARCH ENEMYの原点となった名盤"WAGES OF SIN"から"Enemy Within"、そして"Burning Angel"というアルバムの1曲目、2曲目が流れ通りに演奏される。このオープニングからのコンビネーションはメロディック・デス・メタルのアルバム史上でも最も強力なインパクトを持つもののひとつだけに、このセットリストは神。

続く"Dead Eyes See No Future"はサビで曲名の「デス声合唱」が起きるという意味で、やはりデス・メタル離れしたフックを持つ名曲と言っていいだろう。まさにクラシック・タイムである。よく考えたら彼らももうじき30年選手、音楽性が音楽性だけにそういう印象は薄いものの、キャリア的にはもはや立派な「クラシック・ロック」バンドである。

さらに「他の日にも来ていた人いる? 明日会う人もいるかもね!」「私が加入した"WAR ETERNAL"が出てからもうすぐ10年になるのよ、信じられる?」といった、アンコールならではのリラックスした双方向型のMCを入れつつ、"WAGES OF SIN"から"Dead Bury Their Dead"がプレイされた後、ジェフ・ルーミス(G)のギター・ソロ・タイムを経て、実質マイケル・アモットのギター・ソロ・タイムである"Snow Bound"へ。

この泣きまくりのギター・インスト曲が名曲"Nemesis"へのイントロであることはファンにとっては周知の通りで、彼らのレパートリーの中はおろか、おそらくメロディック・デス・メタルというジャンルの中でも最もアンセム色の強い楽曲である"Nemesis"の"All for One, One for All"な連帯感で会場がひとつになった後、彼らのライブのエンディングSEの定番である"Fields of Desolation"が流れてきて今夜のライブは終了。

非常に充実した内容のライブで、アリッサ・ホワイト=グラズとジェル・ルーミスを擁する現在の編成は、もしかすると過去最強なのではないかと思わせられるものがありました。

冒頭に記した通り、今夜のライブはほぼメンバーの頭部と、時々高い所に立ったアリッサの上半身くらいしかメンバーの姿は見えず、そういう意味で彼らのライブ・パフォーマンスを「観た」と言うことはいささか憚られるのが事実です。

一方で、この頭を振りたくなる感覚というのは自宅で配信ライブを観ている時には生じないもので、そういう意味ではやはりライブというのは「現地でないと味わえない感覚を味わわせてくれるもの」であることを再確認することができ、ライブを「観た」とは言えなくとも、「体感した」ことは間違いないと思っています。

このブログのライブレポート履歴を振り返ると、HR/HMアーティストの単独公演に足を運ぶのは2019年10月に観に行ったNIGHT RANGER以来、約3年半ぶり。

それからHR/HM系ではないライブはいくつか観ていますが、それもコロナ前であることに変わりはなく、随分と久方ぶりになります。大学生になって以降は年に4~10回くらいはライブに足を運んでいたことを考えると、この3年間は本当にメタル・ファンのライフスタイルを変えてしまったと思います。

そんな人がどれだけいるのかわかりませんが、ここ3年の間にメタルを好きになった人の中には、ライブというものを一切体験したことがない人がかなりいるのではないかと思われるわけですが(もっとも、地方在住の方にとってそれはコロナ前からそうだったりするのかもしれませんが)、それは本当にもったいないことだと思いますし、アーティストの側から見てももファンのロイヤリティを高めることに対するチャンスロスだったに違いありません。

ようやくマスクを外すこともある程度公認され、都心では海外からの旅行客もよく見かけるようになってきましたが、今後このような事態が二度と発生しないことを願わずにはいられません。

まあ、今夜に関して言えば、やや体臭キツめの方が私の近くにいらっしゃったので、マスクがあってよかった、と思ってしまったりもしたわけなのですが(笑)。

archenemy2023.jpg
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コメント

非公開コメント

やはり、ライブは素晴らしい…
改めてそう思わせてくれるライブレポートをありがとうございます

来る3/26、LOUD PARKで自分も久しぶりとなるライブ参戦です
全身全霊を持って、楽しんできたいと思います

>kimさん

ライブはやっぱりいいですね。たまにしか行かなくなったことでより一層そのように感じられるようになった気がします。

LOUD PARKもお互い楽しみましょう!

やはり、ライブは素晴らしい…
改めてそう思わせてくれるライブレポートをありがとうございます

来る3/26、LOUD PARKで自分も久しぶりとなるライブ参戦です
全身全霊を持って、楽しんできたいと思います

当日を思い出します!

Liveレポートありがとうございます。
超長年にわたり、本サイトのadoreさんのレポートを拝見して、
Liveを想像していただけでしたが、
初めて自身も参戦したLiveのレポートを読むことができました(嬉)。

自身のLive参戦はそれこそ10年ぶりでしたので、
感慨深いものがありましたし、Arch Enemyのパフォーマンスは、身震いするほど、素晴らしかったです。

さて、次は、満を持してのLOUDPARK 初参戦なので、
いまからわくわくが止まりません。

P.S.
この記事、違和感があって、ちょっとスルーしてたのですが、
日付(年も)がまちがってますよね?

>kimさん

大事なことなので2回おっしゃったということでしょうか?(笑)

> papadpn1966さん

たしかに日付表記間違ってましたね…。ご指摘ありがとうございます。修正しておきました。

10年ぶりのライブで身震いするほど素晴らしい体験ができたのは良かったですね。LOUD PARKに向けて感覚を取り戻す上ではARCH ENEMYは最高のライブを見せてくれたのではないかと思います。

アリッサ・ホワイトグラズ

来日中、遭遇しないかなー、という淡い期待を持って無駄に銀座とか経由して家に帰ってましたが、会えませんでした。(当たり前!)

それはともかく、臨場感あふれる詳しいライブレポありがとうございます。まるで自分も参加してたかのような感覚で読ませて頂きました。私、アリッサ推しではありますがデス声が苦手なため、あまりArch Enemyを聞かないんですけど、レポート中に出てきた曲はチェックしてみようと思いました。

追伸 やれ動作確認だ、生存確認だ、と失礼なこと書き込んでいたら、私自身が極めて多忙な状況となってしまいました…トホホ

>バモスラピドス大佐さん

御多忙な中4連続コメントありがとうございます(笑)。

メタル・ミュージシャンが繰り出すのは銀座ではなく新宿・六本木ではないかと思います。

デス声が苦手なのにアリッサのファンという人が存在することに驚愕しました。見た目ファン、ということでしょうか…?