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AMUSIE "HEAVY METAL DOCTORS"アルバム・レビュー

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2019年に行われたCIRCUS MAXIMUSの来日公演でオープニング・アクトを務めたこともある名古屋出身のメロディック・パワー・メタル・バンド、AMUSIEのデビュー・アルバム(厳密にいうと2014年に自主制作でアルバム制作をしたことがあるそうですが)。

このバンドの特色はメンバーが全員現役の医師であるということで、ベースのマノ氏、ギターのキノシタ氏、ドラムのイトウ氏は産婦人科医、ヴォーカルのイヌカイ氏は耳鼻咽頭科医とのこと。

本作はルビコン・ミュージックからのリリースということで、実質自主制作に毛が生えたようなものと思われますが、もしこれが大手レコード会社からリリースされるということだったら「現役医師によるヘビメタ・バンドがデビュー、低迷する国内メタル・シーンにメスを入れる!」みたいなPR記事がどこかのスポーツ紙に出たかもしれません。

結成は1995年、愛知医科大学に在学していたマノ氏とキノシタ氏が後輩のドラマーと結成していたSYNDROME Xというバンドまで遡ることができるが、AMUSIEとしてのバンド結成は、若手医師としての最も多忙な期間を過ぎ、イトウ氏、イヌカイ氏という現在のメンバーと出会った2011年のことだそう。

そして先述の通り2014年に自主制作でアルバムを制作しており、本作の曲作りも2015年には開始していたそう。

それがリリースされるのが2023年という8年という期間を要しているのは、やはり医者という多忙な仕事に従事しているからなのでしょう。私の従姉妹も医者で、診療の傍らしょっちゅう海外の学会などにも出席していてメチャクチャ忙しそうなのでそれは理解できます。むしろよくアルバムをリリースできるレベルで音楽活動ができるものだと感心してしまいますね。

音楽性は前述の通りメロディック・パワー・メタルということになると思いますが、「典型的」なスピード・チューンは少なく、全9曲というそれほど多くない曲数の中にキャッチーな曲やバラードが収められ、一方で#3 "I.C.T."などは明らかにJUDAS PRIESTの"Painkiller"のオマージュと思われるヘヴィな曲と、この手のジャンルの幅でメリハリに富んだバラエティが用意されています(I.C.T.というのは"Incection Control Team"の略で、病院内の感染管理チームのことだそうです)。

#5 "Way Of My Life"や#9 "Lost Senses"といったやや長尺のドラマティックな展開を持つ曲からはプログレッシヴ・メタルからの影響も明確に感じられ、学生時代のバンド名がSYNDROME Xだったというのも頷ける(笑)見事な構成力を披露しています。

日本のバンドのネックになりがちなヴォーカルも、耳鼻科医として高音発声についての研究も行なっているというイヌカイ氏の歌声は、こうしてアルバムで聴く限り破綻もなく、安心して聴けるレベルに達しているのもポイントが高いですね。

ミックスとマスタリングには90年代末から00年代初頭の欧州パワー・メタル・ブームの陰の立役者的な存在だったプロデューサー/エンジニアのフレドリック・ノルドストロームを起用し、音質の面でも安心して聴けるレベルに達しているのは診療報酬の賜物でしょうか(笑)。

イェンス・ボグレンという選択肢もあった中でフレドリック・ノルドストロームを選択しているという辺りにオールド・ファッションなメタル・サウンドへのこだわりが感じられて好感が持てますね。

欧米の一線級のバンドと同等のクオリティがあるかと問われるとさすがにそうは言えないかもしれませんが、この手の音楽が好きな人であればそれほどB級感を感じることなく聴けるレベルに達しており、これを医師という多忙な業務の傍ら、ある意味「趣味」で実現しているというのは驚異的だと思います。

(いや、欧米のこの手のバンドのメンバーの多くも「昼の仕事」は持っていることが多いですが、ある程度コンスタントにアルバムをリリースしツアーも行っているバンドの場合、「昼の仕事」はあくまでバンドをやるために必要な生活費や資金を稼ぐための「手段」でしかなく、このバンドのように明らかな「本業」ではないので、その場合は音楽活動を「趣味」とするのは失礼でしょう)

