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LOVEBITES "JUDGEMENT DAY" アルバム・レビュー

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日本の女性メタル・バンド、LOVEBITESの通算4作目となるフル・アルバム。

前作“ELECTRIC PENTAGRAM”(2020)発表後の2021年8月に、バンドの創設メンバーだったベーシストのmihoが脱退、活動を休止していたが、昨年2022年に新ベーシストfamiをオーディションを経て加入させ制作されたのが本作。

このバンドのライブ映像などを観ると、一番メタラー然とした存在感を放っていたのがmihoだっただけに、果たしてLOVEBITESがこれまで同様のピュア・メタル路線を貫いてくれるのか、いささか危惧していた。

しかし結果的にそれは完全に杞憂で、これまで同様、むしろ海外ではほとんど見かけなくなってしまったほどにピュアなパワー・メタルが展開されており、完全復活を印象付ける作品に仕上がっている。

彼女らの「復活宣言」であろうと思われるオープニングの#1 "We Are The Resurrection"から肩に力入り過ぎではと思ってしまうほどアグレッシブなファスト・チューンだが、続く先行MVが公開されていたタイトル曲#2 "Judgement Day"もスピード・ナンバー、そして#3 "The Spirit Lives On"も疾走曲とダメ押しされ、個人的にはもうこの時点で兜を脱ぎました。

その後もメイデン風の#4"Wicked Witch"、80年代テイストのある#7"My Orion"、スラッシーなアグレッションを示す#9"Dissonance"などフックのある楽曲を揃えつつ、#6"Victim Of Time"、#8"Lost In The Garden"、#10"Soldier Stands Solitarily"といった、日本人ならではのメロディ・センスを備えたパワー・メタル・チューンが目白押し。

前作でちょっと感じた冗長さも改善され、楽曲レベルでも、アルバム全体でも緊張感が持続する強力なアルバムに仕上がっており、作品トータルでは最高傑作なのではないか。

オリコンチャートでも週間5位と、ここ数年の日本のメタル作品としては最高レベルの成功を収めており、あらためて彼女らの実力と人気が他のガールズ・メタル・バンドとは一線を画すものであることを証明しています。

個人的には非常に満足度の高いアルバムで喜ばしい限りなのですが、海外での活動を強く意識していると思われる彼女たちがなぜ現在海外ではダウントレンドのパワー・メタルをやり続けてくれるのかがむしろ謎ですね(笑)。【88点】





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コメント

非公開コメント

中毒になっていました。

このアルバムが出てから数週間、他が聴けないくらい聴き倒していました。さすがに中毒症状は抜けましたが、今でも飽きずに聴いています。って程に琴線に触れまくりの神盤です。

が、気になるのは、その後、秋に国内数カ所でライブするって事くらいしか動きがないこと。てっきり海外ツアーしまくるかと思っていたんですが。海外市場に挑むなら、この名盤の発表に畳み掛けて仕掛けた方がいいと思うんですけどね。メンバー2人が乳飲児かかえていることと関係するのか。。。謎です。

No title

ご無沙汰しております。
久しぶりのレビューが2連発で待っていた甲斐がありました笑。
ここしばらくは、メガデスとガルネリウスにハマっていたので、そろそろラブバイツも聴いてみたいと思います。
また、レビューお願いします。

No title

いい曲出してきましたね。ベースの人はスラップメインのイメージがあったのでどうなのかなと思っていましたが、非常にマッチしていてバンドをパワーアップさせた印象です。
adoreさんのおっしゃる通り、確実にトレンドを外しつつあるピュアなパワーメタルにここまでこだわってくれるのは本当に嬉しい。

どうでもいいレベルで気になっているのは、下手のギターがどこまでマッチョ化するかってところです。ボディビルの大会にも出られているようで、太ももがどんどん割れていくのはすごいなと思います。よっぽどストイックにトレーニングされているんだろうなと…。

なんとも凄すぎますね

たしかにadoreさんのおっしゃるとおり、
従来路線からの転換も想定していましたが・・・
とてつもないガチメタルのALBUMをリリースしてきましたね。

これまでのALBUMよりもガチ曲ばかりで、聞き疲れしちゃいます。
すこしだけ変化(緩急)がほしいとこかなと。
なんというか、もう Reign in Blood や Pinkiller みたいな領域かなと。

これほどのALBUMを(それも日本、そしてレディースバンドが)リリースしたことが奇跡だと感じるのですが、
バモスラピドスたら さん同様、今後の活動が大変気になりますね。

>バモスラピドスたらさん

メンバーのライフステージ的に長期のツアーが組みにくいのは事実かもしれませんね。

彼女たちは過去海外のフェスでもウケたようですし、『METAL HAMMER』の賞などももらっていましたが、BABYMETALと違ってアルバムが海外で売れているという話は聞かないので実際どの程度の需要が海外にあるのか、ちょっと見えづらくはありますね。

>black&greenさん

待っていていただいたとは恐縮です(笑)。

本作はなかなか力作だと思いますので、ぜひ聴いてみてください。

GALNERYUSがお好きなのであれば(女性Voに抵抗がなければ)安心してお薦めできるアルバムです。

>結城真之介さん

midoriさんの肉体改造ぶりはすごいですよね。デビュー当時と同一人物とは思えません(笑)。

コロナ禍はストイックに鍛えるには向いている状況だったのかもしれません。

>papadpn1966さん

"PAINKILLER"や"REIGN IN BLOOD"と言ったらどちらもメタル史に燦然と輝く名盤なわけで大したものですが、本作は確かに押しの強い曲ばかりなので聴き疲れするという感覚はわかります。

私はDRAGONFORCEのアルバムなどにそれに近い感覚を覚えることがあります(笑)。

ドラゴンフォース的にちょっと音詰め込みすぎな所が個人的に…ですが
サウンドは90年代以前の良き時代のHR/HMのエッセンス満載で好印象です
ASAMIの英語歌唱は正直歌謡曲レベルで厳しいですが
独特のノリと声質がなぜか心地よいです

捨てる物を捨てて整理できれば、さらに上を狙えると思います
ガンバれ〜!!