メタル界隈でドクターというとクレイジーなドクターだったり、フィールグッドなクスリを処方してくれるドクターだったり、モンスターを作るスティーン博士だったり、ロクでもない人たちばかりですが(笑)、このヘヴィ・メタル・ドクターたちはかなり真面目な人たちであろうことを感じさせる良心的な作品だと思います。

どうでもいいですが、#6 "Thanks For Usual Days"の冒頭のリード・ギターのメロディがRAPHAELの「花咲く命ある限り」のサビメロっぽいのは偶然なのでしょうか、それともオマージュなのでしょうか。





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コメント

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No title

#1はEagle Fly Freeっぽいですし、#3といい、全体的にトラッドなメタルへのオマージュが強いですね。非常に好みです。

#9は予想よりまんまでびっくりしました。adoreさんから花咲く命のある限りが出てきたことも含めて。

>結城真之介さん

RAPHAELの"MIND SOAP"はあの時期メロスピとV系の双方を愛した人間であれば避けては通れないアルバムではないでしょうか(?)。

個人情報開示します。

なんか、たまにしか投稿しないと言っておいて連投してスミマセン。

実は私、今は関東在住ですが実家が、メタル好きならその名を聞いた事があるであろう老舗のレコード店「Disc HEAVEN」の近くでして、(だからメタル好きが加速したのかも?)年齢も、adoreさんとほぼ同じで、つまりこの、名古屋出身でアラフィフと思しきAmusie、なんか親近感持ちました。
そういや、福岡のGauntletとか、どうしてるんですかね。けっこう好きでした。

あのバンドについては、色々思うところもあるのですが、華月が生きてたらどんな音楽を作っていたのかな、と考えることがあります。
大村孝佳みたいになってたのかな。才能も華やかさもあったギタリストだったのに残念なことでした。

>バモスラピドスたらさん

かつてDISK HEAVENでこのバンドのメンバーと遭遇していた可能性すらありますね(笑)。

メロスピ・ブームの頃は西新宿の店舗に1、2カ月に1回は行っていましたが、名古屋の本店には行ったことがないですね。

というか、今名古屋本店の所在地を調べてみたら、この店がご近所ってご実家はかなり(不動産価値的な意味で)良い所にありますね(笑)。

>結城真之介さん

結城真之介さんも当時V系バンドをやられていたということであれば、10代でスイスイメジャーデビューしてしまった彼らに対して色々と思う所はあるかもしれませんね。

華月が生きていたら…とりあえずメタルではない方向に進んでいたのではないでしょうか。

ベースとドラムには妬みもありましたが、華月見てたらすげえなとしか思えなかったですね。
あとは、ビラ配りの時ファンの子ナンパした思い出がw

華月が生きてたらメタル止めてたのかな。あの時期はメイデンに傾倒してましたけど、後半は民族音楽にもハマってましたし、どうなってたんでしょうね。ピュアなメタルに行った気がしますけど。

Disc HEAVEN

確かに今のお店は資産価値の高そうな場所ですね!

私が高校生の時によく通っていた頃は、ぜんぜん違う場所にありました。ほんとに小さなごっちゃごちゃしたお店で、それがまたワクワクした記憶があります。
とにかく珍しい輸入版が豊富で、B!誌の巻末レビューに載ってるのも、だいたいありました。あと、当然っちや当然ですが、アウトレイジ激推しでしたね。

バモスラピドスたらさん

disc heavenってelectric lady landの近くですよね。この間通りましたが、窓からいかがわしい(褒め言葉)ジャケット飾ってあるのが見えてました。

実は、、、

> 結城真之介さん

DISK HEAVENの今のお店は行った事がなくて…
2009年に御器所から大須ELLの近くに移転したとのことなので、ご覧になったといういかがわしいジャケットのお店で間違いないと思います。

>結城真之介さん

V系バンドのライブでのビラ配り、文化でしたね(笑)。GLAYのメンバーもデビュー前LUNA SEAのライブ会場でビラ配りしてたと言ってましたし。

華月は若かったので、まだまだ新しい音楽にハマることができる年齢だったと思ってます。



>バモスラピドスたらさん

今のDISK HEAVENとは違う場所にあったんですね。

CDが売れないご時世なのにより家賃の高そうな場所に移転するとは、CDショップの総数が減ったことで逆に売上が伸びたりしているのでしょうか?

西新宿にあったDISK HEAVENも、ゴチャゴチャした感じが魅力だったと思います。