>愛杯斗さん

なかなか手厳しいおっしゃりようですが、バンドなんて不完全であることが魅力だったりするものですしね。

良いもの持ってることは間違いないバンドなので、応援していきましょう。

国産メタルバンドでワールドワイドで活躍できるかもしれない
数少ないバンドだったので、少し辛口コメントになってしまいました
主様やファンの皆さんの気分を害したことは謝罪します

過去のCDレビューなどで主様は結構キツイことも書いてるので
これくらいは平気かな? と思いました;;;
あと、国内だけの可愛いアイドルメタルバンド止まりで良いなら
大甘で忖度しまくりの評価しかしませんでした

カッコいい!カッコいいんですが・・・・

Lovebites、好きか嫌いかなら確実に好きですし新譜が出れば毎回買うくらいには期待しているんですが、個人的なストライクゾーンからはすこーし外れてるもどかしさもあるんですよねえ。。

今回のアルバムもそうですが、ジャケット、帯コピー、売り方からみるにこのバンドはいわゆる「メロディックメタル」のファン層に向けてアピールしているものだと思いますがメタルに対して激烈なエモーションやうっとりしてしまうような美しさを第一に求める自分からするとちょっとストロング過ぎるというか甘さが足りないかな、という感想があります。
引き締まった楽曲、タイトな演奏、そしてメタルとして構築性に溢れる展開とメタラーとして魂を刺激されるポイントは多々あるのですが、こういった部分ははメロスピではなく
いわゆるMetallicaやAccept Triviumや最近のKreator、等いわゆる正統派の高品質なアルバムを聴いている感覚なんですよね。
ヴォーカルメロなんかも歌っているというよりは叫んでいるという印象が強く、誤解を恐れずいえばスラッシュメタル並の突進力や剛直さがあるかなと
(聞き返してみてやっぱりAcceptが一番近いと思いました。)

おそらく「クサメロ」や「ベタすぎるクラシカルさ」といった点がないのは彼女達の意図的なものだと思います。日本人の場合英語でやろうが上記の要素を入れるとどうやってもアニソン臭くなりますからね・・・・
彼女たちのSNSを見る限りそういったオタク・サブカルチャーサイドを狙っているわけでもなさそうですしね・・・

ベタな哀愁が薄いのは間口を広げる上ではプラスでもあると思っていてコテコテさが薄いからこそチャート上でも成功できているんだと思います。
けど、もうちょっと切なさというか風情が欲しいなあと。。Anthemくらいにその要素が入っていれば文句なしにライブとかまで追っかけちゃうくらいのフェイバリットバンドになりそうなんですが。

>愛杯斗さん

別に私は気分を害していないのでお気になさらないでください。

自身の経験からも、きっと愛杯斗さんは彼女らにもっと伸びてほしいという気持ちからああいうコメントを書かれたのだと思いますので。

個人的に思う所もあり、近年はアーティストや作品の悪い所ではなく、なるべく良い所に着目するようにしています(笑)。

>C.Tさん

おっしゃることはよくわかります。そういう意味では私の感性的にも同様な物足りなさはあります。

ただ、ガールズ・メタル・バンドがメロディを強化しようとすると、どうしてもALDIOUSをはじめとする既存のガールズ・メタルのような歌謡メタルに近づいていき、差別化が難しくなるので、ご認識の通り意図的に硬派な路線をとっているのではないかと思います。

いまさら追加コメント失礼します

育児のために活動を控えめにしてる、というのならば大いに理解できるんですが、このバンドの場合、どうにも運営側の迷走感があって、実力十二分なのに勿体ないな、と。今度の国内ツアーも結局、ファンクラブ向けで、そんなに新規ファンの獲得は意識してないような。
嬢メタルと一線を画すなら、白ドレスもasamiのヒラヒラバレエも「無し」だと思うんです。ただ一方では、海外受けしてるBabyMetalも、BandMaidも、結局日本的カワイイが軸?な感じではあるんで、迷うのも分かるんですが、ラブバイツの場合、変なギミックはかえって成長を阻害してる様な。。海外の人のリアクション動画とか英語のコメントとか、そこ(ギミック)がいい、ってのはあまり見たことないし。

ところで、Acceptっぽいというご意見ありましたが、大いに同感です。Holy Warのソロで転調するとこなんか、もろ、Fast as a sharkのそれですよね。ザクザクしたバッキングが多いのも似てますし、クラシック要素の取り込みはウルフ・ホフマンの真骨頂ですね。

英語歌謡については、アドバイザーついてたと思いますが、なかなか難しいっすね。私、ネイティブでもなんでもないですが、ドリーミイーング、でなくて、ドリーイミーング、だと思うんですねー。

>バモスラピドスたらさん

皆さん愛がある故に辛口になってしまうバンドのようですね(笑)。

たしかに彼女らのビジュアル戦略については疑問もありますし、彼女らも「売れるためには仕方ないんだろう」という感覚でやっているのではないかと推察してますが、それ自体が魅力になっていないにせよ、「こんな見た目の女の子たちがこんな本格的なメタルを」という良い意味でのギャップ、ポジティブな驚きを生み出すことには貢献しているのではないでしょうか。

発音についてはアメリカやイギリスの人にだって訛りはあるので、もうこれはこれで個性として受け容れるしかないと思います。